CDT

20年近く変わらぬスタイルはハイカーの信頼の証。丈夫な生地をシンプルな構造で丁寧に縫い上げたバックパックはULという枠を越えたバックパックとしてのクラシック&スタンダード。

仕様

重量
890 g
本体:860g
パッド:20g
容量
54L
素材
400デニールロビックナイロン
サイズ
MD
カラー
Green

ハイカーに愛されてきた
トレイルでの信頼と実績
ULのクラシック&スタンダード

本体は巾着式からロールトップ式に2023年に完全移行。ウエストベルトの取り付け方法も随時変更が重ねられています。

アメリカの三大ロングトレイルの名前を冠したバックパック。それもコンチネンタル・ディバイド・トレイル(CDT)は3本の中で最もタフでテクニカルなトレイルです。経験も体力も問われるCDTをスルーハイクしようとするハイカーならば、このシンプルなバックパックも使いこなせるはずです。そしてバックパックはタフでないとスルーハイクに寄り添えません。そんなシンプルでタフなULバックパックがCDTなのです。前身モデルのConduitの時代から2015年にPhotonが登場するまで、CDTはULAのラインナップで最も軽く、最もシンプルなモデルとしてハイカーに支持されてきました。多彩な距離や環境でのハイキングやバックカントリートリップに対応できるバックパックです。

フレーム搭載モデルが 注目されるULAのラインナップにおいてフレームがないCDTが支持されてきた理由を見てみましょう。

シンプルで丈夫なつくり

ULAのバックパックの丈夫さには定評があります。2000年代中頃、コテージギアメーカーの多くが週末ハイキングにさえ使えれば良いとばかりに、過激な軽量化に舵をきり、ひたすらに軽さを追い求めていた時代でもULAは200デニールナイロンを変えることはありませんでした。丈夫な生地をシンプルな構造で丁寧に縫い上げる。その姿はある意味かつての「キスリング」に近い考え方かもしれません。ULバックパックはキスリングの現在形だと店頭でご説明することがありますが、それは「丈夫な生地をシンプルな構造で丁寧に縫い上げる」という点にあります。ULバックパックは弱いと思い込まれることが多々ありますが、それはかつての軽さを極端に追求した一部のモデルに過ぎません(わたしはそうしたモデルも大好きです)。ULの重要な要素として「シンプル」であることを挙げるのは、シンプルであれば壊れる箇所が少なくなる。素材さえ丈夫であれば、壊れにくく長旅で安心して使用ができるからです。まさにスルーハイカーに大きな安心感を与えてくれるのがCDTなのです。

フレームなし、フロント&サイドの3ケット。ULバックパックのシンプルな標準型を丈夫な生地で丁寧につくったものがCDT。
フレームなしで取り外し可能なパッドのみの背面構造。ウエストベルトは取り外しができ、さらなる軽量化も可能。

荷重バランスに優れるシェイプ

CDTをはじめとするULAのバックパックで特長的なのはバックパックの形状です。シンプルな形のULバックパックは「直方体」をしています。 レイ・ウェイにはじまり、GoLite、Gossamer Gear、SMD、MLDといった2000年代の主要モデルだけでなく、2010年代のHMGも「直方体」に入るでしょう。ところがCDTは「楔形」の形状をしています。横からから見るとよく理解できます。

上部では20cm以上、下部では15cmほどの厚みになります。横から見ると楔形であることがよくわかります。

この形状はバランスを良くするためのデザインです。下部が小さくなっていることから荷重は腰周辺に集まりません。上部に行くにしたがって広がりをみせることで収納力も上がり、ちょうど肩甲骨周辺に荷重が集まり、重心バランスがくるようになっています。人体が荷物を背負うにあたり最も楽に感じるバランスです。そのため荷物が少ない時でも多い時でも、パックバランスに変化が少なく背負うことができるようになるのです。この形状は昔からアルパインクライミングを意識したアルパインパックでは当たり前に見られるデザインです。バックパックとの一体感に優れていることがこれからも想像できます。

移り変わりの激しいバックパック。それはULバックパックも同じです。その中で20年近く基本構造や素材の採用基準を変えることなく定番として作り続けられていること、ハイカーが支持し続けていること、それこそが「信頼と実績」の表れです。
2020年代の潮流としてロングトレイルにおけるハイキングでフレーム搭載モデルおよび腰荷重モデルにハイカーの視線が集まっていますが、ULAがCDTという名でこのシンプルなモデルを発売し続けてくれていることを嬉しく思います。しっかりとベースウェイトを軽くできれば、ハイカーとしての経験値をあげていれば、長旅を楽しめる体力をもっていれば、こうしたシンプルなバックパックでロングトレイルを旅することは決して無理なことではない。ロングトレイルからうまれたウルトラライトという思考・方法論への力強いエールに思えるのです。