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軽いって自由。Ultra Light Gears & Dry Foods

Rebelle S OD

SPECIFICATIONS
重量 850g / Men's EUR41(実測値)
アッパー KCN-TECH Fabric

ライニング OutDry®︎
アウトソール Vibram FIXION TECH
ラスト ARSC
サイズ EUR 39-46
*US 6.5〜12相当
PRICE
¥35,000 + tax

Review

RIBELLE × ATOM   スカルパのハイブリッドモデル

スカルパの「リベル」シリーズといえば、アイス/ミックスクライミングに特化したリベルアイス、冬季クライミング全般に対応するリベルウルトラ、超軽量ウインターブーツのリベルテックODとアルパインコンディションでの機能特化を追及したアルパインブーツのラインナップです。一方、同社の「アトム」シリーズはランニングモデルのフラッグシップとしてのアトムを皮切りに、ウインターモデルとしてのアトムSL、アルパインコンディションでのランニングを想定したアトムS EVOなど、アルパインランニングという同社のカテゴリーを拡張させているラインナップです。 このアルパインブーツとトレイルランニングシューズをハイブリッドさせたスカルパの新コンセプトモデルが「リベルS OD」です。

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トレイルランニングシューズであるアトムS EVOをベースとしつつも、ソールユニット中心に大きな変更が加えられています。

  • アウトソール&ミッドソールは硬く
  • ヒールテンションシステムとランドによるアッパーの剛性向上

このふたつの変更により、トレイルランニングシューズというよりも、アプローチシューズやアルパインブーツに近いシューズ特性に変化しています。昨年秋からプロトタイプを北アルプス中心に何度かテストさせていただきましたが、履いた感覚はまさに足首が無いアルパインブーツ。アルパインブーツにしてはかなり軽いし、柔らかい。しかし踏むとしっかりレスポンスしてくれる硬さは維持している。というものでした。特につま先周りのランドがしっかりしているので、トレイルランニングシューズには無い剛性と安心感を感じられます。オントレイルだけでなく、岩、雪、泥といった不安定なオフトレイルでも力を逃さずグリップする。トレイルランニングシューズの軽快さと、アルパインブーツの安定感とを融合させたテクニカルアルパインシューズといえるでしょう。 参考までにスカルパUKのウェブサイトでは、以下のような用途評価が行われています。

  • Alpine Summer 5
  • Winter Mountain Walk 5
  • Mountain Walk 4
  • Winter Mountaineering 4
  • Mixed Climing 1

無雪期の森林限界以上、岩場を含む稜線といったテクニカルな環境で真価を発揮するシューズだとメーカーも位置付けています。トレイルランニングシューズでは軽快感は得られるが、不安定な岩場ではアッパーの剛性などがやや物足りない。そんなトレイルランニングシューズ以上、アルパインブーツ未満が欲しくなるシチュエーションで両者のメリットを与えてくれる一足となりそうです。トレイルランニングシューズでも問題なくこなせる経験や脚力がありつつも、距離が長い、荷物が多い、岩場が多いなどを理由に、足元の安定感と余裕をワンランクあげたい時に最高のパートナーになるでしょう。

また保温層を持たないシューズのため使える期間は自ずと限られてしまいますが、初冬や残雪期の森林限界以下(関東周辺ならば標高2,000m前後が目安になるでしょう)でも有効な一足になります。もちろんマウンテンブーツに比べればソールの剛性が足りないため、力を効率的に雪面に加えるという点では劣ります。リベルS ODを有効に使いこなすためにはクランポンを装着しての雪上歩行に習熟していることなど、使用者の技術や経験によるところが大きくなります。とはいえ上記したのは従来でも3シーズントレッキングシューズで可能な範囲として捉えられることも多い雪山です。この範囲でしたら問題ないと言えるでしょう。

リベル S ODは、優れた軽さ、最大のグリップ、荒天時の快適さ、足元の安定感の提供を目指しています。そしてこれらの要素は受け手である使用者の経験&技術にも大きく左右されます。しかしその両者が合致すれば、アルパイン環境でのより遠く、より速く、よりアクティブな行動をしっかりと支えてくれるはずです。

 

仕様

1. アウトソール =Vibram®︎メガグリップ=

ベースがトレイルランニングシューズなので、スタンダードなアウトソールパターン。ラグの高さは6mmと比較的高めに設定されている。アプローチシューズやアルパインブーツのようなクライミングゾーンは特に設けていないものの Vibram®︎メガグリップを採用、岩場でも安心感を与えてくれる。トレイルランニングシューズに比べ、ソールが硬いこともあり踏み込んだ際に力が逃げにくいことも特筆すべきポイント。岩、雪、泥とオールコンディションにおいて安心感あるグリップ性能を発揮してくれる。

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2. ヒール =セミワンタッチクランポン対応&ヒールテンションシステム=

リベルS ODはアトムS EVOをベースにしているにも関わらず、テクニカルアルパインブーツのカテゴリーである「リベル」シリーズの名前を冠しています。その理由はこのヒール周辺の作りを見ると理解できます。セミワンタッチクランポン対応のコバが設けられていますが、これはソールユニット全体がある程度の硬さを持っていないと機能しません。またヒールから土踏まずにかけてのバンドは「ヒールテンションシステム」と呼ばれ、SCARPAのクライミングシューズ&アルパインブーツに共通する機構です。テクニカルな局面で踵のフィット感、安定感、適応性を高める機能を果たしています。このバンドから伸びるようにつま先周辺のランドにつながっており、アッパー全体の剛性と耐久性の向上を果たしています。こうした仕様はこのシューズが登山道などの「オントレイル」だけでなく、岩、雪などの「オフトレイル」での積極的な使用を視野に入れているからにほかなりません。だからこそトレイルランニングシューズの「アトム」シリーズからではなく、アルパインブーツの「リベル」シリーズからのリリースなのです。

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3. ソックフィットプラス

同社のリベルアイス、リベルウルトラ、リベルテックODに共通する「ソックフイットプラス」がリベルS ODでも採用されています。冬季テクニカルモデルで採用されたこの機構はアッパー上部をストレッチ素材のゲイターで一体化させて、軽さ、フィット感、運動性を向上させるためのものです。もちろん雪や泥、砂利の侵入も防いでくれますが、主眼はむしろ前者にあります。そのためベルクロやジッパーによる開閉方法をとらず、着脱に手間のかかるソックス方式を採用しているのでしょう。またこの一体型ゲイターのおかげで保温層を持たないものの、保温性の向上も期待できるようになりました。 リベルS ODの基本構造はローカットシューズとなんら変わりません。しかしソックフィットプラスのおかげで、シューズのタンに当たる部分からくるぶし、足首のフィット感が高くなり、足首周りに不安を感じることがなくなりました。着脱については履くときにはさほど面倒は感じないでしょう。むしろ疲れた一日の終わりに脱ぐときの方が面倒を感じるはずです。これについては上記した理由に納得いただき、慣れてくださいとしか言えないのが事実です。しかしそれを補って余りある軽さ、フィット感、運動性の向上を体感できるはずです。

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なお、踵周りの安定感を向上させるヒールテンションシステムと足首周辺のフィット感と運動性を向上させるソックフィットシステムは、他のリベルシリースではクライミング時の機能向上に貢献しています。しかし当然その効果は歩行時にも発揮されます。このリベルS ODでもそれが強く意図されています。

 

4. LPC

その他にはリベルテックODで採用されたLPCがこのモデルでも採用されています。シューレースが引っかかったり、解けたりすることを多少なりとも予防してくれるでしょう。

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SCARPA リベルS ODは特殊なシューズです。トレイルランニングシューズでも無い、アルパインブーツでも無い。よく言えば痒かったところに手が届く、今までに無いオールラウンドな一足ですが、悪く言えば中途半端で、捉えどころのない一足ともいえます。このシューズに総論的な評価はあてはまらないでしょう。どう評価するかは、他のシューズ&ブーツ以上に使用者個々の各論に委ねられます。自分の経験や技術を把握した上で、どんなシチュエーションで使いたいかをイメージできる人が使えば、最強のパフォーマンスを提供してくれるでしょう。しかし、そうで無い場合は……

ここまでクセが強く、興味深いシューズも近年では珍しくなりました。しかしだからこそ使い甲斐がありますし、自分ならどこで使う、どう使う、と考える楽しさも味わえます。なによりもその過程で自分の今を見つめることができます。シューズとともに自分自身が成長できるかもしれないのです。

「リベルS OD」アナタならどう使いますか?

 

 

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