イベントリポート

信越トレイル集中整備 2014 ボランティアの参加報告!

2014/06/25
長谷川晋
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信越トレイル集中整備のボランティア活動を行ってきました。
集中整備は雪解けが進んだ5月から始まり6月いっぱいをかけて、信越トレイル全体をセクションごとに集中して整備を行います。

6月21日(土曜日)に信越トレイル集中整備のボランティア活動を行ってきました。
集中整備は雪解けが進んだ5月から始まり6月いっぱいをかけて、信越トレイル全体をセクションごとに集中して整備を行います。毎年行われる集中整備ですが、これは積雪の多いこの地域ならではのことと言って良いでしょう。
毎年3mから4mほども積もる雪の影響で多くの木が倒されてしまいます。また雪は融けながら地面を滑り落ちて行き、その力はトレイルを削り、階段を壊してしまいます。
毎年雪解け時期はそのような倒木やトレイルの崩れ、看板や道標などの破損があることから、これからハイキングシーズンを迎えるにあたり信越トレイル事務局では多くのボランティアを募り、集中してトレイル整備を行っています。

昨年10月の信越トレイル整備ボランティアに参加してから半年以上経過しましたが、前回はこちらの日程に合わせて信越トレイル事務局や整備担当の方々がス ケジュールに合わせた整備を企画して下さいました。しかし今回は定例となっている集中整備への参加をすることで、通常に行われている「本来の整備」の一端 を見られればと思いました。ですが実際には、東京から向かう時間などを考えると現地集合時間に間に合うのが難しく、結果的には事務局や整備担当の方達にお 気遣いいただき。こちらに合わせた整備内容に変更してくださいました。

今回はセクション5の牧峠にある看板の立て替え作業、草刈り、階段修繕、それから桂池キャンプ場の草刈りやトイレ掃除が作業内容となりました。
牧峠の看板は雪の重さで破損したために新たに立て替えを全員で作業しました。古い看板の木材も再利用し、看板の縦に埋めた柱の横木にして雪の重さにも耐え られるような工夫をしました。穴の掘り方も昔から使われている方法でスコップを二つ使い縦穴を開けます。そこに柱を入れた後もただ埋めるのではなく、小石 を入れてから良く叩き詰めて、また土をのせ石を入れるといった方法で、安定性を増す様な方法をとりました。これらは昔だと電柱などを立てる際などに使われ ていた方法を整備担当の方達が調べて取り入れたそうです。

午後は手分けして2班に分かれ、牧峠から宇津ノ俣峠への草刈りをする班と、牧峠から関田峠方面に5分ほど上がったところの階段を直す班に分かれました。
階段の修繕は前回と似ている内容で、杭などの素材は現地にあるものを利用しました。できる限り倒木も利用し、のこぎりと鉈で杭を作ります。昨年までは両側に入れた細い縦杭に太めの横木を置くという工法でしたが、この作業も新たな試みとなりました。
雪の流れは太い横木に当たり、縦杭ごと流していました。そうすると毎年のように縦杭を打って横木を這わすといった繰り返しとなっていました。なので今回か らは横木に細い木を重ねておくことで、雪が流れた時に枝が折れて縦杭だけは残るという工法へ変更しました。昨年の整備でもおこなった「しがらみ工法」にも 似た方法です。重ねた細い横木は水抜けも良いため、雨による土の流出も防いでくれます。耐えるほど強くするのでは無く、受け流すもしくは横木が破損するこ とでトレイル全体のダメージを減らすというのはまさに、柔能く剛を制す、といったところでしょうか。
草刈り班は、信越トレイル整備担当者が草刈り機で刈った草をまとめて片付けて行くという作業です。とても地味な作業ではありますが、トレイルを維持するにあたっては基本的な作業となり、とても必要な整備です。
階段班は作業が早く終わったため、桂池キャンプサイトへ移動し、草刈りとトイレ掃除を行いました。桂池キャンプサイトでは今期毛虫が大発生中で、草刈りは毛虫の駆除も目的になっています。この草刈りで発生が少しでも抑えられていればと思います。

私達の到着時間に合わせて整備内容を若干変更していただきましたが、今回は人数がいるからこそできる作業だったように感じました。看板立てはある程度の人 数がいたからこそスムーズに作業が進んだと思います。また階段修繕の材料集めや片付けなどももし人数が少なければ、2時間程度の作業では無く、一日仕事に なってしまう場合もあるでしょう。草刈りも一見地味な作業ではありますが、範囲も広く少人数で行うには時間がかかる作業です。刈った草の片付けができてい ないトレイルなども時々見かけますが、それだけの重労働なのです。どれもやりがいのある作業ですが、たくさんの作業内容を経験させていただいた貴重な時間 となりました。そして、人数が多いからこそやりやすい作業があるのだと分かり、まとまって整備に行くことの重要さも理解できました。

参加してくれたメンバーも良くがんばって作業してくれました。早起きでみんな寝不足気味でしたが、最後まで集中して作業してくれて、本当にご苦労さまでし た。皆さんの意見は今後の整備やハイカーズデポとして信越トレイルに関わって行く上でもとても重要なことです。ありがとうございます。

今までは知らない誰かが整備していた道。
でもそこには必ずだれかの存在がいて道は成り立っているということを知ること。
整備作業を楽しみながらできること。
そして信越トレイルに愛着を持って関わり続けること。

ご対応して下さった信越トレイル事務局の片平様、整備担当の野上様には大変お世話になりました。今後も機会をみてハイカーズデポとしては信越トレイルの整備に関わって行きたいと思っております。
また、ハイカーズデポでは信越トレイルの整備に興味がある方達へ信越トレイル事務局との橋渡しもしております。信越トレイル事務局では、定期的な整備への ボランティア参加はもちろん、ある程度の人数がまとまれば個別での整備ボランティア活動へも対応して下さいます。もしご興味がある方は信越トレイル事務局 へ直接のお問い合わせはもちろん、ハイカーズデポへのご質問もお受けしております。

記者:Hiker's Depot 長谷川晋

長谷川晋

書き手長谷川 晋

1978年、東京生まれ
自転車で日本を旅して回ったのが「旅人」としての原点。トレイルネームは「Turtle(タートル)」 セレクトショップ、スキー場、山小屋、アウトドアショップなどの勤務を経てハイカーズデポ スタッフへ。2010年のパシフィック・クレスト・トレイルスルーハイクの後、その経験を後進ハイカーにブログやイベントなどを通じ積極的に提供。ウェブマガジンTRAILSとの共催イベント「LONG DISTANCE HIKERS DAY」をたちあげ、日本人長距離ハイカーコミニティの中心人物でもある。現在は一般社団法人トレイルブレイズ ハイキング研究所の代表理事をつとめ、日本における長距離トレイルやハイキング文化発展に奔走している。著書に『LONG DISTANCE HIKING』(TRAILS)がある。

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