イベントリポート

東海自然歩道全線調査報告会
「つなぐ 東海自然歩道」アーカイブ配信

2024/03/30
土屋 智哉
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2024年2月24日(土)なごのキャンパスにて開催された東海自然歩道調査報告を主としたイベント「つなぐ東海自然歩道」。日本各地より180名ほどにお集まりいただいたイベントとなりました。日本で50年以上続いてきた長距離自然歩道、そしてその第一号となる東海自然歩道への興味をより持っていただくため、主催である一社)トレイルブレイズハイキング研究所が当日の記録動画を公開しました。

まずはイベント告知の際の紹介記事を転載させていただきます。

東海自然歩道

日本初の長距離自然歩道である東海自然歩道の構想がたちあがったのは1969年。高度経済成長による工業化の波から郊外の自然を守るグリーンベルトとして、そして歩くことで東京と大阪を結ぶ人の道として、厚生省の国立公園部が構想をたちあげたのがはじまりです。全線開通は1973年、日本にも半世紀の歴史をもつ1,000km超えのロングトレイルが存在するのです。そして東海自然歩道はその構想時から北米のアパラチアン・トレイルを目指すべきものとして計画されました。まさに日本初のロングトレイルと言えるのです。

東海自然歩道はさまざまな課題から、この50年間積極的に活用されてきたとは言い難いのが実情です。しかし北米においてもアパラチアントレイルがハイカーに浸透し始めたのはその敷設からおよそ四半世紀を必要としました。トレイルが敷設され、ハイカーが認知するようになり、スルーハイカーがうまれ、地元に根付く。それには長い年月が必要なのです。

 

ロングディスタンスハイキングとスルーハイキング、日本の10年

日本人PCTハイカーがワンシーズンで複数人数になった2012年以降、日本でも海外スルーハイクを経験するハイカーが急速に増えました。2016年からTRAILSとHiker's Depotとで共同開催しているイベントLONG DISTANCE HIKERS DAYの登壇者、参加者をみてもわかるように、ロングディスタンスハイキング、スルーハイキングという文化が少しずつ日本にも浸透しはじめています。
海外ハイキング経験者が増えたいまだからこそ、あらためてわたしたちの足元、日本のロングディスタンスハイキング、スルーハイキングを見つめ直す段階にきているように思います。本場アメリカの現実を体験したからこそ、内実がともなう「日本を楽しむロングハイキング」をみんなで生み出していけるはずです。そして日本には1,000kmを超える「歩く道」がいくつも眠っているのです。日本初の長距離自然歩道である東海自然歩道を現代ハイキングの視点でハイカーが全線調査すること、その実状を共有することで、日本国内のロングディスタンスハイキングに新しい風が吹いてほしいと願っています。

 

日本のトリプルクラウン

保全と地域計画を主軸とした開拓者アパラチアン・トレイル、恵まれた気候と変化に富んだウィルダネスのパシフィック・クレスト・トレイル、先例に学びながらも独自進化し野生的なコンチネンタル・ディバイド・トレイル。アメリカの三大トレイルがそれぞれの魅力を持つように、アメリカのトレイルに学び 街と山の端境をゆく東海自然歩道、温暖な気候の中 荒々しい刺激がクセになる九州自然歩道、地形的変化に富んだ沿岸をゆく みちのく潮風トレイル、日本においてトリプルクラウンを考えるなら1,000km超えのこの3本だとわたしは考えます。そして信越トレイルはバーモント・ロングトレイルのような文化の核となる魂のトレイル、高島トレイルはアリゾナ・トレイルのような自由あふれるトレイルです。北米のあり方が絶対ではありませんが、こうした目線で日本のトレイルを見つめ直すと、日本のトレイルやハイキングがいままでと違う景色に見えてきます。日本のトリプルクラウン、歩いてみたくありませんか。

 

半世紀続いてきたロングトレイルのいま。
つなぐ東海自然歩道 アーカイブ配信

こちらの画像からアーカイブ配信をご覧いただけます。

2010年にPCTをスルーハイクした後、ハイカーズデポの店頭で多くのハイカーの相談にのり、彼らを海外に送り出してきた長谷川 晋。2014年には著書『LONG DISTANCE HIKING』(TRAILS)を著し、2016年にはTRAILSとイベント「LONG DISTANCE HIKERS DAY」をたちあげてきました。そんな彼が2020年に自らが代表として立ち上げたのが一般社団法人トレイルブレイズハイキング研究所。ハイキング文化の醸成と持続可能なトレイルの取り組みを支援する組織です。
2023年秋におこなわれた東海自然歩道全線調査は彼らが沿線各自治体、環境省から現状や歴史的変遷なども聞き取りをおこない、机上調査から実際の全線調査へといたりました。

今回のイベントはその実踏調査の経過報告会ですが、それだけではありません。日本人初のトリプルクラウナー、日本ハイキングシーンのキーパーソン、お膝元東海地方をホームトレイルとするハイカー、散歩の延長線で1,000kmのトレイルを全線踏破してしまったご夫婦ハイカーなど、さまざまなハイカーの話も楽しんでいただけます。

【日時】2024年2月24日(土) 11:30〜17:00

【会場】なごのキャンパス(〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2-14-1)

【主なプログラム】
「ロング・ディスタンス・トレイル」と「スルーハイキング」
舟田 靖章(2009PCT,2010CDT,2011AT)+清田 勝(2017PCT,2018AT,2019CDT)
 「東海自然歩道」|実地調査報告
第1班 東京〜愛知:鈴木 栄治(2016AT)・勝俣 隆(2014AT)
第2班 愛知〜三重:長谷川 晋(2010PCT)・中島 悠二(2014JMT)
第3班 三重〜大阪:丹生 茂義(2017PCT,2018AT,2021CDT)・土屋 智哉(2008JMT、2011CT)
「東海ハイキングギャング」アメリカへ。そして今、地元を語る
山中 二郎(2022CT)+鈴木 一路(2023東海自然歩道 愛知セクション)
「東北太平洋岸自然歩道」|夫婦で歩いた「みちのく潮風トレイル」
濱口 哲・濱口 聡子(2020-22みちのく潮風トレイル)

【主催】一社)トレイルブレイズハイキング研究所 【助成】地球環境基金

土屋 智哉

書き手土屋 智哉

1971年、埼玉県生まれ。当店のオーナー。
古書店で手にした『バックパッキング入門』に魅了され、大学探検部で山を始め、のちに洞窟探検に没頭する。
アウトドアショップバイヤー時代にアメリカでウルトラライト・ハイキングに出会い、自らの原点でもある「山歩き」のすばらしさを再発見。2008年、ジョン・ミューア・トレイルをスルーハイクしたのち、幼少期を過ごした三鷹にハイカーズデポをオープンした。現在は、自ら経営するショップではもちろん、雑誌、ウェブなど様々なメディアで、ハイキングの楽しみ方やカルチャーを発信している。 著書に 『ウルトラライトハイキング』(山と渓谷社)がある。

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