クマから食料を守るためだけでなく、クマがヒトの食料の味を覚えてしまわないため、クマを守るという目的も強い食料保管キャニスター。食料保管だけでなく、イスとして、テーブルとしても活用できるハイキングマルチツール。
仕様
- 重量
- BV425-sprint:800g
BV450-Jaunt:940g
BV475-Trek:1,030g - 容量
- BV425-sprint:5L
BV450-Jaunt:7.2L
BV475-Trek:9.3L - 寸法
- BV425-sprint:直径22cm*高15cm 開口部18cm
BV450-Jaunt:直径22cm*高21cm 開口部18cm
BV475-Trek:直径22cm*高27cm 開口部18cm - 推奨対応日数
- BV425-sprint:1-2days
BV450-Jaunt:3-4days
BV475-Trek:5-6days - 素材
- ポリカーボネート製
- 価格
- BV425-sprint:¥18,700
BV450-Jaunt:¥22,000
BV475-Trek:¥26,200
クマがヒトの食事の味を覚えないために
自然との共生のための道具
そしてバックカントリースツールとして
ベアキャニスター
アメリカの長距離トレイルに興味があるハイカーなら誰もが一度は耳にしたことがあるだろう道具に「ベアキャニスター(クマ缶)」があります。北米ではJMT(ジョン・ミューア・トレイル)のお膝元であるヨセミテ国立公園では使用が義務付けられています。またそれ以外の地域でもクマの生息域では使用を推奨されている食料保管ケースです。いままで使用を強くは奨励していなかった東海岸でも近年はベアキャニスターの使用を推奨するようになりました。日本でもヒグマが生息する北海道では知床半島のビジターセンターなど使用を推奨している地域もあります。
ベアキャニスターの目的は表面的にはクマから食料を守るということにありますが、本質的にはヒトの食物の味をクマが学習してしまわないようにすることにあります。ヒトの食物の味を覚えてしまったクマはキャンプサイトなどに頻繁に出没するようになり駆除対象となってしまいます。ハイカーが食糧管理をずさんにすると、そのツケをクマなどの野生動物に負わせることになるのです。こうした事態を避けるためのひとつの方法として、ハイカーは食料の保管運搬をベアキャニスターでおこなうのです。
アメリカはまだしも、日本ではまだまだ現実的な道具ではありません。しかし北海道の大雪山系や知床半島ではキャンプ指定地に北米のような食料保管用の鉄製のフードコンテナが設置されている例もあります。北八ヶ岳でもクマの目撃例が増えていることもあり、テント泊の際の食糧管理のあり方を検討しはじめている山小屋もあります。ヒトの生活圏にクマが近づくことで目撃例が増えていますが、今後日本でも野外活動における食料管理のあり方が変わっていくのかもしれません。
使用方法
ベアキャニスターはある程度の気密製はありますが、完全に臭いを抑え込めるわけではありません。最も重要なのはクマの顎や爪などがキャニスターに侵入する際の「テコの作用点」を減らすため、幅広く円形で滑りやすい設計にしている点にあります。クマが開けにくいことに重点をおいているのです。したがって防臭に過度な期待はできません。そのため北米では一般的に「テント」「調理&食事場所」「食料保管場所」の3点を一定の距離(100ヤード、90m)で離して三角形に配置することが理想的とされています。経験上、シエラネバダやアラスカなどオープンスペースが確保できる場所では可能ですが、渓谷の中や森林の中では現実的ではありません。それでもテントに食物の臭いをつけないため、基本的にはテントからできる限り離した場所で食料を保管することが推奨されます。食料はもちろん、ハミガキ粉、ゴミなど「匂いがするもの」は全てベアキャニスターに収納するのが基本になります。クマは視覚が弱く、嗅覚と聴覚とで多くのものを認識していると言われています。しかしこれもあくまで一般的な総論です。重要なのはその土地のクマの生態に詳しい施設(ビジターセンターなど)に確認をとり、その土地にあった対策をとることです。
ハイカーのイスとして
ベアキャニスターはただの食料保管ケースではありません。キャンプサイトでのイスがわりに、調理の際のテーブルがわりに使用できます。嗜好品としてイスを持っていこうかな、テーブルどうしようかな、と考えるのならばベアキャニスターをハイキングで活用してみてはいかがでしょう。イスはイスにしかなりません。テーブルも同様です。しかしベアキャニスターならば「食料保管ケース」「イス」「テーブル」とさまざまな用途に使えるのです。
またアメリカでのハイキングを終えたハイカーには現地で使った地図やデータブック、プリントアウトした写真など向こうでの思い出の品々を日本で保管しておくケースにも使えますよとお伝えしています。
各サイズの仕様
BEARVAULTのベアキャニスターは4サイズが展開されています。(2024年現在)。ハイカーズデポではそのうち3サイズを販売しています。各サイズの様子を見てみましょう。
BV425 - Sprint「ULベアキャニスター」
重量800g 容量5L 寸法直径22cm*高15cm
メーカー想定は1-2days。個々人の食べる量にもよりますが、日本のアルファ化米などをベースとするならば、2泊3日での使用も視野にいれられます。週末の1,2泊で使ってみたい容量といえるでしょう。日本の週末のハイキングをはじめ、ベアキャニスターをハイキングに導入してみようというハイカーにまず提案したい容量です。
BV450 - Jaunt「汎用ベアキャニスター」
重量940g 容量7.2L 寸法直径22cm*高21cm
メーカー想定は3-4days。個々人の食べる量にもよりますが、日本のアルファ化米などをベースとするならば、4泊5日での使用も検討できるかもしれません。行動食の量をどれくらいにするかがポイントになるでしょう。食料計画によっては3〜5泊までを視野に入れられるほか、イスとして絶妙の高さも嬉しいポイントです。汎用性が高いベアキャニスターとして、日本の大型連休で少し長めのハイキングをしたいというハイカーに提案したい容量です。
BV475 - Trek「JMTベアキャニスター」
重量1,030g 容量9.3L 寸法直径22cm*高27cm
メーカー想定は5-6days。個々人の食べる量にもよりますが、日本のアルファ化米などをベースとするならば、6泊7日での使用も検討できるでしょう。行動食の量をどれくらいにするかがBV450同様ポイントになります。アメリカ、特にJMTをはじめとするシエラネバダ山脈でのハイキングに最も適したベアキャニスターといえます。1週間に一度補給で街におりる計画をたてた場合に食料でひもじい思いをしなくてすむ最低限の容量です。特徴はHMGウインドライダー40(旧2400)に横向きにベアキャニスターを収納できること。基本的にベアキャニスターは縦方向にバックパックに収納することがほとんどですので、このウインドライダーとBV475の関係はシンデレラフィットなのです。
これからPCTを歩くあなたへ:BV500 - Journey「PCTベアキャニスター」
同社最大容量のBV500ですが、PCTハイカーはやはりこの容量が良いかもしれません。特に燃費が悪い、たくさん食べるという自覚があるハイカーは尚更です。メキシコ国境からベアキャニスターが必要となるシエラネバダに到着することには1ヶ月以上のハイキングを経て、体の脂肪の蓄えがなくなってきています。食べないと動けないカラダになっているハイカーがほとんどです。PCT経験者に聞いてみてください。とにかくいつもお腹が減っていて、とにかく食べるという経験談が聞けるはずです。長距離ハイキングと一口にいっても1ヶ月までのハイキングと、4-5ヶ月にわたるハイキングとの最大の違いがここにあります。こちらの容量はご注文をいただければお取り寄せにて対応いたしますのでお気軽にお申し付けください。