Hiker's Depot|ハイカーズデポ

軽いって自由。Ultra Light Gears & Dry Foods

Ama-ashi

SPECIFICATIONS
重量 204 g /L、193g /M、181g /S、170g /XS(全て実測値。誤差あり)
素材 Pertex Shield+ 3layer 60g/㎡
表地:15デニール*40デニール リップストップナイロン
防水透湿膜:ポリウレタン 7μ クリアラミネートフィルム
裏地:7デニール トリコットナイロン
耐水圧:20,000mm
透湿性:30,000g /㎡/day
サイズ&カラー サイズ:XS、S、M、L(UNISEX・JAPAN サイズ)

カラー:コイロ(濃色)*やや赤みのある黒紫
    テツコン(鉄紺)*黒みのある紺
PRICE
¥33,000 + tax

Review

『Ama-ashi アマアシ』 雨が通りすぎる様

雨具。雨合羽。レインウェア。レインシェル。またはハードシェル。どれも同じものを指す言葉です。完全防水で透湿性があることがこのこの言葉に当てはまるものの共通機能です。強いていうならば“ハードシェル”はマウンテニアリング向きと区別しても良いですが、まるで雨具のような“ハードシェル”がある昨今、全てまるっと同じくくりでも問題はあまりないかもしれません。そういった防水透湿性能を持ち、雨から体を守る最後の砦たる甲殻を総称すると「シェルジャケット」ということができます。*jacket ジャケットとは正しくは「覆うもの」を指す言葉です。

アウトドアギアフリークといっても趣向は人それぞれ違います。寝袋が好きでついつい買ってしまう人もいれば、バックパックがどんどん増えていく人もいるでしょう。かくいう僕はシェルが大好きで、以前は年に数枚買うことは当たり前。今でもなんだかんだと手を出してしまう癖が抜けません。「体は一個なのにね。」という言葉が誰のものかはお察しください...。
雨や雪という非常時用なのにアウトドアウェアの花形、シェルジャケット。その中で近年稀に見るほどにプレーンで、素直そのもの。まさにハイカーのためのシェルと言わせて欲しいのが『アマアシ』です。

 

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テツコン(鉄紺)

 

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コイロ(濃色)

*実物とは細部が微妙に異なっています。

 

ふつうにさっと羽織れて、さっと脱げるフルジップで、使いやすい腰の位置にあるハンドポケット。スポーティなドロップテールではなく、腰をしっかり覆えるストレートのミドル丈。軽いからって細身じゃない、重ね着しやすい余裕のある身幅。ワンプルで調整可能なフードと、任意で後入れする裾のドローコードホール。目立たないように配置されたブランドネームプリント。直接肌に触れても快適な着心地を提供する3層構造の防水透湿生地。透けにくいギリギリの厚みを考えて選んでいるので、軽さも見た目の雰囲気も大事にしています。そして軽量化を助ける縫い目を減らしたシンプルなデザインパターンにより、3層生地なのにLサイズで204g、Mサイズで193g、Sサイズで181g、XSサイズで170g(*全て実測値)と、とても軽くなっています。

上下を兼ねられる同社アメノヒ2.5には軽さのアドバンテージで負けるものの、3層構造生地を採用しプレーンで使いやすいデザインであることや、他社の軽量ジャケットと比べて重ね着がしやすい余裕のあるサイジングであることを考慮すれば、この重量に落とし込まれていることは高く評価できます。

アクシーズクインのアイテムの良さを上手く言葉にするのはいつも難しいです。アマアシの良さはとにかくプレーンであること。それが最大の魅力であり、シェルジャケットとしての幅をもっと広げてくれる可能性を感じるのです。そして、このアマアシのデザインの詳細を見ていくと、「凌ぐ」ためにこのプレーンさがあるのだということがわかってくるのです。

 


“凌(しのぎ)”をコンセプトに日本の山のためにデザインをする AXESQUIN

axesquin_logo

〜 凌ぐとは、足りることを知ること。〜

雨を凌ぐ 風を凌ぐ 寒さを凌ぐ 汗を凌ぐ 難所を凌ぐ 煩わしさを凌ぐ

日本の気候風土にあった日本の衣服と海外の登山文化を融合したアイテムを発信し続ける日本メーカー「AXESQUIN アクシーズクイン」。今までも僕達を驚かせるアイテムを数多く出しています。そして、2016年からコンセプトが加わります。今までも根底にあったものですが、明確に打ち出しました。それが“凌(しのぎ)”です。防ぐのではなく拒否するのではなく、受け入れて知り凌ぐ。受け入れることで自然との深い交わりがあります。凌ぐのに過剰な道具は要りません。最低限の道具と人の知恵があれば凌ぐのは難しくありません。知恵を使い道具を使いこなすことは喜びや楽しみです。そんな“凌”の思いを込めてアクシーズクインはデザインしています。

ハイランドデザインのオリジナルアイテムも影響を受けています。中でもカラーセンスとパターンは特徴的です。日本の伝統色をいち早く取り入れながらも、日本過ぎない、絶妙な色合いを出すのです。また細部のデザインパターンは日本の衣服をモチーフにしています。

日本で“凌ぐ”アイテムは日本だけのものでしょうか。そんなことはありません。日本と海外の登山文化が融合したアイテムの代表格はツェルトでしょう。ヨーロッパのトラディショナルテントが日本のハイキング文化と融合することで生まれた、日本の気候風土で活きる超軽量テントです。しかし、日本の気候風土に合うからと言って国内だけでしか使えないのでは無く、日本の気候は世界的に見ても複雑で、日本の山野で使えるものは世界的に見ると非常に使用範囲の広いアイテムになるのです。

 

レインウェアと上手く付き合う日本の“ヤマ”

日本の多雨多湿はハイカーにとっての問題です。温暖な季節はハイキングにとっての適期ですが、同時に雨の恵みを受ける季節でもあります。

着ると暑い、でも着ないとびしょ濡れになるのがレインウェアです。ところが、レインウェアを着たら今度は汗でびしょ濡れになるという経験は、汗かきのハイカーならば体験したことがあるでしょう。「だからレインウェアは上着しか着ない」という人もいるでしょう。ですが、濡れたハイキングパンツも天気が良くなれば乾いてしまうのですが、日本の多湿環境では思うように乾いてくれないことも事実です。それでレインパンツを履いたとしても、結局汗をかいて中のパンツまで濡れてしまうというなんてこともあります。そんな濡れたままでテントや山小屋で過ごすのは体力の回復を妨げるだけでなく、ハイキングの楽しみこ削がれてしまう一因です。

雨が降ったら濡れるもの

最初に言ってしまうと『濡れないレインウェアなんて無い』のです。また透湿運動の原理を考えると、雨の日の大気中湿度では、『レインウェアの透湿性はほぼ発揮されない』こともまた事実です。結局のところ何をしても濡れることからは逃れられません。とはいえ、昔のレインウェアでゴム引きのものなんてありましたが、これと比べてみると現在の防水透湿性素材がどれほど快適性と安全性をもたらしてくれているのかがわかるはずです。経験のない方はぜひ試しにその違いを感じてみて欲しいものです。今のレインウェア素材へのありがたみも一入(ひとしお)でしょう。

もし、透湿性能に頼らずに、少しでも蒸れを逃し、快適性を保持しようとすれば、ポンチョやケープのように余裕のある大きさがあり外気を入れて空気を循環させるということが挙げられます。しかし、どうしても風が入り込みやすくばたついてしまったり、めくれ上がったりすることもあります。丈の短いケープならば足周りはすっきりして歩きやすくなるものの、風に煽(あお)られやすくなるのはポンチョ以上です。

結局のところなにをとっても一長一短ですし、完璧や絶対はありません。ジャケットとパンツのセパレートにすれば、ポンチョやケープよりも濡れにくくはなります。でも蒸れます。ですが冷えません。デザイン的にも選択肢が増えますから、使える状況も増えます。

何よりも、どのみち外側は濡れますよね。テントならば表地は何をどうしても濡れますし、レインウェアの表面も濡れる。なにをしたって、雨が降れば濡れるということです。だから濡れることを嫌がったり、恐れても意味がないのです。濡れることは当たりまえのことです。それが自然です。ですのでまずは受け入れましょう。そして、少しでも快適に凌いで雨を楽しみましょう。Let's 凌ぎング!


 

プレーンだけどたくさんの特徴があるアマアシ

アマアシは一見も二度見もプレーンそのものです。しかし見た目からはわかりにくいたくさんのこだわりポイントがあります。

【素材のこと】

光が簡単に透けてしまうほどの薄手の生地ですが、完全防水で透湿性能にも優れています。表面はやや凹凸のある生地のため光沢が抑えられマットな質感になるため、「見た目がいかにもナイロンジャケット」にはなりません。防水透湿膜は7μ(ミクロン)という極薄クリアラミネートフィルムです。裏地は7デニールのトリコットナイロンで、まるで無いようにさえ感じてしまいます。三つで一つの生地を構成しているにも関わらず一つ一つが薄いため、ウィンドジャケットに間違ってしまいそうです。

〈Pertex Shield+ 3layer   60g/m2
表地:15デニール*40デニール リップストップナイロン
防水透湿膜:ポリウレタン 7μ クリアラミネートフィルム
裏地:7デニール トリコットナイロン
耐水圧:20,000mm
透湿性:30,000g /m2/day

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表地にははっきりわかる凹凸がある

 

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裏地は超極薄のトリコットナイロン

 

表地の15d*40dのリップストップナイロンは、Montane/Minimus Smock と同様の組成で軽さと丈夫さを兼ね備えています。 ミニマススモックで採用されている2.5層生地は生地重量 53g/m2 ですから、アマアシの生地は裏地分重くなっているということです。とはいえ平方メートルあたりで7gしか増量していないことを考えると裏地の7dトリコットナイロンがどれほど薄く軽いかが想像できます。防水透湿膜が従来のホワイトと違いクリアのため光が透けてしまいますが、柄が透けるほどではありません(*色の薄いまたは明るい表地の場合は若干透ける可能性があります)。僕もミニマススモックを着用していますが、2.5層生地でも今まで透け感を気にしたことはほとんどありません。ですので、アマアシの場合も気にせずに着用が可能です。
Montane/Minimus 777 に使われている表地7d*7dの素材は生地重量43g/m2とずば抜けて軽いですが、生地強度への不安、色も柄も透けるほどの薄さですし、タテヨコの繊維が同じ太さのため高密度に折り上げると光沢感がでてしまいます。軽いのは良いけど、テカテカした素材感が苦手なハイカーは少なくありません。ですが、15d*40dになると太さの異なるタテヨコのため生地に凹凸感がでて、自然な風合いに仕上がります。見た目にも光沢感がほとんどなく「ザ・ナイロン」でない点も良いでしょう。

タテ糸とヨコ糸の関係ですが、僕の今までシェルジャケットをたくさん着てきた感想からすると、『表生地がつるっとして光沢があるほど撥水が強いけれど、蒸れる感じが強い』気がします。また、『ストレッチや起毛しているような生地は、撥水が弱く濡れやすいからレイン向きではない』と感じています。その中では、ミニマススモックでも感じたのですがアマアシに採用されている『表面の凹凸がある生地のほうが表面積が大きくなるからか、蒸れにくいように感じるし撥水も劣化しにくい』ように勝手に思っています。ただの思い込み、世迷言かもしれませんが、大きくは外れてもいないと思っています。

透湿性耐水圧はクリアラミネートになり向上しています。耐水圧は20,000mmあり、ネオシェル®や最新のeVent®のようにギリギリの耐水圧ではないので、レインウェアとしても安心できる数値ですし、透湿性は30,000g/m2/day(JIS B-1)とeVentやGore-Texの数値と同等か上回ります。最近では比較されることを嫌がったGore-texはISO(国際標準化機構)にのっとり「RET」レートで表すようになりましたが、例えば RET<6 や RET<3 など曖昧な表示になっています。まあJIS法での比較も今までたくさんの指摘を受けていますし、あくまでも一つの評価方法でしかないですし、この数値で実際の使用感が変わるわけではありません。どのような縫製パターンになっているか、シーム処理が多くないか、それらによっても透湿性は大きく左右されますから。とりあえず、素材がまた良くなっているんだな、と思っていただければ間違いないです。

2.5層か3層か。ようは裏地があるか裏地がないかなのですが、どちらにも良し悪しがあります。裏地なしなら軽いし、水も含みにくい。裏地があれば結露しにくいし、裏地が一旦水分を吸うことで発散しやすくなり、透湿運動を助けるのです。肌触りも当然良いけど、重くなる。でも軽量シェルで2.5層のものは数多存在しますし、それに重さだったりいろんな要素を一旦取っ払えば、裏地があって着心地が良い3層構造のほうが良いでしょう。それがアマアシには似合っています。

 

【パターンのこと】

ただ薄い生地を使用したからといって軽くなるものでもありません。最近の軽量シェルはミニマムなデザインにするために立体裁断などを積極的に採用します。たしかにそれによってミニマムなサイジングでも動きやすいものはできるのですが、デザインが複雑になり縫い目(シーム)が増え、その縫い目をシームシーリング処理することで重量が増す、という結果をうみます。Montane のシェルは軽くて良いのですが、シームが多いデザインなのがいつも気になります。シームが増えることで増えるのは重さだけではなく、コストも増します。

アマアシはデザインパターンを平面的にし、シンプルにすることで縫い目を少なくし結果的に軽くする方法をとっています。フロントはジッパー周りは縫い目があります。ですがそれ以外だと、袖とフードとの接続、裾の始末を除けば、フロントの縫い目は横に二本だけです。背面に至っては縫い目が0本です。これによりシームシール処理も減るので軽くなり、スームテープが無いぶん生地本来の透湿性能を発揮します。コストダウンにも繋がります。

それだけでなく後述していますが、縫い目を減らし軽量化しているのは、フィットにゆとりを持たせるためでもあるのです。軽くありながら着やすいものにしたい。素材性能をそのまま活かしたい。アマアシがミニマムシームにした理由にはそんな目的が隠れているのです。

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すっきりと縫い目を少なくするよう意識したデザイン

 

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腕と脇の接続以外背中には縫い目がない

 

 

【フルジップのこと】

軽量ですが、フルジップオープンです。軽量化を求めつつもやはりフルジップの脱ぎ着のしやすさに心惹かれてしまうのは自然ですし、それがハイカーってもんです。もしストイックなULハイカーであれば、アメノヒ2.5のように上下を一つで済ませられてしまうのが良いでしょう。けれど街でも山でも使いたいから、長く使いたいからこそのフルジップオープンなのです。

・プルオーバー or フルジップのあれこれ
シェルジャケットにはプルオーバー、フルジップなどありますが、従来軽量と言えばプルオーバーでした。ハイカーズデポでも多くのプルオーバーシェルジャケットを扱ってきています。もちろんジッパーが短ければ軽いに決まっていますし、覆うところが多ければ温かいのも確かです。ぼくもプルオーバーは好きですし、なんら不便を感じたことはありません。しかし、山では不便に感じにくいものの、いわゆる「さっ」と着て「さっ」と脱いではしにくいプルオーバー。素直に考えればやっぱりフルジップが脱ぎ着しやすいということは誰しもが感じるところでしょう。

 

【ハンドポケットのこと】

アマアシのポケットは腰の位置のハンドポケットが二つあります。バックパックに干渉しないように配置されたポケットは今や当たり前の機能ですが、歩行中は意外と使わないものです。雨が降る時以外は着ることが少ないですし、シェルジャケットのポケットを使いたいのはむしろバックパックを降ろしている時のほうが長いのです。だからこそベルトとの干渉はするものの、アマアシのポケットはポケットとして使いやすい位置にあるのです。

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*モデル身長165センチ Mサイズ着用

・ポケット位置あれこれ
軽量シェルジャケットと言えば、ポケットが簡素または無い、というのが決まりでした。まるで誰かに強制されるように一心不乱にこのスタイル。
オールラウンドに使えるシェルジャケットとはいえハイキングでの行動中には蒸れることから、「雨以外には着たくない」と多くのハイカーから敬遠される存在でもあります。ですから当然のこと着用するまで付属のポケットには出番がありません。そして雨が降ってきてやっと着るわけですが、そのジャケットのポケットを、非常に局所的な状況のために使いやすいような位置にと考えたりしても、改めてものをポケットに移し替えたりなどほとんどしないように、大抵は使うことがないのです。
もちろん意味がないわけではありません。着ている時間が長い冬季向けのジャケットやアルパインクライミングやカヤックなど特殊なアクティビティでの使いやすさを追求したのなら別です。けれど、ハイキングや通常の登山レベルであれば、それほどの特殊な、極地向けに開発されたものを落とし込んだようなデザインが必要なのでしょうか?むしろそれは過剰でしかなく、ある意味デコラティブな、“〜ぽい”ものであり“〜風”でしかありません。
せっかく付けるポケットの位置は「左胸に縦ジッパーで一個」または「バックパックと干渉しないように腰よりも高い位置でスターナムストラップよりも低い位置」というのもお決まりでした。付ける角度を変えたりと工夫しているものもありますが、そこまでくるとやや滑稽でもあります。たしかにバックパックを背負った時に干渉しないようにすることは重要です。無駄を省いてシンプルにするのも重要です。僕もその恩恵に預かったことが幾度もあります。けれどもポケットとしてだけ考えたらどちらも使い勝手が良いわけではありません。やっぱり胸ポケットはシャツみたいに上開きでフラップ付きが良いですし、ハンドポケットなら腰付近でしょう。
先述したように、バックパックを背負っている時以外の状況で着ることの方がむしろ多いのだから、それに合わせてたほうがより素直でしょう。

 

【着丈と裾のこと】

着丈はミドルと言って良いのでしょうか。軽量なシェルジャケットにありがちなショート丈ではありません。お尻がほとんど覆ってしまう長さがありますので、バックパックとジャケットの間を伝う雨でお尻を濡らす機会も減りますし、保温性も増します。そしてあえてストレートカットの裾になっています。そのおかげで軽量シェルジャケットにありがちなスポーティさはありません。

<着丈問題あれこれ>
軽量シェルジャケットならではのお決まりパターンと言えば、ドロップテール。着丈も短く、腰までしか無いものが多いです。最低限なのは重々承知ですが、バックパックを背負って歩いている時やかがんだ時にずり上がってしまい腰が濡れたことがある人もいるはずです。それが軽さだけを追求したものだったりクライミングハーネスとの干渉を考えてのものなら納得もいきますが、横並び一線。猫も杓子も、軽けりゃ短い。もううんざりってもんです。本当は着丈が少し長くなれば、お尻の半分でも隠れれば濡れにくくなりますし、動いてもかがんでも腰が出にくくなります。また、空気が逃げにくく暖かく感じるので、シェルジャケットを着る意味というのが増すというものです。

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*モデル身長165センチ Mサイズ着用

裾はあえてストレッチパイピングもドローコードも無くしています。結構裾のドローコード使わない人も多いはずです。冷気の侵入を防ぐときには裾を絞りたいですが、着丈が長いので絞れなくても冷気が入りにくいのです。ですが、時々使いたくなることがあるかもしれません。その時のために、裾のフロントジッパー付近にコードホールだけ空いています。ですので、バンジーコードとコードロックがあれば簡単に裾の調整機能を付加することができます。裾にドローコードを付け足してもせいぜいプラス10gくらいのものです。

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裾の絞りを調整したい場合は、バンジーコードとコードロックの組み合わせが良いでしょう。例えばコードロックを両側につけても良いですし、一方は玉結びにして一方だけコードロックで調整も良いでしょう。もし、調整はいらないからずっと絞っている状態がよければ、バンジーコードではなく、平ゴム紐が良いでしょう。主にパンツ用として売られているものですが、伸縮の力が強すぎないので、バンジーコードよりも良いと思います。

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二つ穴コードロックを使って絞ると末端は外側に向かうのでジッパーの邪魔をしません。Lサイズでバンジーコード約1.2mと二つ穴コードロック2個で約8gの重量増。

 

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一つ穴コードロックを使って絞ると末端は内側に向かうのでジッパーの開け閉めに干渉しますが、コードロックが小さくて済むのが良いです。ただ、バンジーコードの長さ約1.15mとほぼ同じで二つ穴コードロックと比較しても1g程度しか軽くならないので、好みで良いかと思います。

 

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片側一方だけで調節する場合です。バンジーコードが穴に入らないように結ぶ玉は大きくなるようにしましょう。

 

 

【フィットのこと】

フィット感はいわゆる“山用”らしく重ね着ができるゆとりがあります。最近の軽量シェルジャケットはアスリートフィットという名を借りて、ワンサイズ小さくするのが常套手段でした。確かに分かりやすい軽量化ではあるものの、今ひとつ納得のいかない軽量化でもありました。しかし、アマアシはサイズも山の服らしいです。
まずゆとりがあるフィットのほうが動きやすい。ゆとりがあったらダウンジャケットを着た上からでも無理なく重ね着ができます。アクシーズクインの中綿ジャケット「ヨヒヤミ」でしたら同サイズの重ね着で問題ありません。またゆとりあるフィットは適度に衣服内部の空気の動きを作りますから蒸れにくくなります。

昨今の軽量シェルジャケットのお決まりと言えば、サイズが小さいこと。軽量にするためにミニマリストフィットやアスリートフィットにしてきました。そのほとんどがまるっきりワンサイズ小さくなるので軽いのです。小さいところを補うように立体裁断などを採用して動きやすくする傾向が強いですが、その分体に合う合わないという問題が生じます。サイズが小さいですから従来のシェルでは当たり前にできていた重ね着がとてもしにくい。いや!できない!!
ハイキングでの汎用性を考えて選べばワンサイズ上に。そうすると思ったより重量削減になっていない。結局サイズを上げたところで変わりようのない複雑な構造はコストアップ、重量増といったマイナスも生みます。軽量を目指せば、最低限ミニマルに寄せる必要はあるでしょうが、サイズを小さくすれば良いというのは短絡的以外のなにものでもありません。軽くするにしても他の方法もあるはずです。それが前述している、ミニマムシーム、要するにシンプルな縫製パターンにあるのです。実際に山で必要とするゆとりあるフィットで軽くすることを求めたのがアマアシということです。

・他商品との比較

同じくシェルジャケットで軽量レインウェアの代名詞、「OR ヘリウムIIジャケット」(Mサイズ168g)と比べると、軽量シェルジャケットの中ではまだゆとりあるサイズ感とはいえやはりダウンジャケットを重ね着するならワンサイズアップが必要です。着丈もやや短めです。それにヘリウムIIは2.5レイヤーですのですので、軽さ以上の快適さではアマアシが上でしょう。

驚くほどの軽さの「Montane ミニマス777ジャケット」(Mサイズ143g)と比べると、サイズはやはり小さいので重ね着するならワンサイズアップは必須でしょう。軽さでは約50g(同サイズ感重量比)と大きく劣り機能面でもほぼ横並びですが、あえてミニマス777よりもやや厚い生地にしたので、ミニマス777ほどに透け過ぎることはありませんし、アマアシは光沢感が抑えられているので見た目には雨具らしさがありません。またポケットの大きさや使い勝手にも大きな違いがあります。

「OMM Aether Jacket」も3層構造生地でフルジップで205g/M sizeと軽量ですが、細部に凝った作りが見られるのと生地重量が66g/m2ということを合わせて考えれば、サイズがだいぶ小さくなっているのを想像するのは簡単です。

いろいろ比較しましたが、上記したどれもがアウトドア用ではあるものの、ランニング向けのものとして作られています。だから自然とアスリートフィットになるのも当然なのでしょう。だからハイカー的視点からだと、違和感があるのです。そう考えると、アクシーズクインの作る、アメノヒ2.5、ハゴロモやアマアシはハイカー向けの軽量シェルと言えるのでしょう。

参考例1:モデル身長165cm テツコン/Mサイズ着用(写真下3枚)

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参考例2:モデル身長175cm コイロ/Lサイズ着用(写真下3枚)

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【その他こだわりの仕様のこと】

アクシーズクイン独特の肩周りのパターンで、肩位置は外側にオフセットされ動きやすくなっています。肩や脇の動きに関係するアームホール広く重ね着しても干渉しにくいですが、袖に向かって細めにテーパーしています。独特な肩ヨークデザインは、ラグランのようにも見えますが異なります。作務衣などにも見られる日本の着物から取り入れたデザインで、ゆるやかにフィットし、動きやすい肩周りを作り出します。日本人としての情緒が何かを感じるのでしょうか。着てみると違和感なくしっくりとどんなものとも混じり合います。

袖口はベルクロ調節なしで、手首の内側半分にだけゴムが入って伸縮します。手の甲側に少しだけ長くなっています。

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フードはフィッティングを考えるとどうしても構造が複雑にならざるを得ませんが、そのぶん調整機能は後頭部の一箇所となっており、簡単に顔にフィットするようになっています。ツバが若干付いており、目の周りに雨がかかるのを防ぎます。ツバの先には芯材が入っており型崩れを防ぎ、視界を邪魔しないように工夫がされています。

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最後に特筆したいのは、メーカーロゴが目立たないこと。探すのにちょっと戸惑うほどです。ブランドとしては一般的にありえないことです。左袖口の近くにリフレクティブプリントがpertexロゴと一緒にされているのと、アクシーズクインのロゴマークである“4つの四角”がフードに隠れるように襟裏にあるだけです。控えめというべきなのでしょうか。それとも消極的というべきなのでしょうか。しかし、アクシーズクインのアイテムは、一度知ってしまえば見るだけで、例えばカラーや独特なパターンなど主張する強い個性があります。ですのでロゴで改めてアピールしなくても良いのでしょう。

 

ハイカーのためのジャケット。アマアシ。

日本は雨が多いです。地域差もあるとはいえ毎日降るわけでもありませんし、やっぱり晴れている日のほうが多いです。「でも山には雨が多いじゃん」ってそれはそうです。みんなが山に行きたい時期は山に雨が降る季節が多いですからね。そんな時に役立つ雨具。出番が多いアイテムではありますが基本は非常衣類です。ですがアウトドアウェアの花形でもあるという不思議な存在。なぜなのか。それはシェルジャケットがオールラウンダーだからでしょう。

シェルジャケットを持っている人はみんなわかるはず。その使用頻度や汎用性の高さがどれほどのものかというのを。雨の日の大活躍はもちろん、風除け。散歩に旅行に。はたまた普段のカジュアル服やお買い物。肌寒い時にさっと羽織ったり、ダウンジャケットの上から着て保温力アップ。日帰りのハイキングからロングディスタンスハイキングまで。老若男女。みんなが幅広く使うものなのです。

間違いなくシェルジャケットが軽くてシンプルなデザインで使いやすくなるのは良いことです。お散歩や旅行で羽織る時だって。普段だって。日帰りハイカーだって。もちろん、むしろ毎日のようにバックパックを降ろしてから着る機会が多いロングディスタンスハイカーに至るまで、みんな喜ぶこと請け合いです。
しかし軽く簡素にするにしたって程度の問題があるでしょう。確かに軽量なジャケットを求める人の中にはランナーやアスリートがいることはアイテム作りに大きな影響を及ぼしているのでしょう。

軽いのは良いけど、透けるほど薄い素材に抵抗感を感じる人もいるでしょう。やっぱりジャケットであって欲しい。ポケットの位置は普段通りに。裾だっていつも斜めじゃなくていい。絞る絞らない自分で決められる。腰が出ない丈の長さは本当はありがたい。
このようなポイントは普段自分たちが着ているデイリーウェア(普段着)に求めているものとほとんど変わりありません。ではそのデイリーウェアで走れませんか?走ります。登れませんか?登れます。歩けませんか?歩けます。寒くて良いですか?暖かいほうが良いです。窮屈で良いですか?ゆったりがよいです。透けてて良いですか?透けないに越したことはありません。
アウトドアウェアはオシャレ着ではありません。どのように着ても人それぞれ構いませんが、やっぱりドレスではないんです。実用着であり作業服です。いわゆる“ふつう”で良いわけです。

実際このプレーンなデザインは、多くのハイカーに好まれると思います。中でも、長い時間長い距離を旅するスルーハイカー達からも強く好まれると思います。なぜならば、スルーハイカーにとってはそこが街でも山の中でも日常であることには変わりなく、デイリーウェアこそがアウトドアウェアであり、アウトドアウェアこそデイリーウェアであるからです。

『素材は高機能であって欲しい。けれどデザインは日常的に使いやすいものを。』

ということです。それがほとんどまるっと収まっているのです。名称を「スルーハイカージャケット」に変えたいくらいです。そういえば、一昔前にIntegaral Designs が出していたレインウェアにそういう名前のものがあったと思います。

言い過ぎかもしれませんが、ハイカーには是非試していただきたい、ハイカーのためのジャケットだと思うのです。

 

なかなかこのような思い切ったこと。デザインをここまでプレーンにするのは簡単にできないことです。できるのは、アクシーズクインのようにアウトドアウェアをしっかりと作れる経験や技術があるからこそなのです。

近年では量販(マス)のアパレルメーカーでもアウトドアの機能を取り入れたものをリリースしています。中にはそれをハイキングにも使っている人も少なくないはずです。それでも使えるでしょう。使おうと思えば別にコットンTシャツでもジーンズでも大抵のことはできますので、別にできて当然なのです。しかし、あれらは似て非なるもの。アウトドアを知らないもしくはそこを主軸にしていませんから、あくまでも“似せたもの”という枠からは出ることができないのです。ですのであくまでも“アウトドアウェアっぽい日常使いのもの”であり、決してアウトドアのものではないということです。

また同じくアウトドアウェアを作るメーカーでは、カスタマーからの要望に応えようとしつつも、“ニーズの平均値”を求めたり、“今までの実績”という檻に囚われてしまい、確かに誰にでも好まれれば多くの販売に繋がるでしょうけれど、その結果述べて来たような、ありふれたよくありがちなどこでも見るようなデザインになってしまうのです。

アマアシは、とことんアウトドアウェアです。
アウトドアの道具の歴史は軽量化の歴史でもあります。それは間違いようのない事実です。そこに対しても忠実に追い求めるからプレーンになるのです。
もちろん快適であることも大切です。軽さばかりを追い求めすぎて他をないがしろにするのは良くありません。
使い勝手という機能も大切です。これがあるからこそどのような状況にでも対応できるようになり、長く使えるものにもなります。
アマアシはアウトドアウェアとして大切な点をしっかりと見据えながらも、実に実直です。だからこそ使い手次第ではどこでも使うことができます。それは「日常でも非常でも使えるアウトドアウェア」ということになります。

このようなデザインのシェルジャケットを好まない人もいることでしょう。プレーンではありつつも、決して平均値ではなく、かなり主張の強いデザインでもあるからです。ですがそれこそがアクシーズクインのアイテムでもあります。

その目的は「凌ぐ」こと。高機能な素材は雨を凌ぎ、風を凌ぐ。適度な大きさは重ね着を可能にし寒さを凌ぐ。適度な大きさとシームの少なさは通気を促し暑さを凌ぐ。山を凌ぎ、街を凌ぐ。アマアシはただプレーンでシンプルなのでも、ただ高機能なのでもありません。いついかなる時も凌ぐためにこそのプレーンデザインなのです。

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