「この道具のこの部分がこうだったら、もっと使いやすくなるのに…」。色んなアウトドア用品を使っていく中で、そうぼやく人は沢山いるでしょう。でも大半の人は不満を覚えながらもそのまま使っています。なぜならやり方が分からないし、面倒くさそうだから。このシリーズで紹介するのは、持っている道具にあれこれ手を加えて自分好みにする方法です。第1回目は市販の樹脂パーツを使った「パーツ初級編」。ものぐささんへ贈るとても簡単なカスタマイズです。
バックパックやテント、ウェアなどアウトドア用品には様々な樹脂パーツが使われています。バックル・アジャスター・コードロックなどの名称を聞いたことがなくても、見れば「あー知ってる」となるものばかり。最初に基本的なことをお話すると、これらパーツにもメーカーがあります。Duraflex・ITW・WOOJINなどの海外ブランドに日本のニフコやYKK。90年代のアメリカのアウトドアメーカーはDuraflex一強でしたが、最近はITWやWOOJINも多く使われます。また昔のニフコは野暮ったいデザインが印象に残っていますが、近年はとてもスマートになりました。挙げれば他にもパーツメーカーはありますが、アウトドア用品に使われるのは大体このあたりです。これらのメーカーから多種多様なパーツが出ていて、更に同機能モデルが複数存在します。身近なものに例えるなら、スーパーの醤油売り場にキッコーマン・ヤマサ・ヒガシマルなどの醤油が並び、それぞれから特選・減塩・うすくちが販売されている感じでしょうか。
醤油ならブレンドしても使えるけど、樹脂パーツにそんな融通は効きません。「バックルのオスが折れたから合うものが欲しい」という相談をよく受けますが、バックルはメーカーが違うと適合しないのは勿論、同じメーカー同士でもモデルが違うと嵌りません。つまり全く同じ物を用意するか、オスメス両方の交換となります。パーツのメーカーやモデルが特定できないと私達も相談に応えられないので、その際はパーツ現物をお持ち頂くのがベストです。前置きが長くなりましたが、そんなパーツ達を使って道具をあれこれしてみましょう!
バックパックにトレッキングポールを固定する
まずは楽ちんな作業から。サイドポケットがないバックパックへ長尺物を取り付ける際によく使う手です。一般的な登山用バックパックには同様の物がよく付属してますが、ULバックパックだと省略されていることも珍しくありません。ちなみに写真のバックパックはZimmer BuiltのChip Pack。
用意する物:コードロック2個 バンジーコード(ゴム紐)適当な長さ2本
手順1、コードロックにバンジーコードを通して結ぶ x 2つ
手順2、作った2つをバックパックに取り付ける
手順3、バンジーコードをトレッキングポールに回してコードロックで絞る
バックパックの正面にバンジーコードを張り巡らせる
これも簡単なカスタマイズ。バックパック正面にバンジーコードを配置して、脱いだウェアを固定したりバックパックの容積を圧縮したりできます。皆さんどこかで一度は見ているあれです。
用意する物:コードロック1個 コードフック1個 バンジーコード適当な長さ1本
手順1、バンジーコードの適当な場所にコードフックを通しておく
手順2、バックパック正面にバンジーコードを一周通す
手順3、コードロックをつけて結ぶ
タープやテントのガイポイント(張り綱を取り付ける箇所)に長さ調整パーツを設ける
これまた針も糸も使わない工程なのに便利な改造。ロープの長さ調整に自在を使うのは普通ですが、これなら自在と違いガイポイントギリギリのところまで引けます。ここ10年くらいで初期仕様からこうなっているテントやタープも増えました。写真のタープはカモシカスポーツのルーフ1。
用意する物:コードアジャスター必要な数だけ
手順1、ガイポイントにコードアジャスターをくぐり通すだけ
今回紹介した作業に必要なパーツはハイカーズデポでも販売していますが、同様の機能を持つものなら何でも構いません。この手のパーツはアウトドア用品店なら置いている事が多いので、近所のお店に相談してみるのも手です。もし適当なパーツや相談相手が見つからなかった時には、三鷹までお越しください。パッと見は用途不明なパーツも沢山並んでますが、使いこなせば貴方の道具がより使いやすくなること請け合い。あれこれ試して自分好みの道具を作り上げていきましょう。(ひぐち)