AXESQUINE

Hagoromo

クロージング ギア
Weight

90g

柔らかな20D Pertex® Quantum Air を採用した軽量なソフトシェルプルオーバー。今までにない着心地と通気性の高さ。2022年モデルよりフードモデルとなりました。ウィンドシャツの正統な進化型。
Weight

90g

SPECIFICATIONS

重量
90g / JPN Mサイズ(実測値)
素材
素材:Pertex® Quantum Air 20D リップストップナイロン(ストレッチあり)/通気度25.5㎤/㎠・s
カラー
アクイロ(灰汁色)
ウグイスチャ(鶯茶)
サイズ
JPNサイズ 
UNISEX XS、 S、M、L

サイズ一覧(単位:cm)
XS : 着丈68 袖丈52 肩巾64 身巾47 裾巾47
S : 着丈70 袖丈53 肩巾68 身巾50 裾巾50
M : 着丈73 袖丈54 肩巾72 身巾54 裾巾54
L : 着丈76 袖丈55 肩巾76 身巾58 裾巾58
XL : 着丈78 袖丈56 肩巾80 身巾61 裾巾61
16,200円 (税込17,820円)
Hiker’s Letter

ふわりと浮かぶような軽さ
頬擦りしたくなる柔らかさ
抜けの良さは随一のウインドシェル
『Hagoromo ハゴロモ』

アクイロ(灰汁色)
ウグイスチャ(鶯茶)

空中を自由に飛ぶ 天女纏う衣、羽衣。それに例えられた『AXESEQUIN ハゴロモ』は、超軽量で、ふわりとし、軽く身体にまとい、動きやすい、そんな感覚のウィンドシャツです。ウインドジャケットというよりもウインドシャツという表現がしっくりきます。他の大手メーカーのウインドジャケットは透湿性や通気性よりも近年は防風性に舵をきっているものが多いこともあり、ハゴロモの独自性が際立つようになりました。2022年度からは素材、シルエットに大きな変更はありませんが、フードモデルとして新たなスタイルとなりました。
同社の「アメノヒ2.5」と共にこの「ハゴロモ」は、今までアウトドアウェアとしてありそうでなかったものといえるでしょう。「凌」など古くて新しい取り組みをおこなうアクシーズクインらしい現在進行形のウェアといえるでしょう。

 

ハゴロモ の仕様

ハゴロモのデザインは本当にシンプルです。前身頃、後ろ身頃、両腕、そしてフード。主要な構成要素はたったそれだけです。着物をベースとしてデザインされた独特の肩ヨーク。ボディはややゆったりとしたストレートなシルエット。シンプルなデザインだからこそ、無理なトリムフィットをとりいれることなく軽量化ができているのです。

独特な肩ヨークデザインは、ラグランのようにも見えますが異なります。作務衣などにも見られる日本の着物から取り入れたデザインで、ゆるやかにフィットし、動きやすい肩周りを作り出します。日本人としての情緒が何かを感じるのでしょうか。着てみると違和感なく、しっくりと他のものとも混じり合います。

ラグランスリーブのように見えますが、全く異なる独特のヨーク位置は日本の着物から着想をえたもの。これがサイズ感を選ばない独特のやわらかな着心地を生み出しています。

裾は2021年モデルまではストレッチトリムでしたが、2022年モデルよりドローコード方式に変更となりました。シンプルでいてキツすぎず緩すぎずという感触に優れていたストレッチトリムでしたが、今回の変更で体型を選ばなくなりました。

 

袖口は従来と同じストレッチトリムのままです。モデルによっては締め付けが強すぎる袖口。袖まくりしたくてもできないものも多くあります。ハゴロモの袖口は、そっと沿う程度の締め付けで、袖をまくった時にはしっかりと広がり、締め付けられすぎて痛くなることがありません。袖口の内側に付いているループは、親指にかけるサムループではなく、中指にかけて使います。まるで手甲のような付け方です。手甲をつける目的は、現代でいうアームカバーと指なしグローブのようなものといえるでしょう。サムループよりも甲全体を覆うので保温や日除効果はありそうですが、作業の際には少し窮屈感を感じるかもしれません。

 

センタージップは上、下のどちらからでも開けるダブルスライダーになっています。上から下げて開く通常の使い方だけでなく、襟元を閉じながら、胸元から外気を入れ換気するという使い方もできます。

 

素材

▪️Pertex® Quantum Airとは

驚くべき通気性の高さ。光に透かせば、どれほど薄く、空気が抜けるための隙間が多いかが分かります。使われている「Pertex® Quantum Air 20D」という生地は、一般的に使われる防風ナイロン生地の25倍も通気性があります。これでは防風にならないのでは?という疑問もうまれますが、フィールドでテストしてみても、従来の防風素材と比較して、極端に風が抜けるという感覚はありません。シャツは防風素材ではありませんが実用的に風をある程度は防いでくれます。それと同じと考えれば良いでしょう。「風はわざわざ通りにくところを通っていかない」ということです。ハイカーは防風対策としてコーティングやフィルム構造を持った完全防風のレインウェアを携帯しているはずです。ハゴロモくらい通気性の高いソフトシェル、ウィンドシャツはハードシェルとの住み分けがしっかりできるといえるでしょう。

Pertex® Quantum Air は発汗を伴う持続的運動や強い負荷のかかるエンデュランスの状況において、適度な防風性を発揮しつつ、衣服内の湿気、汗などを積極的に排出し、衣服の脱ぎ着を減らし、体を快適に安定した状態にすることを目的とされた生地の総称ということです。ダウンプルーフ生地が使われることの多いウィンドジャケットのカテゴリーにあって、ソフトシェル素材のストレッチ性と通気性を持っています。また非常に柔らかな風合いも特徴でしょう。表面には耐久撥水加工がされていますが、凹凸感の強い生地のため、どうしても撥水能力の維持には難点があると言えるでしょう。しかしその凹凸が素肌との密着を避け、さらっとした快適な肌触りを与えてくれます。

これらの生地で懸念されるのは、むしろ防風性ではなく生地の強度と言えるでしょう。確かにこれほど薄く柔らかい生地ですから、ひっかかったり、突き刺したりという力には弱いのは事実です。しかしそれは通気性との代償ではなく「90g」という軽さを得たからの代償と考えたほうが良いのです。しかし20デニールという生地はいまや多くの方が思う以上に安心して使える生地になったといえるでしょう。

Patagonia 旧Houdini Jacket を圧倒する通気性。さらに、以前にはスコーミッシュジャケットのみの特徴となっていたストレッチ性を持っています。防風性の高いウィンドシャツ、ウィンドジャケットが主流になった現在、蒸れるからという理由から山でウィンドシャツを着ない、という声も耳にします。そんなハイカーにこそ、この通気性が高い『ハゴロモ』を試していただきたいと思います。

 

日本の山のための『凌(しのぎ)』というコンセプト

〜 凌ぐとは、足りることを知ること。〜
雨を凌ぐ 風を凌ぐ 寒さを凌ぐ 汗を凌ぐ 難所を凌ぐ 煩わしさを凌ぐ

日本の気候風土にあった和を意識させる衣服と海外の登山文化を融合したアイテムを発信し続けるメーカー「AXESQUIN(アクシーズクイン)」。今までもアウトドアシーンを驚かせるアイテムを数多く出してきましたが、2016年から新しいコンセプトが加わりました。それが『凌(しのぎ)』です。今までも同社の根底にあったモノづくりの姿勢ですが、それをコンセプトとして明確に打ち出しました。防ぐのではなく、受け流す。まず受け入れることで自然との深い交わりがうまれます。凌ぐのですから防ぐほどの過剰な道具は要りません。最低限の道具と知恵で自然を凌ぐ。知恵により道具を使いこなすことは登山者としての喜びや楽しみにつながるでしょう。そんな思いが込められたアクシーズクインのコンセプトです。

日本の山を強く意識した『凌』のアイテムは日本だけで有効なものでしょうか。そんなことはありません。日本の気候は世界的に見ても複雑です。日本の山野で使えるものは世界的にも使用範囲の広いアイテムになりえるのです。

 

ウィンドジャケット&シャツの潮流

2000年代後半以降の定番アイテムといえるウィンドシャツ&ウインドジャケットカテゴリー。レインジャケットにできないことができるため、同じような形をしていても別途携帯する意味がある製品です。しかし現在は状況が変 わってきました。

いわゆるウインドブレーカーとして古くから存在していたウインドジャケット。しかし2000年代後半に復活するまでは「失われたカテゴリ」でした。なぜなのか。それは通気性がなかったからです。ウインドブレーカー時代は「防水ではないナイロンジャケット」そのものでした。防水性がないだけで、防風性が高い=動き出すと蒸れる製品がほとんどでした。GORE-TEX®︎やeVent®、Pertex Shield+® などの素材は、外気が乾燥しているほど透湿性能を発揮します。したがってウィンドジャケットを着用するような晴れもしくは曇りの天候ならばレインウェアでも十分だったのです。ウインドブレーカーは蒸れるし、だったらレインジャケットでいいじゃないというわけです。これが登山業界で長く言われてきた「レインウェアがあれば、ウィンドジャケット代わりにもなる」 という意味なのです。

しかし、2000年代後半から台頭してきたウィンドジャケット(ウィンドシャツとも呼称)は、通気性が非常に高いことが評価され再興してきたのです。そのきっかけのひとつはMONTANE フェザーライトスモック(2014年廃盤)です。通気するのにダウンが抜けないというダウンプルーフの素材を採用し、それでウィンドジャケットをつくりました。その素材が当時最新素材だった Pertex® です。そしてさらに通気性が高く、軽いものが登場します。その代表格がPatagoniaドラゴンフライ から続くフーディニジャケット (2015年以降のフーディニジャケットは防風性向上のため、著しく通気性が低くなってしまいましたので既に別物といった趣です。)です。日本の繊維メーカーがてがけた、丈夫ながら高通気性の特殊な生地を使用しており、あの生地感に驚きと感動を覚えたユーザーは多いはずです。通気性が高いので、運動強度が上がっても蒸れにくく、適度に風も抜けるので不快感が少ない。防風性も実用上十分に備えているため、風による体温低下も防いでくれます。この機能はレインウェアにはできないのです。通気性が高いと言われる NeoShell® ですら、ウィンドシャツ同様の通気性を持つことはできません。

こうして独自の立ち位置を築いたウインドジャケットですが、現在は再び防風性の向上という流れの中にいます。それが顕著に現れたのはArc'teryx スコーミッシュフーディの登場以降です。スコーミッシュフーディーの生地は裏地に透湿性コーティングを施すことで防風性を高めるという試みをしました。この製品はアルパイン環境での使用を意図しているため通気性よりも防風性の更なる向上を選んだのです。もちろんその選択は間違いではありませんが、旧世代のウィンドブレーカーに近いコンセプトになってしまったのも事実です。その後、現在に至るまで他メーカーも追随するように防風性の高いウィンドシャツをリリースするのが主流になっています。

こうしたウインドジャケットの流れを紐解くと、現在のトレンドの中におけるハゴロモの特異性と独自の立ち位置が理解しやすいのではないでしょうか。

 

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