MSR

Windburner

キャンプ キッチン
Weight

465g

高効率バーナーの特徴である「沸騰時間の早さ」「驚きの低燃費」に加え、「低温下や強風下でも変わらぬ性能」という数々のエクスペディションギアを世に送り出してきたMSRらしい付加価値が加えられました。無雪基用キャニスターストーブのひとつの完成形。
Weight

465g

SPECIFICATIONS

重量
465g
製品内容
本体/1.0L断熱グリップ付アルマイト加工鍋/ボウル/蓋/キャニスタースタンド/タオル
収納サイズ
11.5cm×10.7cm×18.1cm
最高出力
1765kcal/h
使用可能燃料
イソプロ
沸騰時間
約2分20秒(600ml)
燃焼時間
約95分(227キャニスター使用時)
沸騰水量
約18L(227キャニスター使用時)
*)イソプロ20gでの沸騰水量 約1.6L
29,000円 (税込31,900円)

耐低温&耐強風の安心感
低燃費の経済性
無雪期用キャニスターストーブの完成形

アメリカでは2014年に発売されたMSRの高効率バーナー「ウインドバーナー」。2020年から日本でも販売がはじまります。高効率バーナーの特徴である「沸騰時間の早さ」「驚きの低燃費」に加え、「低温下や強風下でも変わらぬ性能」という数々のエクスペディションギアを世に送り出してきたMSRらしい付加価値が加えられました。無雪期用キャニスターストーブのひとつの完成形ともいえる製品です。特徴は以下の4つ。

早い沸騰時間:2分20秒/600ml
驚きの低燃費:9L沸騰可能/110キャニスター
安心の耐風性:風速5m/秒でも大きく変わらぬ機能
可能性を広げる耐低温性:マイナス10℃での使用実例(*独自テストによる見解)

 

イメージしやすいよう具体的かつ目安となる数値をあげました。これらはメーカー公表値だけでなく、当店オーナー土屋が実際に使用しての経験値やテスト値からの見解も含まれます。
従来の高効率ストーブとの大きな違いは耐風性と耐低温性です。沸騰時間の速さや燃費については従来の高効率モデルとたいして変わりません。むしろ数値的には劣る部分もあります。しかし耐風性と耐低温性においては圧倒的なアドバンテージを持っています。ウインドバーナーは無雪期&一般用途という位置付けではあるものの、この特徴により様々な条件下での使用を予感させてくれるストーブになっています。

 

 

ラジアントバーナー

炎を直接ださず、金網を加熱し赤外線によって熱を放出するバーナーヘッド。100%一次空気を使用して燃焼します。下記に述べる専用クッカーの底部が完全にバーナーを覆うため、風の影響をほとんど受けず、熱ムラも発生しません。そのため低出力にも関わらず無駄なく効率良い加熱が可能になるのです。このバーナーヘッドの構造がMSRの高効率バーナーの大きな特色です。
いわゆる着火装置がついていませんのでライター必須となりますが、アルコールストーブや固形燃料ユーザーも多いUL志向のハイカーならライター必携は大丈夫でしょう。プレッシャーレギュレーター搭載。

 

 

専用クッカー

バーナー同様クッカーも専用設計がほどこされています。底部のフィン状の付属物は効率よく熱を吸収しクッカー本体に伝えるヒートエクスチェンジャー機能を担っています。また底部横に位置しているは排気口にも注目です。煙突効果でのスムーズな空気の流れと熱効率の向上に役立っています。
一体型高効率バーナーが従来のストーブ&クッカーの組み合わせと根本的に異なるのは「手で持ったままお湯を沸かせる」ということです。言い換えれば地面から自由になり、空中でお湯を沸かすことが可能になったのです。クッカーとストーブとをしっかりと固定し、ハンドルを持てば良い。これが行動の可能性を広げてくれました。アルピニストやクライマーは壁の中で立ったままお湯を沸かすことができるようになりましたし、ハイカーはハンモックに揺られながらお湯を沸かすことができるようになりました。クッカーに付属しているハンドルは非常に重要な意味を持っているのです。

クッカー底部のフィン

 

煙突効果を生むサイドの吸排気口

 

手持ちでの湯沸かしを可能にするハンドル

 

 

スタッキング

1.0 L専用クッカー内にバーナー本体、110サイズキャニスターを収納。ボウルは外側に被せます。小型クッカー&コンパクトガスストーブのコンパクト性には劣るものの、機能面から考えればコンパクトだと評価できるサイズ感といえるでしょう。

 

 

北米の様々なアウトドア賞を受賞したMSRリアクターの技術。その核心である耐風性能と耐低温性能をエクスペディションクライマーやアルピニストだけでなく、多くのアウトドアズマンに届けるMSRウインドバーナーパーソナルストーブシステム。密閉された防風機能と熱輻射バーナーにより、寒風吹きすさぶ環境下でもすばやく湯を沸かすことが可能になりました。

カリフォルニア州で頻発する山火の多くは自然発火ですが、人為的な要因を少しでも無くすため、この数年来カリフォルニアの国立公園ではシャットオフバルブが無いアルコールストーブや固形燃料は焚火と同じ扱いとされ自由に使用できない状況にあります。2020年現在、JMTやPCTを歩くハイカーにとって選択肢はガスストーブとなるのです。残雪のシエラネバダ山脈や初雪に見舞われるワシントン州では氷点下になることもしばし。燃費が良く、低温下でも安定した性能を発揮するウインドバーナーにとっては有効性を発揮するフィールドといえるでしょう。
日本のみちのく潮風トレイルは三陸沿岸ということもあり、冬でも積雪がほとんどないため寒さ対策中心で冬も歩くことができる長距離トレイルです。11月から3月頃にこのトレイルを歩くハイカーにとっても低温下ですぐにお湯が沸くことは嬉しい機能に違いありません。

数週間、数ヶ月にわたる長期間のアウトドアトリップでは燃料の大幅な節約も実現します。デイハイクからロングハイク、エクスペディションまで、様々なニーズに応えてくれるのです。

誰もがいつでもどこでも満足する
高性能アウトドア湯沸器

 

 

 

【注意】

国内代理店での保証やOリング交換サービスなどの修理を受けられるのは正規輸入品のみとなります。ご注意ください。JIA(日本ガス機器検査協会)認証を受けている製品にはこちらのタグが付いております。

 

 


参考)高効率バーナーの変遷

高効率バーナーの特徴は、効率よく熱を伝えるアルミフィンを底部に備えたポット部とバーナー燃焼部とを接続する一体構造にあります。こうした特徴をもつ高効率型バーナーは2001年にJETBOILによりはじめて製品化されました。「沸騰時間の早さ」「驚きの低燃費」「手持ちでも使える汎用性」が従来の燃焼器具の常識を覆し、多くのアウトドアズマンから高い評価を受けてきました。優れた燃費により携行するガス缶を減らすことができることからロングハイク&ULハイクの文脈でも注目を集めてきたのです。実際に北米のロングディスタンストレイルにおけるハイカーのJETBOIL使用率は非常に高く、発売から20年、まさにスタンダード&ロングセラーという揺るぎない地位にあります。
MSRでは2007年、JETBOILとは異なるコンセプトの高効率バーナーとしてリアクターを発売しました。低温下&強風下での使用を想定していないJETBOILが苦手とした冬季登山用、遠征用です。リアクターで実現したこの耐低温&耐強風性能の技術はMSR高効率バーナーの特色として2014年発売のウインドバーナーにも引き継がれるのです。リアクターが冬季用とすると、ウインドバーナーは原則として無雪期用です。

現在はPRIMUSのイータシリーズなど分離型高効率バーナーの登場で状況は多様化していますが、コンパクトな一体型モデルにおける流れをおさえておくと、メーカーごとの特色を理解しやすいでしょう。

 

参考)使用レポート

日本で発売されるモデルはJIA(日本ガス機器検査協会)認証のために一部構造を日本仕様に変更しています。厳密にいえば北米仕様とは異なります。ここでは2018年にオーナー土屋が北米で購入、3週間の山行で使用した際のデータを述べたいと思います。

シエラハイルート(カリフォルニア、USA)

山域 & ルート)アメリカ カリフォルニア シエラネバダ山脈(SIERRA HIGH ROUTE)
使用標高)2,000〜3,800m
期間)2018年7月29日〜8月20日(行動日数19日間)
最低気温)-2℃
パーティー人数)2人
消費キャニスター)110サイズ 2個+α(使い切ったのは2缶。3缶目を若干量使用。)

気象状況は夏の北アルプスをイメージしていただければ良いでしょう。午後の雷雨や急激な気温低下など8月後半から9月頃と似ています。19日間のハイキングで消費したガス缶は110缶2缶のみとなります。2名で使っていましたので実質ひとり1缶。

朝)使用せず
昼もしくは午後休憩)コーヒーをたまに 150cc*2人
夕)食事用 250cc*2人、コーヒー 150cc*2人、スープ 150cc*1〜2人
*)1日に沸騰させる水の量は約1〜1.2L計算となります。

MSRのホームページによるとウインドバーナーで沸騰させる際のガス消費は227缶で18L相当。110缶ではその半分の9L。山行中を1日1L計算ならば19日で19L。ちょうど110缶2個分に相当します。日中に余計にコーヒーを飲んだり、気温が低い時に白湯を飲んだりということもありましたので、3缶目に突入したことも妥当です。わたしは完全に沸騰させるのではなく、泡がでてきたらもう火を止めてしまいます。これでも80℃以上には確実になっているので湯戻し調理には十分ですし、スープやコーヒーはどうせそのままでは熱くて飲めないのですからこのくらいで適当だと判断しています。こうしたことも燃料の節約にはつながっていると思いますが、概ねMSRが公表する沸騰のためのガス消費量は適正値だと3週間の使用で納得できました。

227缶 18L
110缶 9L

帰国後は雪山などでも使用しています。-10℃までは使用経験がありますが、それ以下では現在のところ未知数です。そもそもが冬季用としてはリアクターが同社からは発売(日本未発売)されていますので、-15℃を下回るような厳冬期での使用はメーカーとしても想定していないのでしょう。それでもそれなりの低温下でさほど変わらない燃焼機能を発揮することは確認できています。残雪期から初冬にいたるまで幅広い時期をカバーする無雪期用キャニスターストーブとして安心して使用できると考えています。

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土屋 智哉

土屋 智哉

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強風、低温が予想されるアルパインエリアでの安心感は随一。燃費の良さも3週間のテストで実感。
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