
参考商品:Fireball Jacket(取り扱い中止・在庫無し)
Weight
322g
『ダウンの代わり』ではなく『フリースの代わり』として、より多くのアクティビティに対応すべくスモックから進化した『Fireball Jacket』。
Black
ダウンセーター、インナーダウンジャケットとよばれる薄手ダウンジャケットはもはやハイキングウェアのスタンダード。秋冬だけでなく春夏の防寒着としても使用できるオールシーズンモデルとしてハイカーに好まれるようになりました。
しかしダウンのデメリットである湿気によるロフト(嵩高)の減少は、ダウン量が少ない薄手ダウンジャケットの場合にはより顕著に感じられます。多雨多湿の日本のハイキングでは雨、霧、汗、様々な要因が衣類を湿らせます。このような湿気対策として化繊綿を再評価する動きがイギリスやアメリカ東海岸のハイカーの間で起きました。
こうした動きは、圧縮率と疎水性で他を圧するPrimaloft、ロフト高と軽さが魅力のCoreloftなど、これらのように個性的な機能をもつ化繊綿が発表されていることと無関係ではありません。特にPrimaloftは水を含みにくいだけでなく、湿った状態と乾燥した状態との保温力の差が他の化繊綿と比べても小さいことが評価を高くしています。絶対的な保温力はもちろんダウンなどにはかないませんが、化繊綿にはダウンのデメリットを補完する機能が高いのです。そこで日本同様、多雨多湿の島国であるイギリスメーカーで採用されているのではないでしょうか。
今までダウンと比較しての化繊綿の特徴を言いましたが、このジャケットの場合比較したいのはダウンではなくフリースです。中綿にはプリマロフトECO 40g/m2 を使用しています。これは決して保温力の高い厚みではないでしょう。しかし、アクティビティを伴った保温着としては最適といえます。化繊綿を用いてダウン と同様の保温力を出そうと思うと、それが厚みを増せば増すほど、重量を増して行っていまします。どんなに化繊綿が進化していたとしても現状、対比重量の保 温力ではダウンには敵いません。そうであれば化繊綿の魅力とは何か。それはフリースの代わりとしての行動着です。
フリースは吸汗性、速乾性などを考えると行動着としては非常に優れた素材だと言えるでしょう。しかし、どうしても重量については難があります。着て いる間は良くても脱いでしまうとかさ張るし、重いのです。ところがフリースは軽量化できる限界までほぼ近づいてしまったのです。これ以上は保温力を削るし か軽量化の道が無いのです。しかし同じように使うことができ、かつ圧縮性に優れた素材。それが化繊綿だったのです。
湿気に弱いダウンではメリットが出にくいより薄手のインサレーションとして。かさ張り、重いフリースよりも軽量かつ圧縮性に優れている素材として。 それが化繊綿の最大の特長と言えるのではないでしょうか。そう考えると、プリマロフトECO 40g/m2という絶妙な厚みを採用したからこそ化繊綿インサレーションとしてのの強みが最も活かされているのだと思います。
保温力としてはパタゴニアのR1シリーズやポーラテックのパワーストレッチがほぼ同等と言えるでしょう。それらのフード付きフリースの重量は平均約360g。そう考えると軽さに秀でているのがわかります。
もちろんデメリットもあります。どうしても裏地が生地になるので汗の吸い上げはフリースほど期待出来ません。ですからアンダーウェアの状況次第では着心地が悪くなることがあるのです。
ファイヤーボールジャケットの特徴を細かく見て行きましょう。
軽量
実測値322g/Mはフード付き薄手インナーダウンジャケットに肉薄する重量。同程度の保温力のフリースと比べれば格段に軽く圧縮性も高い。
- パタゴニア R1フーディー 357g(サイズ不明)
- アークテリックス FORTREZ HOODY 386g(Mサイズ)
防風性の高さ
表面素材のPERTEX Quantumはウインドジャケットにも採用されている素材。防風性の高さは折り紙付き。
対比重量で保温性が高い
縫製が少ないためコールドスポットも少なく、薄手にも関わらず保温性が高い。
保温性を高める工夫
表面の縫製箇所の少なさが防風&保温に活かされているのは他の化繊インサレーションウェアにも見られる方法です。薄手の部類にはいりますが、歩行時間を長くとり、シェルター設営後はすぐにスリーピングバッグに入ってしまうハイカーならば問題にならない薄さだといえるでしょう。またこの薄さだからこ そ、行動中の着用という選択も可能なのです。秋冬の早朝歩きはじめの身体が温まらない時間帯やフリースの代わりの行動着として、ダウンジャケットとは違い 汗によるへたり、濡れを気にせずに着用ができるのです。
防風ができる
素材はPERTEXの中でも最も薄くしなやかなQuantumを採用しています。ウィンドジャケットにも採用されている素材で防風性と適度な通気性にも優れています。そのため、ウィンドジャケットが必要なくなりますし、フリースの弱点である耐風性の無さを克服しています。先にも述べたようにフリースは冬の行動着としてはとても優れた素材ですが、防風性を付けると重くなるし脱いで畳んだ時にはさらにかさ張ります。そう考えると、化繊インサレーションは適度な保温性と防風性、速乾、圧縮性にも優れさらに軽量になります。
軽さにこだわりつつも動きやすさを犠牲にしていません。首元から肩を通って袖までを一枚のパネルで構成し、肩周りの動きやすさを考えています。このパターンはモンテインのウェア全体に共通していて、祖歩くこと、走ること、登ること、そのどれにも対応するように考えています。
フードは小さめに作られていて、クライミングヘルメットの下になった時に邪魔にならないよう設計されています。あごの高さもやや高めになっているため、ジッパーを完全にしめるとバラクラバに近い状態になります。
フリースの代わりとなる秋冬の行動着として。また春夏シーズンの防寒着として。検討してもらいたいアイテムです。