
Lone Peak 5.0[womens]
Weight
476g
ALTRAのフラッグシップ
いまやハイカーのスタンダード
クッション性とダイレクト感の融合
ブランド誕生の地、ユタ州の山から命名されたローンピークは2011年のALTRA誕生と同時に産まれたモデル。同ブランドのトレイルランニングカテゴリーにおけるスタンダードであると同時にフラッグシップといえるモデルです。inov8 や new balanceといった先行ブランドで謳われてきた低いドロップ差やフォアフットといったスタイルを加速度的にシーンに定着させた立役者が ALTRA です。いまや北米のハイカーやトレイルランナーにとってスタンダートとなったローンピークは、2010年代から2020年代にかけてのハイキング&トレイルランニングを象徴するシューズです。

Black
進化を続けるローンピーク。その5.0バージョンは柔らかく通気性の高いメッシュアッパー、広々としたトゥーボックスに加え、そのミッドソールに注目してください。前後の反りがおさえられたフラットな履き心地と高いクッション性、地面へのダイレクト感と素早い反応、これらが高いレベルで融合したミッドソール「Altra EGO™ foam」が最大の特徴です。
フラット感・ダイレクト感の第一世代(1.0、1.5)、広々としたトゥーボックスの第二世代(2.0、2.5)以降、クッション性と剛性感の第三世代(3.0、3.5)、そして第四世代は第一世代を彷彿とさせながら、全ての世代の特徴を融合させようとした挑戦的なシューズでした。4.5では一つの完成形を見せてくれたといえるでしょう。
そして第五世代であるローンピーク5.0は、4.5をブラッシュアップ。さらに意欲的に全世代の特徴を高レベルで融合しようという姿勢を感じます。そして長距離ハイキングに適した進化を感じとることもできるのです。
アッパー
アッパーの素材は第四世代から継承。耐久性と高い通気性がありながら、砂などが入りにくいものです。素材の定番化は安心材料のひとつでもあります。優れた速乾性に合わせ、非常に高い通気性を持ちながら、砂などが入りにくいのがこのアッパーの特徴です。トゥーボックスは指先の自由度を確保しつつ、甲周りに補強がしっかりと入り、特に内足側に大きな当てが入りました。これにより安定性が向上したように思います。第四世代で特徴的だった補強コーティングではなく、物理的に当てをするガードが増えました。トゥーボックスの広いメッシュ部以外はメッシュの露出が減った印象です。トゥーガードはさらに硬いものになり、アウトソールとのバランスも良いように感じます。これによりシューズの歪みが抑えられ、しっかりとした履き心地になっています。さらに甲周りのフィット感が高まったことも安定感に良い影響をあたえているようです。ヒールカップは4.5ほど薄くないもののフィット感の良さは変わりません。
使われているメッシュ素材は、通気性が高く速乾性にも優れますが、「すぐに濡れる」「足が冷える」といったデメリットも生じます。メリットとデメリットは表裏一体ともいえるのですが、このメッシュ素材の乾きやすさという点をハイカーズデポでは高く評価したいと思います。特徴がはっきりしているシューズは、最適な履き方使い方をしっかりと探せるものです。
アウトソール
MaxTrac™ Rubber、TrailClaw™といったオリジナルのラバー素材やパターンとなっています。アウトソールのデザインについては第四世代とほぼ同じ、アグレッシブなパターン配置です。オールラウンドというよりは前後の動きに対してよりトラクションを発揮するようなパターンになっています。初代から踏襲してきている順当な進化といえるでしょう。ハイカーズデポスタッフ間の主観的な意見にはなりますが、スペリオールやオリンパスなどと比較してもローンピークのトラクションはALTRAの中でも高く安心できるものだといえるでしょう。またロッカーが強すぎないフラットなアウトソールは初代ローンピークに近いものを感じます。
ミッドソール
5.0はアッパーとミッドソールの相性が非常に良いと感じています。Altraオリジナルのミッドソール「Altra EGO™ foam」は重要な地面へのダイレクト感にくわえ、定評のあった第三世代のクッショニングを彷彿とさせる柔らかな接地感を併せ持っています。おそらく第三世代から履き替えた人はダイレクト感を感じ、第四世代から履き替えた人はクッション性を感じるのではないでしょうか。クッション性とダイレクト感のどちらかではなく、どちらも持っている。それが今回のローンピーク5.0を性格づけるミッドソールの感覚です。歩行時には柔らかい地面の時にはコシを感じ、硬い地面の時にはふわっとしたクッションを感じます。このミッドソールは多種多様な地面を歩くことになる長距離ハイカーに好まれるのではないでしょうか。長い距離を安定して歩けるようになったことは、より早くではなく、より長く歩き続ける走り続けることを意図しているALTRAにとってローンピーク本来の目的に合致した進化なのではないでしょうか。
ミッドソールとアウトソールとの間に挟まれるストーンガード™も大きな特徴の一つ。岩場などでの突き上げから足を保護してくれるだけでなく、ソールユニット全体の硬さを出すことができます。
フットシェイプ™
見た目でわかる大きな特徴がこのフットシェイプ™。指先をリラックスさせ、かつそれぞれの指にしっかりと力を込めて大地を踏む感覚を引き出してくれる幅広のトゥーボックス。裸足で生活し、山野を移動する先住民族の足はそのほとんどが指先が大きく開き幅広の足となっています。人間本来の力で歩くならば、こうした型が理想的だとの考えから、足を締め付けない自由な足型はALTRAの大きな特徴になっています。
ローンピーク5.0気になる点は、、、
初代から全てのローンピークを履き込み、様々なトレイルを歩いてきたハイカーズデポスタッフの長谷川にとって、ローンピーク唯一の欠点といえばヒールカップ内側の素材が弱いこと。100kmも使わないうちに、内側の生地に穴が開いてしまうことがありました。もちろん使用する側の歩き方使い方のクセも大きく関わるので一概には言えませんが、ローンピーク愛を声高に語る彼にしたら最も気になって仕方がないポイントなのです。5.0でも従来と変わらない素材が使われているようですが、履き込んでどうなるか注目です。
ローンピークの変遷
人間が本来もつ自然な運動フォームに導くための「ゼロドロップ」はALTRAシューズに共通する最大の特色ですが、シューズ各々の個性は何なのか。それを理解するためにローンピークの歴史を紐解くいてみましょう。
第一世代
・1.0【Origin】薄めでシンプルなソールユニット 柔らかいアッパー
・1.5【Tightly】薄めでシンプルなソールユニット タイトなアッパー
第二世代
・2.0【Wide】しっかりした厚みと広さをもつソールユニット 伸びの少ないアッパー
・2.5【Stretch】しっかりした厚みと広さをもつソールユニット ストレッチアッパー
第三世代
・3.0【Moderate】ロッカーと腰のあるソールユニット 適度なバランスのアッパー
・3.5【Durability】ロッカーと腰のあるソールユニット プロテクション重視のアッパー
第四世代
・4.0【Softy】腰がありフラットなソールユニット 柔らかく通気性高いアッパー
・4.5【Moderate】腰がありフラットなソールユニット 通気性高くバランスのとれたアッパー
第五世代
・5.0【Cushion】やわらかな接地感のソールユニット 通気性高くバランスのとれたアッパー
ローンピークはALTRAにとって創業時から続くフラッグシップモデルのひとつですが、アンバサダーやカスタマーのフィードバックから実験的な改良を重ねてきました。そのため、各世代毎の個性が顕著なのです。
ファーストモデル以降のローンピーク変遷を大枠でとらえるとこのように理解できます。第一世代から第二世代に至る過程はシューズトレンドが「マックスクッション」に傾倒するのと歩調をあわせています。その影響もあってか、第二世代以降、やや厚みのある柔らかいアッパーをもつ軽くフレキシブルなシューズになりました。
このようにローンピークは世代毎にソールとアッパーとのバランスが個性的なだけでなく、シリーズ全体を通じてソールが主体で、アッパーのおさえこみを物足りなく感じる傾向がありました。ネイティブアメリカンのモカシンシューズを彷彿とさせるアッパーに頼らない構造はローンピークの特徴ともいえますが、使う人を選んでしまうのも事実でした。こうした個性的なアッパーとソールのバランスが改善され、シューズとしての一体感を誰もが楽しめるようになったのが6年目の第3世代からと言えます。より良い可能性を模索した上で履き手を選ぶシューズから、長距離トレイルに代表される様々なコンディションに対応できるバランス感の良いシューズへ、そのひとつの方向性を指し示したのが第四世代です。第四世代は、ソールのフラット感は初代を彷彿とさせ、アッパーの雰囲気は第二世代を思い出す。そんな世代間融合をも感じさせるシューズでした。
そして第五世代。世代間融合という方向性は第四世代と同じですが、オリジナルミッドソール「Altra EGO™ foam」により、第五世代ならではの接地感を手に入れました。
長距離ハイカー向けともいえる次なる進化。
ローンピークからは目が離せません。
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