いまではウィンターハイキングの必携品ともいえるチェーンスパイク。そのオリジナルモデルのひとつがKahtoola。簡易な着脱と爪先&踵もカバーする摩擦面積の広さははじめてのクランポンとしてハイカーに安心感を与えてくれます。
仕様
- 重量
- 338 g / M
- サイズ
- S:23~26cm
M:26~29cm
L:29cm~ - 爪
- 12本 / 10mm ステンレススチール製
- 素材
- バンド:TPE
スパイク、チェーン:ステンレススチール - カラー
- レッド
- その他
- 収納用スタッフサック付き
付けやすく外しやすく
高いトラクション性能
ウィンターハイキングの定番
そしてチェーンスパイクの祖
『MICROspikes®』
多くのハイカーに踏み固められた雪のトレイルや根雪になった雪渓、11月から5、6月にかけてはハイカーが足元に最も気を使うシーズンです。滑らなそうだ けど滑る、何も無いと不安、転んだら転げ落ちそう。冬靴やフルサイズのクランポンまでは必要としない季節や山域はかえって足元の選択が非常に難しいのかもしれません。 そんな状況で携帯&使用する簡易クランポンとしてはGRIVELL スパイダー(150g)が定評を得ています。軽いだけでなくスパイク部分の面積が比較的大きく十分なトラクションを得られるからです。しかしそんなスパイダーでも爪先や踵まではカバーしていません。踵で着地し、爪先で蹴りだす一般的な歩行フォームである「あおる」歩き方では滑ってしまう可能性もあるのです。 冬山や雪道では足裏全体で着地し、そのまま持ち上げるような歩き方が滑りにくい基本の歩き方です。こうした歩き方は冬山の基本技術として身につけるべきものですし、ソールが硬い冬用登山靴を使用すれば自ずと慣れていくものです。しかし底の柔らかいトレイルランニングシューズに慣れていたり、冬に不慣れなハイカーの場合はどうしても「あおる」歩き方になってしまいます。マイクロ スパイク(註)では、足裏全体をチェーンとスパイクで覆うため、スパイダー以上にこうした「あおる」歩き方に適した簡易クランポンなのです。本国アメリカでは雪上でのトレイルランニングに使用されています。
註)マイクロスパイクはKahtoola(アメリカ)、ENG(韓国)他、2010年からは複数の日本メーカーから販売されていますが、韓国の工場がその大半の製造元となります。チェーン&スパイクの基本構造は同じですが、フロントの爪の数や素材が異なるります。
アクティブに使える特徴
1)TPEバンドによる着脱
ベルトがゆるむ、ワンタッチフックが外れる、そうしたトラブルとは無縁です。ゴムバンドを伸ばしてひっかける、それだけで装着できる手軽さは魅力で す。ややきつめの方が外れにくく、かつチェーンスパイク部分も動かないためちょっと力は必要になりますが、凍った箇所がでた時に比較的簡単に着けたり外し たりできるのは大きな魅力です。チェーン取付部に補強をいれたり、ベルト周囲の厚みを変えて強度を向上させたりと細かなマイナーチェンジを重ねています。
2)足裏全体で雪面をつかむ
12本のスパイクが足裏前面にわたって配置されています。GRIVELスパイダーや4本爪アイゼン、6本爪アイゼンといった簡易クランポンと異なり、アーチ部ではなく前足部と踵に重きをおいています。雪道歩行の基本であるベタ足だけでなく、あおり足にも対応できます。チェーン部分にゆるみがあると、歩行に支障がでますのでチェーン部分がのびきるように装着してください。
他の簡易クランポンとの比較
ハイカーズデポの土屋はこのマイクロスパイクを2008年6月のジョン・ミューア・トレイルに持参しました。ある程度の残雪が見込まれる季節と山域でしたので、やはり足裏全体を覆うクランポンが安心だっ たのです。トレイルランニングシューズを選択して「あおる」歩き方でどんどん歩くことも、このクランポンを選択した大きな理由です。チェーン構造のため、 シビアな場面や岩もある箇所ではソールとスパイクとのちょっとしたズレが気になることもありますが、これは軽量簡易クランポンでは致し方ない点(註2)で しょう。 確かに重量ではスパイダーに劣りますが、爪先から踵までトラクションを効かせられる構造から、トレイルランニングシューズで無雪期と同じ感覚で歩き たいハイカーにとっては検討に値するモデルです。
スパイダーとマイクロスパイクはこうしたポイントをふまえて選択してみてはいかがでしょう か。
・スパイダー(150g)
携帯が全く苦にならない軽さとコンパクトさが最大の特徴。使うか使わないか、わからないのでとにかく携帯に便利な軽さで選びたい。
・マイクロスパイク(358g)
より積極的に歩ける爪先から踵までのトラクションが最大の特徴、確実に使用する状況なので、より滑りにくさ、歩きやすさを求めたい。
またマイクロスパイクのようなチェーンスパイクは冬季登山において林道アプローチなどでも使用されてきました。しかし路面凍結はしているけれども積雪が少ないケースなどではアスファルトやコンクリートを歩く際に10mmとはいえスパイクの高さが邪魔に感じることもあります。近年ではそうしたケースに対応するタングステンカーバイトのチップを滑り止めとする簡易スパイクも販売されるようになっています。
より山中での活動に焦点をあてて使いたい時にはステンレススチールスパイクの従来型のチェーンスパイクを、路面凍結した林道や舗装路、トレースがしっかりついている自然歩道などでの使用を主とするならタングステンカーバイトチップ製の簡易スパイクを、という使い分けもできそうです。
サイズについて
シューズはその種類によってボリュームが異なります。以下のサイズ表はトレイルランニングシューズ、ハイキングシューズなどを基準としたものになります。ボリュームがあるウインターブーツ、マウンテンブーツなどでは1〜1.5cm大きく考えてサイズ表を考えると良いでしょう。
S:23~26cm
M:26~29cm
L:29cm~
Lサイズはかなり大きくなります。2010年のPCTスルーハイカーの話では、Lサイズを選んでいたPCTハイカーの多くがチェーン部分がずれると言っていたそうです。チエーン部分がしっかりとフィットするように、MもしくはSのどちらかから選んだ方が賢明かと思います。