
Thru-hiker Zip-off-not Pants
Weight
263g
機能もデザインもシンプルにこだわって
いつでもどこでも履いていたい
『Zip-Off-Not Pants』
「ジップオフしないから、オフらないパンツでしょ?」
勿忘草(ワスレナグサ)というアメリカ・アラスカ州花にもなっている花の英語名は "forget-me-not"。そんなロマンチックな理由があるわけでは全くありませんが、その字面に倣い "zip-off-not" と名付けられました。(というには大袈裟すぎますが)
Thru-hiker Zip off Pants は、今やハイランドデザイン製品の定番アイテムであり、細部の作りの使い勝手の良さからも、リピーターが多いパンツです。温暖な暑い時は積極的にショートパンツ。肌寒ければロングパンツに。アンダーにタイツなどを合わせれば冬のハイキングでも使用できます。もしタイツが厚手過ぎても換気性能も優れています。ハイキングにおいてジップオフパンツがあれば一年中困ることはありません。(というには大袈裟ですよね)
とはいえ寒冷期で、ほとんどショートパンツにすることがない時期にわざわざジップオフパンツを履くのはどうなんだろう、という疑問も最もです。また、生活になってしまうほどの期間歩くスルーハイカーのことを考えて作られていますので、ポケットの配置や形状は日常生活においても使いやすく配置されています。そんな時までジップオフ?そんな当たり前で純粋な動機から考え出されました。(というには大袈裟なんですけど)
まだこのパンツの商品名が決まっていない時に、いつもジップオフパンツの製造を依頼している業者さんが言った一言が “オフらない” パンツでした。なんだそのネーミングはと思ったのですが、その言いやすさ、シンプルな言葉に込められた意味、まさに的を得たりと思ったのです。けれどもその言葉をそのまま使うには大胆すぎる。もとのパンツがわざわざ英語名にしているのに日本語名にするのもどうかと思われました。そんなことを当スタッフ "べーさん"こと勝俣に相談したところ、この "zip-off-not" という言葉にたどり着いたのです。
というには大袈裟な、シンプルなナイロン製のふつうなロングパンツ。それが、Thru-hiker Zip-off-not Pants/スルーハイカージップオフノットパンツ(以降オフらないパンツ)なのです。
Thru-hiker Zip-off-not Pants
機能と特長
・基本的な機能について
機能というほど強調するべきものがあるのかといえば、むしろそれを感じさせないようなパンツを目指したのかもしれません。そもそもスルーハイカージップオフパンツがそうでした。ジップオフ機能があるからこそ、十分すぎるくらいの機能性が付加されていましたが、それを取り除いてしまえば何のことないただのロングパンツです。できるだけ普段使いと同じような形状のポケットやシルエットにこだわって作っていますのでなおさらでしょう。機能を強いて言うならば両サイドのカーゴポケットです。これに関しても取り除くかどうか検討しましたが、企画担当者(僕ですけど)が「ハンドポケットより使いやすく」なるようにこだわって手を伸ばした距離感や大きさを選んだもので、実際ハンドポケットよりも多用するという意見を取り入れ(半ば独断で)残すことを決めました。
シンプルなポプリン織りなどのナイロン生地ハイキングパンツ。以前はたくさんありましたが、最近はストレッチ素材全盛期において、その姿はほとんど消してしまいました。しかし、2016年リリースされたパタゴニアのバギーズパンツのようにシンプルなナイロンパンツというのも決して求められていないわけではないはずです。
確かにストレッチパンツの動きやすさは一度使うとくせになるものです。けれども、その生地の構造上風の抜けやすさから寒冷期には寒いのです。そのため冬用のストレッチパンツにはフィルムやコーティングで耐風性を補ったものや、密度を非常に高くすることで耐風性を確保していますが、そのどれもが少し運動が持続したり活発になると、適度に抜けていかない(抜けられない)ために、「暑く感じ」たり「蒸れたり」するのです。それにストレッチ素材は構造上保水しやすく、疎水性、速乾性が劣ります。
ストレッチ性のないシンプルなナイロン生地は、密度が高いので多少の蒸れを感じることはありますが、コーティングもフィルムも無いし、過剰な高密度でもないために、そこそこ耐風性もあり、そこそこ通気してくれる、意外と汎用性の高い素材なのです。ですのでこのようなナイロンパンツの場合、一枚で履けば春から秋まで幅広いシーズンで使え、耐風性もそこそこあるため風に当たっても抜け感はほとんど感じないですし一気に体温を奪われるということもありません。タイツをアンダーに履けば冬用のハイキングパンツとしても問題なく使えます。また疎水性に優れていますので、旅先で乾燥機がなくても脱水すればほとんど水が切れます。速乾性に優れていますので、旅先で洗濯して生乾きを履いていたってすぐ乾いてしまいます。
・使用しているナイロン素材
オフらないパンツに採用した素材はスルーハイカージップオフパンツのものとは異なります。ジップオフパンツは主に温暖な季節を中心と考えているのに対し、通年使用を念頭に置いて、やや密度の高いSupplex®ナイロン生地を選んでいます。横畝がしっかりと出ているポプリンという薄手のダック生地のような織り生地になっています。凹凸があることで肌と面で接するのを防ぐため、汗をかいてもベトツキ感を抑えてくれます。ナイロン素材を高密度に織るととても滑らかで光沢感のある素材となりますが、凹凸感があることで光沢感を抑え"Cotton like"な生地になっています。コットンライクとは、コットンに風合いが似ているということです。
スルーハイカージップオフパンツの生地と比べてしまうと、通気性はやや乏しく、夏のロングパンツとして履くには蒸れやすいです。その分耐風性が高くなっていますので、初春や晩秋の冷涼な時期での単体使用も十分可能になっています。冬などの寒冷期でも150g/m2くらいの薄手ウールタイツでも履けば0度以下になっても空気の抜ける感じはとても少ないです。
どうしても擦れやすいところは毛玉になるでしょう。しかし、しばらく経過すれば毛玉はおさまります。
・ハンドポケットの形
最近のハイキングパンツのポケットはシーム(縫い目)に沿って縦に付いているものが多いです。これは構造を簡単にするためのものなのか、デザイン上のものなのかは分かりませんが、使いやすくはありません。人間の手がパンツのポケットに入る角度は真横になることはないはずです。また、横に付くことで 物が落ちやすくなることもあるでしょう。ジッパーが付いているならまだしも、ジッパーは締め忘れることも少なくないです。 ジーンズやチノパンなど、一般的なパンツのポケットは上方向に口が開いていて、斜めについています。この方が手の出し入れは格段にしやすいです。特にここは“普段使い”の“いつもと同じ”形状にしました。使い慣れている形だからこそ違和感を感じずにつかっていただけますし、立っている状態であれば、 物が不意に落ちるようなこともありません。
・カーゴポケットの位置
カーゴポケットを使わない人も多いと思いますが、その理由の大半は使いにくいと感じるからでしょう。 “手が届きにくい距離” “開けにくい構造” “ 斜めに付いている” などといった原因があると思います。オフらないパンツは、手を自然に伸ばした先にジッパーのタブが来るようにしました。一 般的なものよりはやや高い位置にあると思います。ですが、何気なく伸ばした先にあるので自然に開けることができます。またジッパーの角度をストレー トにすることで、感覚的なズレがなく“普通”に開けることができます。カーゴポケットの深さも少し体を傾ければ底まで届く深さにしていますので、入れたものの出し入れがとても用意です。大きさは折りたためるものならキャップを畳んでいれることが可能です。地図を入れても良いでしょう。カーゴポケットの高さはジッパーの位置を高くしたことから自然と高くなりました。そうすることで荷物が入った状態で歩いても歩行を妨げにくくなっています。 左のポケットと右のポケットは同じ形、同じ高さでシンプルな作り。高さはやや高めなので、自然と無理なく手が届いて入ります。
カーゴポケットが下に付き過ぎて体を大きく傾けなければ届かない場合など、面倒で使わなくなってしまうかもしれません。斜めにジッパーが付いていることで間口が広がるのは良いのですが、普段使い慣れていない角度なのでどうしても開け閉めしにくいという欠点があります。
要するに、出来る限り普通に、普段通り使える形状で良いということです。ポケットを何かの形状に合わせたりして専用ポケットを作ったり、角度を “体に合わせて変える”という小手先の仕様などは一見して印象には残るのですが、では普段にそういうものは使うのでしょうか。家庭で使う鍋や、物を作る道具だって、できる限りシンプ ルなものの方が使いやすいと感じるのではないでしょうか。使い慣れていない形には慣れる時間が必要です。ある意味“技術が必要”ということです。 専用ポケットはその専用品の形状が変化したり無くなってしまえば無用の長物です。
ポケットはパンツにおいて最も多様する機能です。だからこそ、ハンドポケットもカーゴポケットもいつも通りの形と自然と届く距離にこだわりました。
・パンツのシルエット
スルーハイカージップオフパンツでもシルエットにはこだわりましたが、オフらないパンツはスルーハイカージップオフパンツをベースにして作ったら綺麗なシルエットに仕上がりました。それはスルーハイカージップオフパンツとオフらないパンツでの根本的な違い、オフ機能の有無、が原因でした。
以下の3枚の写真を見てください。基本的なウェストサイズ、身幅や総丈などには違いがありません。ですが【写真2】を良く見てみると、ちょうどジップオフする場所から裾に向かう途中にズレがあるのがわかります。【写真3】では分かりやすいようにあえて少しずらしていますが、すそ幅自体には違いがないのです。ここから分かることはジップオフパンツの場合どうしてもオフするところで上下が別パーツになり、そのことで裾に向かって均一なテーパーをつけづらいということです。これは構造上と素材上の問題です。事実ストレッチ素材の場合は多少無理な構造やデザインであっても、生地の伸びのおかげである程度許容してしまうものです。ようするに極端な例ですがサイズが小さくても生地が伸びるのでサイズが合ってなくても着用できるということです。
しかし、オフらないパンツにはそのような“しばり”がありませんので、ジップオフパンツと同じようにつくったら、本来もつ綺麗なシルエットがそのまま素直に出た、そういうことなのです。
決して細すぎるわけではないですが、太くもなく、ハイキングパンツとしての動きやすさはそのままです。動きやすいナイロンパンツの場合、モンペや道着、タイパンツなどのアジア服を意識したものが散見されますが、そうではなくあくまでも普段履くことの多いジーンズやチノパンのようないわゆる5ポケットパンツのようであって動きやすいものになっています。
【写真1】
・カラーについて
オフらないパンツでは、スルーハイカージップオフパンツとは異なり、使い回しのしやすい定番色を選ぶことにしました。
Coyote Brown
茶色でも少し燻んだ色です。赤味の強い茶色でもなく、かといって地味過ぎないので、トップスにどんな色を持ってきても合わせやすい色です。同系色だけはちょっとしつこくなると思いますが、それ以外は暖色寒色、赤系青系緑系、どれでもそつなくこなします。
Olive
一般服では男女ともに人気色。ハイキングパンツでも10年以上前には良く見かけた、ザ・オリーブグリーン。こちらも癖なく何にでも合わせやすいですが、色がやや濃い目のため、色の濃いトップスを合わせると全体が暗いトーンになりやすいです。ヘザー系の薄めの色もしくは明るめの色との相性の方が良いでしょう。
・その他
TRAIL BUMとのコラボレーション。しかしこの商品は当店オリジナルとなるため、TRAIL BUM のロゴは控えめにベルトと内側のみです。バックポケットの上にはHighland Designsのブラウンタグが付いています。
前合わせの留め具はシンプルにボタンにしました。これによりかさばりを抑えています。今バックルはYKKのスライドバックル。比較的フラットになりやすく、壊れにくく、テンションがかかっている時はしっかり止まりますが、簡単に外れます。 また、左右に目立たないですが、ループを付けていますのでキーホルダーやカラビナなどをかけることができますので、落としたくないものをつなげたり、コンパスなどのヒモをかけておくことができます。
サイズについて
サイズはUSサイズ基準でXS、S、M、Lの4サイズを用意しました。
XSは女性も履いていただけるサイズですが、普段 W's USのSサイズもしくはMサイズを着られる方向けです。細身もしくは小柄な男性も履けます。ウェストサイズは28インチ以下です。
S、M、Lは主に男性サイズとして考えています。S、M、Lで変わるのはウェストサイズから全体の太さにかけてです。SとMでは丈の長さも変わりますが、MとLでは丈の長さは同じになります。
- XSサイズ ウェスト約28インチ(71センチ)〜、もも周り 52センチ
- Sサイズ ウェスト約30インチ(76センチ)〜、もも周り 54センチ
- Mサイズ ウェスト 約32インチ(81センチ)〜、もも周り 56センチ
- Lサイズ ウェスト 約34インチ(86センチ)、もも周り 58センチ
*誤差あり。半身で±5mm。
・丈の長さ
- XSサイズ/ショートパンツ総丈 約41.5センチ、総丈 94.5センチ
- Sサイズ/ショートパンツ総丈 約42.5センチ、総丈 96.5センチ
- Mサイズ/ショートパンツ総丈 約43.5センチ、総丈 98.5センチ
- Lサイズ/ショートパンツ総丈 約44.5センチ、総丈 100.5センチ
*誤差あり。半身で±5mm。
<サイジング参考>
例1 身長173センチ 体重60キロのスタッフの場合(細めやせ形の体型)Sサイズ着用
例2 身長175cm 体重75kgのスタッフの場合(骨太がっちりの体型)Mサイズ着用
例3 身長165cm体重60kgのスタッフの場合(細めがっちりの体型) Sサイズを着用