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The OMM

参考商品:Aether Smock(メーカー廃番・在庫なし)

クロージング ギア
Weight

191g

"革命"を越えた軽さ。3レイヤーでは間違いなく最軽量と言える重量と生地の薄さからくる収納性の高さは魅力。一歩先の軽さを求めるハイカーに。
Weight

191g

SPECIFICATIONS

重量
191g / Mサイズ(実測値)
素材
eVent 3 layer
(表地は推定で15dn×15dn相当もしくはそれ以下)
耐水圧 30,000mm 程度
透湿性 16,000g/m2/24h 程度
カラー
サイズ
Black/Orange、Blue/Orange
S、M(XS、Lはお取り寄せになります)
36,000円 (税込39,600円)
現在お取り扱いがございません
Hiker’s Letter

未来を感じさせる軽さ『Aether Smock』。

センセーショナルな軽さかつ革新的なデザインで登場した『Montane Spektr Smock』の3レイヤーで200g前半という越えることのできないと思われた軽さ。それをさらに越えた実測191g(サイズM)のスモックこそが『Aether Smock』です。

『Spektr Smock』 は間違いなくアウトドアクロージングに革命を起こしました。ひたむきなまでに軽さにこだわり、各部の調節を一切省き、フロントジッパーもベルクロにするなど、そのデザイン性にも多くの魅力がありました。

Aether Smock は違います。ポケットや各部の調節を残しながらも、全体のパターンやカッティングをシンプルにすることで使い勝手と軽さを両立しながらも軽さを追い求めてきました。素材には透湿性に定評のあるeVentを採用。生地の詳細が明らかにされていませんが、かなりの薄さです。これはギリギリの強度と言って良いレベルでしょう。サイズ感は特に小さいということも無いですが、ジャケットよりは少し細身に感じます。

スタンダードなアイテムの様に誰でも同じように使えるとは言い難いものですが、技量や使い方さえわきまえれば通年に渡って使用することも十分に可能でしょう。

 

展開色は2色あります。

Blue/Orange と Black/Orange

 

〈フィールドについて〉

ヨーロッパを中心に盛り上がりを見せる『Mountain Marathon』。北米のトレイルランニングとは若干様相が異なり、山岳地帯の通過や泊まりながらの長距離のレースも多く開催されています。日本の山岳マラソンという雰囲気に近いでしょう。それによりイギリスのブランドを中心に軽さに特化した商品が生まれて来ています。

その中でウェアカテゴリーを牽引して来たのが『Montane』そして、『The OMM』です。
OMMの正式名称はその名も"The Original Mountain Marathon"。元々はレースの名称ですが、ヨーロッパの変化に富んだの過酷な気候にも対応する、軽く機能的な商品を作っているメーカーです。このブランドを立ち上げたのはあの『Karrimor』の創設者で、バックパックを中心に作って来ましたが、最近ではウェアにも力を入れています。
それらのウェアはマウンテンマラソンランナー向けではありますが、軽量で機能性の高さから国内外のライトウェイト志向のハイカーからも注目を集めていま す。その中でも、湿度が高くかつ気温の低いイギリスや日本といった島国にも対応する透湿性能を持った防水素材eVentを採用しているのが"Aether Smock"です。

〈素材について〉

eVentは防水透湿性に優れた素材です。『ePTFE』という素材を延伸加工した防水透湿性のある膜で、この延伸加工によりePTFE膜 には水分子より小さくでも通気する微細な穴が空きます。そのような膜だから『水は通さず防水、でも通気するので蒸れにくい』ということになるのです。
この膜を使っているのはGore-Texも同じですが、従来型ゴアテックスは片面にウレタン膜を加工しているため湿度の調整や汚れの吸収を減らしてくれ代わりに 通気性を失っています。eVent は膜に疎水性加工を施すことで、汚れが残りにくくなり、そのまま使うことで通気性を確保しています。
また透湿運動とは、衣服内の温度と湿度、空気中の温度と湿度、この差で行われます。通常の防水透湿素材の場合は蒸れるまで待たなければ透湿が始まらないのですが、eVent は通気があるので蒸れる前に透湿が始まります。これがeVent が蒸れにくく涼しいと言われる理由です。
大陸性気候の場合空気が乾燥しているので温度、湿度の差が少なくても透湿運動が起きやすいのですが、島国などの海洋性気候の場合空気が湿潤なので温度、湿度の差が大きくないと透湿運動が起きにくいのです。だからこそ、少ない差でも透湿運動が起こりやすいeVentは日本に適していると考えることができるのです。

〈スモック(プルオーバー)について〉

今ではスモック(プルオーバー)のアイテムが増えました。スモックタイプにする理由は軽さやデザインのシンプルさにあります。ジャケットの場合、脱ぎ着にこそ特徴はあるけれど、着てしまうと下まで完全に開けて行動する人が少ないのも事実でしょう。そう考えると最低限に留めたスモックタイプでも問題ないと言えます。一口にスモックタイプと言っても新しい素材の台頭により細分化されてきています。より軽さを求めているものにはPertex Shield+。通気性や透湿性を求めるものにはPorlatec Neo Shell。
Pertex Shield+はポリウレタン有孔質膜の防水透湿性素材の為、高い次元で防水性と透湿性を実現しています。そしてPertexの特長でもある通気性が高く丈夫な極薄生地を合わせることで、防水透湿膜本来の性能を邪魔することがありません。しかし、ほとんどのメーカーが2.5レイヤーを採用しているため、アンダーレイヤリングによっては透湿性を左右したり、着心地に影響がでてしまいます。
Porlatec Neo Shellは、素材自体にストレッチ性があり今までeVentが苦手としていた柔らかな素材感にも特化しています。ところが軽量な表地との組み合わせが実現しておらず軽量化にはいまだ難があります。また通気性透湿性に特化したことで耐水圧が低いので、メーカーによってはソフトシェル素材としての使用にとどめるなど、レインウェアとしては未だ未知数なのです。

そう考えるとeVentという素材にはまだ有利な点が多いといえます。2013年時点での各素材を採用した軽量なスモックと比較してみましょう。

MONTANE Spektr Smock
素材/eVent
ポケット/無し
フード、すそ、そで/調節無し
サイズ/逆三角形で細め、通常よりもハーフからワンサイズ近く小さい
重量/215g(Mサイズ)

Montane Minimus Smock
素材/Pertex Shield+
ポケット/腹部のビブポケット
フード、すそ、そで/調節無し
サイズ/ストレートでやや細め、少し重ね着ができる余裕あり
重量/139g(Mサイズ)

Teton Bros. Tsurugi Jacket
素材/Porlatec Neo Shell
ポケット/左右共通の縦型カンガルーポケット
フード、すそ/調節あり
そで/面ファスナー調節あり
サイズ/ストレート。重ね着の余裕あり
重量/320g(Mサイズ)

OMM Aether Smock
素材/eVent
ポケット/左胸内ポケット1カ所
フード、すそ/調節あり
そで/調節無し、サムホールあり
サイズ/ストレートでやや細め、重ね着可能
重量/191g(Mサイズ)

『Spektr Smock』は逆三角形のデザインなので風のばたつきを抑え、ところが肩回りに余裕があり動きやすさを考えています。しかしその形状のせいでどうしてもサイズ感が小さくなってしまいます。また軽さやデザイン性の魅力はあるもののポケットが一つもないので冬場の使い勝手に劣ります。独特なフロントベルクロにも慣れが必要でしょう。
『Minimus Smock』はなんと言っても圧倒的な軽さ。唯一150gを切ることができている防水透湿ジャケットです。生地は『Aether』とほぼ同等だと推測できますが、裏地が無い分軽いということでしょう。特徴的なビブポケットは荷物の出し入れのしやすさがポイントです。
『Tsurugi Jacket』は間違いなくNeo Shell の中では最軽量でしょう。Neo Shellを採用したアルパインジャケットとして使えるレベルとしては群を抜いて軽いです。しかし、320gという重さは従来の軽量ジャケットと同等で、脱いでいる時を考えると軽くはないです。冬用として留めればその可能性はとても大きいでしょう。またクセのあるデザインも『Spektr』同様に慣れが必要です。
『Aether Smock』の場合、発汗をたくさんするハイクアップの時やバックパックにしまっていることが多い3シーズンでも邪魔にならないです。正直3レイヤーと2.5レイヤーではプロテクションに大きな影響は及ぼしません。ましてやこの薄さではなおさらです。しかし半袖で合わせることも多いだろうランナーやスルーハイカーたちには3レイヤーの肌触りは嬉しいものでしょう。『Minimas』の圧倒的な軽さには敵わないものの、『Spektr』よりも機能が多く軽い。『Tsurugi』の通気性の高さには敵わないものの、防水性の高さは通年使用においては必要な機能でしょう。多雨多湿というイギリス風土ならではなのかもしれません。シンプルなデザイン性で重ね着も楽でしょう。内ポケットにすることでより軽くすることにも繋がったのかも知れませんが、使い勝手という意味では残念です。しかし、これだけの機能を搭載し、200gを切る軽さ、透湿性と防水性のバランスを考えると大きな魅力のあるスモックだと思います。

〈Aether Smockの細部について〉


一つだけあるポケットはCypherの時の外ポケットから内ポケットになりました。後でも説明しますがフロントジッパーがダブルスライダーなので上からでも下からでもポケットにアクセスできます。


独特な着物の様に右前合わせのカッティング。これには、デザイン以上の大きな意味があります。このスモックを良く見ると、通常はある脇の下の縫い目があり ません。ここは擦れやすい場所ですし、二カ所に別れることでシームシーリングによる手間や重さ、透湿性の低下、生地のもたつきで動きにまで影響します。 それを無くすために中央部一カ所に縫い目を持ってきているのです。しかし、まったくの中央に縫い目をもってきてしまうとバックパックのウェストベルトの バックルと干渉しやすいため、着物のように”合わせ”のデザインになっているのです。


背中や腕の部分も出来る限りシンプルなパターンになっていて、 湿度をうまく逃せるようになっています。


プルオーバータイプですが、ダブルスライダージッパーになっていて下からも開けられるため、首元を閉めて保温しながら、換気も行うことができます。また内ポケットへのアクセスがどちらを開けてもおこなうことができます。


サム(親指)ホールがあるので、手の甲を効率良く温めることで指先の血流を良くし手を冷えにくくします。

  


フードの形状はやや小さめに作られていますが、Cypherの時よりは若干余裕があるように感じます。フードを絞る構造は良くあるこめかみ付近を圧迫するような調節ではなく、後頭部を丸く絞ることで調節します。また顔の側面高を調整するドローコードのストッパーにも軽量化へのこだわりが伺えます。とても細いミゾが入っていてドローコードを引っ張ってからそのミゾに挟み込むようになっています。小さいコードロックと比べて1gも変わらないでしょうが、それ以上に顔周りをスッキリとさせるには効果があるでしょう。つばにはワイヤーが入っているので形状を安定させられます。

Black/Orange

Blue/Black
サイズは、unisex  SM をご用意しています。
XS、Lサイズはお取り寄せになりますのでお尋ね下さい。

弱点があるのはどんなアイテムでも同様です。視点を変えればそれは自分にとって良くもなるし悪くもなります。そう考えると、Aether Smockの良さは何でしょう。デザインでしょうか。やはり軽さでしょうか。それとも通気性の高さか。しかしそのどれもが先の時代のスタンダードになっているのでしょう。

一歩先の道具。Aether Smock は未来の常識になるのかもしれません。

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