Gossamer Gear創業者Glen Van Peskiによる日本でのハイキング経験から2012年に誕生した「日本」を意識したULバックパック。豊富なポケットは現代のFKTスタイルにも対応。Gossamer Gearで最も使用範囲が広いモデル。
仕様
- 重量
- 590g(M)
本体:440g
ウェストウェビングベルト:80g
SitLight Pad:110g
- 容量
- 36L
*本体容量 約30L - カラー
- Grey、Yellow
- サイズ
- S、M
KUMOは「雲」
自由なスタイル
漂うようなハイキング
Gossamer Gear創業者 Glen Van Peski 氏が体験した日本の奥秩父でのハイキング。狭く急峻、木々が多い山域において、軽さを求めながらも、強度も併せ持つバックパックが必要だと感じたことから誕生したバックパックがKUMOです。2012年から何度かのアップデートを重ねていますが、基本的な容量および構造は変わりません。Gossamer Gearでは主に使用生地の変更が中心になります。2018年からRobic Ripstop Nylonを採用していますが、2024年からは更にリサイクル仕様のものになっています。
「軽さ」「強度」「容量」「仕様」そのバランスは絶妙です。デイハイキング、山小屋を利用したハイキング、そしてテントをもってのオーバーナイトハイキングまで様々なスタイルに対応する自由なULバックパックといえるでしょう。ハイカーズデポではゴッサマーギアで最も汎用性が高いモデルだと捉えています。
「Nippon ハイキング」による進化
KUMOを特徴づけるものとして第一にあげられるのは「日本」への意識です。
2010年に日本の奥秩父を歩いたGlen Van Peski は、日本のハイカーと交流を持ちました。そのハイキングで感じたことがこのバックパックに反映されています。狭く急峻、そして豊かな森が広がる日本の山を歩いたことで、「軽く」「丈夫で」「小さく」「バックパックをおろさずに出し入れができる」ことを重要だと感じたようです。その後、KUMOのフィールドテストを経て「名前を日本語にしたい」という連絡を受けた時の喜びは忘れられません。ULバックパックの源流のひとつともいえるメーカーが日本を意識したモノづくりをしてくれた記念碑ともいえるバックパックでもあるのです。
細部の仕様
素材
本体素材は2018年から採用された100dn Robic Ripstop Nylonですが、2024年から更にリサイクル素材へと変更されました。複雑で高密度に織り込んだナイロン素材は引裂強度も高く、糸の径そのものも従来よりも細いことから、Robicはいまや軽量ナイロン素材の中心的な存在となっています。
フロントメッシュポケット
フロントの大型メッシュポケットの下部はどうしても傷みやすい場所なので、大きい面積でナイロン生地で補強が施されています。またポケット下部には向かって右にアックスループ、左にトレッキングポールホルダーが付属しています。
同社のミニマリストバックパックで採用されはじめた左右非対称なポケットデザインは、バックパックを右肩に引っ掛けて片背負いした際にフロントポケットの入り口がまっすぐになることを意図しています。荷物が落ちにくいだけでなく、斜めにしている分間口が広いのでポケット内へのアクセス性にも優れています。
ポケットの素材はパワーメッシュ。ゴッサマーギアのバックパックといえば従来からよくストレッチして豊富な収納力を誇るパワーメッシュが特徴です。
独自の背面システム
ゴッサマーギアのバックパックの大きな特徴といえるのが、背面パッドが外側からアクセスでき、簡単に入れ替えられる仕様です。通常のオプションとしては「シットライトパッド」が付属しています。これ自体も座布団としての使い方はもちろん、就寝時のプラスワンのパッドとして使えます。それ以外にも山と道ミニマリストパッドやEvernew FPマットなどの折り畳み式のクローズドセルマットならば、シットライトパッドの替わりに入れることができます。
着脱式ファストベルト
ポケット付きのウエストベルトは着脱ができるだけでなく高さの位置も調整できます。背面長の調節とまではいきませんが、工夫次第ではウエストベルトを振られどめとして使用したり、多少のサポート機能をもたせるなど、応用的な使い方が可能になっています。
豊富なポケット
トレイルランニングバックパックの代表的なモチーフであるショルダーポケットをハイキングパックとして早くから採用したこともKUMOの特徴のひとつ。ウエストベルトポケットとあわせた豊富なポケットはややもすると「ULのシンプルさ」という命題からははずれてしまいますが、先にもあげた「バックパックを下さなくても荷物へのアクセスを容易にする」という日本のハイキングにおける気づきを実現するためには必要なデザインだったのでしょう。2020年代のFKTスタイルのはしりともいえるでしょう。
4箇所のプラスティックループ
Gossamer Gearオリジナルのトップクロージャー方式であるOver-The-Top ( OTT )クロージャーシステム。その雨蓋的な蓋部分に白いプラスティックループが4箇所に配置されています。バンジーコードなどを通してウェアやマットなどを固定できます。
36Lという容量は日帰りや小屋泊はもちろんのこと、現代の装備ならば無雪期のテント泊も決して難しいサイズではありません。ULハイキングを志向するハイカーにはオーバーナイトハイキング用としてこのサイズのバックパックにぜひトライしてほしい。
KUMOはGossamer Gear のラインナップにおいて、MariposaやGorillaなどのスルーハイキングバックパックとMurMurといったウルトラライトハイキングバックパックとの橋渡し的なポジションともいえるバックパックです。他のメーカーのULバックパックと比較しても、そのバランスの良さから悩んだ時の落としどころといえそうです。
オーバーナイトを視野に入れたULバックパックにおいてKumoは新定番なのかもしれません。