
Over Mitts MP+ stretchlight
Weight
28g
シンプルな構造から可能になる防水力と保温効果の高さが特長のオーバーミトン。本来は冬期を中心に使われた道具ですが、今では軽量な完全防水のレイング ローブとして注目されています。補佐的なアイテムですので後回しになりがちですが、その特長を理解して使いこなすことで幅広い用途に使うことができます。
Raidlight overMitts MP+ Stretchlight はもちろん生地の軽さはあるものの、それ以外の細部に使われる部品を極力省くことで、ある程度の強度を残しながらかなりの軽量化を達成しています。それだ けでなく、耐水圧、透湿性ともに高いストレッチメンブレンを使用しています。同系統のオーバーミトンと比べてもシンプルで素材にもこだわった完全防水透湿 オーバーミトン。
Raidlightというブランドを聞いて、知らない人も多くいるでしょう。フランスのメーカーでアドベンチャーレースやマウンテンマラソン、他には珍し くサハラマラソン向けの商品などを開発しているメーカーです。今でこそ一般に多く普及した折りたたみポールも元はこのメーカーがレーサー向けに開発した 「バトン」こそが元祖なのです。過去様々なオリジンを作り出してきましたが、その多くは他のメーカーにより工夫されたり洗練され世に広まっているのです。 Raidlight は自分達のトレイルランニングコースを持っていて、試作品を自分達でトライ&エラーすることによって商品を作っています。だからこそ、その製品には多くの オリジンがあるのでしょう。
特長について
もちろん完全防水とうたうだけあってフルシームシーリングされています。一般的な縫製されているミトンのどれと比べてもかなりシンプルな作りです。基本的 には上下の素材でしか分かれておらず、縫い目もその部分にしかないのです。これだけシンプルな作りなので、シームシーリングの個体差による漏水、などはほ とんどなくなります。
使われてい防水透湿素材は「MP+ Stretchlight」。耐水圧10,000g/㎡/24h、透湿性10,000mmのPUメンブレンは十分すぎるほどの性能です。類似品としてテラ ノバ/トップバッグがありますが、使われている素材は防水透湿となっているだけで、その透湿性や耐水圧などの詳細は明らかになっていません。手を入れてみ てもその素材感には大きな違いが見られます。
ミトンという形状をしている以上、指先の操作性は期待できません。しかし、これだけ薄く柔らかい素材なので、ものを掴むことやつまむことは苦もなくできます。またミトンだからこそ、4本の指が集まるので保温効果も高いです。
圧縮性の高さはもちろん抜群に高く。手のひらの中に収まってしまうほど小さくなります。それだけでなく、上に述べたMP+という素材は他のメンブレン素材 と比べて再現性が高く、しわにもなりにくいのです。つまり生地が折れたりすることでのメンブレンへの傷みが小さく、安心してどんな隙間にも納めてもらえま す。
そして何と言っても最大の特長はその軽さ。L/XLサイズで28g/ペア。S/Mサイズでは24g/ペア。この軽さは今現在の防水透湿ミトンでは圧倒的な 軽さで、ガレージメーカーやインディペンデントメーカーのものと比べても飛び抜けています。これをマスプロダクトメーカーが作れるというところにも大きな 意味があります。
この軽さと収納性の高さから季節や状況を選ばずに積極的に持っていけるのです。
それ以外にも他にはない特徴を持っています。手首を固定するベルトの多くは、ナイロンやポリエチレンのテープで作られ、テープと部品を使いしっかりとした 固定ができるようになっています。しかし、締めすぎてしまったり、部品が壊れてしまったり、締めるのが面倒でそのままだったり、急にはずしたくてもベルト を緩めなくてははずせません。Raidlight のオーバーミトンはストレッチ性のベルトと面ファスナーで固定するようになっています。そのお陰である程度自分の締め具合が分かってしまえば締めたり緩め たりしなくてもミトンの取り外しが出来てしまいます。また手首の締め忘れや締め過ぎも少ないでしょう。
もちろんその素材ゆえの強度の弱さは避けられません。しかし手の甲側は防水透湿素材のMP+になっていますが、手のひらは防水ジャケットでもバックパック との補強部分に使われる素材になっているので、通常のハイキングにおいてや、トレッキングポールを持つ程度は全く問題ない強度でしょう。テラノバ/トップ バッグと比べてしまうといくらかこちらの方が丈夫に思われます。当然のことですが、この薄さの生地ですので、冬用のギアを扱うには注意する必要がありま す。クランポンやエッジの付いた板などを掴む際には簡単に切れてしまうことがあると思って下さい。
パーム(手のひら)には滑り止めがないので基本何かを掴むといったことを大事に考えてはいないと思います。トレッキングポールは持ち手が滑りにくい素材に なっているので問題はないでしょうが、アイスアックス(ピッケル)などを持つ時に力がかけられない可能性があるので、その場合は持つ道具側に滑り止めを付 けることである程度は補うことができるでしょう。
サイズ
S/MサイズとL/XLサイズを用意しています。
>S/Mサイズ 基本的に女性用。手がとても細い男性。
男性でも手が入りますが、間口が狭いため、手が大きい人は入れる時にきついでしょう。インナーにグローブを付けて使うことも考えると、女性もしくは手がとても細い男性向けとなります。
>L/XLサイズ 基本的に男性用。手がとても大きい女性。
間口が十分な広さになるので、他のグローブをインナーとして使うことができます。男性でインナーグローブを合わせて使うことを考えるならこのサイズです。もしくは男性と同じくらいの手の厚みや幅がある人はこちら。
まとめ
やはり軽さと収納性の高さから季節や状況を選ばずに積極的に持っていけるのが最良のポイントではないでしょうか。季節の変わり目など、濡れて手がかじかんだ経験のあるハイカーも多いでしょう。こんなに小さくて軽ければ、あるにこしたことはありません。
生地の弱さですが、これよりもさらに薄い生地のカンプ/ウィンド ミトンを2010PCTで使用したハイカーのものは破れていません。トレッキングポールを持っての使用が主でしたが、すり切れなどもありません。それを考 えるとRaidlight overMitts はハイキング上問題のない強度を持っていると考えることができます。
*基本的に防水グローブを使わないが季節の変わり目で濡れた際の寒さが心配
*温暖な季節のレイングローブとしての積極的使用
*冬のオーバーグローブの予備として
冬山登山での使用にはそれ相応の覚悟と対処が必要ですが、3シーズンハイキングのレイングローブ、冬の低山ハイキングやスノーハイキング、または冬のトレ イルランニングには十分なオーバーミトンと言えるでしょう。