軽量&コンパクトにこだわり素材とデザインを一から見直して2018年にフルモデルチェンジしたミニモキルト。総重量240グラム、ダウン量130グラムを実現した、エッジなミニマリスト用スリーピングキルト。
仕様
- 重量
- 240g±5%
- 素材
- 羽毛:810FP UDD加工
羽毛量:130g
生地:10dシレ加工 マイクロリップストップリサイクルナイロン - サイズと構造
- 全長:約170cm
首幅:57cm
フットボックス底面:幅21cm*高さ21cm
構造:シングルキルト - 対応温度域
- 限界温度/7℃
- 快適適温/13℃
『TJAR トランスジャパンアルプスレース』出場選手の要望から開発
超軽量スリーピングキルト「Minimo Quilt II」
- 重量 240g ±5%(実測平均値)*湿気による誤差考慮
- ダウン量 810FP 130g UDD加工
- 全長 約170cm、首幅 57cm、フットボックス底面 幅21cm*高さ21cm
- 10d×7d シレ加工 ナイロン、シングルキルト構造
- カラー 表地:Algiers Blue 裏地:Spiced Apple
- 参考対応温度 適温:13℃前後
写真順に フロントサイド/バックサイド*バンジーコード、コードロックは付属していません。
“とにかくもっと軽く、もっと小さくして欲しい”
ウルトラライトハイキングという手法は、軽さを求めることに重きをおきますが、それは単なる軽量化にとどまらず「簡素(シンプル)になるからこその軽さ」であるべきだとハイカーズデポでは考えています。しかし、ミニモキルトは純粋なる「軽さの追求」を目的としたハイカーズデポ にとっても挑戦的なスリーピングバッグです。
2013年のミニモキルト発表当時、特殊なスリーピングバッグだと考えていましたが、私達が思う以上に汎用性のあるスリーピングバッグとして様々なハイカー、ランナーに受け入れていただきました。そして2018年、完全フルモデルチェンジの「Minimo Quilt II ミニモキルトツー」として生まれ変わりました。
デザインを一から見直した新しいスリーピングキルト
従来のミニモキルトではサイズ感の見直しと生地の軽量化によってミニマルなスリーピングバッグを模索をしてきました。 しかし「軽く、小さく」というミニマルを求め続けるにはそれだけでなく、キルトの構造そのもの、パターンそのものを一から考え直す必要に迫られました。
「もう一歩先へ軽くするために、快適性や汎用性を失ってでも無駄を省く」
旧ミニモキルトも既に削れるところはないと考えていましたが、それは従来のキルトという既成概念にとらわれていたからでした。もっと体の形状に合わせれることで使用生地を少なくし、かつ保温力をあげることはできないだろうか、そうすれば更なる軽量化ができるのではないか。それがミニモキルトⅡのデザインのスタート地点です。
デザインをもっと曲線的に体のラインに合わせることで、従来よりも無駄なスペースはないのに、狭く突っ張る部分もないものになりました。かといって複雑な構造にもなっていません。大きく3パーツで構成されており、むしろパーツ数の減少にもつながりました。これにより重量は実測値で240g。従来と比較して30〜35g、比率にすれば10%以上の軽量化が実現しました。生地のみの軽量化でできるのはよくて15g程度です。いかにデザインによる軽量化がおこなわれているかがわかるでしょう。ミニモキルトⅡはダウン量が130gですから、生地の重さは110gです。寝袋という非常に大きな面積の生地を必要とする道具として、これは驚異的な数字と言えます。
「もっと軽くて小さくて暖かい寝袋」を求めるユーザーにとって最適なものに近づいたと自信を持ってお勧めできる寝袋、それがミニモキルトⅡです。
曲線的なシェイプデザイン
デザインを曲線的に体のラインに合わせたことで、膨らむべきところはしっかりと膨らみ、従来よりも無駄なスペースがなくなり、ダウンが偏りにくくなりました。旧ミニモキルトよりも密着度が高いので、熱が逃げにくく保温性が上がると考えられます。変化の中でも特に肩周りの膨らみは顕著です。ダウンジャケットでも潰れやすい肩周りが見事に膨らんでいます。首元や肩周りをしっかり保温するだけで寒く感じにくくなります。
この肩の膨らみに大きく関係しているのが首回りの細さです。ボタンを止めた状態で頭がギリギリ通るくらいです。ダウンジャケットの首回りの太さを参考に、それよりはやや広めの大きさにしています。調整のコードもつけていますが多くの方は使わずとも大丈夫でしょう。冷気が一番侵入しやすい入り口を細くしたことで、無駄も削れ保温効果も上がりました。
またダウン量の少ない夏季用スリーピングバッグは上半身でどうしてもダウンの偏りがでてしまいます。しかしミニモキルトⅡはシェイプのメリハリが効いているため、ダウンの偏りが少なくなりました。このダウン量とは思えない膨らみを感じるロフト感に仕上がっています。
足元は一見わかりにくいのですが、上下で異なる向きのパターンにより緩やかな立体構造のようになり、ダウンが下に偏りにくく、足の傾きに合わせた形状で収まりが良くなりました。
ミニモキルトの作法
ミニモキルトII はそのままでも体に適度にフィットしますし、隙間ができにくいデザインです。とはいえ寝袋としては個性的なデザインであることから、寝るときの作法、手順を考えた方がより使いやすくなります。
1、足を入れる。
2、スナップボタンを首の後ろで留める。体が硬い人は先にスナップボタンを付けてから頭を通す。
3、肩に掛ける。
4、横になる。
書いてみると単純なのですが、店頭で試していただくと少し戸惑う方もいらっしゃいます。是非、自分なりの使い方を模索してみてください。
新デザインでフィットしやすいとはいえ、更に密着させたい時もあるでしょう。従来のキルトでは横方向に一列または二列というように平ゴムやバンジーコードを付けて密着させる方法が一般的でした。もちろんミニモキルトⅡでもそのようにできますが、ミニモキルトⅡならではの新しい方法をご提案します。
下の写真を参考にしてください。片側4か所、両側で8か所と今までの倍の数がついています。ここに写真の説明のようにU字になるようにバンジーコードを付けます。直接体の真ん中に当たらないので伸縮力の強いバンジーコードが最適です。写真では丸いバンジーコード2mmと2mmロープ向けコードロックを使っています。
手順としては、上記の1〜4で寝てから体の下(腰あたりでしょうか)でコードロックを引きます。そうすると全体的に寝袋が密着してきます。首回りも締まってきますので引きすぎたようであれば緩めましょう。寝袋は密度を高めることで暖かくなります。体の細い人は隙間ができて寒く感じやすいということがあります。ですが背中側のループを使って密着させることで温かさを増すことができます。これはキルトデザインだからこそできることだと思います。
目指した重量はスリーピングバッグカバー
重量は本体のみで 約240g。同じ快適温度域の他モデルと比較した場合、現行のスリーピングバッグの中で間違いなく最軽量級のモデルのひとつだと言えます。
山岳ランナーやミニマリストハイカーの中には軽さとコンパクトさを優先するために、スリーピングバッグカバー(もしくはビビィ)単体での使用を好む人達がいます。しかし決して暖かいものではありません。沢屋やミニマリストにその使用感を聞くとおおくの場合「大丈夫」という答えが返ってきます。「温かい」 ではなく「大丈夫」なのです。
エマージェンシーブランケットに代表される遮熱効果を狙ったスリーピングシーツも出ていますが、継続的な温かさを保持する為には着られるものは全て着て、シーツとの間にデッドエアの空間を作り出すことが必要になります。ミニマリストがスリーピングバッグカバーやスリーピングシーツを使う理由は小さくなるからです。そして軽いからです。しかしそれ単体での保温力には限界があるのです。
以下でスリーピングバッグカバー(またはビビィ)を比較してみます。
a | mont bell | ブリーズドライテックULスリーピングバッグカバー | カタログ値 200g |
b | finetrack | エバーブレス スリーピングバッグカバー | カタログ値 280g |
c | SOL | エスケイプビビィ | カタログ値 241g |
d | SOL | エスケイプライトビビィ | 実測値 148g |
a の場合、確かに軽いのですが2層構造のため単体使用には不向きですし、遮熱性も乏しいといえます。入ると温かく感じるのは内部の蒸れから起こる現象です。ここでの詳細説明は省きますが「VBL ヴェイパーバリアライナー」などに見られる「高湿度での保温効果」による温かさですが、透湿性のある素材などで中途半端に行うと湿り気による冷えの方が大きくなってしまいます。収納性には優れているため、比較した中では最小サイズの収納です。面積の大きさを考えるとこの収納力の高さはメリットと言えます。
bの場合、3層構造のため単体使用も可能ですが、重さがデメリットになります。上記参考アイテムは3層構造の中では最軽量の一つになりますが、通常3層構造防水透湿素材を使ったスリーピングバッグカバーは 300g以上400g前後といったところでしょう。そうなると通常の夏用寝袋と重さに差が少なく、あまり良さが見えてきません。保温力もaよりはましな程度ですが構造上その差は実用的な差ではありませんん。3層で裏地がある為、結露が軽減されるので数値では測れない部分も含めもっとも快適に使えるモデルといえます。
cの場合、アルミ蒸着されているため、遮熱効果が高く体温の約70%を反射します。とはいえ、断熱性が無いため生地が肌と密着する場所は外気に触れているのとほとんど変わりません。ですが上記3点の中では商品の特性上からも、単体使用するのにもっとも適しているとは言えます。これに使用されている「タイベック」などと同じ不織布を使用した防水透湿素材は耐久性が低く、嵩張るため収納性がよくないです。上記の中ではもっとも大きな収納サイズになります。
dの場合、圧倒的な軽さです。ですが、簡単に言えば作りが小さいから軽いのです。ですが単体で使用するには十分な大きさがあります。エスケイプビビィと同じ素材で作られていますが、平面構造でシンプルな作りのために、ここまでの軽量化が可能になっています。容積は小さく、寝袋と組み合わせてのビビィとしては不十分な大きさです。同様に遮熱効果は高いですが、断熱性はありません。
スリーピングバッグカバーは確かに軽いのですが寝具としては単体で完結しにくいのです。他との組み合わせありきの道具です。寝袋ではなくインサレーションウエアなどの防寒着と併用することはもちろん良いのですが、衣類というのは構造が複雑なので重くなりがちです。組み合わせが必要になれば荷物は大きくなります。軽量化やコンパクト性を考える人にとってスリーピングバッグカバーは本来不向きな道具なのです。結果として重たくなってしまっている方は今一度見直しが必要です。
想定使用温度と軽量寝袋の比較
ミニモキルトⅡ の重量240g は上記のシュラフカバーやビビィ、シーツなどに匹敵する軽さです。そして同程度の保温力のスリーピングバッグの中では最軽量のうちの一つです。ミニモキルトは基本的には「夏を中心とした温暖な時期の為の寝袋」です。そこで対応温度の目安を快適温度約13℃としています。
他メーカーの寝袋でダウン量 130gのものだと、最低使用温度を8℃前後に設定しています。ミニモキルトの場合、気室の空間は通常の寝袋よりも小さく、背中側を思い切って排除したキルトデザインにして上側に集めているため、最低使用温度は8℃より下でも暖かく感じられると推測できます。しかしキルトデザインの制約上、場合によっては使用感に大きな差が出ることも想定されます。一般的な寝袋以上に「目安としての気温」とお考えください。
参考使用例ですが、9月の北アルプスにてトレイルランナーに使用してもらったところ、ツェルトとの併用で十分に過ごせたとの報告もあります。外気温は5〜10℃。併用した保温着はインナーダウンジャケットのみです。
は他メーカーの軽量スリーピングバッグとも比較してみましょう。
1 | ISUKA | エア130X | カタログ値 300g | ダウン量 130g | 参考使用温度 8℃ |
2 | mont bell | アルパインダウンハガー900 #5 | カタログ値 461g | ダウン量 200g | 快適温度 8℃ 下限温度 3℃ |
3 | finetrack | ポリゴンネスト2×2 | カタログ値 360g | 化繊シート上下2枚ずつ使用 | 下限温度 11℃ |
2の場合、ダウン量はミニモキルトの1.5倍と多いのですが、上面には120g程度のダウン量だと考えられます。そうすると、ミニモキルトとほぼ同じ温かさと言えますが、重さの面では200gほどの軽さのアドバンテージが取れます。
3の場合、化繊とは一概に比べられないのですが、温度域や重さから見てもミニモキルトの方に分があると言えます。また湿気の対策についてはUDDにすることで、化繊のもの特にポリゴンのようなシート上のものまでとはいきませんが、乾きやすく湿気を帯びにくい効果が得られています。
「掛け布団」のような「キルト」というカタチ
「キルトスタイル」は単に不要なものを排除しているわけではありません。それで十分に足りると考えられるデザインです。フードはありませんが、家の布団にはフードもついていないし被ることもないです。袋状にもなっていません。
フードがなくても困りません。たしかにフードがあると温かいです。しかし冬の間、暖房を消せば家の室内でも10℃前後まで下がりますし、一桁台に下がることもあるでしょう。けれども家でフードを被って寝ることも帽子をかぶって寝ることもほとんど無いはずです。なにより行動中にも使えるうニット帽をかぶれば十分対応できます。もしくは、使っていない衣類を頭や首に巻くなどしても保温することは可能なのです。一つの道具で様々な状況に対応できるものを選ぶことは軽量化にも繋がる考え方です。
開いているのが気になる背中側ですが、羽毛を背中側に敷いても寝たらほとんど潰れています。掛け布団を敷布団としては使わないですよね。例えば家庭用の敷き布団はつぶれにくくするために、ウールや綿などコシのある素材を使っています。ですので少なくとも無雪期に関して言えば、背中側はスリーピングマットで十分な保温性を確保することができるのです。
キルトスタイルは「軽くするために削った」のではなく、「必要なものだけに戻した」結果のシンプルな布団的スタイルといえます。それは「一つの道具で機能を補い合うという考えが軽量化に繋がる」という思いと一致するのです。
軽量化のためのシングルキルト構造
シングルキルトとは「つぶし縫い」のこと。ボックスキルトとは「箱縫い」のことです。ボックスキルトにするとコールドスポットが理論上なくなるので保温力は一気に高くなります。ですが、箱状にするために生地が増えて重くなります。ですので、ダウン量や使用する目的、目標とする季節と温度帯などを考え適切に選ぶことが必要です。
ミニモキルトの場合は、シングルキルトが適していると考えています。構造がシンプルになり軽量化が可能です。コールドスポットはできますが、使う季節や温度域を考えれば十分です。ボックスキルトにしてダウン量を減らすという方法をとる必要もないと考えています。もしコールドスポットの補うのであれば、ビビィシートやスリーピングバッグカバーなどの併用も考えられます。例えばレースによってはビビィなどがレギュレーションになっていることもあります。その場合せっかく持っているのならば使わないのは勿体無いです。こういった組み合わせを考えることで想定の温度域を広げることも可能です。
羽毛の量と品質
夏中心を想定している他メーカーの軽量3シーズン用スリーピングバッグはダウン量が300g前後となります。ミニモキルトのダウン量はその半分以下の130gです。全体に細いシェイプの為、ダウンの封入スペースが狭くなり、密度が上がることで保温力の上昇も狙える為、少ないダウン量に軽減しても保温力を高めることが可能だと考えています。密度が高まったとはいえ、多くないダウン量のロフト低下を防ぐために、810FPの超撥水加工を施したダウン『UDD ウルトラドライダウン』を採用しています。*UDDの詳しい説明はこちらのページを参照して下さい。
スタッフサック
本体と同じ生地で小型のスタッフサックが付属しています。重量は10gほどですので十分軽いですが、特別なものではありません。ミニモキルトⅡを使うみなさまは自分のパッキングスタイルに合わせてスタッフサックも自由に変えてみてください。
以下では軽さにこだわり、HMGのCFスタッフサックを参考にスタッフサックのサイズと収納性の比較をしています。自分のスタッフサック探しの参考になればと思います。
【case-1】できるだけ小さいサイズ
この場合、袋の容量は1.5Lを目安にしてください。入れるのにかなり力を使いますので、手の力の弱い女性などは避けた方が無難でしょう。現実的にギリギリのサイズだと思います。形を変えられる余裕がなくなるので固形に近い収納になります。収納サイズは小さくなりますが、収納性(収納しやすさ)は著しく落ちるでしょう。注意が必要です。
ex: HMG キューベンファイバースタッフサック Sサイズ 17cm*25cm 6g(詳細はこちら)
*素材は水を含みませんが防水ではありません。
**写真は旧ロゴです。
【case-2】ちょうど良いサイズ
この場合、袋の容量は2.5L〜3Lを目安にしてください。それほど力を使わなくても無理なく入れることができるサイズでしょう。多少は形状を変化させられる余裕がありますが、隙間に入れられるほどではありません。収納サイズ、収納性ともにバランスのとれたものと考えられます。
ex: HMG キューベンファイバースタッフサック Mサイズ 21cm*30cm 8g(詳細はこちら)
*素材は水を含みませんが防水ではありません。
**写真は旧ロゴです。
バックパックの中では十分な防水性のある EXPED/コードドライバッグUL(Sサイズ 13g)も同サイズとして使えます。(詳細はこちら)
【case-3】ゆったりサイズ
この場合、袋の容量は6L〜8Lを目安にしてください。かなりゆったりと入れられるので、雑な入れ方でも簡単に入ります。形状が比較的自由に変わるので、薄い隙間でも入れることができる可能性が生まれます。収納サイズこそ大きいですが、場所形状の制約が少ないので収納性は高いと言えます。他の寝具類をまとめることも可能です。
ex: HMG キューベンファイバースタッフサック Lサイズ 25cm*34cm 10g(詳細はこちら)
*素材は水を含みませんが防水ではありません。
**写真は旧ロゴです。
バックパックの中では十分な防水性のある EXPED/コードドライバッグUL(Mサイズ 15g)も同サイズとして使えます。(詳細はこちら)