
WING MAN
Weight
123g
汎用性と軽量性
リバイバルによる新たな魅力
チェストバッグの現在進行形
バックパックをおろさずに、水、行動食、地図、カメラ、スマートフォン、その他アクセサリーを手にとりたい。ハイカーにとって行動中最大の欲求です。サイドポケット、ウエストベルトポケット、ショルダーポケットをバックパックに付属させることにはじまり、ウエストバッグ、チェストバッグ、サコッシュと他のバッグを併用することでハイカーはこの欲求を満たしてきました。こうしたサポートバッグのトレンドは年代によって変化し、リバイバルすることで新たな魅力を生み出しています。
MYSTERY RANCH(ミステリーランチ )ウイングマンはバックパックのショルダーベルトに直接取り付け、胸の周辺にウォーターボトルや行動食、頻繁に必要とする小物やカメラなどを保持するチェストバッグです。DANA DESIGNSウェットリブ、PAAGO WORKSパスファインダーといった名品の系譜を受け継ぐ最新形といえるでしょう。ハイカーサコッシュほどではないものの、現代の軽量ウエストバッグレベルの120gという軽さはUL志向のハイカーにとっても見逃せないのではないでしょうか。
収納例
1日分の行動食の携帯にも、行動中に頻繁に出し入れする可能性がある小物の携帯にも十分なサイズです。
行動食とウォーターボトル
水600ml、ビーンズミックス110g、炒玄米100g、Trail Butter(33g) 2個、MANA BAR(45g) 2個、粉末ジュース
行動食とウォーターボトル、その他小物
水600ml、Trail Butter(33g) 1個、MANA BAR(45g) 1個、粉末ジュース、筆記用具、ヘッドライト、ホイッスル、ポイズンリムーバー、軟膏、日焼け止め、浄水器、ヘッドネット
ディテール
内部には仕分ポケット
ボトルの固定バンジーは調整が容易
バックパックへの取付例
ULA OHM2.0
Gossamer Gear マリポサ
ショルダーストラップに写真のようなNBテープが付いているバックパックでしたら、MYSTERY RANCH以外のバックパックでも取付可能です。
ショルダーバッグとして、ウエストバッグとして
20mm幅のNBテープ1mと20mm幅コキ1つを取り付けることで、チェストバッグとしてだけでなく、ショルダーバッグ、ウエストバッグとしても使用したくなる汎用性の高さは新たな魅力といえるでしょう。もちろんメーカーはこうした使用を想定していないでしょう。しかしこうした想定外の発見こそ、新しい道具を使う時の面白さでもあります。
ショルダーバッグとして
ウエストバッグとして
サポートバッグの変遷とリバイバル
行動食、地図、カメラ、その他小物を携帯するサポートバッグには歴史があります。1980-90年代はウエストバッグが全盛でした。1990年代にはMountain Smithを筆頭にヒップバッグ(ランバーパック)に大きな注目が集まりました。そして90年代後半、DANA DESIGNSウエットリブが登場します。バックパックのショルダーベルト下部に取り付けるボトルホルダーと小物ケース一体型のサポートバッグです。現在でもバックパックに取り付けるオプションバッグの歴史的名品といえる独創性の高いモデルです。このバックパックに取り付けるオプションバッグとしては2000年代のHobo Great Works(のちのPaago Works)パスファインダーも忘れてはいけません。アウトドアライター斎藤潤(ホーボージュン)の経験をカタチにした同モデルはチェストバッグのひとつの完成形といえます。
そして2010年代、ハイカーズデポオーナーの土屋が2008年のJMTで使用した簡易ショルダーポーチをハイカーサコッシュとして提案したことを機にこの簡易バッグが日本のULハイカーのあいだに浸透していきました。2010年代後半にはULハイキングというシーンを越えてサコッシュは拡散定着していきます。この2010年代後半には、日本限定の局地的トレンドであったサコッシュに対して、北米ハイキングシーンではウエストバッグが再注目を集めるようになっています。
1980年代 ウエストバッグ
1990年代 ウエストバッグ/チェストバッグ
2000年代 チェストバッグ
2010年代 サコッシュ
2020年代 ウエストバッグ?
ハイキングシーンにおけるサポートバッグには、このような変遷を見てとることができます。現在のウエストバッグリバイバルは更に盛り上がるのか、そしてこのMYSTERY RANCHウイングマンを契機にあらたなチェストバッグがでてくるのか、これからのサポートバッグの動向にも要注目です。