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TR 1 Junction [mens]

SPECIFICATIONS
重量(実測値) 296g / 9.0 inch
使用目的 ロングディスタンスハイキング、ULハイキング、沢歩き
アッパー ・つま先と踵にTPUの補強がされている疎水性の高いキャンバス
・足を安定させるEVAのヒールカップ
・Polygiene®加工がされ防臭効果のある取り外し可能なインソール
・ヒールについたループ状のタブ
・別カラーのシューレース付き
ミッドソール ・足の疲労を軽減させるTop Shank™が入り、踵から母指球までがほぼ水平
アウトソール ・高いフリクション性能のG.15™ Rubber
・5mmの深さのラグ
・Non-marking
足と地面との距離 21 mm heel(かかと)
20 mm ball(母指球)
サイズ・カラー サイズ:US 8.5 / 9.0 / 9.5 / 10.0
  *参考:実足長25.5cmのスタッフ→8.5を選択
  (アルトラ 8.5、サロモン 9.0)
  *実足長プラス1cmを目安

カラー:Dirt Brown
PRICE
¥18,500 + tax

Review

質実剛健
ハイキングに欲しい機能が
ちゃんとある
ロングハイキングも耐える
『TR 1 Junction』

 

非常に素敵なデザインです。見た目にいかにもアウトドアシューズというデザインではありません。だからと言って機能的でないということではありません。「見た目だけ機能的」なシューズが多い中で、しっかりと機能をうちに持ちつつも、外見的に主張はしない。なんて質実剛健なシューズでしょうか。

Mens
Dirt Brown
296 g

 

機能と特徴

手で持った時にしっかりとした感触があるものの、重量は一般的なトレイルランニングシューズとも引けを取らない重量(mens/296g/9.0、womens/268g/7.0)です。つま先上部からタンにかけては通気性の高いメッシュ素材を用いていますが、Mensモデルは全体には疎水性の高いナイロンキャンバスとなっています。Womensモデルは履き心地の良さと女性の足が男性と比べて柔らかいことを想定してか、メッシュ部分が多くなっています。また補強するようにつま先と踵にはTPU素材で覆われています。つま先先端には排水用の穴があり、ミッドソールから内部へと貫通しています。

踵から母指球にかけてはドロップ差1mmとほぼ水平で、ミッドーソールは耐久性とクッション性の高いEVAに、地面の凹凸からの突き上げから保護し、足の疲労軽減に繋がるシャンクが入っています。これにより全体的な剛性感があがり、柔らかめの地面などでの安定性も増します。

アウトソールには、防滑性能に優れるG.15™ラバー。ラバーとしてはブリュワーと同じですので、多少の濡れでもグリップ力を発揮してくれるでしょう。オリジナルのソールパターンで、十分な5mmの深さがあります。同社ブリュワーのアウトソールと比べると、ラギッドなパターンとなっています。

Mens / outside

 

Mens / outsole

 

Review

履いた感触は、少し硬さ「カチッ」とした印象を受けます。ヒールカップがしっかりしていることと、キャンバス地の影響が大きいと思います。エッジがしっかりと立つ感じがあるので、トラバースなどには強いです。ホールド感は決して強い方ではないですが、キャンバス生地は伸びがあまりないので、シューレースをしっかりと結ぶことでフィット感を高められます。
やや丸みを帯びたトゥーボックス。メッシュ素材が柔らかいことと、つま先のガード部分が立っていることで、つま先には十分なボリュームがうまれ、足の指の自由が保たれます。タンにクッションが無く薄いのはやや気になるところです。長期間においてはもしかしたら甲部分に当たりがでる可能性はあるでしょう。シューレースは2色ついていて好みで楽しんでいただけます。
最近のトレランシューズをハイキングで使っているハイカーにとっては最初「コツコツ」と音がするほどのソールの硬い感じは違和感かも知れません。しかし最近のトレランシューズのミッドソールがむしろ「グニグニ」と柔らかすぎるとも言えます。確かに柔らかい方が衝撃を吸収はしますが、力が逃げるのも事実ですし、潰れていくのが早いです。少し硬めに感じはしますが、柔らかい地面や斜めになっている道、トラバースには良いですし、一足ごとのブレも軽減してくれるでしょう。
どちらが良いということではありませんが、やっと同じレベルで比較ができるハイキングシューズが現れたことはハイカーにとって朗報です。さらにどの機能をとっても高いクオリティになっています。

Mens / upper

About ASTRAL

ASTRAL(アストラル)というメーカーを初めて聞く人もかなり多いはず。カヌー、カヤックなどの水遊びをしていなければお目にかからずに一生を過ごすことでしょう。
アストラルはもともと「Lotus Designs ロータスデザイン」というPFD(パーソナルフローテーションデバイス)、日本ではライフジャケットや救命胴衣と言われているものを作っていた伝説的なメーカーでした。今あるPFDの原型を作ったと言っても過言ではないそのメーカーは「パタゴニア」に買収されましたが、その後PFD事業から撤退しました。さらにその後、ロータスデザインの創業者が新たに立ち上げたメーカーがアストラルです。今でも革新的で環境に配慮した先進的なPFDを作り続けている一方、数年前より力を入れて展開し始めたのが「シューズ」です。最初はウォーターシューズのみでしたが、今ではデイリーユースからトレイルシューズまでをカバーしています。

 

TR1 の魅力

山を歩くのにおいて使われるシューズは様々です。距離や時間が短ければ、たいていの場合なんでも問題ないでしょう。ゴツくても、普通のスニーカーでも、なんならサンダルだって。履いている時間が短いと目立ったトラブルも起きにくいものです。

しかし、1日の歩く距離が長い。重い荷物を持つ。というように別の要因が入ってくると話が変わります。ましてやロングハイキングのようにいくら軽くしていても、それなりの重さになる「身の回りの道具」を担ぎ、日々を歩き続けるハイカーたちにとって、シューズの良し悪しは重要な問題です。「何履いてる?」「あのシューズってどうなんだろう?」とハイカー同士では定番の会話といって良いでしょう。

長らくと言っても良いくらいこの数年ALTRAがハイカーの足元を牽引してきたと言っても良いでしょう。それくらいハイカーにとって欲しい機能があったからです。

・つま先のトゥーボックスが広々して余裕があること。
・クッション性が高いこと。
・足と脚にトラブルが起きにくくなること。

2010年頃に盛んだったベアフットランニングという言葉。色々な誤解を生むことからも最近ではナチュラルランニングと言われます。ヒールストライク全盛にあってアルトラは異を唱えました。しかし運動生理学の観点からもヒールストライクが生む怪我というものを認める動きもあり、広まっていきました。実際に僕もアルトラやゼロシューズに出会う中で脚や膝のトラブルといったものが軽減したように感じています。もちろんそれ以外に気をつけてトレーニングしたところもありますが、道具に頼りすぎずとも人間の体を使うことの方が最終的なトラブルを減らせるという事実を僕らに教えてくれた印象的な事柄です。

ロングハイカーにとって、アルトラシューズのコンセプトに基づいたデザインや機能が、良いマッチングだったことは間違いありません。しかし他の選択肢も欲しいところですが、どこのメーカーも長続きしません。そりゃそうですよね。いくら言ったところで、ロングハイカーたちは常にマイノリティです。そのためにシューズを作り続けるなんて、現状困難と言えます。

だからアルトラだって、あくまでもトレイルランニングシューズです。それをハイキングに使っているだけです。もしアルトラがハイキングシューズを?ですが、おそらくはメレルやバスクのような、わかりやすい形のごついハイキングシューズになってしまうことでしょう。それらのデザインはハイカーが求めるそれとは異なります。

それに対して、このアストラルのTR1は、まるでトレイルランニングシューズのように軽量ですが、走るためのデザインにはなっていません。シンプルなデザインでありつつも十分な堅牢さも持ち合わせており、見た目からは推し量れない機能を持っているハイキングのシューズです。見た目のデザインも機能のデザインも、まさにハイカーの好みではないでしょうか。僕はドンピシャです。もしかしたらこれはロングハイキングやウルトラライトハイキングを意識した、最初のハイキングシューズかも、知れませんね!