Hauler

トレイルバムたち欲望を丸ごと飲み込むほどの大きさを備えた”荷運び”の名が付いたバックパック。とにかく荷物をたくさん入れたい。ざっくり入れたい。まとめて入れたい。背負いやすさではなくて入れやすさを考えて作られた運搬用バックパック。

仕様

重量
ソリッド:750 g
スペクトラ:790g 
素材
ソリッド:リップストップナイロン
スペクトラ:スペクトラリップストップナイロン
:PU(ポリウレタン)コーティング
:テフロン®撥水加工
容量
総容量:80L
本体 :約50L
*エクステンションカラー含む 
フロントポケット 約30L
寸法
高さ61cm 幅30cm 奥行20cm
カラー
ソリッド:カーキ
スペクトラ:ナイトクラウド

あれもこれも
憧れも欲望も
いっぱいに詰め込んで

ソリッド:カーキ
スペクトラ:ナイトクラウド

本体と同じくらい荷物が入るポケットが付いてる、たくさん荷物の入る軽くて大きいバックパックが欲しい。それは1人の欲張りなトレイルバムの思いつきでした。

「毎回毎回本気のハイキングじゃない」
「いつもいつも上手くパッキングしないといけないのは面倒」
「全部中に入れたい!」
「食材たくさん積んでキャンプメインで楽しみたいなぁ〜」

どちらかといえば工夫しながら一つのバックパックでやりくりするのが好きなのがハイカーです。しかし、そんなハイカー達だって、いつもいつも真面目なわけではありません。そしてハイキング以外のアクティビティを楽しむトレイルバムも少なくはありません。そんな彼らの欲求を丸ごと飲み込んでしまえるように考えられたのがモンスターバックパック「Hauler」です。

フレーム非搭載のULバックパックでは稀有な総容量80L。

「運搬用」のバックパック

「なんでもかんでも入るくらい大きな外ポケット、とにかくいっぱい入る外ポケットがあれば」

ハイキングよりもキャンプに重きをおいた旅やパックラフトの旅で効果的。最大容量は80Lオーバー。重量やパッキングバランスによっては長時間の使用は使用者の体力や技術に大きく委ねられます。フロントポケットに軽いものしか入れないようにできれば、背負い心地やバランスは良くなります。
なんでも飲み込むモンスターパック
hauler_7 パックラフトとハイキングの旅の途中。ホウラーを背負うハイカー。
小柄な女性が背負うとまさにモンスターパック

トレイルバムのステディはオーバーナイトハイキングからロングディスタンスハイキングに対応するもの。バマーはウルトラライトハイキング向け。ではホウラーは何を意図しているのか、それは「運搬用」です。
ホーラーは容量が全体で80L近くあります。本体は約50L。驚くべきは外ポケットが30L以上とかなり大きくなっている点です。この大きさを持つにも関わらず、総重量が870g(本体のみ730g程度)と非常に軽量なフレーレスバックパックです。このバックパックは大量の荷物やかさばる荷物を外付けしなくとも収納し、運搬するために考えられたバックパックです。したがってまずは背負えば良いと割り切っています。重荷を担ぐ場合、長時間歩く場合は工夫してのパッキングが必要です。

ホーラーはここまでの大きさですので背負いやすくなるような工夫はもちろんされています。しかし、決して同様の大型バックパックでフレームが搭載されているモデルと同じではないのです。フレーム搭載モデルはバックパックそのものがフレームによって荷物を支えるお手伝いをしてくれます。しかしフレーム非搭載のモデルの場合、そうしたサポートが得られないのです。荷物を支えるのはあくまで背負うハイカー自身の体力、筋力に委ねられます。ホウラーに大量の荷物をいれることは何の問題もありません。そしてもちろん重いものを担ぐこともできます。長時間歩くこともできます。しかしそれには条件がつくこともご理解ください。
“あの機能もこの機能も”といった付け足しの考え方で作られたバックパックは世に溢れています。ホーラーはTrail Bum®の考えかたに基づいて、シンプルで必要以上にプラスをしないデザインに落とし込まれています。

どう使ってもらっても構いません。これはロングディスタンスハイキング用バックパックと言われればそうだし、クライミングのダッフルバックパックの代わりだと言われればその通りだし、オーバーナイトパックラフティング用と言われればもっともだし、キャンプの為に食料や大きめの料理器具を運ぶ為だと言われればそれも正しいからです。その為に奥行きも深くし、バックパックの口径が大きくなるようにしました。外側に本体と同じくらいの奥行きを持ち同じ幅を持ったポケットを作ったのです。特に大型ポケットについては、こだわりが詰まっています。

晩秋のハイキングのお供として

大型フロントポケットの使い方

アウトドアアクティビティの種類によっては、嵩張って小さくならない道具があります。それらはスペースを無駄に使うので、コンパクトなパッキングには不向きです。代表的なものとしては、ライフジャケット(PFD)・冬用の寝袋・スノーシューなどがあげられます。ホウラーの大型フロントポケットはこうした道具の収納に一役買います。スノーシューが入るのは想像に難くないでしょう。どんな大型のものでも入れることができます。ライフジャケットは不定形ですが大型ライフジャケットでもすんなりと収納できます。そしてまだ余裕があります。まさに無駄に大きいフロントポケットです。

ウインターハイキングの悩みで「冬季用寝袋の膨らみが強くてパッキングがしづらい」という相談をうけることがあります。押し込もうとしてもそのそばから膨らみ返してくるなんて経験は少なくないはずです。寝袋自体はそう重くはありません。冬季用の軽量モデルならば1〜1.5kgくらい、重たく見積もっても2kg程度です。スノーシューよりも軽いのです。それならば思い切ってホウラーのフロントポケットに入れてみてはどうでしょう。真冬であれば、濡れを気にする必要がないくらい雪は冷えているはずです。そして冬用マットとしてクローズドセルマットを選んだハイカーはその嵩張りが悩みの種だったりします。安心してください。これだけ大きなポケットがあるのだからホウラーならば収納できてしまいます。

hauler_1_40 PFDは幅もあり特殊な形状
hauler_1_39 大型ポケットは横にも融通が利くのですっぽり入れられます。

無駄に大きく感じた時は

ホウラーのフロントポケット、無駄に大きいです。もちろん無理に使う必要はありません。その時はぴったりと閉じてしまうことができます。両サイドにはジグザグ状に交差したバンジーコードが付いていて、一回のアクションでコンプレッションすることが可能です。下部はフックとループで留めることで閉じられるので、下にだらりと垂れ下がるのを防いでくれます。こうすることで、ポケットを使わない状態でも使えます。こうすることでフロント側をスッキリさせて、いくつかのユーティリティループを使って外付けで荷物留めることも可能になります。また、この状態でフロントポケットとして使う際も、下部の留め具のおかげで余計に膨らむことなく小さめのフロントポケットとしても使うことができます。

フロントポケットをすっきりとたたむ手順

hauler_1_17 左右ともに、下部にあるループ&フックを留めます。

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hauler_1_31 サイドのバンジーコードを引き絞ります

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フロントポケットを畳んで使う

hauler_1 本体容量+αで、ステディよりもひとまわり大きい50L〜60Lのバックパックとして使えます。

その他の仕様

トップのクロスストラップシステム

柔らかい素材のトップをどうやったら上手くまとめられるのか。ステディくらいの大きさまでならば普通に吹き流しを巾着状に絞ってセンターで一本締めで問題ありません。しかし、大きくなると一本締めだけでは安定しません。その対策として多く用いられる方法のひとつが Granite Gear で採用されているクロスストラップ方式。ホーラーでもこの方法が採用されています。しかし安定はするものの固定の際の手間は増えます。できるだけ手間を省くために横ストラップにはクイックリリースバックルを採用せず開け閉めする時には緩めるだけにしました。

hauler_1_18 横ストラップはその都度外すことはなく緩めて垂らしておく。
hauler_1_19 荷物を入れたら吹き流しの入り口を絞る。
hauler_1_21 横ストラップの両端を持ち上に引っ張り上げながら締め込んでいく。
hauler_1_24 横ストラップを真ん中にたたんで集める。吹き流しに余裕があれば吹き流し生地と一緒に丸め込んでまとめると綺麗に収まる
hauler_1_25 センターストラップのクイックリリースバックルを留め、ストラップを引きしぼる。
hauler_1_27 綺麗にまとまりました。

背面パッド

採用されているのは、硬めで高密度な8mmのパッド。同社の中でも硬めのパッドです。これは背あたりを良くするためもありますが、スタビライザーストラップを効果的にするためというのが最も大きな理由です。不安を感じる人もいますが、パックラフトに必要な全装備とキャンプ道具一式、15kg程度の荷物を入れたときもしっかりとパッキングすれば背中のパッドが歪んだり曲がったりすることはありません。
このパッドはTrail Bumの他のバックパック同様、内部の四隅に引っ掛けてあるだけなので、簡単に取り外しができます。サマーシーズンのプラスαのマットとしても使用できます。
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スタビライザーストラップ

ULバックパックでは構造をシンプルにするため省略されることが多いスタビライザー。Trail Bumでもバマー、ステディではつけていませんが、ホーラーではその容量と性格から必要と判断されています。

60L以上でスタビライザーストラップの付いていないULバックパックといえば、Gossamer Gear G4(旧モデル廃盤)や、HMG ポーター 4400 があげられます。この容量のバックパックをパッキングした際、後ろへ引っ張られる感覚を軽減するにはG4 ようにバックパック全体を膨らむような形状にし横にも上にも大きくする方法がひとつ。またはポーターのように下部が細く小さく上に長く大きい楔形にして高さを出す方法がひとつ。このようにバックパックの形状で対策するのが従来のULバックパックの考え方です。そしてそのどちらでもなければスタビライザーストラップで荷重を前方にもってくることになります。

hauler_1_15 ULバックパックには珍しいスタビライザーストラップ。スタビライザーを効果的にするためショルダーの取り付け位置もステディ、バマーとは異なります。

ホーラーには“大型の外ポケット”という最大の特徴があり、他のULバックパック以上に外側に重心が位置することが考えられます。このポケットを活かし、かつ荷重をなるべく体の方に寄せるにはショルダースタビライザーストラップが必要不可欠だという判断なのでしょう。ショルダースタビライザーストラップを効かせるためには、スタビライザーの付け根(点1)、ショルダーの付け根(点2)、肩の頂点(点3)で3角形を作り出すようにすることです。それには、背面に張りがあること、ショルダーの付け根の設定が肩甲骨付近になることが必要です。
先に取り上げた背面パッドの硬さは樹脂フレームやアルミステーなどがなくてもスタビライザーの効果をだすためです。背負う際のショルダーの付け根位置はバマーやステディを背負う時とは異なるので注意ください。バマー、ステディでは肩とほぼ水平くらいからやや下がった位置をショルダーの付け根位置の目安になります。ホーラーではショルダーの付け根は肩甲骨の上部付近になります。
肩の頂点からスタビライザーの付け根へ上方向、ショルダーの付け根に下方向になるよう三角形を作り出せると荷重分散がしやすく背中に乗りやすいバランスポジションが探しやすくなります。

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ウェストベルト

ウェストベルトはステディよりも太く、長さも変更、裏地には滑りにくくて通気しやすい 3Dメッシュが採用されています。ベルトテープ幅も38mm と太くしたことで、重い荷物をある程度は支えることができる安定性を目指しています。

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ユーティリティーループ

使用者の自由度を高めるために、バックパックをコンプレッションしたり、荷物をくくりつけられるきっかけ用に、いくつかの小さなループが付いています。使わない方は切って下さい。

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ポケット入口のドローコード

各ポケットの口を絞るためのドローコードが通してあります。ドローコードには伸縮性のあるバンジーコードを使用、両側にコードロックが付いています。縫いつけていないので交換も簡単です。

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サイドのコンプレッションストラップ

クイックリリースバックルが付いて、長さ調節ができるストラップがついています。上よりに一本しかあえてつけていません。

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追記:バックパック比較

似たような本体容量のTrail Bum®ホーラーとGossamer Gear マリポサを比較します。本体容量はホーラーが約50L(吹き流し除く)、マリポサが約40Lです。正面からの幅はあまり変わりませんが奥行きと高さが異なるのが良くわかります。
ホーラーはショルダーの付け根からウェストベルトまでの長さがマリポサと比べ短くなっています。これがスタビライザーを効果的にするためのポイントです。

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今度はパックラフティングの際のパッキングの違いを見てみましょう。
ULA エピック (ドライバッグ無しで約920g) もHMG ポーター3400 (891g) のどちらもパックラフティングでの使用を強く意識して作られたバックパックです。しかしそのどちらもPFDなどを内側に収められるほど大きくはありません。PFDやパックラフトは両方とももしくはそのどちらかを外付けする前提です。
一方、 ホーラーはその全てをバックパックの内部に吸収してしまいます。そしてバックパックの総重量はこの3つの中で最軽量。

ウェブマガジンTRAILS 「パックラフトのABC#3 パックラフトと川を旅する道具」よりpackraft3_gear_2