Ultra Weaveを素材としたバックパックが遂にTrail Bumからも登場。フロントポケットの応用力をあげることで本体サイズをややスリムにした新たなULハイキングパック。シンプルでありながらいかに新たなチャレンジを盛り込むか。Trail Bumの現在進行形。
仕様
重量 680g
本体:620g
背面パッド:60g
容量 40〜48L
本体:35〜43L
ポケット:5L
寸法 高さ55〜65cm × 幅27cm ×奥行15cm
素材 ULTRA WEAVE Ultra200X
サイズ ワンサイズ(Regular)
カラー Gravel Gray、Black Magic
耐久性と耐水性
応用に優れる収納力
歩き続けるために進化し続ける
Trail Bumの現在進行形
2015年のブランドスタートからTrail Bumは入手しやすいこと、加工しやすいこと、修理しやすいことを重視し、一般的なリップストップナイロンをバックパックの主素材としてきました。このスタンスは引き継がれており、主要モデルのSteady、Bummer、Big Turtleの素材使いは変わりがありません。
HDCF、X-Pac、ECOPAKなどの耐久耐水系素材とは距離を置いてきたTrail Bumですが、これらの素材を否定していたわけではありません。こうした素材をどのように活用すべきか、企画やテストに時間を費やしてきたといえます。2024年、耐久耐水系素材のひとつであるUltra Weaveを素材としたバックパックが遂にTrail Bumからもリリースされます。「シンプルであること」「ウルトラライトバックパックの原型への敬意」を重視してきたTrail Bumがどのように素材を活かすのか、現在進行形のバックパックに注目が集まります。
耐久耐水素材の採用
Ultra Weaveの採用に踏み切ったのは「保水しない」という利点です。この手の耐久耐水素材のバックパックには縫い目をシーム処理することで防水性の高さを利点とするモデルもありますが、GO-ONではこうした目止め処理は施していません。完全なシームテープ処理が難しいこと、修理の際にシームテープが邪魔になること、剥離した場合に再度のシームテープ処理が難しいこと、そしてシームテープ分の重量が増えること。こうしたことからシームテープ処理は採用されなかったとのことです。防水対策は従来通りパックライナーなどでおこなってください。しかし生地が保水しないことは大きな利点になります。
トップロールクロージャーの採用
北米のULバックパックシーンではクラシックな巾着方式よりもロールクロージャー方式が幅を効かせるようになりました。そんな中、扱いが容易な巾着方式をTrail Bum では採用し続けています。しかし今回のGO-ONではロールクロージャー方式です。これはUltra Weaveのコシやハリの強さから巾着方式を採用するには吹き流しに別の素材を付け足す必要があったからでしょう。完全防水ではないにせよ、生地の耐水性の高さを活かすためにはなるべく異素材を本体上部にあわせることは避けたかったのだと思われます。
スナップボタンで留め、ロールした後はストラップで固定というように手数を極力少なくしています。
高い応用力と収納力のフロントポケット
GO-ONはバックパックの基本構造としてはTrail BumのSteadyを踏襲しています。これまで見たように素材の変更とそれにともない本体入り口の処理方式が変更されたくらいといえます。そんなGO-ON最大の特徴がフロントポケットです。
従来のメッシュポケットの両サイドと下部を補強、さらにフラップを取り付けています。たったこれだけですが、ポケット使用における応用力が向上しました。メッシュ部分に荷物を入れた上から嵩張る道具をブレないように固定できます。バンジーコードによる固定よりも格段に安定します。
このようにマットだけでなく、複数のウインターギアの固定にも有効です。容量的にGO-ONを厳冬期のテント泊に使用することは現実的ではありませんが、春の残雪期ならば可能性が広がります。また山小屋利用でのウインターハイキングにも活用できるでしょう。もちろん無雪期のロングハイキングにも有効です。普段はクローズドセルマットをバックパック内部に収納するハイカーも、食料補給で容量が足りなくなったら積極的にマットを外に移すことができます。どのポケットの収納も犠牲にする必要はありません。バンジーコードのように線での固定ではなく、フラップによる面の固定だからこそ、マットだけでなくさまざまな道具をこのフラップでの固定に逃すことができるのです。
その他の仕様
Trail Bumのバックパックは国内外の様々なハイキングで活用されてきました。Steadyはその出自のままに、北米のパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)やアパラチアン・トレイル(AT)、テアラロア(TA)を無事に旅してきました。Bummerは日本アルプスはもちろん信越トレイル、あまとみトレイル、みちのく潮風トレイル、東海自然歩道などを楽しく旅してきました。ある意味、SteadyとBummerでもう十分に足りていることは間違いありません。しかしこうした揺るがない軸があるからこそ、新しいバックパックにも期待したいのです。
「シンプルであること」「ウルトラライトバックパックの原型への敬意」を大事にしながら、どこへ向かうことができるのか、Trail Bumの歩み続けるバックパック。GO-ONはまさにTrail Bumにとっての現在進行形のバックパックだといえそうです。