
参考商品:Mono
Weight
229g
メキシコのタラウマラ族の伝統的履物「ワラッチサンダル」をベースとするLUNA SANDAL。2013年モデルから3種類のソール展開となります。従来のOriginal、Leadvilleの後継モデルはそれぞれ、Venado、 Osoというモデルに、そしてニューモデルとしてリリースされるのがこちらのMonoになります。Monoはソール厚、ソールパターンともに中間的な位置づけになるオールパーパスモデル。創業者かつオーナーのベアフット=テッド曰く
”ビーチへのリゾート旅行から50kmのトレイルランニングまで使える、everything sandalだよ。”
下の写真は2012年夏から日常使用の他、Colorado Trail、奥多摩奥秩父で2週間近く使用(註)してみたMonoになります。全体的に足のカタチになじみ丸みをおびてきました。
個人的にはサンダルで山を歩く、走るということを積極的におすすめするつもりはありません。
特に日本の山は北米に比べると、トレイルの傾斜、狭さなど条件が大きく異なるからです。ブーツ使用がまだまだ一般的な慣習の中でようやくトレイルランニングシューズが定着してきたことを考えるとサンダルはまだまだ先のお話、あくまで個人的な試みの範囲とお考え下さい。
ただし、自身がよく把握している通い慣れたフィールドならば実用上特に不便は感じなかったのも事実です。ワラジとは鼻緒のポジションが異なるため、 現代版ワラジだと即断はできませんが、そうした感覚をハイキング中に感じることはできました。以下はあくまで個人的見解となります。
<ソール>
<拇指球の周辺が薄くなったソール>
ソールは11mm厚のLUNA SANDALSオリジナルのVibramソール。軟らかめで クッション性の高いものになります。そのためトレイルからの突き上げ感で足が痛むということはありませんでした。むしろほどよい足裏感といったところで しょう。特に従来のシューズでは感じにくかった岩場表面の凹凸や張り出した木の根、倒木に足をかけるとき等は「いまどこを踏んでいるか」という感覚がしっ かりと伝わるので自信を持って体重をかけることができました。なによりもしっかりと地面を踏むという感覚を 得ることができるように思います。その「踏む」という感覚のせいでしょうか、ソールパターンはさほど深くないもののトレイル上でグリップ感に不満を感じる こともありませんでした。それは雨天で路面が濡れていた時も同様です。ただしオフトレイルでの草付や落ち葉が堆積した急斜面といったシチュエーションは苦 手のようです。他のVenado、Oso、両モデルを試していない現時点での個人的感想に過ぎませんが、ソールの軽さ、軟らかさ、厚さ、グリップとトータルバランスがとれていると感じました。
<フットベッド>
日本ではMonoのフットベッドにはピタードレザーが採用されます。わたしは普段使いでは裸 足で履いていましたが、ハイキングにおいては常に5本指ソックスと併用していました。履きはじめ、まだ汗ばんでないときはウールとピタードレザーが馴染ま ないというか、やや滑る感触がありました。しかし足が汗ばんでくると適度な湿気のせいかむしろソックスとフットベッドが馴染む感覚が強くなります。この段 階でストラップをしっかり締め、その後も要所要所でストラップの締め具合を確認していたので大きな問題は感じませんでした。徒渉や雨天でサンダル、足とも 完全に濡れた場合は特にしっかりとストラップを締めて下さい。レザーが濡れれば多少滑るのはやむを得ないのでそれを念頭においてのストラップ調整となりま すが、トレイルにおける歩行に支障がでるということはほぼ無いのではないでしょうか。
<サイジング>
LUNA SANDALは捨て寸をほぼ無くし足の実測とほぼ同じサイズを履くことが推奨されています。このサイジングだからこそ、ストラップをしっかりと締めた際にソールとの密着感、フィット感をかなり得られるのです。フィールド使用前提でLUNA SANDALを考えた際に一番大事なことは「ジャストサイズを選ぶこと」「ストラップをしっかりと締めること」この2点でしょう。特にジャストサイズを選ぶことはつま先で細かいスタンスにのったり、倒木や岩場の凹凸を指でしっかりと踏む際に重要な要素になります。足先の身体感覚とサンダルとが一致することがサンダルでの歩行において重要な要素なのではないでしょうか。岩や木に足をぶつけませんか?と聞かれますが、サンダルを履いていると意識していれば足をどう置くかについても意識せざるをえなくなります。結果としてサンダル歩行時に足を何かにぶつけるということはありませんでした。
ベアフット=テッドのサンダルとはいえ、LUNA SANDALSは所詮サンダルにすぎません。それも、
とびきりシンプルなサンダルのひとつです。他のサンダルと比べてLUNA SANDALSが特別フィールドに適しているわけでもないでしょう。それでもわたしは雪が融ければまたこのサンダルでハイキングを楽しむでしょう。それはベアフット=テッドへの敬意もありますが、このシンプルなサンダルから得られる「気づき」が多いか らなのです。はじめてULバックパックを背負ったとき、はじめてタープで眠ったとき、その頃同様に全身の感覚を使って自然の中を歩くことができるように感 じています。道具にすべてゆだねるのでなく、足りないところは足りないと受け入れたうえでそれに合わせた使い方をしていく。自らの許容範囲や応用範囲を広 くすることにも繋がるように感じています。LUNA SANDALSのそんな面白さを感じてもらえればと思います。
註)Colorado Trail、奥秩父ともに日帰りではなく、基本的にオーバーナイトハイキングの装備を背負ってのハイキングです。ただしほとんどが森林限界内となります。