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参考商品:Raiz 1 plus(特別生産品完売につき終了)

SPECIFICATIONS
重量 1036g(実測値)*張り綱含む

パッケージ重量 1075g 

本体 663g
フレーム 373g
スタッフバッグ 30g)
サイズ 幅 100cm、奥行き 200cm、高さ 95cm
素材 防水透湿素材 フッ素樹脂膜(ePTFE)
表地 30dnl ナイロンリップストップ
PRICE
¥44,259 + tax

Review

特別生産品。完売に伴い販売終了となりました。今後の再販については基本ございません。

 

自立式ツェルトとも言える機能に加え、透湿性のアップによりさらなる快適性を得た類い稀なる自立式テント「Raiz 1 plus」。

シングルウォールで自立式なのに土間が作れるツェルトみたいなテント「Raiz1」。アライテントの代名詞Air Raizシリーズの影に隠れるように、しかし大きな存在感を持ったシングルウォールテントです。レギュラーモデルは若干の透湿性を持ったエスフレッチャーというウレタンコーティングを施した2レイヤー防水透湿ナイロン素材で作られていますが、ライズ1プラスは、ゴアテックスやeVentと同様のフッ素樹脂膜ePTFEを使った2レイヤーナイロン素材を採用し、大幅に透湿性能をアップしています。それ以外にもライズ1には他のテントには無い多くの特徴を備えています。L字型に開くジッパーで土間を作ることができるので、シングルウォールテントの弱点とも言える開け閉めの際の雨の吹き込みを緩和するだけで無く、靴の脱ぎ履きや調理なども地面を出した状態で行うことができます。大きさはファイントラックのツェルト2と同じ幅100センチ、奥行き200センチ、高さ95センチです。しかし自立ドーム型のため壁が立つ分同じ面積とは思えないほどの広さを感じさせます。

<テント?シェルター?>
ライズ1のことをメーカーでは、自立式シェルター、と言っています。形はエアライズやX-ライズとよく似ているのになぜなのでしょう。
テントとは「天幕。幕で覆われた設営物」。シェルターとは「避難所。遮蔽物に囲われた場所」。そう考えると幕で作られたものは全てテントで、シェルターはテントを含めた遮蔽できる設営物と言えます。シェルターはそもそも遮蔽物であるので形になっているもののことであり、自立式、非自立式を語る以前に固定されていて当然のものなのですが、確かに日本でシェルターというと非自立式のイメージがあると思います。そして、どちらが上下ではなく、シェルターは総称としての言葉であり、テントはより細分化した意味を持った言葉と いうことでしょう。いかにも日本らしい、言葉が入り混じった結果の誤解釈です。しかし今ではアメリカやイギリスでもそこまで明確な区別があるわけで無いの が現状です。ちなみにZelt(ツェルト)はドイツ語でテントの意味です。知っていてツェルトを作ったのか、ただの誤解釈だったのかは今はよくわかりませ ん。
先に述べたようにメーカーでは、テントではない、と言っています。英語圏ですら曖昧なのですから仕方ないことですが、やはり幕でできているシェルターです からテントと呼んで良いでしょう。ましてや自立式なのですから、一般的にテントと言われるための機能は全て押さえています。ですから、私たちはライズ1をテントとして考えています

<各部について>
上記にも簡単に述べたライズ1プラスの機能ですが、改めて細かく確認していきたいと思います。

ー素材
ライズ1の「プラス」の理由にもなっている本体に使われている防水透湿素材。30dnlナイロンに防水透湿膜を貼り付けた2層構造になります。この防水透湿膜はフッ素樹脂膜で、ゴアテックスやeVentと同様のePTFE膜を使用しています。裏側にはドットなども無いため、レインギアなどによくある2.5 層構造よりは2層構造という方が間違いがないと思います。フッ素樹脂膜の中でも種類がありますが、この素材は通気性があるタイプになりますので、より湿度が抜けやすいと言えます。その結果、レギュラーライズ1よりも結露が起きにくく快適性の向上につながりました。
バスタブ(床面)は40dnl PUコーティングナイロンタフタを使用しています。数値は出ていませんが、AirRaiz シリーズ等での実績を考えると、グラウンドシートやインナーシート無しでも十分に使える耐水性があると考えて良いでしょう。しかし何も敷かないと地面から 上がってくる湿気により結露が起きやすくなりますので、薄いインナーシート(ポリエチレン製のプラスティックシートなど)を使うことで室内の湿度上昇を抑え、結露抑制になると思います。この時透湿性のあるシート(タイベックなど)だと結露抑制にならない可能性がありますのでご注意ください。
結露対策だけ考えれば、3層構造にすれば内側の生地が水分を吸収し結露は防ぎます。とはいえ吸収した水分が凍結することはありますし、裏地が水分を含むの でそれが乾かなければ結果重くなります。2層構造の場合、どうしても内側の水分がすぐに水滴になってしまうので、結露や凍結は起きやすいでしょう。それは 2層構造である以上今のところどうしようもありません。しかし裏側が水分を含まないことで重量増を防いだり、拭けば乾きやすい、凍結した水滴ははたき落とせることなどを考えると、2.5層の防水透湿クロージングなどと同様に2層構造素材ならではのメリットはあるのです。
今まで述べたようにとても性能が高い素材ではありますが、だからと言って涼しいわけではありません。むしろ密閉性の高さから保温することに優れているといえます。もちろんオールシーズン使うことはできますが、晩秋から冬、残雪の春など寒冷期にこそ活きる素材ではないかと考えます。

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*防水性、耐水圧は高いですが、テントという道具の性質上、雨漏りしないわけではありません。シングルウォールの場合屋根がないですから、強雨または湿度が高い際は雨漏りの可能性があると認識してください。
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ー自立の形式

形状はスタンダードなドーム型。耐風性にはやや難があるものの、空間の確保や設営の簡便さ、耐風性能のバランスの取れた形ではあります。耐風性向上にはしっかりと張り綱を張って固定する必要がありま す。風が避けられる場所ならまだしも、よく自立式だからといって張り綱を使っていないテントを見かけます。 自立式だからペグがあまり必要ないと思っているハイカーもいるのではないでしょうか。非自立式と違い、確かに張り綱でテンションをかけなくても形になるの が自立式ですが、それもフレームの張力により立っているのですから、どんな方法で張力をかけているかの違いはあっても、結局張らなければ形にはならないの は一緒です。その時に非自立式は意識しなくても固定しながら張って行くので、形になった時には思った以上の耐風性ができているのです。それに引き換え自立式は確かにフレームを入れれば立ちますが、それは立っただけのことで耐風性があることにはなりません。
ライズ1プラスの場合、少なくともフレームスリーブの真ん中辺りに付いている張り綱を張り固定して初めて本来の耐風性が出ると考えてください。

ーアウタースリーブ
日本式ともいえるアウタースリーブ形式でフレームを入れて自立させます。アメリカではインナー式、もしくは吊り下げ式が主流ですが、アウタースリー ブ式は袋状のガイドラインに沿って行けば良く、スピーディな設営ができます。しかし短所としては外からしか出し入れができないので、雨の日の設営も撤収も濡れながらおこなわなければ行けません。インナー式ならテント本体の中でフレームの出し入れができるのです。もちろん長所もあります。先に述べたようにスピーディーな設営ができるだけで無く、冬季の際の凍結を防ぐことにも繋がります。
冬場はどうしても結露が起きてしまいます。家の窓が曇って濡れたりするくらいですから、山の、しかもテント内では気温差が大きいので防ぎようがありません。冬季は結露が絶対に起きるのです。その時にインナー式だとフレームにも水滴が付きます。それが凍ってしまうのは想像に難くありません。そうなってしまうと撤収の際にも結合部が離れなくなるトラブルが起きないとも限りません。それに対してアウタースリーブだと外にあるので冷えたままですから結露による水滴の付着もありません。もちろん湿った雪による凍結がないとも言えませんが、結露よりは可能性が低いと考えられるのではないでしょうか。

ーL字型に開く床
幾つもある特長の中でも最も変わっている点の一つではないでしょうか。フロアの短辺から長辺に渡ってL字にジッパーが付いています。このジッパーにより床を開いて地面を出すことができます。テント内で調理を余儀無くされる悪天候時などに床を心配するハイカーも多いでしょう。 その際には生地をめくって三角形状に地面を出すことができるので、そこで調理等をおこなえます。また、雨の中出入りする時にフロアがどうしても濡れてしまうのはフライシートの無いシングルウォールだからこそ。しかし、そんな時もフロアをめくって地面を出しておけば室内が濡れるのを防いでくれます。靴の脱ぎ履きをテント内で入り口を閉じたまま行えるのもフロアをめくって土間のような場所を作れるか らこそです。それ以外にも、冬季には雪で水を作ることになります。ビニール袋などに雪を詰めておいてテント内に入れておくなど工夫することは冬期を中心に 活動する人たちの知識です。ところが足りなくなった時など外にでなければいけなかったのも、ライズ1プラスであれば、サイドのジッパーから雪をかくことが できるのでその手間も省けます。ピーボトルを必要とする厳冬期のクライマーなどは排出用としても使えます。

ー側面にある二つの通気口
アライテントの作っているテントには全て通気口が付いていますが、そのどれもが一つだけです。他のメーカーを見てもやはり同様に一つだけです。しかし空気というのは出たら入るところ、入ったら出るところが必要で、そうでなければ空気が流れません。XトレックやeVentなどのどんなに透湿性に優れる素材を採用したとしても通気には限界があり、やはり通気口を設けることは結露の防止になるでしょう。ライズ1プラスの場合、側面(そくめん)に一つずつ付いています。片側は上に。片側は下に。これは非常に理にかなっています。空気は温まれば上昇し、冷えると下降します。そのどちらにも通気口があることで空気は無理なく流れて行きます。これは元々エスフレッチャーという透湿性が小さい素材を使ったことを補うための工夫だったのでしょう。しかしこの方法は私達の知る限り最も空気が流れた通気口の付け方で、このお陰で何度も結露をしないということがありました。エスフレッチャー自体もメーカーの言う以上の性能を持っている可能性もありますが、間違いなくこの2段の通気口による空気の流れの良さに他ならないでしょう。前述もした通り冬季の結露は防ぎようがありません。しかし、極力は抑えたいものです。この通気口はきっと一役買ってくれるはずです。

ー空間の広さ
ツェルトは床付きのシェルターの中では最も軽量なテントの一つでしょう。しかし、唯一の弱点とも言えるのはその三角形からくる空間の狭さ。三角形は構造物としてはとても強いのですが、どうしても鋭角になるので壁が近くて、床面積に比べ室内空間が狭くなっててしまいます。対してドーム型は、まるで凧の様に枠を持っていて風を受け止めてしまうのが難点ですが、フレームを湾曲させたテンションで生地を広げ床面積を活かした空間を確保することができます。フレームテントの説明なんて今さらではありますが、実はライズ1プラスの床の寸法とFinetrackツェルト2の床の寸法は同じで、幅100センチ、奥行き200センチ、最大高も同じで95センチです。しかし、両者を見比べると、同じ床面積とは思えないほどの広さの違いを感じることができます。

ー重さについて
重量はパッケージ重量だと1075g袋などを除くと1036g(ステイク含まず)です。これは現行のテントだけでなく、過去を振り返っても最軽量のシングルウォールテントの一つと言って間違いがありません。アライテントのどの一人用より軽いです。
また、防水透湿素材を使ったシングルウォールテントのどれと比べても軽量です。今までは防水性、透湿性で劣ることで同系列にはなっていなかったかもしれませんが、同様のフッ素樹脂膜ePTFEを使ったところから考えても十分比べられるでしょう。軽さの要因の一つは2レイヤーだということです。3レイヤーと比べて一枚生地が少なければその分は当然軽くなります。全体のサイズも一人用シングルウォールテントと比べて少し小さいこともあるかもしれません。それ以上に説明した機能を付けながらも軽いのはシンプルなデザインにあるのでしょう。

*各メーカーとの比較
Xトレック 1  1.4kg
GライトX 1-2  1.18kg
エスパース マキシム エックス 1-2  1.44kg
(上記全てカタログ値)

Raiz 1 plus 1.036kg (実測値)

ほぼ同サイズのGライトXと比べても150g近い違いがあります。150gの違いは侮れません。特にテントの様に便利に作られた道具というのは、一つの使い方には特化していますが自由度が低く、自由度が低いということは自分の任意で差し引き出来る部分が少ないのです。ですから、「150gくらいの違いなら付属品を減らして補える」とは簡単にいかないのです。増してや、ライズ1はステイクを使う本数がどのテントと比べても少ないのですからなおさらです。(使用本数は最低4本、最大8本。付属品には含まれません)

またライズ1プラスは2人でも使うのに十分な広さを持っています。それは「空間の広さ」の項でも述べたとおりです。そう考えて見るとその軽さがさらに際立ちます。
ツェルトは最軽量のフレームレステントでしょう。しかし、付属品を多く必要とします。結局は本体が350g前後だったとしても、付属品を含めると500g前後にはトータル重量がなってしまいます。もしポールを使わないハイカーならツェルトのためにポールを持ったとしたら最低でも300gは重量増でしょう。結局のところ750gから850gほどの重量になってしまうこともあるのです。ツェルトですらこれですから、フロアレスシェルターなどの中には条件次第ではテント以上の重量になってしまう場合だって当たり前にあるのです。ツェルトの空間の狭さでは2人がゆったり寝るほどのスペースはありません。しかし、ライズ1は1036gの重さで、2人がゆったり過ごすことはできないかもしれませんが、2人が十分ゆとりをもって寝ることはできます。2人で割れば1人525g。ポールを使わないハイカーの場合はよけいに軽さのメリットが出ると思います。

冬季、それもまだ寒さがピークの頃、雪が柔らかすぎてフレームレステントを立てるのに苦労をした経験がある方も多いでしょう。別にそんなこと苦労のうちに は入らないと思いつつももう少し楽に立てられるのがいいなぁ、と思っている方もいるでしょう。夏季にもっと軽量で簡単に立てられるテントはないかと探して いる方もいるでしょう。これがもちろんどんな状況にも最適なテントというわけではありません。それはどんなシェルターやテントにも言えること。たしかに冬 季にこそ活きる機能ではありますが、使い方次第ではオールシーズン使用可能な軽量テントとして考えることもできます。自立式テントにメリットを感じている ハイカー、クライマー、サイクリスト、ライダー、カヤッカー、そして全てのアウトドアを楽しむ方達に検討していただきたいテントです。