
参考商品:Tarp Shelter 1(メーカー廃番・在庫なし)
Weight
182g
Terra Nova Equipment/ Tarp Shelter 1
世界的に見てもベーシックなサイズのソロタープ。このサイズと長方形は山野で使用するにおいてもっとも柔軟かつミニマルに使えるといえます。しかし、ただベーシックなわけではなく、重量はシルナイロン製では200gを切り他メーカーと比べても抜き出て軽いのが最大の特徴です。それ以外にも細部へのこだわりが見受けられます。
シンプルな道具ゆえ使うごとにの奥深さを感じたり、設営の美しさやバリエーションが増えていく上達の過程は、道具を使う楽しみそのものであり、そのシンプルな道具を使って野外で泊まることはハイキングの醍醐味のひとつに違いありません。
タープシェルター1は輸入代理店での扱いがないため、ハイカーズデポだけの特別展開商品となります。数に限りがありますので売り切れの際はご了承ください。
1、新たな価値を作り出すメーカー Terra Nova Equipment
Terra Nova (テラノバ)とは“新天地”を意味する言葉です。その言葉に込めた思いのように、今までとは異なるユニークな道具や軽さにこだわった道具を開発しているメーカーです。
テラノバを一気に有名にしたのは Laser Photon などの超軽量テントでしょう。それ以外にもバックパックやExtremities®シリーズのグローブやキャップなど、ハイキング、マウンテニアリング、マウンテンマラソンなどで軽さ、コンパクトさを求める人たちに向けたアイテムを作り出しています。
2、Tarp Shelter の仕様
■ Tarp Shelter1のサイズ 150センチ × 250センチ
古くは米軍のポンチョをはじめ、製品化されている「ポンチョタープ」の基本サイズが5ft(150cm)× 8ft(240cm)。現在でもタープをリリースしている海外メーカーの多くがこのサイズに準じています。タープシェルター1の場合、feet表記では同様のサイズとなりますが、イギリスメーカーということもあり実際にはセンチでの計測になり、長辺が約10センチ(サンプル実測7cm)長くなっています。たかが10センチ、されど10センチ。“山野で有効に使えるミニマルサイズ”だと考えられるこのサイズでの10センチという長さは大きな違いだと言えます。下記の有効面積を感覚として大きく感じさせてくれるでしょう。
手にとってみた方の中には「もう少し小さくても大丈夫なのではないか」と質問する方もいます。しかしタープは二次元サイズで考えるのではなく、3次元でどういうサイズになるかをイメージすることが必要です。屋根型を作ったり、出入り口を高く設定するとタープは斜めになります。結果、地面を覆う有効面積は二次元のサイズよりも狭くなるのです。タープのサイズはこの“地面を覆うことができる”、“雨や風の吹き込みを抑えることができる”といった有効面積を考慮しておく必要があります。
■ Tarp Shelter 1 の有効面積 100センチ × 200センチ
短辺150cmの有効長は100cm以下、長辺250cmの有効長は約200cm以下が目安になるでしょう。このサイズは、ツェルトや一人用テントなどソロシェルターのミニマルサイズとほぼ同面積であることがよくわかります。しかし高さについては90-100cmの室内高を設定している他のテントと比べれば、やや不自由を感じる高さになってしまうことは否めません。もちろんタープに高さをだせばゆったりとしたスペースを作り出せますので、それは設営時の周辺や天候などの状況次第といえます。また周りからの吹き込みを抑えるためタープの辺縁を地面にベタ張りする場合はどうしても低空設営になります。まさに1人用ジャストサイズ。
ソロの場合、行き慣れた山や1~2泊の夏のハイキングであれば、タープシェルター1で過ごしてみるのはとても面白いものです。生活に必要最低限な空間を作り出す屋根一 枚。その向こう側は自然の中。そんなダイレクト感を感じられるのはこのサイズならではでしょう。それ以外にもグループハイキングでの炊事場として使 用したり、荷物置き場の屋根代わりとしても使う方法があります。
■ 重量について
上に述べたようにソロ用タープの多くは、5ft×8ft(150cm×240cm)です。その場合の重量は、210グラムから230グラムが多いです。生地としてはだいたい30デニールシルナイロンか、それより薄い20デニールナイロン生地にウレタンコーティングされているものになります。
タープシェルター1はシルナイロン(シリコン含有ナイロン)です。その他詳細は不明ですが経験から推察すると、20デニール以下を使用した薄手生地と考えられます。重量は実測で182グラム。他メーカーと比べて1割ほど減量となります。長辺が若干長いことを考えれば、“大きくて軽い”ということがはっきりとわかります。
■ ループについて
タープシェルター1には1辺で見たときに3カ所、中央部1カ所の計9カ所(3+3+1+1+1)のタイダウンループが付いています。過去Integral Designs/シルタープのようにもっと多い、17カ所ループが付いているタープほどの多種多様な設営はできませんが、ループが多くてもその分状況に合わせる経験や技術は必要となります。実際にはいくつかの決まった張り方しかしないというハイカーも多いですし、9カ所というのは充分な数でしょう。
中央部にあるリフターは角度が初めからつけてあります。(写真/下)これによりタープの前後が定まり、引っ張る方向が決まります。向きに関係なく引けないというのがデメリットですが、角度が付いている方が決まった方向に引くのにはテンションがバランス良く張りやすいというメリットもあります。
もう一つ工夫されているのはループにグロメットが付いているということです。(写真/下)ループに付けたコードをポールに結んでも良いし、トレッキングポールの石突きをグロメットに刺したりと、様々な方法に対し最適なやり方を見つけられます。それほど重要な機能ではありませんが、長く使っていくうちのこのちょっとした工夫にはお世話になることでしょう。
H.D. Tips
Tarpとは?
Tarp Shelterというネーミング。不思議な感じがする人もいるかもしれません。
「タープもシェルターなのでは?」「シェルターはもっと形が決まっているもの。」
そう考えている人の方が多いと思います。
Tarp(タープ)とはTarpaulin(ターポリン)という生地の略称から来ています。ターポリンとは防水液やコーティングなどを施した布のことで、転じて防水シートを指すようになりました。以前タープは“Sheet Tent”と言われており、それがターポリンで作られるようになって以降 Tarpaulin (Tarp) で作られたSheet Tent を“Tarp Tent ターポリン布製のテント”と言うようになり、今では“Tarp”と言えばシート状の屋根になるものを指すようになりました。そして“Shelter”とはテント(布製のシェルター)を含む遮蔽物を指すものですから、Tarp Shelterというネームになったのでしょう。すなわち、タープも非自立式のテントの一 つとして考えて良いのです。
シルナイロンの特性
ナイロンやポリエステルなどの生地は通常、防水性はありません。しかし張りがあれば水を弾いてくれます。その実例の代表は傘です。傘の素材は主に防水が全くない化学繊維を使います。撥水加工はされていても性能は徐々に低下するので、傘の生地がびしょ濡れになってしまった経験があるかたもいらっしゃるでしょう。
シルナイロンも同様に防水力はありません。しかし、非常に撥水性に優れた素材ですので、全体にテンションをかけながらタープとして使用することで、いつも以上に撥水効果が現れ、雨に対しても十分な防水性を発揮します。
シルナイロン以上に軽量な素材が出ている現在においても、ハイキングシーンにおいてシルナイロンが魅力を失わない理由の一つに、生地の適度な伸び感があります。近年のウルトラライトの軽量素材代表としてキューベンファイバーがあります。確かにとても軽く防水力に優れた素材です。しかし織物では無いため、縦横だけでなく斜め方向のバイアスにも伸びないのです。そのためキューベンファイバーのタープを張る時は全面に対して均等に力をかけ張りを出すのがとても難しいのです。シルナイロンは適度な伸び感がありますので、そこまでデリケートに張らなくても綺麗に張りやすいだけでなく、特別にカテナリーカーブを付けていなくてもテンションがかかりやすくなります。タープやフロアレスシェルターなど非自立式のシェルターが好まれるウルトラライトのシーンではこの「融通が利く」という生地特性は代え難いのです。
張り方のバリエーションについては、当HP内のHiker's Noteにある記事を参考にしてください。