
MINI
Weight
340g
SPECIFICATIONS
- 重量
- 340g
407g(Black Heatherのみ) - 容量
- 25〜30L
- 本体素材
- 70 Denier silicorn coated ripstop nylon X-Pac LS07
X-Pac LS07 (Black Heatherのみ) - ポケット素材
- X-Pac VX07
X-Pac LS07(Black Heatherのみ) - サイズ
- M、L
- カラー
- Grey、Navy、Black、Black Heather、Red
差別化されたデザイン
汎用性の高い機能
日本のULバックパック
「山と道 MINI」





2012年、山と道2つめのバックパックとして誕生した「ミニ」。素材やパターンをブラッシュアップしながら多くのハイカーに愛されてきたロングセラーモデルです。いまやジャパニーズULバックパックのアイコンといえるまでに成長しました。日本のトレイルでULバックパックを見ることがさほどめずらしいことではなくなってきましたが、それはこのモデルに負うところも多いはずです。デイハイクを楽しむフレッシュマンハイカーから、日本を代表する山岳レースの出場アスリートまで、多くの方をひきつけるには理由があるはずです。
差別化されたジッパーポケット
現在のULバックパックの源流といえるのはレイ・ジャーディンが著書『Beyond Backpacking』(改題『Trail Life』)の中で解説しているレイウェイモデルです。パッドもフレームもないただの袋にしっかりとした厚みのショルダーハーネス、正面と両サイドにメッシュポケット、これだけを配置したシンプルなバックパックです。ウエストベルトすら省かれたこの構造こそがすべてのULバックパックの基本形です。
メッシュポケットが採用された理由は雨に濡れたレインウェア、結露で濡れたタープやテントフライを収納するためです。バックパック内部をドライに保つ、濡れたギアを随時乾燥させる、ということが意図されています。しかしポケットの使い方はハイカーそれぞれの好みがあってよいはずです。レイウェイモデルが雛形になったことでULバックパックのほとんどがメッシュポケットを採用することになりました。わたし自身この使い方を支持していますが、多様性が失われるのは残念でもあります。こうした経緯をふまえると、ミニのジッパーポケットには他のULバックパックとは差別化された意味があることがわかります。実際にジッパーポケットを採用していたGOLITEのJamが廃盤となったいま、このスタイルは非常に貴重です。
このフロントポケットは単なるポケットだけでなく、バックパック本体のパッキングのしやすさにも影響を与えています。ミニ本体は70デニールのシルナイロンが採用されています。バックパックとしては非常に軽く、薄い素材でありまさにUL的です。しかし生地がしなやかで伸びがあることから荷物をしっかりと押さえ込むことをやや苦手としているのです。しかしミニでは本体前面の大部分がジッパーポケットで覆われます。ポケットの素材は防水性が高くハリとコシのあるX-pacです。このしっかりとした生地のポケットが外側からバックパックのカタチを保ち、荷物をしっかりとホールドする機能を果たしているのです。ミニが軽くて使いやすいを実現しているのはこのポケットデザインだからこそなのです。

ユーザーフレンドリーな仕様
ULバックパックは軽く&シンプルであることが基本です。それゆえにハードルが高いものだと誤解されることがあります。ULバックパックを使うにはユーザー自身が一手間くわえなければならないという誤解です。実際には山道具に限らずどんな道具も使い手自身が手を加えることは、使い勝手を向上させるうえで必要なことだと思いますが、ただでさえバックパックの軽さ&薄さに不安になっているわけですから、それ以上の不安要素は取り除こうというのが山と道のユーザーへの気配りです。
ULでは珍しい?ハイドレーション対応
昔からULバックパックはハイドレーション用のスリットが付いていないものがほとんどでした。工夫すれば仕様にはなんら問題ないのですが、他の一般的なバックパックと同じ使い勝手であることは、はじめてULバックパックを選ぶハイカーをホッとさせてくれます。
出し入れがしやすいのびのびサイドポケット
ペットボトルや水筒が2本収納できるサイドポケット。もっとも力学的なバランスがよい背面上部で背負った際にも、できるかぎし出し入れにストレスを感じないよう伸び率の高いパワーメッシュが採用されています。ボトルの出し入れの際にバックパックの背負う位置を調整する一手間を省いてくれます。
初期装備されましたウエストベルト
ミニのウエストベルトはテープ状のシンプルなものです。発売当時、このウエストベルトはフロントポケットにしまわれており、必要ならば各自でお付け下さい、という仕様でした。ULバックパックはウエストベルトがなくてもなんら問題ない、そうした山と道のULへのこだわりがここにでていたのです。しかし後年、ウエストベルトは最初から装着されるようになりました。必要ならば自分で付けてくださいではなく、大丈夫だと感じたら是非外してみてください、というやわらなかスタンスへの転向といえるでしょう。はじめてULバックパックにトライするユーザーが思い切れるよう、そんな優しい眼差しが感じられます。
バンジーコードの取り付けで悩む必要はありません
ULに限らずバックパックには様々なループが付いています。「これ何に使うんだろう?」と疑問に思うことがよくあるはずです。慣れてくるとそうしたループを見るにつけ「こんな感じにつかえる、あんなものも取り付けられる」とアイデアが生まれてきます。工夫次第でなんでも付けられるのです。しかしそれを最初からリクエストするのではなく、後日のアイデアになるようにバンジーコードが初期装備されています。
- 衣類などをはさめるフロントポケットのバンジー
- ポールやアイスアックスも固定できるサイドのバンジー
- マットや衣類を固定できるボトムのバンジー
ユーザーがまず付けたいと思うものに絞ることで、ユーザー自身が工夫するとっかかりを提供しています。
いつかは使いこなしたいビバークシート
ミニの背面には同社のミニマリストパッドを四つ折りにしたものが入っています。これがいわゆる背面パッドとなります。ULバックパックを語る際に背面パッドやフレームをどこまで省略するかは意見がわかれるところです。特に経験豊富なハイカーになればなるほど、個人差がでる部分なのです。しかしはじめて使うハイカーにとってはフレームはともかく、パッドもないって、と腰が引ける理由にもなりかねません。
ビバークシートともいえるミニマリストパッドなら、パッドを装備する別の意味を与えることができます。休憩時の座布団として、まさにビバークシートとして、山岳レーサーならこれで普通に睡眠をとる方もいるはずです。
ULバックパック、はじめの一歩
使い勝手がよいとひとことでまとめるのは簡単にすぎます。ULなのにいろいろ付いているよねと言うのもやっかみみたいですよね。山と道ミニはウエストベルトの仕様で説明したように実はUL原理主義的な一面をもつゴリゴリのバックパックです。ULへの熱い想いが込められているバックパックです。そしてそれはULをはじめての方にも実感して欲しいという使命にも通じているように思うのです。
だからこそ、はじめてのユーザーが最初の一歩で挫折しないよう、気持ちよくその一歩をふみだせる仕様にこだわっているのだと思います。そしてミニがサポートしているのははじめの一歩だけなのです。それ以降はしっかりと使いこなすために、自ら考えて使っていくというスタンスが求められます。ただユーザーフレンドリーなだけではないのです。使いこなす余地がしっかりと残されています。だからこそ、デイハイクを楽しむフレッシュマンハイカーから、日本を代表する山岳レースの出場アスリートまで、多くの方をひきつけるのです。