「街と山のあいだ」若菜晃子著 (アノニマスタジオ) ¥1,600+TAX

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姉から本が届いた。『街と山のあいだ』。

折にふれもう15年近く姉弟と呼び合うよい関係を続けさせていただいている編集者の方だ。インタビューがきっかけで親しく話すようになり、食事などもご一緒するようになった。お互い独立し、姉は「murren」という小冊子を刊行し、わたしは三鷹に小さな店をかまえた。直接には言わないけれど、静かな佇まいの小冊子が周りに左右されず、急がず、おもねらず、独自の視点とペースで号数を重ねていくのを見ながら、自分も自分の店もそうありたいと勇気をもらいながら日々を過ごしてきた。気付けば小冊子刊行から10年を数え、20号の足跡が刻まれた。わたしの三鷹の店は一歩さがって9周年を迎えることになった。繰り返す日々の中で変わらないもの、変わりゆくものがそれぞれにあるだろうが、山が生活のどこかに、心のどこかにあり続けていることは今までも、そしてこれからもお互い変わらないことなのだろうと思う。そして小冊子の読者も、三鷹の店のお客様もそれは同じなのだろうと思っている。

そんな「山がどこかにあり続ける日々とその想い」をmurren編集発行人の若菜晃子さんが書き綴った随筆集が『街と山のあいだ』だ。若菜さんのファン、「murren」のファンはお気づきだろうが、このタイトルは「murren」のメインコピーだ。この10年若菜さんの芯にあり続けた想いなのだろう。山の文学が力強く息づいていた昭和の時代を彷彿させる清楚な装丁も魅力だが、書き綴られた文章は静かにそして確かに心に染み入ってくる。若菜さんの文章にあるのは山の滋味滋養。わたしが好きな上田哲農さんの文章とどことなく似た味わいを感じてしまう。

焦らず、急がず、静かに山を歩く、山で物想いにふけり、街では山を考える。

そんな山との関係が好きなあなたに届いて欲しい一冊。

世代を問わず、男女を問わず、手にとる方がたくさんいますように。

 

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追記

山の小冊子「murren」は最新号発売中。またバックナンバーが若干在庫ございます。(各号¥500+TAX)

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vol.21 the Tama Hills 最新刊

vol.20 WANDERVOGEL、vol.18 ATAKCAMA

 

5枚綴りのポストカード、murren別冊『山のスケッチ帳 vol.1』も発売中。(¥650+TAX)

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