JMTプランニングガイド
JMT(ジョン・ミューア・トレイル)を含めたシエラネバダ山脈を歩くためのハイカーズデポオリジナルのプランニングガイド。海外ハイキングには事前にいくつもの検討課題があります。本書では実際にJMTを歩こうと決めた方を対象に、計画に必要な「許可証などの予約」「交通手段」「装備と補給」「ハイキングルール」を中心に、準備期間から現地に到着してまでを説明していきます。
仕様
判型
A5判 124ページ
著者
勝俣隆
発行者
Highland Designs
制作
ハイカーズデポ
発行日
2024年7月1日 第二版
JMT(ジョン・ミューア・トレイル)を含めたシエラネバダ山脈を歩くためのハイカーズデポオリジナルのプランニングガイド。
海外ハイキングには事前にいくつもの検討課題があります。 海外の山を歩くというのは、「海外旅行 X 山歩き」の両面について考えることがあります。日本の山でも事前に交通手段や幕営地の確保、食料や燃料をどうするのか、などを考えるでしょう。海外旅行に行くときにはフライトやホテル、移動手段、言葉の問題をこなしてから出発します。加えて、シエラネバダやJMT特有のウィルダネス・パーミットの取得などの特殊要因を考えなければなりません。じつは歩くことに比べて計画自体が厄介なものです。2020-21年のコロナ禍を経て、現地の交通事情や許可証取得の仕組みにも変化が見受けられます。
近年のロング・ディスタンス・ハイキングブームに伴い、ウィルダネス・パーミットを取得するのは確実に難しくなっています。ハイカーズデポでも「JMTを歩くワークショップ」を開催してきましたが、現在の予約方法やさまざまな交通手段まで網羅するとワークショップではお話しできない分量の情報が必要になっています。それをまとめたものが本書となります。
2024年にはコロナ禍での変化をふまえた改訂版となりました。
本プランニング・ガイドでは、実際にJMTを歩こうと決めた方を対象に、プランニングに必要な以下の点を中心に、準備期間から現地に到着してまでを説明していきます。
注意)本書は、あくまで「自らプランニングするために必要なデータや情報を網羅したガイドブック」です。「おすすめルートを網羅したルート本」とは異なりますので、ご注意ください。
Part 1 プランニング Part 2 ウィルダネス・パーミット Part 3 交通機関 Part 4 装備とリサプライ(補給) Part 5 ハイキング・ルールPart 6 ハイキング・レギュレーション
プランニングには別途地図が必要になります。Part 4の装備におすすめの地図があります。そちらを合わせてお使いください。 シエラネバダの歩き方は人それぞれです。全行程を歩くのと、一部区間を歩くのでは、プランニングのハードルは変わってきます。いざ、準備を進めていくといろいろな問題にぶつかって、各パートを飛びながら読むことになると思います。ハイキングより下準備の方が手間がかかるものです。 交通機関やウィルダネス・パーミットについては2024年の最新資料に基づいています。しかし記載されている情報・状況は日本のそれよりも容易に変更されることがあります。実際の予約に先立っては、必ずウェブサイト等で事前確認することをオススメします。
ハイキングはパーソナルな体験を自己責任で楽しむアクティビティです。ぜひご自分の旅を組み立ててください。アメリカのハイキングシーンでは “Hike your own hike”という言葉をよく目にします。自分らしくハイキングする、という意味で大切な言葉です。さらに”Hike at your own risk”も忘れずに心に留めてください。ハイキングは美しい景色のなかを歩くというだけではなく、自分自身の能力を自然の中で精いっぱい活かす場でもあります。自分の能力以上のことはできませんし、他のひとの力に頼ることもできない場合が多くあります。自分を過大に評価せず、謙虚な心もちでハイキングを楽しんでください。 壮大なシエラネバダと向き合うと、見栄やエゴを忘れて自分の小ささに気付かされます。JMTを踏破するという目的すらとても小さなエゴに過ぎません。 みなさまが自分らしく歩けることを祈っています。
Happy Trails, Happy Hiking,
付記
「JMTの一筆書き、両端の起点にこだわらない」
近年、JMTのパーミッション取得が難しくなってきたと言われています。詳細は本書に任せますが、増えすぎたハイカーが及ぼす環境への影響を減少させようと、公園局がいろいろな手段でJMTからハイカーを分散させようとしているからです。力を入れているのは、人が集まりすぎたヨセミテバレーからのスタート、管理の厳しいマウントホイットニーでのゴールの両端です。したがってこの両端にこだわらなければ、事前にパーミットの予約をとることは比較的難しくありません。なによりこの両端を歩かなくとも、シエラネバダの自然の美しさ、その核心が損なわれるものではありません。予約が多いところは人が多すぎるエリア、と考えてトレイルヘッドを選んでみましょう。
ジョン・ミューアがなによりも伝えたかったのは自然保護です。決してその名を冠したトレイルを歩き切ることではありません。
そんなことも頭の片隅におきながら、JMTという枠にとらわれず、自由にシエラネバダでのハイキングをプランニングしてみてはいかがでしょうか。