
Ame-no-hi 2.5
Weight
212g
Rainy Day:
いつもと違う山の貴重な時間
そんな雨の日を
もっと楽しく快適に
『アメノヒ 2.5』
動きやすく、着やすいけれど、ポンチョでもケープでもジャケットでもない。
ジャケットをベースとし、ややAライン気味に綺麗に広がるシルエット。ロングコートのようですが、プルオーバーになっています。プルオーバーは脱ぎ着が不便に思われがちですが、センタージッパーが長く作ってあるので、脱ぎ着は非常に簡単です。着丈が長いため、レインパンツを持っていかなくても良いので、その分の軽量化ができます。傘を併用すれば、さらに快適になります。そして、なんといってもその軽さ。シンプルな構造と2.5層の防水透湿素材にすることで軽量化を図り、JP Lサイズの実測重量 212 g、Mサイズでは196 g、そしてSサイズに至っては 177 gと、シルナイロン製のケープ(140g前後)にも迫る軽さ。一般的なセパレートレインウェアを持って行くよりも1/2程度の重量にできます。
『何が良いのか』。実はハイカーズデポとして上手く言葉にできません。しかし、この商品を見た時に『欲しい!』と思ったのです。そこに感じたのはレインウェアとしての魅力、可能性といったものがあるような気がしています。レインポンチョやケープでは足りず、ジャケットには無い、もう一つのレインウェアカテゴリー。
AXESQUIN アメノヒ 2.5
カラー 順に ナンドイロ、コイロ、センザイチャ(新色)
サイズ JPNサイズ UNISEX S、M、L
“凌(しのぎ)”をコンセプトに日本の山のためにデザインをする AXESQUIN
〜 凌ぐとは、足りることを知ること。〜
雨を凌ぐ 風を凌ぐ 寒さを凌ぐ 汗を凌ぐ 難所を凌ぐ 煩わしさを凌ぐ
日本の気候風土にあった日本の衣服と海外の登山文化を融合したアイテムを発信し続ける日本メーカー「AXESQUIN(アクシーズクイン)」。今までも僕達を驚かせるアイテムを数多く出しています。そして、2016年からコンセプトが加わります。今までも根底にあったものですが、明確に打ち出しました。それが“凌(しのぎ)”です。防ぐのではなく拒否するのではなく、受け入れて知り凌ぐ。受け入れることで自然との深い交わりがあります。凌ぐのに過剰な道具は要りません。最低限の道具と人の知恵があれば凌ぐのは難しくありません。知恵を使い道具を使いこなすことは喜びや楽しみです。そんな“凌”の思いを込めてアクシーズクインはデザインしています。
ハイランドデザインのオリジナルアイテムも影響を受けています。中でもカラーセンスとパターンは特徴的です。日本の伝統色をいち早く取り入れながらも、日本過ぎない、絶妙な色合いを出すのです。また細部のデザインパターンは日本の衣服をモチーフにしています。
日本で“凌ぐ”アイテムは日本だけのものでしょうか。そんなことはありません。日本と海外の登山文化が融合したアイテムの代表格はツェルトでしょう。ヨーロッパのトラディショナルテントが日本のハイキング文化と融合することで生まれた、日本の気候風土で活きる超軽量テントです。しかし、日本の気候風土に合うからと言って国内だけでしか使えないのでは無く、日本の気候は世界的に見ても複雑で、日本の山野で使えるものは世界的に見ると非常に使用範囲の広いアイテムになるのです。
レインウェアと上手く付き合う日本の“ヤマ”
日本の多雨多湿はハイカーにとっての問題です。温暖な季節はハイキングにとっての適期ですが、同時に雨の恵みを受ける季節でもあります。
着ると暑い、でも着ないとびしょ濡れになるのがレインウェアです。ところが、レインウェアを着たら今度は汗でびしょ濡れになるという経験は、汗かきのハイカーならば体験したことがあるでしょう。「だからレインウェアは上着しか着ない」という人もいるでしょう。ですが、濡れたハイキングパンツも天気が良くなれば乾いてしまうのですが、日本の多湿環境では思うように乾いてくれないことも事実です。それでレインパンツを履いたとしても、結局汗をかいてパンツまで濡れてしまうというなんてこともあります。そんな濡れたままでテントや山小屋で過ごすのは体力の回復を妨げるだけでなく、ハイキングの楽しみこ削がれてしまう一因です。
▪️雨が降ったら濡れるもの
最初に言ってしまうと『濡れないレインウェアなんて無い』のです。また透湿運動の原理を考えると、雨の日の大気中湿度では、『レインウェアの透湿性はほぼ発揮されない』こともまた事実です。結局のところ何をしても濡れることからは逃れられません。しかし、昔のレインウェアでゴム引きのものなんてありましたが、これと比べてみると現在の防水透湿性素材がどれほど快適性と安全性をもたらしてくれているのかがわかるはずです。経験のない方はぜひ試しにその違いを感じてみて欲しいものです。今のレインウェア素材へのありがたみも一入(ひとしお)でしょう。
では、透湿性能に頼らずに、少しでも蒸れを逃し、快適性を保持するにはどうしたらよいのでしょう。そのためには透湿性は落ちますが、余裕のある大きさがあり外気を入れて循環させるということが挙げられます。これを実践している雨具の代表格はポンチョです。しかしポンチョの場合どうしても風が入り込みやすくばたついてしまったり、めくれ上がったりすることもあります。長すぎて歩きづらいという意見もあるでしょう。それではケープならば足周りはすっきりして歩きやすくなるものの、風に煽(あお)られやすくなるのはポンチョ以上です。例えれば、暑いから空気の入れ替えに窓を開けたけど思いのほか涼しくならないからもっと窓を開いておきたいけれど、そうしていると雨が吹き込んで家の中が濡れてしまう、といったところでしょうか。まだ家や部屋の場合は空間が広いので雨具の内部ほど不快ではないでしょうが、結局実生活でも同じことが起きているということは重要な気づきといえます。
アメノヒ 2.5 の特徴
▪️新たな選択肢
アメノヒは、ポンチョやケープともレインジャケットとも違います。強いて言えばレインコートになるのでしょう。このタイプのものが従来無かったわけではありません。普段着のレインウェアとしてはもちろん、アウトドア用途として古い本にも「カグール Kagool」という名前で紹介されています。丈が十分に長いことで、ポンチョタイプと比べても足元が濡れにくいといえるでしょう。
従来のポンチョタイプは傘との相性が抜群でした。傘を差してしまうのならばほとんどそれでカバーできてしまうからです。しかし、ケープの短さやポンチョでもバックパックごと被せてしまうと、足元が大きく開いてしまうため、結局パンツの裾はが濡れてしまったり汚れたりするので、レインパンツを履いてしまうという人もいます。しかし、それでは折角の軽量化が無駄になってしまいます。そもそもバックパックごとレインウェアをか被せつつ、服としてのシルエットなどもキープするということ自体に無理があるのです。
バックパックなどを一緒にカバーできるのはポンチョタイプの良さですが、同時に弱点にもなります。裾がさらに上がるので風が入りやすくなりまくられやすくなります。アメノヒはジャケットタイプをベースデザインにしているので、バックパックごと着ることは想定していません。しかし、そうすることで裾まわりの大きさを制限できるので、風で煽られることもポンチョタイプと比べても軽減できます。ですが、やはりセパレートでないことで空気は入りやすくなるので、素材の機能に頼らなくても換気能力は高いです。もちろんバックパックを背負ってウェストハーネスを留めてしまうと上下での換気はできなくなるので、case-by-case での使い分けが必要になることは言うまでもありません。しかし、センタージップは鳩尾(みぞおち)よりも下までと長めにとってあるので、十分に上部だけでも換気が可能になっています。さらにセンタージップはダブルスライドで上下から開けられるようになっているので、首回りを開かずに下から開けて空気を入れることもできるようになっています。
もう一つ特筆すべきは、シンプルな構造と2.5層防水透湿素材により、JP Lサイズの実測重量 212 g、Sサイズに至っては 177 gと軽量です。レインジャケットと比べても大幅に軽量化できるだけでなく、それでほぼ全身カバーできるのは、雨具事情を簡素、簡便にしてくれます。また軽くコンパクトなので、収納場所も選ばないのは嬉しいところです。
面積の広いものですから、極端な話、シートとして使ってしまっても良いでしょう。タープのグラウンドシート代わり、はたまたビビィサック代わりにもなるとかならないとか!?
▪️アメノヒの多彩なスタイルバリエーション
アメノヒの裾(すそ)には伸縮性のあるバンジーコードが通されていて絞ることができます。この機能があれば、風の侵入を防ぐことがさらにできるようになるので、上記もしていた、スカートタイプ、ポンチョタイプの風の煽り(あおり)による弱点をさらに減らすことができるでしょう。この裾の絞りはそれ以外の使い方もできるのです。
1、ジャケット、ショートコートスタイル
十分にデザイン性が高いので、このままでも山から街に降りてきて着てしまうこともできるでしょう。しかし、コートタイプに抵抗のある人もいると思います。そんな時は、裾のバンジーコードを思い切って絞って、腰のあたりで留めてみます。すると、やや丈の長めのジャケットもしくはショートコートのようにして着ることができるようになります。
2、下から着られる
アメノヒはロングコートタイプで、プルオーバーなので、上から被って着るのはジャケットタイプよりもやりずらく、脱ぐときはなおのことです。そんな時は下から履いてしまいましょう。センターのジッパーが “みぞおち” 辺りまで下がるようになっているので、間口が大きく開くため、履くようにして着ることができます。写真を見てもわかるように、簡単に、自然と着ることできるのです。






3、レインスカートスタイル
もう一つの使い方は、上半身を脱いだ状態で、袖を腰部で結んでしまえば、レインスカートとして着ることができます。たった一つのレインウェアがこれほどの多様さを持っているのも、薄手の素材でコートタイプながらも、ハーフジップのプルオーバーだからなのです。
▪️素材について
Pertex Shield® 2.5 Layer、PU Coating(mesh print)
耐水圧(防水性)10,000mm、透湿性(水蒸気透過率 MVTR)6,000~7,000 g/m2/24h
アメノヒは、バックパックのウェストハーネスで留めなければ、空間が広いので換気性能に優れています。密閉できないということは透湿運動を起こしにくいので、あまり高機能な素材を使っても価格が上がるだけで、良さを活かすことができません。使用している「2.5層 Pertex Shield®」は ”Pertex Shield+®”ではないため、防水透湿膜はコーティングになります。コーティングといっても、微多孔質、要するに孔(あな)が空いているタイプとなります。現在はでは一般的と言えるこの数値は決して高くはありませんが、初期のG社 ePTFE防水透湿膜はこれよりも数値が低くかったことを考えれば、十分過ぎる性能だと言えるでしょう。
ウェストハーネスを留めた場合は、上半身に関しては素材の性能に頼ることになるでしょう。その場合でも、上記している長めのフロントジッパーを上からフルオープンすれば一気に換気できるでしょう。また、ダブルスライドになっているので襟元は閉じたまま、下から開けるのも良いでしょう。