Hiker's Depot|ハイカーズデポ

軽いって自由。Ultra Light Gears & Dry Foods

TRAILBENDER

SPECIFICATIONS
重量 672 g / Men's 9 インチ、ペア(実測値)
*個体差±1%
ラスト AR 6
 ・6mm drop for ambidextrous foot landings
 ・heel height 28mm - toe height 22mm
アッパー Synthetic Air Mesh
ソール outsole : Vasque Micro Plus
 ・Vasque AxisGrip rubber sole for high performance grip

midsole : Injection Molded EVA
 ・Maximum cushioning comfort with stable chassis

insole : Anatomical High Rebound Footbed
カラー・サイズ 〈Men's〉
Dark Slate / Lizard
US inch 7.5 / 8 / 8.5 / 9 / 9.5 / 10
25.5〜28cm(0.5cm刻み)
*これ以外のサイズは問合せいただければ確認します。

〈Women's〉
ANTHRACITE / POOL BLUE
US inch 6.5 / 7 / 7.5 / 8
23.5〜25cm(0.5cm刻み)
*これ以外のサイズは問合せいただければ確認します。
PRICE
¥14,800 + tax

Review

“TRAILBENDER トレイルにどっぷりハマった奴”

Bender は大酒飲みといった意味を持つ言葉でそれとTrail を掛け合わせ「トレイル浸けな奴」といった意味をもたせたのでしょう。ロングディスタンスハイカーを「Hiker Trash」と言うのに似ています。またBenderは曲がるという意味もあり「曲がりくねった道」という二つの意味があるのかも知れません。
TRAILBENDER(トレイルベンダー)は、Vasque のトレイルランニングカテゴリーのシューズですが、固めのクッション性や近年のローカットシューズには少なくなっていた安定性に優れ、ハイキングシューズとしても秀逸なものになっています。

最初に足入れして一歩踏み出した時に感じたのは、とても心地よい驚きでした。どちらかというとアンチ厚底の僕ですが、クイックに地面を感じられる固さ、適度にねじれにくい横方向の安定性、足先も柔らか過ぎず適度な硬さと反発力で固い路面でも軟らかい地面でも不整地でも力が逃げにくそうなこと、そしてミッドフットからでもヒールからでも着地がしやすいと感じました。そして多少ブレた着地でも軌道修正してくれて母子球までスムーズに移動させてくれること、これらから想像できたことは「もっと自由に歩ける」自分でした。
これだけのクッション性があれば、どんな路面状況であっても衝撃を吸収してくれるでしょう。ヒールスタビライザーや固めのミッドソールで安定した歩行ができれば、疲れも軽減してくれるでしょう。適度な反発力は一歩を進める手助けになります。むしろ疲れてきて筋肉が支えてくれなくなってきた時こそ本領を発揮してくれるかもしれない。そうすれば、自分の歩きたい道を歩きたいだけ歩ける。それってなんて自由なんでしょう。

クッション性の高いシューズは良いけれど、もう少しねじれにくさや安定性が欲しいハイカー。足裏感覚がある方が好きだけど、ミッドソールが薄いと長距離はきついと感じているハイカー。ローカットシューズを履いてオーバーナイトハイキングに行きたいけれど今のシューズじゃ安定性に不安があるハイカー。そんな方達にぜひ試して欲しい一足です。

 

Men's カラー:Dark Slate / Lizard(写真 下)

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Women's カラー:ANTHRACITE / POOL BLUE(写真 下)

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About VASQUE

バスクは1964年からアウトドアシューズを作っているアメリカの老舗シューズメーカーです。元はワークブーツメーカーRed Wingですので、シューズ作りのノウハウは他メーカーに劣るものではありません。
日本での認知度以上にアメリカ本国では高い評価を得ており、Sundowner や2016 Backpackers Gold Editor's Choice を取った Skywalk などトラディショナルブーツの名品だけでなく、次々に新たな定番を作る力を持っています。特にバックパッキング、ハイキングの分野での評価が高く、パフォーマンスハイキングは新たな価値を作り出す分野として注目されています。

そんな中で、名品 Velocity や Blur SL を2010年以前に排出して以降、この数年トレイルランニングシューズでは目立ったアイテムはありませんでした。ですが、2017年。とうとうVasque が本気になりました。ラストも新たに挑んだのが、TRAILBENDER、VERTICAL VELOCITY、CONSTANT VELOCITY の3モデルです。

 

『TRAILBENDER』『VERTICAL VELOCITY』『CONSTANT VELOCITY』 について

「この3モデルがあれば、アメリカ国内にいる多様な人たちの90%を満足させられる。」
そんな言葉が新モデル発表時にメーカーから聞かれたようです。新たなラストはこの3モデルに共通して使われています。しかしそのどれもが共通点を見つけることが難しいほどに違いがあり特徴を持っています。それぞれに異なるソールパターンや大きさ、厚み、硬さ、ドロップ差。そしてそれぞれのモデルの性格に合わせた最低限のプロテクション性能。このプロテクションへのこだわりは登山靴メーカーとしての矜持であり、近年の軽量化志向や過度に柔らかいクッションへは安易に流されない、バスクという老舗メーカーの思いが伝わってきます。

トレイルベンダーのように、これほど特徴が豊かで自社のシューズはもちろん他社シューズとも違う、心がちょっとワクワクして、はやく使ってみたい、歩いてみたくなるシューズに、僕はここ数年出会うことはありませんでした。

【3モデルの特徴】

長く歩きたい、歩き続けたいハイカーをサポートする『TRAILBENDER』
クッション性・安定性・多様なトレイルに対応・オーバーナイト・長距離・6mmドロップ・フォアフット&ヒールストライク

足裏感覚を重視しつつも安定性に優れるテクニカルシューズ『VERTICAL VELOCITY』
グリップ・アセント・スピード・アグレッシブ・安定性・汎用性・4mmドロップ・フォアフットストライク

トラデョショナルでありつつ、時流に合わせた耐久性を手にいれた『CONSTANT VELOCITY』
オールラウンド・トラディショナル・超耐久ミッドソール・オフトレイル・8mmドロップ・ヒールストライク

 

TRAILBENDER の仕様

・ラスト(足型)とフィット

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新たに作られた「AR」ラストはTRAILBENDER専用というわけではなく、VERTICAL VELOCITY、CONSTANT VELOCITYと共用のものになります。形状はストレート。そうすることで、多くの人にとって足入れ感が良くなります。これはシューズを選ぶ上で重要な第一印象を左右する大きなポイントです。もちろんそれだけの単純な理由だけでなく、履きやすさは足をリラックスさせることにつながり、長時間でも履きやすく、低速から高速まで幅広く対応するようになります。
つま先側の幅はやや広めです。トレイルベンダーの場合、インソールが厚いのとシューズのボリューム(内部空間の高さ)が低いので、それほど広くは感じられないかもしれませんが、しっかりと指が横方向に広がる余裕があるのは、今までのバスクのラストとは大きく異なります。
中足部からかかとまでの広さは特に他メーカーとも大きく違いがあるように感じません。ですがトレイルベンダーの場合は他の二足とも異なり、若干中足部が狭く感じます。それは足を安定させるためにほんの少し上にせり出したミッドソールとアッパーの補強材のためで、ラストそのものの狭さではありません。履き慣れれば適度に広がってくるので気にならなくなります。
かかとも他メーカーとの大きな違いはないですが、ややかかとが抜けやすく感じることがあります。ミッドソールが意外と固いこととヒールカップが柔らかいことが原因です。しかし、しっかりとシューレースを締め込めばシューレースと連動した補強材が固定してくれます。これは最近のシューズの流行でもありますので、バスクだけの特徴ではないですが、もし気になることがあれば、シューレースを締め込んで履いてみるのをお勧めします。

ラストは3モデル共通ですがドロップ差(母子球とかかとの高さの比)は異なっており、トレイルベンダーは「6 mm」になっています。このドロップ差を Vasqueは“ambidextrous foot landing”と表しています。直訳すると“非常に器用な足の着地” もしくは“二心”となるのでしょう。
例えば、ドロップ差がゼロのシューズの場合はヒールストライクには向いていません。強制的にでもミッドフットやフォアフットでの着地をするようにしないと脚への衝撃は従来のシューズ以上のものになり怪我につながります。返ってドロップ差が10mmとかある場合はミッドフットやフォアフットでの着地には向かず、無理に行えばふくらはぎへ必要以上の負荷をかけることになり怪我につながります。
この6mmの場合は、どちらにも対応します。だから器用という言葉につながったのだと思います。もちろんドロップ差がゼロではありませんから、完全なナチュラルフットにはならないまでも、あくまでもアウトドアシューズはパフォーマンスシューズということを考えれば、この微妙な差くらいはあってありがたいことはあっても困ることはありません。むしろこのくらいの差で、ミッドフットランディングでもヒールストライクランディングでも可能だし、大きいドロップ差の時のようなふくらはぎの負担も少なく、でも一歩が踏み出しやすい方が良いと思います。

 

・アッパー(シューズの上部分)

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アッパーはほぼシームレスに作られています。少なくともメインの部分に関しては一箇所のみです。こうすることで生地全体が柔軟な動きをし足にフィットします。これは長時間または長い旅において心地よく履き続けることを念頭に考えられています。
少しオールドスクールなやや太めの平ひもは適度な伸びがあり、フィットの微調整を行うだけでなく、甲部分への当たりを軽減します。
踵(かかと)からくるぶし、そしてタン(またはベロ)の裏側には、ソックスの裏側のようなTerry loop liningになっていて、吸汗性速乾性はもちろんのこと滑りにくくなり、足を心地よく包み込みます。
メイン素材として使われているのは密度があるエアメッシュニット素材で裏表二重になっており、トレイルの埃やゴミを防ぎながらも高い通気性があります。そして軽量で縫い目がいらない「Synthtic Overlays 化学合成フィルム」で補強されています。つま先は薄くても頑丈な1.2mmの合成素材トゥーキャップで摩耗などを防ぎます。リフレクティブポイントがつま先の外側とかかとに付いておりローライトにも反射してくれます。
硬いヒールカップは入っていませんが、化学合成フィルムの補強とTPUヒールスタビライザーのおかげで、言われなければわからないほどかかとの収まりは悪くありません。

 

・インソール(取り外し可能なインナーレイヤー)

foot bed とも言われ、足を衝撃から守ったり、ブレを軽減したりと今では様々な機能を付加されていますが、もともと靴にはインソールなどありませんでした。だからわざわざインソールと言ったりするわけです。バスクのインソールは非常にこだわったもので、使われている素材もとても良いものです。なぜそれほどインソールに力をいれるのかと言うと、靴の印象のほとんどがインソールにある、と言えるほど最初に履いた第一印象を左右してしまうからです。それくらい足裏(足底)というのは敏感で、歩く行為において重要な感覚というわけです。

TRAILBENDERに使われている「Anatomical High Rebound Footbed」は従来とは変更され新しい素材を採用した新型となっています。「高反発な性能をもつフットベッドはシューズの機能をサポートし、エネルギーを効率よく還元します。」と、バスクは言っています。
トレイルベンダーを履くと感じるのがずいぶん柔らかくグニグニする感覚です。一見その厚みのあるミッドソールのせいかと思いきや、トレイルベンダーのミッドソールは固めにできています。その柔らかさの正体はこのインソールにあります。高反発ではあるのですがちょっと柔らか過ぎるように、厚すぎるように感じます。しかし、長く歩くほどにトレイルベンダーが厚みの割にしっかりとした安定性、硬さがあるのがわかってくるのです。そう考えると、純正のこの反発性と吸収性に優れたインソールでも良いのかもしれません。最初は厚手に感じるインソールも40〜50kmほど履く頃には、ある程度沈みちょうどよくなってくるでしょうし、足の形にも合ってくるでしょう。
せっかくミッドソールが硬めなので、足裏感覚のクイック感が欲しい人はインソールを変えることをおすすめします。ですが、あまりに硬めのインソールでは衝撃が強すぎるかもしれませんので、できるだけ衝撃緩和が考えられているものにすることが大事だと思います。

・ソール(接地面のアウトソール、クッション部のミッドソール)

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最大クラスのクッションの衝撃吸収性と固さによる安定性が両立しているのが特徴のミッドソール。驚くはこれだけの厚みがあるにも関わらずエッジ感がるということ。距離の長短に関わらず、快適で安定したハイキングをサポートしてくれるはずです。

衝撃吸収と安定性の両立によって様々な状況のトレイルに対応することが可能となり、柔らかい土、固く踏みしまった登山道、岩や石などが多いルート、舗装路など、どんな状況に対しても高い能力を発揮するので、荷物の重さが負荷となるオーバーナイトハイキングに向いているシューズといえるかも知れません。特に長時間・長期間のハイキングでは、舗装路から人気の少ない山道までとにかく多種多様なトレイルを歩きますので、非常に頼りになる存在と言えます。

主素材は射出成型 EVA で耐久性に優れているため、長期間に渡ってクッション性が失われにくくなっています。TPUによるヒールカップの補強とミッドソールデザインはテクニカルトレイルにおいて安定性を提供します。上記に述べたようにこの靴の第一印象はインソールの柔らかさに影響を受けてしまいます。しかし、インソールを抜いて履いてみるとシューズ自体が想像以上にかっちりとしていて、ねじれにも強く安定していることがわかります。単体で触ってみれば柔らかく感じるかもしれませんが、他シューズのミッドソールと比べればそのしっかりしている反発力がすぐにわかります。さらに中足部付近、内側のミッドソールが少し高くなっています。この中足部を囲むように成型することで横へのブレ、疲れてくることで起きてしまう回内運動を抑えるようになっているのです。
近年の厚みのあるミッドソールのほとんどが過剰に柔らかく、その分衝撃吸収性には優れていますが長持ちせず、またねじれに弱いので足に負担が大きいのです。もちろんそういったシューズが足にもたらす恩恵もあります。ですがこのスタビリティ(安定性)は、一つとして同じことがない不安定なトレイルだからこそ必要なのです。少しずつのブレは筋肉に負担をかけます。そのブレを軽減できれば疲れにくくなり、怪我を予防するだけでなく、長時間または長距離を歩く際の助けにもなってくれます。見た目は今時の厚底トレイルランニングシューズと同じように見えますが、クッション性と安定性を高次元で両立しているところは、今までにない次へのステップを感じさせるものとなっています。

厚めのクッションにはデメリットもあり、普段履くシューズとしては不向きです。もちろん街でも長めのお散歩や健康のためのウォーキングに使うのは全く問題ありません。なにが不向きかというと、人間は硬い地面に立っていないとバランスが取れなくなるということです。固めのクッションとはいえこれだけの厚みがあるものですから、どうしても微妙な力のかかり具合で細かく揺れているような状態になります。その時に筋肉は緊張し水平を保とうとします。しかしそれが長時間続くと疲れてきてしまい、こんどは平衡感覚にズレを生じさせることがあるのです。ですので、できるだけ普段は適度に薄めのミッドソールのものか、ベアフットシューズのようにクッション性のない薄いものを履いた方が人間的には良いということです。要するに、トレイルベンダーなど高機能シューズはハイキングなどのパフォーマンスを求める時にこそ本領を発揮してくれるもので、高機能だから普段から履いても良いというわけではないということを理解して欲しいと思います。

区分されたVasque Micro Plus Rubber Outsoleはそれぞれが柔軟に動き、不規則なトレイルに対応します。それだけでなく、区画で別れた部分が屈曲し足の力の向きを補正するため、着地のブレを抑え、母子球までの流れをスムーズに行ってくれます。
ヴァスク専用のAxisGripラバーコンパウンドはグリップ性と耐久性が高く、4方を向いた3mmラグ(突起)と合わさることで様々な地形に対して高いグリップ力を発揮します。
これ以上のグリップ力があるラバーもありますが、時にグリップの良さはマイナスに働くこともあります。特に下りが長く続く時、ストップはインパクトでもあります。しっかり止まってくれるのは良いのですが、着地のしかたによっては過度の衝撃が筋肉や関節へとかかり、返って脚への大きな負担になることがあるのです。
「グリップの良さ」というのはキャッチーです。シューズにとってはわかりやすい売り文句になるのです。けれどそれだけに惑わされる必要はないと思います。正直言って今のハイキングシューズ、トレイルランニングシューズでどうにもならないラバーコンパウンドのものはありません。今より良い、けれど、不要な良さ、ということも十二分に考えられます。それよりも歩き方や足の置き方に注意した方が怪我の予防にもなり、快適に歩けるようになるでしょう。

 

(追記 記事:Turtle 2017.5.4)
富士山の周りを5日間かけて約160km程度(計測していないのでだいたい)歩いた時のこと。トレイルベンダーに某メーカーの長距離向けインソールを入れました。その時に感じたのは、思っている以上にトレイルベンダーがしっかりと硬さがあるということ。歩き終わったミッドソールにも必要以上の沈み込み(へたり)が見られなかったのも意外でした。それほどに反発力があるということなのでしょう。久しぶりのハイキングだったにもかかわらず、短期間で無茶な歩きかたをしたということもあり、3日目からは左膝に腸脛靱帯炎と見られる強い痛みを感じながら、右脚に無理な衝撃を強いる特殊な状況だったことを考慮する必要はありますが、その時に幾度か足底に強い痛みを感じたのです。
これまではドロップ差のない柔らかめのシューズを履いていたということもあってやや硬いインソールとの相性の良さも感じていましたが、トレイルベンダーの場合は純正インソールの吸収性との組み合わせでも十分なのかもしれないと思いました。最初は気になる純正インソールの厚みも数十キロ歩く頃には足の形状に合い、適度に潰れてくるようです。けれども、インソールのおかげで体の安定性などが増したことはあるでしょうから、負傷した体で歩ききれたのに全く影響がなかったとも言えませんので、良し悪しは一概に言えないと思います。
体への影響についてですが、ドロップ差のないシューズと比べて確実に筋肉疲労が少ないと思いました。特にふくらはぎは、舗装路を1日歩いた時など終わったら驚くほどにパンパンに筋肉が膨らみますが、それがあまり気にならない程度にしか起きませんでした。また、長距離を歩くと足を着くのも痛みが出ていた足底筋が全く痛く感じなかったこともあります。
トゥーボックスのゆとりは履くほどに広がってくるものの、やはりやや先細りの形状ということもあるので、全く狭くない、とは言えませんが、これは歩く距離や時間、休憩できる時間によっても感じ方はだいぶ変わってくるでしょう。ちなみによく細いシューズで起きがちな靴擦れは起きませんでした。
正直慣れもあって、僕はやはりフラットなもう少し薄いシューズの方が好みだと改めて思いました。しかし、長く歩く場合ではトレイルベンダーの反発力や吸収性、安定性はやはり頼もしいということも思いました。まだまだ厚底には慣れる必要がありますが、トレイルベンダーとは長い付き合いになりそうだと改めて実感しました。

 

・重量

Men's 9 インチ(27センチ) で 672g(1ペア)。片足 336g。
トレイルランニングシューズでもある程度のスタビリティを求めたものが、片足300g前半。1ペアで700g以下です。それと比べて、平均的といえる軽さでしょう。しかしこれだけの厚底ミッドソールで、登山靴メーカーとしてこだわった最低限の安定性のある作りというのを考えれば、相当軽いシューズだと考えられます。

 

・カラーやデザインについて

色や全体のデザインはハイキングシューズ、少し前の良きアメリカンアウトドアシューズ。90年代後半や2000年すぐのころのシューズを想起した人は年齢が分かってしまいますね。
普通に多くの人がカッコよく感じる。それは悪いことではありません。ところが、良くも悪くもメーカーと販売店、そしてカスタマーにはずれがあります。特にこの数年のメーカーの出してくるデザインやカラーリングはカスタマーとの大きなズレを感じさせるのに十分な結果でした。それは日本だけに限った話ではなく、アメリカでも同様です。今回のカラーは、アメリアかアウトドア小売店では最大手「REI」が全面協力しています。REIは今までも、メーカーでは廃番となったデザインのものでもカラーを変えながら継続して販売したり、カスタマーに寄り添う商品を扱ってきました。Vasqueは今回、メーカーとカスタマーのズレ、をREI協力のもと修正してきました。
アウトドアもアメリカではSportに分類されますが、日本語のスポーツよりはハンティングやフィッシングも含むためもっと大きな意味で捉えられています。いわゆる日本でいう狭義のスポーツのようなスポーティさもなく、ヨーロッパブランドのような特徴的なカラーリングでもなく、広くアウトドアフリークたちの普段の足元を飾るのにも違和感がない「普通に良いカラー」になったと思います。

 

・サイズについて

バスクの新ラストは基本的には横に広いという感触を持っています。ナチュラルランニングが運動生理学の分野でも認められていき、ベアフットシューズも市民権を得つつある現代において、従来のラストだけでは十分でないのは自明の理です。まだ対応しきれていない老舗シューズメーカーの中では積極的に対応してきたことは大きな変化です。

とはいえ基本的にはやや先細りの従来の形状も踏襲したものではあります。“捨て寸” という余剰分がありますので、例えば実足長が26cmのばあいでも26cmを履くことが可能です。しかし、それでは本当の意味で隙間のないぴったりサイズになってしまいますので、当店としては実足長にプラス1cm〜1.5cmするのをお勧めします。

・自分の足が細いと感じる人またはぴったりが好きな人は実足長プラス1cm

・自分の足がゴツめだと感じる人または指を広げられる余裕が欲しい人は実足長プラス1.5cm

シューズというのは面積や長さで履くのではなく「容積で履くもの」です。ある程度の長さを取ったとしても履き込んでいくうちに横が広がり前が詰まってくるものです。ぴったり目に選べばゆくゆくは指が付くほどジャストになるでしょう。もしゆとりをとって最初は余りすぎるように感じたとしても、シューズが足の形に馴染んでいくうちに前も少しずつ詰まってきて、ちょうど良くなるでしょう。

あとは履いたときのインスピレーションです。おや?ちょうど良さそうだけどちょっと違和感、なのか。はたまた小さいもしくは大きいかも知れないけどなんだかしっくりくる、なのか。です。遠方で実物を試せない人のご参考になればと思います。

例:実足長25.5cm 体重75kg程 のスタッフの場合。実足長より1cmアップの8.5 inch(26.5 cm)でも履けるかなりぴったり。長く歩きたいし、指先を広げるように履きたいので9 inch(27 cm)を選択。

 


Hiker's Note

・トレイルランニングシューズについて

トラディショナルなハイキングブーツは大きな安心感を与えてくれるものです。しかし、道具の軽量化やウルトラライトハイキングメソッドの普及とともにシューズも変化してきています。ライトウェイト志向のハイカーたちの足元といえば、今やその多くがトレイルランニングシューズです。トレイルベンダーと同じくローカットシューズですが、どんな特徴があるのでしょう。

トレイルランニングシューズは本来平坦である程度整備されたトレイルを走ることを目的としているため、決して丈夫な作りとは言えません。過去丈夫でハードな状況でも使えるトレイルランニングシューズが数多くリリースされていましたが、それらがなくなって久しいのです。

メリット/現在多くがメッシュアッパーで作られいて長時間履いても快適で、濡れても乾くのが早いです。柔らかめのラバーコンパウンドとラギッドなパターンで泥はけとグリップが良く、全体にしなやかで軽快に歩けることが特徴でしょう。アメリカのロングトレイル“Pacific Crest Trail”のように、砂漠あり、雨あり、渡渉あり、雪ありと様々な状況下においてもトレイルランニングシューズで通し打ち(スルーハイキング)できてしまうので、トレイルランニングシューズはマルチと言えるのかもしれません。ところが、どの部分にも特化していないので、すべてにおいて苦手、弱点とも言えるのがトレイルランニングシューズでもあるのです。

デメリット/メッシュのアッパーは強くありません。数十キロで擦り切れてしまうことや岩や木に引っ掛けて直ぐに破れてしまう場合もあります。滑りにくいラバーコンパウンドは一般に消耗が激しいです。ミッドソール(アッパーとアウトソールの中間にあるクッション性をつくる部分)も全体に柔らかいため、凹凸の激しい岩場などのトレイルでは足裏への衝撃が大きく、長時間の場合痛みを伴うことがあります。分厚いミッドソールにすると足裏感覚を無くし掴む感覚を損なうだけでなく、高さがあるぶん足をくじく可能性が増します。ラギッドパターンは接地面積が少なくなるため細かいスタンスに乗るようなトレイルは不得意です。クッション性を重視していくトレイルランニングシューズですが、事実、“トレイルランニングシューズは履き込んでミッドソールが潰れてソールが削れ、履き潰れる手前が一番良い”、なんてことを言うおかしなハイカーがいるくらいですから。

 

・ハイカットとローカット

ハイキングシューズの主流と言えば間違いなくハイカットです。ハイカットの主な目的は足首の保護にあります。これは捻挫しにくいということではなく、足首を固定することで筋肉の疲労を軽減したり、足首のブレを抑えバランスを整えやすくするということです。ですので、ハイカットにすることで犠牲にしていることは、足首の自由な動きです。

ローカットは確かに足首の負担が少なくないです。もし重い荷物を背負うならなおさら。しかし、普段の生活でハイカットシューズを履かないように、足首の動きというのは非常に重要なのです。バランスをとるだけでなく、様々な角度や状況に合わせて柔軟に曲がることで地面への接地面積を増やし滑りにくくします。凹凸に合わせ足首が先に曲がることで体全体のバランスをとるセンサーの役目もしていると言えます。

ハイカットは安心感があり、足首への負担は減らせますが、足首の動きを制限することで細かい動きに対応ができなくなり、靴のエッジで歩くようになります。そうすると靴自体を固くする必要がうまれ、重量増につながります。もちろんメリットもあり、普段から歩き慣れていないハイカーにとっては足元で体のバランスを保ってくれるので歩きやすく感じるでしょう。多少の凹凸なら気にせずに歩けてしまうからです。ですが、本来ある障害物を避けることをしなくて良いので、歩き方は決してうまくはないでしょう。もちろんローカットシューズを履いていても歩き方が下手なハイカーはいっぱいいるとは思いますが。

日本に登山靴が入ってきた1800年終わりから1900年初めには、登山靴と草鞋での論争が起きたことがあり、それまでの日本では草鞋が登山の主流だったのです。約100年。今や日本でも登山靴ありきの山登りとなっています。ですが、道具は使いようです。草鞋で歩いていた古きハイカーたちはさぞ歩き方が上手かったのでしょう。今よりも格段にトレイルは整備されていなかったはずです。現代有名なトレイルであればその頃より歩き易く整備されていますし、足首周りの動きに対応するハイカットやミッドカットもあるので、うまく選択して選ぶことができます。

多くのスポーツの専用靴はローカットです。クライミングやランニングシューズもそうです。テクニカルなことをする時には足首の動きが必要だからです。普段の生活もローカットで十分です。高い技術を必要とする場合も技術を必要としない場合もローカットで良いわけです。足首を覆うシューズを使うスポーツ、例えばスキーは小さな屈曲の力を大きく伝えるためにハードでハイカットなブーツを使いますが、あのブーツの中でも足首の動きを使って板を制動します。スケートシューズは線で立つ補助をするためにハイカットになっています。もし長靴や地下たびをハイカットの部類に入れるならばあれは足さばきをよくしたり、ゴミや汚れの侵入を防ぐものです。実はそのどれもが足首の保護が目的ではありません。ハイカットはそれ相応の目的があってのものですので、登山はハイカットというのは通説ですが事実とは異なるのです。

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