
参考商品:Siltarp 1(取り扱い中止・在庫無し)
Weight
208g
*完売となっております。次回入荷予定はございません。
いまでこそ多く普及したシルナイロン製タープの先駆けと言える「Siltarp」。ずばりその名前で発表されていることからも当時類似品がなかった 証拠とも言えるでしょう。そもそもシルナイロン自体がまだほとんど普及していない時代にインテグラルデザインはいち早く、シリコンを生地に浸透させたナイ ロン素材「シルナイロン」を使ったアイテムを数多く作りました。その中でもいまだに色あせず存在感を強く放つのがシルタープです。
自由自在なタープだららこその楽しみがある
写真はステルスカラーのオリーブ
Tarp(タープ)とはTarpaulin(ターポリン)の略称。ターポリンとは防水布、防水シートのこと。
本来タープはSheet Tent と言われており、それがターポリンで作られるようになって以降、Tarpaulin (Tarp) で作られたSheet Tent をTarp Tent と言うようになり、今ではTarp と言えばシート状の屋根になるものを指すようになりました。しかし、テントとは幕でできた遮蔽物を指すものですから、やはりタープも非自立式のテントの一 つとして考えて良いのでしょう。
山の景色の良い場所にて
風を受けやすい谷側を低くして張るのはタープだけでなく、幕営のセオリー。
シルナイロンは撥水力に優れた素材ですが、防水力はありません。ところが、インテグラルデザインが使用しているものは他社と異なっていて、生地に張 りがありとても撥水力に優れています。その素材にテンションをかけながらタープとして使用することで、もっと撥水効果が現れ、雨に対しても十分な防水性を 発揮します。
シルナイロン以上に軽量な素材が出ている現在においても、シルナイロンが魅力を失わない理由の一つに、生地の適度な伸び感があります。近年のウルト ラライトの軽量素材代表としてキューベンファイバーがあります。確かにとても軽く防水力に優れた素材です。しかし織物では無いため、縦横だけでなく斜め方 向のバイアスにも伸びないのです。キューベンファイバーのタープを張る時は全面に対して均等に力をかけなければどうしてもしわや偏りが出やすいのです。シ ルナイロンは適度な伸び感がありますので、そこまでデリケートに張らなくても綺麗に張りやすいだけでなく、特別なカーブを付けて縫わなくても自然なカテナ リーカーブが現れやすいのです。タープやフロアレスシェルターなど非自立式のシェルターがこのまれるウルトラライトのシーンではこの「自在にテンションが かけられる」という生地特性は何にも代え難いのです。
シルタープ1サイズ
5 x 8(フィート)= 150 x 240(センチ)
古くは米軍のポンチョをはじめ、現在でもGoLite、SEA TO SUMMITなどで製品化されている「ポンチョタープ」。この基本サイズが「5ft(150cm)×8ft(240cm)」。 シルタープ1のサイズもこれに準じているサイズです。前文で「山野で有効に使える限界サイズ」と表記しましたが、手にとってみた方の中には「もう少し小さ くても大丈夫なのではないか」と質問する方もいます。しかしタープは二次元サイズで考えるのではなく、3次元でどういうサイズになるかをイメージすること が必要なのです。屋根型を作ったり、出入り口を高く設定するとタープは斜めになります。結果、地面を覆う有効面積は二次元のサイズよりも狭くなるのです。 タープのサイズはこの「地面を覆うことができる」「雨や風の吹き込みを抑えることができる」有効面積を考慮しておく必要があります。短辺150cmの有効 長は100cm以下、長辺240cmの有効長は約200cm以下が目安になるでしょう。
シルタープ1の有効面積限界値:100cm×200cm
ソロシェルターのミニマルサイズとほぼ同面積であることがよくわかります。しかし高さについては90-100cmの室内高を設定している他のシェルターと 比べれば、やや不自由を感じる高さになってしまうことは否めません。もちろんタープに高さをだせばゆったりとしたスペースを作り出せますので、それは設営 時の状況次第。また周りからの吹き込みを抑えるためタープの辺縁を地面にベタ張りする場合はどうしても低空設営になります。まさに1人用ジャストサイズ。
ソロの場合、行き慣れた山や1~2泊の夏のハイキングであれば、シルタープ1で過ごしてみるのも面白いものです。生活に必要最低限な空間を作り出す屋根一 枚。その向こう側は自然そのもの。そんなダイレクト感を感じられるのはシルタープ1のサイズならでは。それ以外にもグループハイキングでの炊事場として使 用したり、荷物置き場の屋根代わりとしても使う方法があります。
シルタープには1辺で見たときに5カ所、中央部1カ所の計17カ所(5+5+3+3+1)という豊富なタイダウンループが 付いています。そのため多種多様な設営方法が可能です。もちろんそのためにはある程度の経験や技術は必要となります。しかし使うごとにシンプルな道具ゆえ の奥深さを感じたり、設営の美しさやバリエーションが増えていく上達の過程は、道具を使う楽しみそのものであり、そのシンプルな道具を使って野外で泊まる ことはハイキングの醍醐味のひつつに違いありません。
沢中にて
張り方のバリエーション
1、狭翼低空型 Narrow Wing Style
短辺の後方を地面にベタ張りし、短辺の前方中央をポールで立ち上げる設営方法で長さを活かした張り方になります。タープ中央のタイダウンループから外に引 くことでより空間を広げながら、風に対しても安定性が出ます。この方法は低く張れば張るほど風に強いのが特長ですが、高さを出すと横が大きく開いてしまう ため、どうしても立て空間を出すのが苦手です。寝ることに特化した張り方と言うことができるでしょう。
2、狭翼低空型分派 Narrow Wing Off-Set Style
1の場合は前方のセンターからラインを引いて立てますが、それを左右のどちらかにずらして片翼を長く、もう片翼を短くします。対角線に広くなるので長さを 活かしてよりゆったりと寝ることができます。写真の場合は110センチの長さのポールを使用していますが、全体に低空姿勢になります。
3、広翼中空型 Wide Wing Style
比較的ULハイカーのスタンダードな張り方の一つだと思います。設営は長辺の奥側をベタ張りにしてから、前方の中央部を立てて左右に開きながら固定するも ので、長辺と短辺に違いがあるだけでナローウィングと同様の立て方です。タープ中央のタイループを外に向かって引くことで内部空間がぐっと広がるだけでな く、湿気による幕のたるみを防止する役割もあります。ハイカーズデポ土屋も好きな張り方で今までのハイキングの中でこのスタイルを多く見かけます。ナロー ウィングよりも高さが出しやすいことと、生活空間が広く取れることもこのスタイルが人気の要因の一つと言えるでしょう。入り口以外は幕が低くなるので雨の 吹き込みを防止したり、耐風性の向上にも一役買っています。ですがこのスタイルにも弱点はあり、中央部が高くなる分四辺は低くなり顔の上の空間がとても狭 くなってしまうのです。慣れてしまうものですが、圧迫感を感じるのも事実です。
4、広翼中空型分派 Wide Wing Off-Set Style (a.k.a. Ryo-Hey Style)
3のワイドウィングスタイルの立ち上げる入り口側の中央部分を左右どちらかにずらすスタイルです。これはハイカーのリョーヘイ氏が3のスタイルをメインで 使っていた不便さを解消する為に使っている方法です。こうすることで3の弱点である顔の上の空間を確保することができます。しかし頭側が大きく開いてしま うことでの雨や風の吹き込みの対策を考える必要があります。しかし、1、2、3のどれと比べても居住性は高く、生活スペースも確保できることから、とても 実用的な張り方だと思います。
5、広翼中空型分派追加系 Wide Wing Off-Set Style add-on
4はとても実用的ですが、あくまでもタープに備わった機能のみで考えたものです。そのままだと後ろに引っ張るのを中央でしかできないので、前方を斜めに 引っ張ったのに対してのちょうど良い対角線状で持ち上げることが出来ませんでしたが、「パックタッチ」という道具を使うと簡単にタイダウン箇所を追加でき るのです。セットで1,600円(+税)。バラ売りで450円(+税)です。
こうすることでより横方向の空間も広げることが可能なので足元にも高さが出ていると思います。空間を重視したいハイカーにはおすすめの方法です。
*)生産年度によって細部に仕様の変更が見られますが、サイズ、重量、タイダウンループの数や場所などは全て同じとなります。ご購入いただいた製品に掲載している写真と違う点があることもございますが、全て同じ商品となります。ご理解ご了承下さい。