持っている道具にあれこれ手を加えて自分好みにするこのシリーズ。前回の「パーツ初級編」ではとても簡単な作業で済むものを紹介しました。今回の応用編はパーツの組み合わせ+ひと手間が必要なので少し面倒ですが、自分の道具を使いやすくするためにも試してみる価値はあります。
チェストベルトを付ける

「いつの間にか胸のベルトがなくなっていた」。バックパックのパーツ紛失でよくあるのがチェストストラップ。最近は切り欠き付きパーツを用いるモデルが増えたため、「気がつけばない…」という事も多々あります。そんなチェストストラップを自分で作るお話です。縫い作業があるのでハードルはやや高めですが難しくはありません。
先に文中で使われる語句の説明をしておくと、デイジーチェーン:バックパックのショルダーベルトに縫い付けられているテープ部分、コキ:写真の「日」みたいな形をしたパーツ、です。

用意する物:シングルバックル1個(写真はホイッスル付)・コキ2個・テープ適当な長さ2本
手順1:テープをシングルバックルに通して縫い留める(手縫いでも問題ありません)
手順2:縫ったテープにコキを通してからデイジーチェーンに通す
手順3:テープ末端を折り返してコキに再度通す
手順4:テープ末端を折り返して再々度コキに通す
手順5:もう1本のテープも手順2〜4の要領でデイジーチェーンと繋げたら完成
※テープ抜けを防ぎたい場合は末端を折り返して縫う(縫わなくても機能はします)
「縫い物だけは絶対にしたくない」「バックパックにデイジーチェーンがない」人もいるでしょう。そんな時には以下参照。

左写真のようにコキをもうひとつ追加して手順2〜4を繰り返せば、針仕事を回避できます。難点はパーツ点数が増えるので見栄えがスマートじゃないところ。機能的に差はありません。コキはテープを何かに固定する際とても役立ちます。縫い物が苦手だけど道具に手を加えたい人には、良い相棒となってくれるでしょう。
デイジーチェーンがないのはカジュアルブランドのデイパックによくある仕様ですが、その場合は右写真のようにアクセサリーカラビナで引っ掛けてください。ミニカラビナ2点・コードアジャスター1点・細引き適当な長さで作れます。これは見栄えに加えてフィット感も少し劣りますが、ないよりはマシだし機能はしてくれます。
パーツに切り欠きを加える
「このパーツを此処に取り付けたいけど縫製を解くのも縫い直すのも怠い」。そんな時に役立つのが、パーツを熱切断して切り欠きを設ける方法。これなら手間を省いて目的を果たせます。これも作業自体は難しくないのですが、火を使うので応用編。

用意する物:バーナー マイナスドライバー 切り欠きを設けたいパーツ
手順1:マイナスドライバーの先端を熱する
手順2:切り欠きを設けたい箇所に熱したドライバー先端を当てる
手順3:パーツを溶かし切って完成
※ドライバーはどうなっても構わない安いもの。別の何か(似たような形状・サイズ・熱を加えても大丈夫)やハンダゴテでも代用可
※熱切断時に臭気を発するので注意!
ここまでが下準備。では出来上がった切り欠きパーツを使い道具に手を加えていきます。

ドリンクホルダー

用意する物:切り欠きを設けたコードアジャスターバックル1個・コードロック1個・細引き適当な長さ・バンジーコード適当な長さ
手順1:バックルとボトルに細引きを繋ぐ
手順2:コードアジャスターバックルの切り欠きをデイジーチェーンに通す
手順3:バンジーコードをデイジーチェーンに通して完成
カメラホルダー

用意する物:切り欠きを設けたバックル1個・コードロック1個・マジックテープ適当な長さ・バンジーコード適当な長さ
手順1:バックルとカメラにマジックテープを通す
手順2:バックルの切り欠きをデイジーチェーンに通す
手順3:バンジーコードをデイジーチェーンに通して完成
小物用フック

手順1:フックの切り欠きをデイジーチェーンに通す
手順2:好きなものを引っ掛けて完成
今回はバックパックの作例ばかりですが、テント内のループにフックを付けてライトを吊り下げたり、パックラフトのタイダウンにコードアジャスターバックルを付け荷物を固定したりと、何にでも応用が可能です。そして最初から切り欠きを設けてくれているパーツもあります。何もかも面倒くさいものぐささんに朗報ですね。これらは道具のカスタマイズだけでなく、野外でパーツが破損した場合のリペア用としても便利です。

「コレを取り付けるのにどのパーツを使えばいいか分からない」や「何となくのイメージしかないけどコレをこうしたい」など、行き詰まったら店のスタッフにご相談ください。実際にパーツを手に取って一緒に考えれば、大体のことは解決するはずです。(ひぐち)

