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軽いって自由。Ultra Light Gears & Dry Foods

Fireball Verso Pull On

SPECIFICATIONS
重量 260g/Lサイズ
素材 中綿:Primaloft® Silver 40g/m2
生地(防風面):Pertex® Quantum ripstop
生地(通気面):Hypervent
カラー Shadow/Shadow
サイズ Unisex XS、S、M、L
PRICE
¥20,000 + tax

Review

“羽毛の代わり”ではなく“フリースの代わり”としての化繊綿インサレーション「Fireball Verso Pull On ファイアーボールヴァソプルオン」。

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防風性、保温性重視ならこちら向き。ポケットは内側になる。

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熱を逃がしてアクティブに動きたいときはこちら向き。

 

ダウンセーター、インナーダウンジャケットとよばれる薄手ダウンジャケットはもはやハイキングウェアのスタンダードです。秋冬だけでなく春夏の防寒着としても使用できるオールシーズンモデルとしてハイカーに好まれるようになりました。

しかしダウンのデメリットである湿気によるロフト(嵩高)の減少は、ダウン量が少ない薄手ダウンジャケットの場合にはより顕著に感じられます。撥水ダウンにすることでかなりの部分防ぐことは可能になりますが、湿度の高い日本のハイキングでは雨、霧、汗、様々な要因が衣類を湿らせます。そのうちでは特に、積極的に動き続けることで晴れていても湿る原因を作り、さらに持続して出続ける「汗」は塩分や汚れを含むので、流石の撥水ダウンでもロフトを維持するのは難しくなります。このような湿気対策としては化繊綿(または化繊ダウン)の評価は変わらないものがあると言えます。また、少ない羽毛量では偏りがどうしても出やすくなりますが、化繊ダウンはシート状に加工もしくは加工されているので、薄くても偏りがない、いわゆるコールドスポットができにくいのです。

圧縮率と疎水性で他を圧するPrimaloft®。それ以外にも個性的な機能を持つ化繊綿があります。その中で特にPrimaloft®は水を含みにくいだけでなく、「湿った状態と乾燥した状態との保温力の差」が他の化繊綿と比べても小さいことが評価を高くしています。絶対的な保温力はもちろん羽毛などにはかないませんが、ダウンのデメリットを補完する機能が高いのです。

ここまでダウンと比較しての化繊綿の特徴を言いましたが、このスモックの場合比較したいのはダウンではなくフリースです。中綿にはPrimaloft® Silver 40g/m2 を使用しています。これは決して保温力の高い厚みではありません。しかし、アクティビティを伴った保温着としては最適といえます。化繊綿を用いてダウンと同様の保温力を出そうと思うと、それが厚みを増せば増すほど、重量を増して行っていまします。どんなに化繊綿が進化していたとしても現状、対比重量の保温力ではダウンには敵いません。そうであれば化繊綿の魅力とは何か。それはフリースの代わりとしての行動着です。

フリースは吸汗性、速乾性などを考えると行動着としては非常に優れた素材だと言えるでしょう。しかし、どうしても重量については難があります。着ている間は良くても脱いでしまうとかさ張るし重いのです。それにフリースは軽量化できる限界までほぼ近づいてしまったのです。これ以上は保温力を削るしか軽量化の道が無い。しかし同じように使うことができ、かつ圧縮性に優れた素材。それが化繊綿というわけです。

汗や汚れ、湿気に弱くアクティブな使用には向かないダウンに代わる薄手のインサレーションとして。嵩張って重いフリースよりも軽量かつ圧縮性に優れている素材として。それが化繊綿の最大の長所と言えるのではないでしょうか。それを活かしたいからこそ、保温力の高さを求めるのではなく、Primaloft® Silver 40g/m2という絶妙な厚みを採用しすることで化繊ダウンの特徴を引き出そうとしているのだと思います。

保温力としてはパタゴニアのR1シリーズやポーラテックのパワーストレッチがほぼ同等と言えるでしょう。それらのフリースの重量は平均約300g。そう考えると軽さに秀でているのがわかります。

さらなるメリットは、保温プラス防風があるということです。これは化繊ダウンの宿命でもありデメリットに働く部分でもあるのですが、表裏を生地で覆うために防風性が高いのです。ファイアボールの場合はウィンドジャケットでも用いられる素材を使用しています。
デメリットの部分はどうしても裏地が生地になるので汗の吸い上げはフリースほど期待出来ません。また中綿と体との間に防風性生地が挟まることで湿気や熱は中綿内に入っていくのを遮ってしまうのです。しかし、これは一般的な話です。ファイアーボールの場合は、片側にHYPERVENTという通気性の高い生地を使用することで、体からの放熱を中綿に溜め、湿気も積極的に中綿内に溜めます。このおかげでデメリットを軽減できているだけでなく、薄手の割には保温力を上げることに成功しています。またリバーシブル構造になっていますので、通気性の良い面を表にすることで熱をもっと外に逃がすことができるようになります。要するにどちらを表面にするかによって一枚の服で温度調整が可能ということです。

 


 

改めてファイアーボールスモックの特徴を細かく見て行きましょう。

<軽量性>

実測値260gは薄手インナーダウンジャケットに匹敵する軽い重量。同程度の保温力のフリースと比べれば格段に軽く圧縮性も高い。

  • パタゴニア R1プルオーバー 333g(サイズ不明)
  • アークテリックス RHO AR ZIP NECK 278g(Mサイズ)

RHOはベースレイヤーとして作られているのでかなり細身ですが、それよりも軽くできています。それ以上に圧縮性が大きく違うといえるでしょう。

<防風性>

表面素材のPertex® Quantumはウインドジャケットにも採用されている素材。防風性の高さは折り紙付き。
もう片側の素材はHYPERVENT。通気性がQuantumよりも高いため、こちら側を表にすると保温力を下げることができます。

<保温性を高める工夫 防風と蓄熱>

縫製が少ないためコールドスポットも少ない。Redesignでリバーシブルになり、片面ずつ異なる素材を使用したことで、防風性と蓄熱で保温力を高めたり、放熱と通気で温度を下げたりといった温度調整が可能となりました。
保温を重視するときは、縫い目のほとんど無い側を表にして、縫い目の多い側を裏にして着用します。そうすることで、裏生地は体から出る熱や湿気を溜め込み保温します。表生地は防風し放熱を抑えることで保温します。

<放熱性を高める工夫 温度調整>

ちょっと着たいけど暑い。動き出すとすぐに脱ぎたくなる。そういう経験は多くのハイカーが持っていることでしょう。そういう時ファイアーボールヴァソプルオンは縫い目の多い側を表にして着てください。体から出る熱は中綿には含まれにくくなります。表側は通気性が高い素材になるので放熱を助けます。あえて保温力を下げることで着用時期や着用範囲を広げることができます。

<プルオーバーの良さ悪さ>

プルオーバータイプはジッパーが少ないため、着心地と動きやすさはかなり軟らかく仕上がっていますし、収納サイズの小ささにも影響を与えています。ジャケットと比べて着脱の慣れは必要かもしれませんが、ジッパーの差し込みなどが不要なため、全体ではアクションが減るのでむしろジャケットよりも簡単な着脱と言えるかもしれません。行動中に頻繁に脱ぎ着するウェアではないと考えれば、プルオーバーでも問題ないのではと思います。

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