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KUMO "雲"

SPECIFICATIONS
重量 総重量:503g(実測値)
 本体:355g
 ウェストウェビングベルト:81g
 SitLight Pad:60g
 コード&コードロック:7g
 *誤差 ±10%あり
容量 36L
*本体容量 約30L
サイズ ワンサイズ 背面長 48cm
高さ 22inch(約56cm)
幅 11inch(約28cm)
奥行き 4.5inch(約12cm)
PRICE
¥24,000 + tax

Review

デイハイクから数泊のULハイキングに対応するGossamer Gear 『KUMO 雲』

2012年、Gossamer Gear のコレクションに加わった、 2010年 ゴッサマーギア創業者 Glen Van Peski 氏の日本でのハイキング経験を踏まえた上で、軽さを求めながらも、強度も併せ持つバックパックとして制作された、その名も『KUMO 雲』。Gorillaが数日のオーバーナイトハイキングから数ヶ月に及ぶスルーハイキングに対応できる「軽さ」「強度」「容量」のバランスがとれたULバックパックとして本国内はもとより日本で高評価を得ました。そしてKumoは、ゴリラの強度と軽さを踏襲しつつ、Murmurのようにウルトラライトハイキングのスタイルやミニマムなハイキングにも対応する大きさやシンプルさを持っています。

kumo_front kumo_side kumo_back

その KUMOも、数度のモデルチェンジを繰り返したゴッサマーギアの定番バックパックとなりました。現行モデルのメイン素材は、70d と 100d を組み合わせたゴッサマーギア カスタムオーダーのRobic Ripstop Nylonを採用しています。これにより軽さだけでなく生地の強度も保っています。Gorilla やMariposa はロングディスタンスハイキング向きにも考えられているためもう少し強度を高く設定しています。しかし、Kumo はフレームレスでウェストベルトも簡易的なものですし、ULハイキングであるということを強く意識して作られていると言えます。ゴッサマーギアで使用される生地のほとんどが、繊維を一から選び組み合わせたカスタムオーダーですが、このKumo に使われているのも同じように今まで同じ組み合わせはない、ゴッサマーギアカスタムとなります。さらに、ボトムや補強部分に使われている生地は、これもまたULバックパックの素材としては初めてとなる、Custom 70×210 robic/black Extreema fabricを採用しました。Extreema とはdyneemaと同様の素材で本来色に染まらないのでどの色に染めても白チェックのようになってしまうのですが、特殊な加工により最初からブラックに加工してあるため落ち着いた雰囲気になっています。

「融合」よる新定番の形

Gossamer Gearの各バックパックはウルトラライトハイキングの文脈の中で、それぞれが特徴的な役割をうけもっています。

  • 『G4』       Golite BREEZEと双へきをなすウルトラライトバックパックの “源流 Sauce”
  • 『Mariposa』  ULバックパックのフレーム搭載という新境地の “開拓者 Pioneer”
  • 『Gorilla』   軽さと強度のバランスに腐心することで多くのハイカーをULに誘った“立役者 Star”
  • 『Murmur』  Gossamer という言葉の意味に忠実な軽さをつきつめた“探求者 Quester”
その中でも、Gorilla と Murmur はその役割が明確です。共にウルトラライトという軸足は同じものの、Gorilla はより多くの ハイカーに対してウルトラライトの扉をひらくため、生地強度にこだわって開発されました。一方で Murmur は Glen Van Peski(グレン)のシグネチャーモデルであり、いわゆる“ウルトラライトハイカー”をターゲットに「軽さ」を突き詰めています。Gorillaには全体の“バランス”が重要。Murmur には“軽さ”こそが重要なのです。こうした別の軸に向かっているコンセプトを収束させた先に『Kumo』の役割が浮かび上がります。

また別の視点で見てみると、Kumoには今までのGossamer Gearのバックパックの様々な要素が盛り込まれています。

  • Gorilla の軽さと強度のバランス
  • Murmur のジャストなオーバーナイト用としての容量
  • Minimalist のデイパックとして使いやすいデザイン

このように見てみると、このモデルがGossamer Gear各モデルを連結するハブ的な役割になっているのがよく分かります。1998年の創業から積み重ねてきた経験と知識。それが、各モデルのハイブリッドといえる、Gossamer Gearのニュースタンダード『Kumo』の役割なのかもしれません。

 

「日本での経験」による進化の形

そしてもうひとつ忘れてはならないのが「日本」を強く意識していること。
2010年にグレンは実際に日本を歩き、日本のハイカーと交流を持ちました。その中で感じたことが間違いなくこのKumoに反映されています。短期間とはいえ、狭く、急峻な日本の山を歩いたことで、「軽く」「丈夫で」「小さく」「バックパックをおろさずに出し入れができる」ことを重要に感じたという内容を、MurmurとKumoのフィールドテストしている際にメールでいただきました。Kumo発表前にあった「名前を日本語にしたい」という打診は、北米ガレージメーカーが日本人ハイカーを意識してモノづくりをしてくれた記念碑として嬉しいものではないでしょうか。

 

KUMO の特徴

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・素材変更

140dn ダイニーマグリッドストップナイロンから100dn Robic Ripstop Nylonへ変更。複雑で高密度に織り込んだナイロン素材は引裂強度も向上しています。糸の径そのものは細くなったことで、生地重量は減少しました。

フロントの大型メッシュポケットの素材は、従来からのPower Meshを採用。フロントポケット下部はバックパックを置いた時にもメッシュを保護できるよう、ナイロンでの補強が施されています。またフロント、サイド共に水抜き穴があります。パワーメッシュを採用しているのには、4方向によくストレッチしますので、ゴリラやマーマーと比べて小さいフロントポケットの容量を補う意味合いもあると思います。その代わり長期使用などで紫外線に長く晒されると劣化しやすいのが欠点です。

・ショルダーの補強

kumo_back_3ショルダーは従来のパッドを封入したタイプから、3D Air Meshを採用しました。この素材は決して珍しいものではなく、以前は数多くのバックパックに当たり前のように使われていたものです。パッドを封入するタイプは軽量化には役立つものの、使用頻度が高くなると痩せてきてしまったり、どうしても耐久性に難がありました。使い込んで柔らかくなるのも一つの良さではありましたが、パッドは汗を吸うと菌が発生しやすく、臭いのもとになったりする原因のひとつでした。しかし、3D Air Meshは、耐久性も高く、汗だまり、保水も防ぎ、通気性も高いことから、臭いの発生も抑えられる良さがあります。

使われなくなった理由は重さです。良い素材ではあったが、重いので、真っ先に軽量化の対象となっていました。ところが、素材変更にともない全体に軽量化できたことで、より良い素材をショルダーに使うことが可能になりました。確かにこれが原因で、総重量の増加には繋がってしまったけれども、今まで以上の高いフィット感を手に入れることになったのです。

Murmurよりも厚みがしっかりとあり、Gorilla よりは薄く軽い、KUMO専用のショルダーパッドになっています。ショルダーの作りは『Mariposa=Gorilla>KUMO>Murmur』となっています。まさに、ライトウェイトなスルーハイキングパックとウルトラライトなバックパックとを繋ぐ存在と言えるでしょう。腰荷重はできないものの、ブレ止め以上の働きをし、バックパックのフィット感を高めてくれるでしょう。

 ・付属のサイドコードとポケット

サイドにあるナイロンコードを利用してバックパック上部に荷物を固定することができます。

*写真は旧タイプの頃のものとなりますが方式は同じです。

付属のポケット

・OTT クロージャーシステム

トップリッドに見えるユニークな方式、Over-The-Top ( OTT )Gossamer Gearオリジナルのトップクロージャー方式です。

*写真は旧タイプの頃のものとなりますが方式は同じです。

 

・自由度の高い背面システム

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ゴッサマーギアのバックパックは他メーカーにはないオリジナリティあふれる機能が盛りだくさんですが、その中でも大きな特徴といえるのが、背面パッドが外側からアクセスできて、簡単に入れ替えられることです。

通常のオプションとしては「SitLight pad」が付属しています。これ自体も座布団としての使い方はもちろん、就寝時のプラスワンのパッドとして使えます。

それ以外にも、山と道「ミニマリストパッド」やエバニュー「FP Mat 100」などはそのまま折り畳んで入れることが可能です。マットの場所が邪魔にならずに100cmの長さがありますから、季節によってはそのままそれが就寝用マットになります。

スタッフ長谷川は、リッジレストを約100センチにカットしバックパック本体内部にロールして収納。それ以外に折りたためるマットを背面に入れて使っています。3シーズンであれば、全部広げて100+100=200センチのフルサイズのスリーピングマットとして使用。やや寒冷な季節には折りたたみマットを半分にし、100+50=150センチの長さで使いわけをしています。

・着脱式のヒップベルト

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もともと着脱ができるようになっていましたが、今季より高さの位置も調整できるようになりました。これで背面長を調節できるというわけではありませんが、多少の効果は見込めるのかと思います。どうしてもウェスト位置を意識すると背面長が関係してきてしまうので、その場合は男性しか対応するのが難しかったKumo ですが、女性でも160cm以上身長があればウェスト位置を上にすることで、ショルダーの付け根との距離を短くすることで、若干ですが背面長を短くすることができるようになりました。しかしショルダーの長さは変わりませんので、胸や腕回りの厚みによっては腰の位置を変えただけではフィットしないでしょう。

・フロントポケット

フロントポケット下部はどうしても傷みやすい場所なので、大きい面積で補強してあります。

『ミニマリスト』バックパックで採用した左右非対称なフロントポケットデザインは、バックパックを右肩に引っ掛けて片背負いした状態にすることで、フロントポケットの斜めがまっすぐに見える状態になるため、荷物が落ちにくく、斜めにしている分間口が広いので、ポケット内にアクセスしやすい。

*写真は旧タイプの頃のものとなりますが方式は同じです。

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・容量について

36Lという容量は日帰りや小屋泊はもちろんのこと、現代の装備をもってすれば無雪期のテント泊なら決して難しいサイズではありません。夏のオーバーナイトハイキング用にこのサイズのトライを考えているハイカーも多いのではないでしょうか。今まで1kgアンダーの同容量のULバックパックといえば、例えば「OMM Classic 32/670g(フルウェイト)」「Gossamer Gear Murmur/350g(パッド込み)」

などが挙げられますが、どちらにしても、強度なのか、軽なのか、どこかに的を絞った極端なものから選ばなければなりませんでした。

Gossamer Gear Kumo 510g(SitPad込み平均値)

Gossamer Gear のラインナップ中においても、スルーハイキングバックパックとウルトラライトハイキングバックパックとの橋渡しとしての存在であり、他のメーカーのアイテムと比べてみても、中間的な落としどころといえる存在なのです。

ウルトラライトハイキングにこだわるハイカーにはやはり一度はMurmurなど、軽さに特化したバックパックを手にしていただきたいのが本音です。しかしバランスにこだわったGorillaが今やゴッサマーギアの代表モデルになったように、Kumoは新定番としての立ち位置は強固なものになっています。