Gossamer Gear

Fast Kumo

パッキング ギア
Weight

620g

ベストのような高いフィット感と簡単にアクセスできる豊富なポケットを特色とするGossamer Gearクモの新しいスタイル。より遠くへ、ひたすらに歩き続けるFKTスタイルのハイキングに対応。
Weight

620g

SPECIFICATIONS

重量
620g(M/Lサイズ)
本体 470g
ウェストベルト 90g
シットライトパッド 60g
容量
36L

本体 28L
ポケット 8L

M/Lサイズ寸法
高 50cm
幅 28cm
奥行 10cm
サイズ
S/M 背面長 40cm
M/L 背面長 45cm 
素材
本体 70D robicリップストップナイロン
底部 100D robicリップストップナイロン
33,000円 (税込36,300円)

より遠くへ、ひたすら歩き続ける
ULハイカーのFKTスタイルに応える
現在進行形のULバックパック

従来のKUMOよりも全長を短くし、より背面上部で背負う設計に。下半身の自由度はより高くなっています。
バックパックをおろさずに歩き続けるFKTスタイルに対応するショルダーとウエストのポケット群。

ULハイキングのスタイル変遷

ULハイキング、ULバックパックとひとくちにいっても、そのスタイルは時代によって変化してきました。ハイカーの歩き方がスタイルをつくり、そのスタイルを写しだすブランドがうまれます。ハイキングスタイルとULハイキングのシーンに影響をあたえたブランドの変遷を概観すると、ファストクモ成立の背景がより理解できるはずです。

 

1990's〜 オリジナル【PCT Hiker HandbookとRay-Way 】

現在Ultralight Backpacking、Ultralight Hikingとよばれているスタイルの根幹にあるものはRay Wayです。これはレイ・ジャーデインが1980年代からPCTスルーハイクなどで試行錯誤を重ねてつくりあげたライトウェイトでシンプルなハイキングの方法論と思想です。トップリッドもフレームも無いバックパック、ビーク付きタープ、アルミ缶で作ったアルコールストーブ、シュータンを切り取ったスニーカー。Ray Wayを支える道具達は従来のバックパッキングの常識からあまりにかけ離れていました。市販品はなく、道具の全ては自作するしかありません。当時は特殊すぎる方法論とされたのも肯けます。しかし、いまから30年前にベースウェイト8.5ポンド(約3.9キロ)でPCTを歩いた彼の方法論は「PCT Hiker Handbook」で紹介され、ロングトレイルを歩くハイカーの一部からは熱狂的に支持されました。これが現代ULの起源なのです。
代表するブランド)Ray Way

Ray Way Product(https://www.rayjardine.com/)より。1994年のPCTスルーハイク

 

2000's〜 グラムカッター【ウィークエンドハイクでの過激で純粋なUL実験】

1998年にレイ・ジャーデインの方法論をプロダクト化したGO LITEが誕生、同年グレン・ヴァン・ペスキがGVP Gear(のちのGossamer Gear )で自作バックパックの販売や型紙の公開をはじめました。一部のスルーハイカーのものだったULの方法論がプロダクトを通じて一般的なハイキングにも広がりを見せはじめます。2000年にライアン・ジョーダンがポータルサイト「BackpackingLight.com」をたちあげたことで、この流れは一気に加速します。スルーハイクだけでなく週末のハイキングもULの舞台となりました。軽量化はより過激に、より先鋭的に。週末1、2泊使えればよいとばかりに、耐久性を犠牲にした軽さに特化したギアも数多くうまれました。これらのULギアは軽さとシンプルさを突き詰めていたため、使い手の経験や知識によるところが大きい道具でもありました。日米問わず「UL=行き過ぎた軽量化」として批判を受けることも少なくありませんでした。しかし最も実験精神にとみ、純粋に軽量化と向き合う熱量にあふれていた時代です。
代表するブランド)GVP Gear、Zpacks

GVP Gear(Gossamer Gear)創業者 Glen Van Peski
Ryan Jordanがオーバーナイト装備のバックパックを小指で吊すこのシーンを当時のULハイカーはこぞって真似をしていました。

2010's〜 ロングハイク【 急増したスルーハイカーが一般化させたライトウェイト】

2000年代後半、ULバックパックに大きな変化がおこりました。軽量化を突き詰める中で不要と切り捨ててきたフレームをあえて搭載したバックパックが登場したのです。Gossamer Gear マリポサにはじまるこの流れはグラムカッターなULハイカーには受け入れがたいものでしたが、彼らのためのバックパックではありませんでした。ベアキャニスターを携帯しなければならないが、少しでもバックパックは軽量化したい。そんな当時のPCTハイカーにむけたバックパックだったのです。軽量化のための軽量化から、ロングハイクのための軽量化への回帰ともいえます。
2010年以降、北米では書籍や映画の影響から長距離トレイルを歩くハイカーが急増します。彼らの多くはGossamer Gear、ULA、Six Moon Designsといった元スルーハイカーが関与するブランドの長距離ハイキング仕様のバックパックを選びました。フレーム搭載の軽量バックパック、フロア付の軽量シェルター、高効率ガスストーブ、エアマット。先鋭的な軽量化よりもべースウェウト6-7キロあたりの道具立てがロングハイキングでは一般化していきます。ULブランドのギアを使うけれどもULには固執しない。ULハイキングスタイルというよりも、ロングハイキングスタイルとでもよぶべきスタイルです。こうした傾向が日米問わず現在まで続く主流です。
代表するブランド)Gossamer Gear、ULA

Gossamer Gearマリポサを背負うハイカー(2014 AT)
ULA オーム2.0を背負うハイカー(2019LT)
2014PCTキャンプサイト(Noam Gal PCT2014ウェブサイトより / https://atgardner.github.io/pages/about-me.html)

2010's〜マルチスポーツ【 パックラフトやクライミングなどオフトレイルへのULの拡散 】

ULシーンがロングハイキングへ傾倒していった2010 年代、もうひとつの潮流が生まれます。Hyperlite Mountain Gearを中心としたマルチスポーツ、オフトレイルへのULの拡散です。HMGが拠点とするアメリカ東海岸はアウトドアスポーツのメッカ。アパラチアン・トレイルのお膝元というだけでなく、カナダにまたがる森林地帯では河川や湖沼がひろがり古くからカヌーが盛んです。ホワイトマウンテン国立公園はハイキングからアルパインクライミング、アイスクライミングまで一年を通じて幅広い登山が楽しめます。HMGはロングハイクだけでなく、様々なアクティビティを意識した軽量バックパックをつくっています。パックラフト、アルパインクライミング、アイスクライミング、バックカントリースキー。軽量、頑丈、耐水を特色としたULバックパックはマルチスポーツ、オフトレイルへと拡散しました。従来的なアウトドアアクティビティでも十分に有効であるHMGのバックパックは北米におけるULへの目線を変えたブランドともいえます。
代表するブランド)Hyperlite Mountain Gear

HMG Head officeのイメージパネル
HMG Head officeのイメージパネル
HMG Head officeのイメージパネル

2020's〜 FKT【より遠くへ、ひたすら歩き続けるFKTを意識した現代ハイキング】

2020年代のULハイキングとロングハイキングのスタイルを理解するためのキーワードはFKT(Fastest Known Time) です。最速踏破記録などと日本語訳されるFKTですが、厳密な記録や競技ではありません。トレイルランナーやハイカーの小さなコミニティの中での遊びのようなものからはじまっています。スコット・ジュレックの『NORTH 北へ』は彼が2015年におこなったアパラチアン・トレイルでのFKTの記録です。万全なフルサポートを受けるランナー/ハイカーもいれば、ノンサポートで挑むランナー/ハイカーもいる。しかしノンサポートといっても補給をする時点で広義のサポートは受けているわけです。どこまでがノンサポートでどこからがサポートなのかという区分けは恣意的なものにすぎません。だから「遊びのようなもの」「厳密な記録や競技ではない」のです。そして曖昧だからこそFKTは記録という数字にとどまらずランナー/ハイカーにとっての歩き方/走り方のスタイルになりえました。より遠くへ、休みをあまりとらず、ひたすら歩き続けるというスタイルです。
2015年にPA'LANTEを創業したジョンZ(トリプルクラウナー)とアンドリュー・ベンツ(PCT、CDTスルーハイカー)というふたりのハイカーのハイキングスタイルがまさにそうしたものです。より遠くへ、淡々とひたすらに歩き続ける。彼らのJoeyというバックパックはアンドリュー・ベンツのジョン・ミューア・トレイルFKT用バックパックが基になっています。2020年前後から、アリゾナ・トレイル、コロラド・トレイル、ロング・トレイルなどの1,000km台のトレイルではこうしたFKTスタイルでスルーハイクを楽しむULハイカーを目にする機会が増えました。FKTスタイルは2020年代におけるULハイキングとロングハイキングのハイブリッドスタイルといえるのです。
代表するブランド)PA'LANTE

John Zahorian Youtubeより
John Zahorian Youtubeより

Gossamer GearのFKTスタイル

こうしたハイキングスタイルとしてのFKTは既存のULブランドのバックパックにも強い影響を与えます。ULハイキングとロングハイキングの今を考えるにあたって無視できない潮流だからです。Hyperlite Mountain Gear アンバウンド、Gossamer Gear ファストクモは現代ハイキングにおけるFKTスタイルに対応するためのバックパックなのです。

ファストクモのディテール

ファストクモにおける本体の基本構造は従来のクモから大きな変更はありません。

モデルの特色となるのはベストのようなフィット感のショルダーと簡単にアクセスできる豊富なポケットまわりです。

 

パック本体の基本構造は従来のクモと同じ。全長だけやや短く。
PA'LANTEやHMGアンバウンドのようなボトムポケットは採用せず、ショルダーとウエストのポケットで十分に対応。
写真では確認できませんが、サイドポケットは縦からだけでなく横からもアクセス可能に。

ULハイキングにおけるFKTスタイルとは「より遠くへ、休みをあまりとらず、ひたすら歩き続ける」スタイルです。PA'LANTEをはじめFKTスタイルを意識しているメーカーは「バックパックを極力おろさなくてもすむ」ことを重要視しています。ポケット配置の工夫はそのためです。軽く、シンプルにというULバックパックにおいて省かれてきたショルダーポケットが装備されるのも、PA'LANTEのボトムポケットのような特殊ポケットが考案されるのもそのためです。
ファストクモでは従来のクモ同様のウエストベルトポケットはそのままに、ショルダーまわりを大幅に改変しています。

ショルダーまわり全景。スターナムストラップは2本。軽く絞ることでホールド感がより高くなります。着用モデルは183cm男性がM/Lサイズ着用。
右側ショルダーのポケットは二重になっておりボトルの他にバーなどを携行できます。またホイッスルも標準装備されています。
ボトルをしっかりホールド
左側ショルダーのポケットはにはジッパー付きポケットが付属。バーのほかスマートフォンの携行にも使えます。
左側ショルダーの下部にはバンジークランプが標準装備。ポールを離して両手を使いたい。そんな時に有効です。
ポールを仮固定する際には、ウエストベルトに挟むと良いでしょう。一時的ならばこれで十分です。

PCTハイカーのベアキャニスター搭載のためにフレームを装備する。FKTスタイルのハイキングにおいてバックパックをおろさなくて済むように豊富なポケットを配置する。シンプルに簡素化されたULバックパックにあえて何かを加えるというのは漠然と便利だからではなく、もっと明確な理由からなのです。

 

フィッテングとサイズ

ファストクモはショルダーまわりを再設計しただけではありません。歩き続ける/走り続けるためにも下半身は極力ストレスフリーにしたい。そのためパックのポジションはかなり高めに背負うように設計されています。ファストクモの背面設計はS/Mで40cm、M/Lで45cmとなります。これは従来のクモに比べるとそれぞれ1インチ程度(3-4cm)短くなっており、35L前後のバックパックのなかではかなり小さめの背面設計になります。イメージとしてはトレイルランニング用バックパックにかなり近いものだとお考えください。

左は従来のクモ(Mサイズ)、右はファストクモ(M/Lサイズ)。背面設計が小さいので背負うとかなり背中の上の方にフィットする。

背面設計は通常よりも短めですが、ショルダー長は従来のクモと変わりありません。気持ちタイトなフィット感になりますが、行動時のパックの揺れをより抑える効果がえられます。

S/Mサイズ 165cm以下の女性、160cm以下の男性、極端に細身の方(標準的な体格のアジア人女性はほとんどS/M)

M/Lサイズ 165cm以上の女性、160cm以上の男性(標準的な体格のアジア人男性はほとんどM/L

フィッティングはこのようにご理解いただければまず問題ないかと思います。

 

ファストクモはベストのような高いフィット感と簡単にアクセスできる豊富なポケットを特色としています。より遠くへ、ひたすらに歩き続けるFKTスタイルという現代のULハイキング&ロングハイキングに対応する提案です。

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