
Insulated Inertia X Frame
販売終了
Weight
279g
「寝袋の中に入れて使用することで高い保温性を確保できるマット」として注目を集めているKLYMITのイナーシャシリーズ。横になった体を支えるため必要なポイントをしっかりサポートする「ボディーマッピングテクノロジー」と、潰れてしまう寝袋背面側のロフトを活かすことで高い保温性を確保する「ロフトポケット」。これらはシンプルなデザインながらも高い効果を発揮しています。こうした独自性あふれる発想は後発メーカーであるクライミットを一躍業界の注目メーカーに引き立てる大きな要因にもなっています。
【KLYMIT イナーシャシリーズの一般的特徴】
いうまでもなく、一般的にマットは寝袋の下に敷くものです。ビビィバッグの中に入れて使用することは普通ですが、寝袋の中に、という使用法はKLYMIT以前にはほとんどみられませんでした。マット本体を大胆にくり抜く(ロフトポケット)ことで、いままで押しつぶされていた寝袋背面側のロフトもしっかりと膨らみ、寝袋の保温力が背面側にも活かされるようになったのです。また大胆にくり抜いたことで大幅な軽量化も実現。エアマットや自立膨張式ウレタンマットの中では圧倒的な軽さのアドバンテージを手にしたのです。これも寝袋の中にマットを入れるという発想があったからこそ。イナーシャシリーズのマットは必ず寝袋の中にいれて使いたいモデルなのです。
2015年時点でオゾン、Xフレーム、Xライトの他にGossamer Gear別注のエアビームスリーパーGVPとイナーシャシリーズはサイズやデザインにおいて多くのバリエーションが展開されています。現行のラインナップでは、枕も付属しているフルレングスの オゾンが幅広い層から注目されていますが、軽さを重視するUL視点ではフルレングスの Xフレーム(258g)、ショートレングスのXライト(173g)、さらにXライトから頭部を省いたスーパーショートのエアビームスリーパーGVP(120g)というラインナップに注目です。平均的なスリーシーズン用マット(自立膨張式ウレタンマット)の重量を約480g(フルレングス)・約330g(ショートレングス)とすると、これらクライミットのマットの軽さがお分かりいただけるはずです。
【最軽量オールシーズンマットを考える】
イナーシャシリーズの重量メリットはUL的には高評価なポイントですが、基本的に全モデル3シーズン対応となります。重量メリットはギアが増加する冬季にこそ多くのハイカーにのぞまれています。2015年現在、マット開発は軽さだけでなくいかに保温効果を高めるかが重要になっています。業界をリードするCASCADE DESIGNS社が超軽量エアマットの代名詞ネオエアーシリーズでおこなうモデルチェンジも軽さを確保したうえでいかに保温力を持たせるかに重点がうつっています。イナーシャシリーズの冬季モデル展開も同じ視点、「軽さを確保したうえで更なる保温断熱性を」で考えてみます。
- 保温断熱材としてのプリマロフトの採用
寝袋の背面ロフトを活用するイナーシャシリーズは冬季用寝袋と併用すればその保温力の恩恵にあずかれます。しかし体を支えるエアチューブ部分は内部の空気対流により熱が逃げるポイントになってしまいます。このウィークポイントを改善できればイナーシャシリーズをオールシーズンモデルとして使用できるのです。そこで本体全面に空気の対流を妨げる断熱材としてプリマロフト(ゴールド 60g/㎡)を封入しました。これによりロフトポケット部では併用する冬季用寝袋そのものの保温効果を、エアチューブ部ではプリマロフトによる断熱効果を得られるようになったのです。
なお、化繊綿の中でも圧縮率の高いプリマロフトを採用しているため収納時のコンパクトさも変わらず確保できています。
- 肩から足元までという独特のレングス設定
イナーシャシリーズの冬季用を考えた場合、Xライトのようなショートレングスでは足元が冷えるため、フルレングスの Xフレームをベースにする必要があります。しかし見逃してはいけないポイントがあります。冬季用寝袋は襟巻のように首元を覆うドラフトチューブで寝袋の密閉性、保温性を高めているものがほとんどです。首元をしっかりと閉じられることが冬季用寝袋の必須条件ともいえるでしょう。そのため寝袋内にマットを入れるイナーシャシリーズではマットの長さが頭まであってはダメなのです。マットが邪魔をして首元を閉じられなくなります。肩から足元までカバーして寝袋内にしっかり収まる。この長さがイナーシャシリーズを冬季用とするときにはベストな長さなのです。
ハーフバッグにも冬季用寝袋にも対応する肩までの長さが重要
こうした企画されたKLYMITのオールシーズンマットが「インシュレーテッドイナーシャXフレーム」です。プロトタイプの実地テストは2014年12月から2015年4月にかけて複数人でおこなわれました。
プリマロフトを封入しても重量は300g以下。平均的なショートレングス3シーズンマットよりも軽い重量であることは驚きです。足元までカバーする平均的な冬季用マットが500g前後であることを考えると、約半分の重さといえます。寝袋に入れて使用するという独特な使用方法には慣れが必要ですが、圧倒的な軽さと保温性のバランスから冬季用マットとして検討に値するマットだといえるでしょう。また構造上マット単体で暖かさを確保できるわけではありませんが、マットが軽くなった分を冬季用寝袋のボリュームにふりむけるという選択にも踏み切れます。
防寒装備の選択に行き詰まりを感じているハイカー、
更なる軽量化を目指したいハイカー、
そんな実験的精神あふれるハイカーたちに是非試していただきたいオールシーズンマットです。
参考)バルブ部分詳細
NEMOと同じ型式のバルブ。5回前後の吹き込みで膨らみます。
取り外し可能なハンドポンプ。寝袋にマット挿入後の空気圧調整も可能。