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Down Bib Pants

SPECIFICATIONS
重量 205g / JPN Lサイズ(実測値)
素材 生地:15デニール ミニリップストップナイロン
   撥水・シレ加工
中綿:ヨーロピアン グースダウン810FP UDD加工
ダウン量:65g(ダウン 93%、スモールフェザー 7%)
カラー Aka-kuchiba(アカクチバ)
サイズ Unisex XS、S、M、L、XL(日本サイズ)
 ・XS、Sは女性向き
 ・M、Lは男性向き
 ・XLは受注生産
PRICE
¥22,000 + tax

Review

どうせ持つのならば、
ただ軽いだけでなく、
しっかりと暖かく。

保温力を求める道具だからこその工夫。

『Down Bib Pants』

 

 

ダウンパンツはいまや冬の保温着の定番アイテムになりました。だからと言って問題がないわけではありません。座るとどうしても背中が出やすいのは使っていて一番気になるところ。また保温力を上げるのにダウンをたくさん入れればかさ張るし重くなる。最低限の量で効率よく保温するにはどうすれば良いのか。それを考えてみたのが「ダウンビブパンツ」です。

「ビブ」とは子ども用の前掛けのことで、前掛けみたいなものが付いているパンツだから「ビブパンツ」と言われます。スキーやスノーボードウェアとしてはバックカントリースノーを愛するバムたちにはすこぶる好評なビブパンツ。使ったことがある人ならば、保温性の良さに合わせて、動きによって腰が出てしまうことがないので着用時のストレスを感じにくいことを知っているでしょう。かくいう私もビブパンツ愛好家です。それなのに、ハイカーサコッシュの産みの親である当スタッフ“ベーさん”の一言があるまで考えてもみませんでした。流石です!

ダウンビブパンツの特徴は、ビブ部分(ダウン量15g)がお腹から背中まで覆う「腹巻き」状態になっていることで熱を逃がしにくくなっています。上に逃げて行く熱を抑えるだけでなく、体幹の付近をしっかりと保温するので、パンツ部分(ダウン量50g)の軽さや厚み以上に体全体に暖かさを感じられるでしょう。そしてこのビブのおかげで座った時に腰が出てしまうことを防いでくれます。これならばどんなに寝相の悪いあなたでも、そこのあなたでも、もうぽんぽんが痛くならずに済んでしまうのです。さらにビブ部分に手を突っ込めばハンドウォーマーとしても役に立つだけでなく、もう気分は寅さんかドラちゃんです!

もし普通の「ダウンパンツ」のように使いたければ、ビブ部分を捲って下げれば良いだけです。これだけでいつも通りの使い方。スナップボタンだけでは心もとない場合は腰に通してあるヒモを結べば下がってしまうこともないでしょう。

 

しっかりとお腹周りを保温します

 

背中、腰も温かく

 

ビブを下げればパンツとして。
体温調整も可能

 

 

下半身の防寒対策は後回し?

スリーピングバッグ、や防寒ジャケットなど、冬のハイキングの道具を揃えていく中で「最後」にたどり着き、そして「使用後に最もその違いを実感する」のが下半身の防寒対策です。手足先は心臓から遠いため、上半身で温められた血流が末端に行く間に冷えやすいのです。だから、手足はすぐに冷たくなってしまいます。そのため、テント泊での保温を考えた時に、「手足などの末端」や「首」の保温対策に取り組むハイカーが多いことでしょう。

その中でも足を温めるための「血流を妨げないゆったりとしたソックス」はウール、フリース、化繊綿、ダウンなど素材を問わず「寒冷期の泊まり」の定番アイテムと言えるでしょう。しかし、「足」ではなく「脚」部そのものは寒さに鈍感です。脚部が寒さに鈍感な理由としては、「寒さを感じる神経が上半身の半分程度」と言われていることがあります。それ以外にも「大きな筋肉が多く、筋肉比率が高い」こともあるでしょう。実際、動いていれば脚部はさほど寒くないことは実感している人も多いでしょう。

普段寒い季節の生活でも、上半身は暖かいインナーを着たり色々と重ね着をしますが、下半身はパンツだけ、という人が多いのではないでしょうか。もちろん女性はもとより寒がりさんには裏地付きパンツやタイツが欠かせないという人も多いでしょう。とはいえ、寒い寒いと言いつつも下半身の防寒を後回しにしてしまうのにはそれなりの理由があるのです。このように考えると「下半身の防寒が最後」という意味も、「いざ行うとその違いを実感する」ということも納得できるのではないでしょうか。

 

何を求めるか?

インサレーションパンツはジャケットと異なり、行動中に着用することはまずありません。幕営地に着いてはじめて登場する道具です。その使用環境はテント内及びその周辺に限られると言って良いでしょう。

  • 使用時間が少ない道具なので軽いにこしたことは無い(軽さ)
  • 他人に見せる衣類ではないのでシンプル設計で十分(デザイン)
  • 生地はストレッチしないので着用したまま楽に座れることが必要(サイズ)
  • どうせ持つなら、温かいものを(保温性)

こうした点を考慮して選んでみてはいかがでしょうか。軽さやデザインについては個人的な優先順位も異なるでしょうから、ハイカー各自の個性がでるところだと言えそうです。サイズの座りやすさは注意しないと実際の使用時に痛い目を見ることがありそうです。立ち姿のシルエットはダウンパンツである以上、似たり寄ったりだと僕は思います。それよりは座った時に突っ張ったりしてダウンを潰しにくいこと。もしパンツの上からの重ね着も考えているのであれば、大きめを選ぶほうが良い場合もあります。そして保温性。ダウンパンツにダウン量を追加するというのも良い案でしょう。しかし、ダウンを追加すれば単純にした分だけ重くなります。例えば、重量190gのダウンパンツにダウン量を30g足せば220gになるということです。

 

ダウンビブパンツを比較する?

国内流通している他社製品と比較したいところですが、できません。なんて言ったって、軽量なダウンビブパンツなんて無いからです。もちろんアウターやオーバーとして使うダウンビブパンツはありますが、軽量かつインナーとしても使えるものではダウンビブパンツなんて世界を見渡してもすぐに見つからないのですから。ですが、デザインなど以外で客観的に比べられそうなところを挙げてみます。

  • 重量は実測値205g(Lサイズ)。ダウン量は65g(ビブ部15g、パンツ部50g)
  • ダウン量50g〜70gクラスのものと比較しても抜群に軽い
  • 810FPグースダウンに超撥水加工を施している世界にも稀なダウンを使用
  • ナンガ自社工場、国内生産の為、万が一の場合でも修理が可能

以前販売していたオリジナルダウンパンツが188g(L)ですので、ビブにしたことで17g重くなりました。ビブの分もダウン量も増えたのに、総重量が17gしかアップしていないのは生地を20デニールから15デニールに変更したことも影響しています。それでも多少は重たくなりましたが基本構造がシンプルなので元が軽いということに加え、保温力が高くなったということです。
ですが、重量以上の魅力はやはり「撥水ダウン」により気兼ねなく使えることでしょう。ダウン量の少ない衣服の弱点だった復元力もアップしています。またパンツの場合不意な事故で穴が空いたり破れたりする可能性は高くなりますが、外国で生産するメーカーでは破れなどの修理は可能でもダウンの再封入はできないのです。制作のパートナーでもあるナンガは国内に自社工場を持ち生産しているため、万が一の時もダウンの再封入や修理の対応をしてくれます。これはとても大きなメリットの一つと言えます。


カラーと素材

カラーはハイランドデザインで新たに染めて用意したオリジナルカラーとして『Aka-Kuchiba(あかくちば)』を採用。見方によっては茶色が強く見えたり、赤が強く見えたりする綺麗な色に仕上がっています。パンツはジャケットとことなり目に入りやすい場所なだけに、見た目も「暖かい」色にしました。

従来使用していた20デニールから15デニールのミニリップストップナイロンに変更しました。今までは強度面も考えて20デニールのものを採用してきましたが、15デニールでも織りや密度によっては単純に強弱をつけることができず、むしろ15デニールの方が摩擦強度に関しては安定したクオリティになることが実績としてわかってきました。そのため、衣類にも15デニールを採用することになりました。その結果として軽量になったことはもちろんです。

 

サイズ

日本サイズのユニセックスとなります。細身のパターンに変更していますがサイズが小さくなっているわけではありません。あくまでもオーバーとして履けるゆとりは十分にあります。ですので、いつも通りのサイズを選んでいただければ、無理なく座れますし、ハイキングパンツの上からでも十分履けるでしょう。ですが上でも述べているように、暖かさを一番に考えるのなら、重ね着の状況によってはいつもより上のサイズを検討することも良いでしょう。

ナンガの通常設定にはありませんが、小柄な女性にも対応しやすいよう『XSサイズ』から作りました。

  • XS、Sサイズは主に女性向け。小柄、やせ形の男性にもSサイズは履けると思います。
  • M、L、LLは主に男性向け。日本サイズとなりますので、USサイズよりは一つ大きめのサイズを選んで下さい。

*LLサイズは受注生産となります。納期については注文後1ヶ月ほどかかります。

 

Ultara Dry Downについて

『もっと自由にダウンを使いたい』

そんな気持ちから当店では日本国内で工場を持つスリーピングバッグメーカー「ナンガ」の協力のもと「超撥水」能力を持ったダウンを用意しました。

ダウンとは「水鳥の羽毛」のこと。本来は水に浮かびますから水鳥の羽は水分に強いです。川面に浮かんで沈まない羽毛を何度も目にしています。しかしそのままだと臭いが出るため、通常使われるダウンは洗浄をして「匂いの原因となる油脂」を抜いています。そうすることでふくらみが出る反面、濡れには弱くなってしまうのです。

実際のところ人間の身体からでる汗や湿度の量は私達が思うより多いものです。しかし、その程度では、いくら油脂を抜いてしまったダウンだからといっ てロフトが極端に落ちることはありません。ロフト低下の多くは降雨などの多湿時に外気から吸ってしまうことや、寒冷時において身体からの蒸気を吸ったダウンが放出(乾燥)しにくくなることが原因です。これらの問題をクリアにするには油脂抜きをする以前のような機能をダウンに付加し直すことになります。

そこでナンガ協力のもと、通常の撥水力以上の『超撥水』を付加したダウン、『UltraDryDown(UDD)』を使用することを決めました。

*より詳しい説明は『Hiker's Depot/ダウンバッグ』のページをご覧下さい。

撥水ダウン採用によって、湿気を含くみにくくなり、軽さとふくらみ感を保ってくれるようになります。長期使用においてもストレスを感じることを軽減してくれますし、雨の多い時期にも安心して使っていただくことができます。特に65gと薄めのダウン量の場合、湿気によるロフト低下を抑制してくれることは保温を確保するのに役立ちます。

ダウンクオリティは加工前の最低保証値でフィルパワー値 810FPのグースダウン。かさ高 17cm、ダウン率 93.6%を使用しています。それにUDD加工を施しているので、実際のFP値はそれよりも高いものになっています。これは加工メーカーも認めていますので間違いない のですが、当店ではあくまで、元のダウンのクオリティを表記したいと思います。(参考としてですがアメリカでは同様の撥水加工をすることでかさ高が 100FPの上昇をするという報告があります。しかし出元が不明の情報ですのであくまで参考としてお考え下さい)

ダウンビブパンツは高いFP値のダウンを65g入れ、ダウンメーカーらしく膨らみと密度のバランスが良い気室の大きさで、ダウンの保温力を最大限活かせています。

 

プラスの使い方 その1|サスペンダーを使う

専用のサスペンダーもご用意しようと作成中です。ですがもっとシンプルにしたい人はバンジーコードや平ゴムでも簡易的にサスペンダーにしても良いでしょう。サスペンダーループが前後2箇所ずつ付いています。企画当初にはサスペンダーが必須と考えていましたが、出来上がってみると意外にずり落ちてこないことがわかりました。しかし動いているうちに下がって来るのは確かですし、付けてみれば安定感があります。

留め結びをすればスライダーの代わりにも

 

背中はクロスが肩から紐が落ちなくて良い

 

 

前から見るとこんな感じ

 

 

プラスの使い方 その2|ダウンジャケットとの組み合わせ方

ビブ部分があってもたいしてかさ張るわけではありません。ダウンジャケットを普通に合わせてきても全く違和感がないです。しかしビブを上に被せる使い方はどうでしょう。写真で見てもわかるようにせっかくのダウンが潰れています。ところがお腹部分がぎゅっとフィットするためか、熱がこもって温かく感じます。もし上に着るものが薄手だったら、ビブをかぶせた方が保温力は高いかもしれません。

これだけ見るとビブかわからない

 

ロフトはころすが密着度が心地よい

 

僕も仲間たちも寒い環境の中いろいろと試してはきました。過去もっとダウン量を増やしたパンツも考えましたが、単純に重量増とコスト増という結果なので見合わせてきました。その結果、「厳冬期のハードな状況下で使う」「よほど寒さに弱い人」ということでなければ、シェルター内防寒着としてのダウンパンツにダウン量50g以上を求めることは必要無いように思いました。ですがそのままでも満足ではない。その答えが今はこの「ダウンビブパンツ」にあると感じています。体幹を保温するので、今までよりも他の保温着を減らせる、または薄いもの変えられる可能性だって出てきました。もしこれ以上のダウン量のモデルが必要だと感じるならば、その前にスリーピングバッグのダウン量を見直す方が賢明でしょう。下半身の防寒を検討している方。今までのダウンパンツよりも確実に温かくしたいけど重量も抑えたいという欲張りなハイカー。ぜひ検討していただきたいです。



|ミニコラム|FP値のこと

試験数値は薬品でふっくらと仕上げてしまえばある程度FP値を高く出来てしまうのであくまでも目安の一つです。また最近ではFP値と暖かさを同義語として扱うメーカーがありますがそれは、当たらずも遠からずですが、正しいというわけでもありません。暖かさ、保温性というのは断熱と遮熱の複合によって変化します。 そこにはただ空気を溜め込めば良いのでは無く、その空間一つ一つの小ささや密度なども関係します。ダウンは膨らませれば暖かいと言われることもありますが、 ダウンの密度が増せばそれもまた断熱力の上昇に繋がるので、FP値が高くてもダウン量が少なければ暖かさはそれほど変わらず、”ただ軽いだけのもの”になってしまう可能性があります。