<< 一覧へ戻る

参考商品:Tsurugi Lite JKT HD ver.(メーカー廃番色・在庫なし)

SPECIFICATIONS
重量 265g/JPN Mサイズ(実測値)
素材 Polartec® Neoshell®
耐水圧 10,000+mm
通気性 0.5cfm 2l/㎡/sed-ISO 9237
サイズ S、M、L(日本サイズに準ずる)
カラー After Dark
ハイカーズデポ限定仕様
PRICE
¥35,000 + tax

Review

【Tsurugi JKTのAPEX AWARD受賞】

2013年、日本ブランドの製品がはじめてPOLARTEC®のAPEXAWARDを受賞しました。この賞は機能素材の供給メーカーであるPOLARTEC®が自社ファブリックを使用しているプロダクトを対象に素材特性を活かした機能的かつ独創的なモデルを選定し表彰するものです。プロモーション的側面があることはもちろん否めませんが、 数多あるブランド、数多あるプロダクトの中から選定されることはやはり重要なことです。どんなに優れたプロダクトでも多くの人に見てもらわなければはじまらないからです。そんな賞を日本ブランドではじめて受賞したのがTeton Bros.のTsurugi JKTです。いまでこそ日本国内でも新興ブランドとして注目を集め、北米にも進出しつつあるTeton Bros.ですが、当時はまだまだ一部のBCスキーヤーに認知されるブランドに過ぎませんでした。ある意味その状況を日本国内だけでなく北米でも一転させる契機となったのがこのAPEX AWARD受賞なのです。

Tsurugi JKTはアイスクライミングでの使用を主目的とした冬季用ジャケットです。上半身の動きを少しでも拘束しないようセンタージッパーを排したプルオーバースタイルを採用。着脱用ジッパーは同ブランドのフラッグシップモデルでもあるTBジャケットのベンチレーションジッパーと同位置に配置。鎖骨から脇下まで斜めに設定されているため、バックパック着用時もストレスを感じずにベンチレーション用に開閉できます。またハーネスとの干渉を防ぐため、着丈も冬季用モデルの中では短めに設定されています。何よりもPOLARTEC®が「全天候対応生地の新しい革命」とうたう防水透湿素材「Neoshell®」を採用することでシェル内部のドライ環境を極力維持し、かつストレスの無いしなやかな着心地とをユーザーに提供しています。冬季用ジャケットとしては他に類を見ない300gという軽さも重要な受賞理由でしょう。

Tsurugi JKTは当時Neoshell®を採用したシェルとしては最軽量でした。無雪期用レインシェルとしては重たいものの、「通気性」をもたせた唯一の防水透湿素材ということでシェル内部の環境を少しでもドライにしたいというユーザーからNeoshell®が注目を集めはじめた時期とも重なり、無雪期用レインシェルとしても多くの引き合いをうけることになりました。実際にハイカーズデポオーナーの土屋も2012年冬からサンプルテストに参加しましたが、冬だけでなく2013年夏にはアラスカ ブルックスレンジで約1ヶ月間連続使用しています。このアラスカでのテストで防水性と通気性のバランスの良さ、シェル内部のドライ感を強く実感し、無雪期使用の可能性やアイディアをTeton Bros.にフィードバック。これが2015年のTsurugi Lite JKTにつながっていくのです。

 

【最軽量Neoshell®ジャケット Tsurugi Lite JKT 】

2 1

(左:ツルギジャケット 右:ツルギライトジャケット)

無雪期用レインシェルとしても注目されたTsurugi JKTですが300gを超える重量はウルトラライトなレインシェルが続々と登場し、100g台後半のモデルがスタンダードになりつつある状況においてはやはり重たいという理由で手にとってはもらえません。シェル内部におけるドライ環境の追求は、より高い透湿性をもつ防水透湿素材の追求につながっていましたので、「通気性」を持つNeoshell®はその競争の中で圧倒的なアドバンテージをうみだします。そこで200g台の最軽量Neoshell®ジャケットをということで企画されたのがTsurugi Lite JKTなのです。コンセプトの差は以下のように整理できるでしょう。

Tsurugi JKT アイスクライミング等を中心とした冬季のハードアクティビティにも対応可能なライトウェイトハードシェル

 Tsurugi Lite JKT 無雪期はオールラウンドなシェルとして、冬季でもスノーハイキングなどでならば対応できるオールシーズンレインシェル

無雪期にも躊躇なく携行できる重量基準を250gとして軽量化、シンプル化が行われました。こうした取り組みの中でもTeton Bros.としてのこだわりは大事にされました。それは山岳ウェアとしての最低限のオールラウンド能力です。無雪期ならばアルパイン環境でも使用可能なプロテクションは譲れません。積雪期に全く使用できないというのではTeton Bros.がラインナップする意味がありません。同ブランドの他の冬季用シェルとの橋渡しができるだけの冬季使用ポテンシャルは絶対に必要なのです。それはTeton Bros.というブランドが「冬」「雪」「滑り」という要素をブランドアイデンティティーとして非常に重視しているからに他なりません。軽量を意識したシェルにもかかわらず、フードのツバが省略されていないことやスリムフィットではなくスタンダードフィットが採用されていること、生地も極端に薄くはせず強度を担保していること。こうした点にTeton Bros.というブランドのこだわりがみてとれます。

こうしてハイカーズデポも企画に関わらせていただきながら2015年に登場したのが「最軽量Neoshell®ジャケット Tsurugi Lite JKT」です。

 

IMG_9880

◯ハイカーズデポ限定カラー

After Darkのジッパーを同系色にまとめることでシンプルで落ち着いた雰囲気に仕上げています。またAfter Darkは昨季はレギュラーカラーでも展開されていましたが、今季はハイカーズデポのみの限定販売となります。

 

◯ゆとりあるスタンダードフィットのフォルム

近年トレイルランニングなどのエンデュランススポーツを対象としたモデルを中心にタイトなスリムフィットが定着しました。ランニングや自転車など高速移動が前提となるアクティビティでは衣類のバタつきがストレスになります。こうした衣類のバタつきを防ぐための方策です。それに対してツルギライトは従来ながらのスタンダードフィットを採用しています。これは先にも述べた「山岳ウェアとしてのオールランド能力を重視したい」というTeton Bros.ならではのこだわりからです。衣類内部にある程度のゆとりをもたせることで

1. レイヤリングに対応できる

2. 肩周りや腰回りの動きの拘束感が軽減される

3. シェル内部の空気が流動するので透湿および通気が促進される

こうしたメリットが生まれるのです。あらゆる状況に対応するための汎用性重視だとお考えください。

 

◯防水と通気の両立 POLARTEC®Neoshell®の採用

IMG_9886

やはりツルギライト最大の特徴は「ネオシェル」を採用していることでしょう。後に詳述しますが、「通気性を兼ね備える防水透湿素材」の採用は大きくふたつのアドバンテージを提供しています。

1. 透湿性能を大幅に向上させる通気性によりシェル内部のドライ環境を極力維持できる。

2. 他の防水透湿素材にはない素材のしなやかさでハードシェルとは思えないストレスフリーな着心地を実現できる。

発汗時の抜けの良さについては、ネオシェル発表の2010年当時から喧伝されてきましたが、より注目したいのはしなやかな着心地にあります。パリパリ、シャカシャカした従来のハードシェルの着心地はときにユーザーに拘束感を感じさせます。それを感じさせないしなやかな着心地は実重量以上の軽さをユーザーに提供するのです。

 

◯アシンメトリーな着脱用ジッパー

IMG_9885

ネオシェルの採用でしなやかな着心地を実現したのですから、フロントジッパーで前身頃のごわつきがうまれてしまうのはもったいない。そこでツルギジャケット同様、着脱用ジッパーを左身頃の鎖骨から脇下のラインに配置しています。これにより屈んだ時の前身頃のごわつきが解消。しなやかで軽い着心地を邪魔しません。またジッパー長が十分にとれるので、ジッパーを全開にすればかなり着脱が容易になっています。頭から脱ぎ着できるだけでなく、足元に下げて脱ぐことも可能です。さらにダブルスライダーを採用していますので、写真のように大きく開閉できるベンチレーションも兼用できます。ツルギジャケットで大きく評価をうけたスタイルはしっかり踏襲されています。

 

◯ベンチレーション兼用のフロントポケット(Revised)

IMG_9884

今回マイナーチェンジされたポイントがいくつかありますが、フロントポケットもそのひとつです。ツルギライトはフロントに大きなポケットが配置されています。内部の仕切りはネオシェルを使用していましたが、これをメッシュに変更しました。ポケット内のものを汗で濡らさないようにネオシェルで仕切っていたのですが、透湿性が高く湿気が外に透過する際に結局湿気を帯びてしまいました。そこで前身頃の動きやすさと、物理的な換気性能向上のためにメッシュに変更されました。

 

◯水を含みにくい袖処理(Revised)

IMG_9818

こちらも変更点となります。袖は他の多くの軽量レインシェル同様、ゴムのパイピングで処理されていましたが、このパイピングが水をふくんでしまい、手首が冷えたり、前腕への漏水につながるという課題がありました。そこで袖に配置するゴムをシェル内部に移し、シェル素材で包むことで解決を図っています。

 

◯ズリあがりを防ぐ裾処理(Revised)

IMG_9816

軽量化のため従来モデルは袖同様、ゴムのパイピングで処理されていました。しかし、着丈の長さの関係からかバックパック着用時の運動で裾がズリあがってしまうことが課題とされていました。こちらについても腰回りの冷えや濡れを軽減させるため、コードロックで裾を締めることができるよう変更されました。

 

◯コードロックを使用しないフード調整機構

IMG_9888 IMG_9887

(左:ロック状態  右:フリー状態)

ツルギライトのフードは軽量モデルにもかかわらずツバをのこしたスタンダードなつくりにこだわっています。ではどこで軽量化するのか。そこで採用されたのが調整部分のパーツです。コードロックで固定するのではなく、調整コードのホール部パーツそのものでロックとリリースをしています。調整コードを上にずらすことでロック状態(写真左)になります。なお、このロック状態でも力をいれれば細かい調整が可能になっています。


 

 

《サイズについて》

Teton Bros. は日本のメーカーです。サイズについてはUSサイズに合わせているようですが、モデルによってかなり違いが大きく、それは目的に合わせて違えている部分でもありますが、その違いが非常にわかりにくいものとなっています。ツルギJKTと比べツルギライトJKTはサイズがタイトになっています。それは冬向けのツルギJKTがインナーを着ることを考えてサイズを決めているのに対して、ツルギライトJKTはレインウェアとしてのサイズになっているからです。
*身長175cm 体重76kg のスタッフの場合 ツルギJKTはMサイズで着用できるが、ツルギライトJKTをオールシーズン使うためにLサイズ着用。夏のレインウェアとしてインナーは薄手のアンダーくらいのみだけ着る場合はMでも可。
*身長175cm 体重60kg のスタッフの場合 ツルギJKTはSサイズで良いが、ツルギライトJKTはレインウェアとして使うにしてもMサイズが最適。
*身長165cm 体重65kg のスタッフの場合 ツルギJKTはSサイズ。ツルギライトJKTはMサイズ着用。

 

・選ぶときの注意点

オールシーズンまたは冬の軽量シェルとして使いたい場合は、大きめを選ぶと良いでしょう。基本JPNサイズと考えてください。

〈XSサイズ〉
身長158cm〜 体重45kg〜55kg くらいの方でしたらXSサイズが着用できます。女性の方にも着ていただけるサイズです。

〈Sサイズ〉
USメーカーでXSサイズを着用することが多い方はSサイズを選んだ方が良いでしょう。

〈Mサイズ〉
USメーカーでSサイズを着用することが多い方はMサイズを選んだ方が良いでしょう。

〈Lサイズ〉
USメーカーでMサイズを着用することが多い方はLサイズを選んだ方が良いでしょう。


 

【ウルトラライトレインシェルの潮流の中で】

2010年は現在のウルトラライトレインシェルを語る上で大きな転換点になった年です。ORヘリウムジャケットとMONTANEスペクタースモック、このふたつのモデルが発表されたのです。前者は2.5層のレインシェルをシンプルに突き詰めることで200gアンダーを実現。発売から6年経ったいまにいたるもウルトラライトレインシェルのスタンダードとしての評価をゆるぎないものにしています。後者は3層ながらも200gに近づき、その独創的なデザインとともに数多くのファンをうみだした伝説的なモデルとして記憶されています。

これ以降、各ブランド、各モデルごとに特徴を大きくうちだしたスペシャリスト的なモデルがトレンドとなりました。ファストパッキングにフォーカスをあてたOMMは透湿のイーサー、ストレッチのカムレイカで大きな支持を集めまています。MONTANEは軽量化のミニマス、冬季用のエアロeVENT、スルーハイク用のミニマスGTとスペクター以降は分化発展を促進させています。2016年には3レイヤーの最軽量モデルであるミニマス777が登場しました。berghausやPeak Performansでは100gアンダーという驚異のモデルまで存在します。

そんな潮流の中、ツルギライトはある意味時代に逆行したコンセプトモデルです。Teton Bros.は同ブランドの独自性は追求しつつも、山岳ウェアとしてのオールラウンド性能にこだわり続けています。ツルギライトはアシンメトリーデザインのプルオーバーということでクセの強いモデルと見られがちですが、Teton Bros.というブランドのバックグラウンドやプロダクトのコンセプトを注視していくと、山をフィールドとするすべての人に耐候性と快適性とを提供するオールラウンドレインシェルとしての汎用性の高さが浮かび上がってきます。

「夏はもちろん冬も使えるレインシェルを探している。」

「北アルプスなどのアルパイン環境でも安心できるレインシェルが欲しい。」

「とにかくシェル内部の環境を少しでもドライに近づけたい。」

そんなニーズに応えてくれるモデルなのです。是非一度手にとり、試着してみてほしいオールシーズンレインシェル、それがTeton Bros. ツルギライトです。

 

 



 

参考 Polartec®Neoshell®について

Polartec® NeoShell® は、ソフトシェルの優れた通気性、換気性、伸縮性とハードシェルの防水機能とを高次元で組み合わせることをコンセプトとした防水透湿素材として開発されました。微孔径を制御した微孔親水ポリウレタン膜で、ポリウレタンフィルムの耐久性と伸縮性に、通気性を兼ね備えています。同時期に開発されたPolartec®Alpha®と共に全天候着用かつ長時間着用可能な生地素材として独特な機能をもっています。最大の特徴は「動的な換気による前例のない通気性」に「雨天からの防水保護機能」を組み合わせていることです。従来の防水透湿素材には透湿性はありましたが、通気性はありませんでした。この通気性確保により、広範囲な天候条件や運動レベルのにおいて着用者をよりドライに保つことを目的にしている素材となります。

 

Polartec® NeoShell®

  •  防水10,000+ mm (注1)
  •  換気通気性を大幅に強化 ( 0.5 cfm 2 l/m2/sec-ISO 9237)
  •  実質的な防風99.9%(注2)
  •  伸縮性と回復性に優れる
  •  しなやかで静音

 

注1)Neoshell®は耐水圧が他の防水透湿素材に比べ低い、という指摘がしばしばなされます。しかし市場で防水と認められるには、現在 10,000 mm (ISO 811/AATCC 127) の値が必要とされています。ある意味これをクリアしていれば防水なのです。その 1.5 または 2 倍もの数値が引き合いに出されることがありますが、10,000mm でドライとするなら ば 20,000 mm ものドライはありえません。10,000mm以上はどこまでいってもドライなことに変わりないのです。ドライには、2 倍のドライなど存在しないという考えです。実際に主要なブランドはシェルの縫製箇所の耐水性かは 3 psi (2,100 mm) あれば防水を保証できるという基準で製作されています。このことからも10,000mmの耐水圧が必要十分な値であることは明らかである、というのがPolartec®の論旨です。

注2)Neoshell®には透湿性だけでなく、空気の対流による「通気」があるとされています。しかしその通気は風が入ってくるなどのカタチで着用者が知覚できるものではありません。eVENT®などの透湿性が高い素材やNeoshell®のように通気性がある素材ではしばし「寒い」というレビューがなされます。しかしその多くは風が入ってくることによる寒さではなく、発汗後に汗が気化する際に奪われる気化熱のためだと考えられます。シェル内のドライ環境を求めるのであればこれは避けられない現象です。その対策はシェル内部に着用する衣類でコントロールするしかありません。