
Thru-hiker Zip-off-not Pants[Trail Bum® Ver.]
Weight
265g
機能もデザインもシンプルにこだわって
いつでもどこでも履いていたい
『Zip-Off-Not Pants』
「ジップオフしないから、オフらないパンツでしょ?」
勿忘草(ワスレナグサ)というアメリカ・アラスカ州花にもなっている花の英語名は "forget-me-not"。そんなロマンチックな理由があるわけでは全くありませんが、その字面に倣い "zip-off-not" と名付けられました。(というには大袈裟すぎますが)
Thru-hiker Zip off Pants は、今やハイランドデザイン製品の定番アイテムであり、細部の作りの使い勝手の良さからも、リピーターが多いパンツです。温暖な暑い時は積極的にショートパンツ。肌寒ければロングパンツに。アンダーにタイツなどを合わせれば冬のハイキングでも使用できます。もしタイツが厚手過ぎても換気性能も優れています。ハイキングにおいてジップオフパンツがあれば一年中困ることはありません。(というには大袈裟ですよね)
とはいえ寒冷期で、ほとんどショートパンツにすることがない時期にわざわざジップオフパンツを履くのはどうなんだろう、という疑問も最もです。また、生活になってしまうほどの期間歩くスルーハイカーのことを考えて作られていますので、ポケットの配置や形状は日常生活においても使いやすく配置されています。そんな時までジップオフ?そんな当たり前で純粋な動機から考え出されました。(というには大袈裟なんですけど)
まだこのパンツの商品名が決まっていない時に、いつもジップオフパンツの製造を依頼している業者さんが言った一言が “オフらない” パンツでした。なんだそのネーミングはと思ったのですが、その言いやすさ、シンプルな言葉に込められた意味、まさに的を得たりと思ったのです。けれどもその言葉をそのまま使うには大胆すぎる。もとのパンツがわざわざ英語名にしているのに日本語名にするのもどうかと思われました。そんなことを当スタッフ "べーさん"こと勝俣に相談したところ、この "zip-off-not" という言葉にたどり着いたのです。
というには大袈裟な、シンプルなナイロン製のふつうなロングパンツ。それが、Thru-hiker Zip-off-not Pants/スルーハイカージップオフノットパンツ(以降オフらないパンツ)なのです。
Thru-hiker Zip-off-not Pants


機能と特長
・基本的な機能について
機能というほど強調するべきものがあるのかといえば、むしろそれを感じさせないようなパンツを目指したのかもしれません。そもそもスルーハイカージップオフパンツがそうでした。ジップオフ機能があるからこそ、十分すぎるくらいの機能性が付加されていましたが、それを取り除いてしまえば何のことないただのロングパンツです。できるだけ普段使いと同じような形状のポケットやシルエットにこだわって作っていますのでなおさらでしょう。機能を強いて言うならば両サイドのカーゴポケットです。これに関しても取り除くかどうか検討しましたが、企画担当者(僕ですけど)が「ハンドポケットより使いやすく」なるようにこだわって手を伸ばした距離感や大きさを選んだもので、実際ハンドポケットよりも多用するという意見を取り入れ(半ば独断で)残すことを決めました。シンプルなポプリン織りなどのナイロン生地ハイキングパンツ。以前はたくさんありましたが、最近はストレッチ素材全盛期において、その姿はほとんど消してしまいました。しかし、2016年リリースされたパタゴニアのバギーズパンツのようにシンプルなナイロンパンツというのも決して求められていないわけではないはずです。
確かにストレッチパンツの動きやすさは一度使うとくせになるものです。けれども、その生地の構造上風の抜けやすさから寒冷期には寒いのです。そのため冬用のストレッチパンツにはフィルムやコーティングで耐風性を補ったものや、密度を非常に高くすることで耐風性を確保していますが、そのどれもが少し運動が持続したり活発になると、適度に抜けていかない(抜けられない)ために、「暑く感じ」たり「蒸れたり」するのです。それにストレッチ素材は構造上保水しやすく、疎水性、速乾性が劣ります。
ストレッチ性のないシンプルなナイロン生地は、密度が高いので多少の蒸れを感じることはありますが、コーティングもフィルムも無いし、過剰な高密度でもないために、そこそこ耐風性もあり、そこそこ通気してくれる、意外と汎用性の高い素材なのです。ですのでこのようなナイロンパンツの場合、一枚で履けば春から秋まで幅広いシーズンで使え、耐風性もそこそこあるため風に当たっても抜け感はほとんど感じないですし一気に体温を奪われるということもありません。タイツをアンダーに履けば冬用のハイキングパンツとしても問題なく使えます。また疎水性に優れていますので、旅先で乾燥機がなくても脱水すればほとんど水が切れます。速乾性に優れていますので、旅先で洗濯して生乾きを履いていたってすぐ乾いてしまいます。
・使用しているナイロン素材
横畝がしっかりと出ているブロードまたはポプリンと呼ばれる平織りの生地です。凹凸があることで肌と面で接するのを防ぐため、汗をかいてもベトツキ感を抑えてくれます。通常は密度もあることからやや光沢があるのですが、サンドウォッシュ加工によって光沢感を抑え風合いがよりコットンのようになっています。夏にはいても蒸れにくい通気性はありますが、密度のある生地なので冬季でもタイツなどの組み合わせなら十分に使えます。少し毛羽があるおかげで光沢感が抑えられていますが、擦れやすいところは毛玉ができるかもしれません。しかし、しばらく経過すればおさまります。
どうして今はたくさんの高機能素材があるにも関わらず、ストレッチしない生地をわざわざ使うのか。
生地の雰囲気の問題とか。実はそれは大きなポイントではあります。ストレッチなどの高機能素材の多くは素材そのものもあれば、特殊な織り方や繊維の撚り方などをするために、どうしても普段使う素材とはどこか違う雰囲気がでてしまうのです。いわゆる“テクニカル”や“スポーティ”っぽくなるということです。それを避けるためという答えの他にも理由があります。
ストレッチ素材には弱点があります。水を含んだら乾きにくいとか、紫外線でストレッチが劣化するとか、防風性に乏しいとか。今ではそのほとんどが高レベルで改善されています。それは間違いない。ですが、結局のところストレッチをする生地の構造上その問題がゼロにならないのも事実です。寒いし、比較すると断然乾きにくい。ストレッチ性を下げれば改善される問題でもありますが、それならわざわざストレッチ素材にしなくても良いのではないか。ストレッチ素材のパンツの心地よさは理解しながらも、ハイキングパンツとしての取り扱いの簡便さは普通のナイロン生地には敵わないのです。
速乾性はもちろんのこと、適度な通気性とやや防風する素材を裏コーティングやシレ加工(裏面を熱でつぶすダウンプルーフ加工)せずに、適度に可能にしてくれるのは、昔から普通にある生地の織り方の大きなメリットです。だからこそ、ロングハイキングのためのパンツには、ふつうの素材が最適なのです。
・ハンドポケットの形
最近のハイキングパンツのポケットはシーム(縫い目)に沿って縦に付いているものが多いです。これは構造を簡単にするためのものなのか、デザイン上のものなのかは分かりませんが、使いやすくはありません。人間の手がパンツのポケットに入る角度は真横になることはないはずです。また、横に付くことで 物が落ちやすくなることもあるでしょう。ジッパーが付いているならまだしも、ジッパーは締め忘れることも少なくないです。 ジーンズやチノパンなど、一般的なパンツのポケットは上方向に口が開いていて、斜めについています。この方が手の出し入れは格段にしやすいです。特にここは“普段使い”の“いつもと同じ”形状にしました。使い慣れている形だからこそ違和感を感じずにつかっていただけますし、立っている状態であれば、 物が不意に落ちるようなこともありません。
・カーゴポケットの位置
カーゴポケットを使わない人も多いと思いますが、その理由の大半は使いにくいと感じるからでしょう。 “手が届きにくい距離” “開けにくい構造” “ 斜めに付いている” などといった原因があると思います。オフらないパンツは、手を自然に伸ばした先にジッパーのタブが来るようにしました。一 般的なものよりはやや高い位置にあると思います。ですが、何気なく伸ばした先にあるので自然に開けることができます。またジッパーの角度をストレー トにすることで、感覚的なズレがなく“普通”に開けることができます。カーゴポケットの深さも少し体を傾ければ底まで届く深さにしていますので、入れたものの出し入れがとても用意です。大きさは折りたためるものならキャップを畳んでいれることが可能です。地図を入れても良いでしょう。カーゴポケットの高さはジッパーの位置を高くしたことから自然と高くなりました。そうすることで荷物が入った状態で歩いても歩行を妨げにくくなっています。 左のポケットと右のポケットは同じ形、同じ高さでシンプルな作り。高さはやや高めなので、自然と無理なく手が届いて入ります。
カーゴポケットが下に付き過ぎて体を大きく傾けなければ届かない場合など、面倒で使わなくなってしまうかもしれません。斜めにジッパーが付いていることで間口が広がるのは良いのですが、普段使い慣れていない角度なのでどうしても開け閉めしにくいという欠点があります。
要するに、出来る限り普通に、普段通り使える形状で良いということです。ポケットを何かの形状に合わせたりして専用ポケットを作ったり、角度を “体に合わせて変える”という小手先の仕様などは一見して印象には残るのですが、では普段にそういうものは使うのでしょうか。家庭で使う鍋や、物を作る道具だって、できる限りシンプ ルなものの方が使いやすいと感じるのではないでしょうか。使い慣れていない形には慣れる時間が必要です。ある意味“技術が必要”ということです。 専用ポケットはその専用品の形状が変化したり無くなってしまえば無用の長物です。
ポケットはパンツにおいて最も多様する機能です。だからこそ、ハンドポケットもカーゴポケットもいつも通りの形と自然と届く距離にこだわりました。
・腰部分のストレッチ素材
腰部分にストレッチ素材を付けています。よく見ると細かいグリッドの素材になっていて、適度な通気性と吸水性と吸水力、速乾性に優れています。どうしても汗が溜まりやすい腰回りですが、この部分で吸収し水分を拡散して快適に保つことを目的としています。暑い夏にはすこぶる快適です。厳冬期の山でテストはしていませんが、平地の冬程度の気温であれば寒いということはありませんでした。それ以外にも利点があります。腰部分は足を動かすとき、思っている以上に引っ張られる部分なので、腰部分がストレッチになっていることで、動きやすくなります。実際に使用して感じるのは脚の曲げ伸ばしや段差を上がるときに、引っかかり感などのストレスを感じにくいです。しゃがんだり座ったりする時にも心地よいです。理由があって、こだわりがあって、メインの素材にはあえてストレッチしないナイロン素材を使っています。それはそれとして活かしつつも動きやすくすることが可能になっています。
・その他
TRAIL BUM のロゴは控えめにベルト先とヒップポケットのみです。ピップポケットの上にはブラウンドタグが付いています。
右後ろのみジッパーつきのヒップポケットが付いています。
前合わせの留め具はシンプルにボタンにしました。これによりかさばりを抑えています。今バックルはYKKのスライドバックル。比較的フラットになりやすく、壊れにくく、テンションがかかっている時はしっかり止まりますが、簡単に外れます。 また、左右に目立たないですが、ループを付けていますのでキーホルダーやカラビナなどをかけることができますので、落としたくないものをつなげたり、コンパスなどのヒモをかけておくことができます。
サイズについて
S、M、Lの3サイズです。
S、M、Lで変わるのはウェストサイズから全体の太さにかけてです。各サイズ丈の長さが変わります。
*誤差あり。±1㎝。
<サイジング参考>
例1 身長173センチ 体重60キロのスタッフの場合(細めやせ形の体型)Mサイズ着用
例2 身長175cm 体重75kgのスタッフの場合(骨太がっちりの体型)Lサイズ着用
例3 身長165cm体重60kgのスタッフの場合(細めがっちりの体型) Mサイズを着用