“長距離ハイカーがギアを削って1オンス(28g)でも軽くしようとしているさなか、バックパックメーカーときたらポンド(454g)単位で付け返してくる”---PCT Hiker's Handbook (1998), Ray Jardine

 

レイジャーディンは彼の著書“PCTハイカーズハンドブック”の中で「スルーハイカー用バックパックにはメッシュポケットが三つ」と断言しています。外側に付けられた三つのメッシュポケットの用途は、サイドに「水筒」と「燃料用ボトル」、フロントポケットに「濡れたタープや雨具の保持」だそうです。このBummerのフォルムは、レイジャーディンの提言を受けて、多くのギアメーカーがLight weightバックパックを作っていた時代を想起させてくれます。必要にして十分。その点を忠実に守っているのがBummerかもしれません。

 

三つのメッシュポケットはロングディスタンスハイカー向けにはベストな解でしたが、BPL(Backpacking Light)を中心としたUltralightのムーブメントが起きると、左右のポケットを取ってさらに軽量化したバックパックが出てきました。Gossamer GearのWhisperやMLDのRevelationなどです。多少の不便はありますが、フロントメッシュポケットひとつだけでも、ツェルトやタープ、グランドシートを入れて、なお水筒の入る余裕はあります。「ここに入らないものは、そもそも持っていく必要があるのか?」と言い返してくるフロントポケットのみのスタイルがULバックパックの面白みです。

今は、軽量化&小型化された道具を組み合わせれば、20リットルのバックパックにも宿泊装備一式が収まる時代です。メインコンパートメントが30リットルもあるバックパックのサイドポケットなんて、なくてもどうにかなるのです。ということで、購入後、さっそく店頭でサイドポケットを切り取ってしまいました。「必要かなぁ、要らないかなぁ」と悩むときは、おおよそ要らないものなのですから。「うじうじと悩むよりやってしまって後悔」の姿勢でありたいものです。おかげで303gから266gへと軽量化できました。そもそもが軽いバックパックなので、背負い心地に影響があるほどの軽量化ではないですが、「自分にとって何が必要なのか」ということにこうでいっいくのがULハイカーなのです。

 

Bummerの特長は「軽さやシンプルなデザイン」ですが、わたしが評価したいのはその背負い心地です。最初に背負ってみて感じたのは、体になじむシンプルなショルダーストラップでした。チェストストラップなしでも十分にフィットするバックパックは疲れにくいのです。往時のULバックパックを復刻したものではなく、背負い心地がリファインされているのがなによりの驚きでした。

 

心が逸(はや)るバックパックに出会えたので、早速、一泊二日の山行にでました。秋ですとやや荷物は多くなりますね。0℃でも耐えられる寝袋に中厚のダウンジャケット。炊飯用のカルデラコーンとチタンクッカーのセット。水2リットルに食料は二日分+αをもっていました。夏山よりも一回り大きな容量が欲しいですが、さらに一日分の食料くらいの余裕はあります。2-3日のハイキングでも使えるでしょう。

パックウェイトは食料混み、水のない状態で5キロ弱です。軽快に歩ける重さが体重の10%だとすると、30リットルのバックパックに入るくらいが無理のない装備なのかもしれません。(特に女性は)

 

 

実際に7キロほどの荷を入れて歩き始めると、ショルダーストラップの収まり具合の良さとともに、背中へのフィット感が高いことに気がつきます。ウェストベルトがない分、肩で背負うことは覚悟していましたが、背中の面で担いでいる感じで肩も凝らずに歩けました。肩が凝ったら、片方の肩だけで担ぐRaywayスタイルで行こうと思っていたのですが...。

 

軽量化やシンプルさを追及したバックパックとして選んだはずですが、その背負い心地は魅了するものがあります。ULバックパックを背負ったことがない方は、是非店頭で背負ってみてください。フレームのないバックパックがいかに軽いか(フレームをつけることによって、いかに重量を付け足してしまっているのか)、感じてもらえると思います。

容量的にも、ギリギリにギアを選べば、たぶん夏山の一週間の縦走ができるくらいだと思います(実際、オーナーの土屋は町でリサプライしながらではありますが、Bummerで奥多摩から北アルプスを縦走したそうですから...)。ですが、わたしなら3シーズンの気負わない週末ハイキングで使いたいです。特にBummerのカラーは三種類とも落ち着いたものですので、秋山や冬の低山の景色にも綺麗に溶け込みます。こういうことはバックパックの大切な要素です。しばらくはこのバックパックで静かに山を楽しみます。

 

 

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