S/LAB ALPINWAY

森林限界以上の高山帯での使用を想定。軽快な足捌き、十分なグリップ、安心の耐久性、これらをバランスよく組み込んだハイブリッドシューズ。サロモンSラボではトレイルランニングカテゴリーではなく、ハイキングカテゴリーに位置づけられています。北アルプスなどの高山帯で足をしっかりと守り、安定感をもって歩けるローカットシューズを探しているハイカーに。

仕様

重量:360g/UK8.5(片足) 

防水:なし

ソール高:前足部 15mm 後足部 24mm ドロップ差 9mm

素材:アッパー/  Synthetic、ミッドソール/ Dual density midsole、アウトソール/ Alpine Contagrip®

 

軽快な足捌きと安心の耐久性
高山帯での行動を支える
ハイブリッドハイキングシューズ

知床先端部、日高山脈、北アルプスで計30日ほど使用したS/ラボ アルパインウェイ
トレイルランニングシューズは1990年代後半にアウトドア市場に登場して以来、2010年代にはトレイルランニングシーンとロングディスタンスハイキングシーンで市民権を確実なものにしました。その傾向は欧米に限らず日本でも同様です。登山用具の軽量化により、無雪期の登山道(自然道、トレイル)においてはトレイルランニングシューズの自由な歩行を好む人々が増えていきました。もとより日本でもクライマーを中心に夏はランニングシューズなどを好んで使うことも多く、その下地があったことも見逃せません。しかしトレイルランニングシューズはランニングシューズがベースとなる以上、登山靴のような安定感や保護機能は望めません。特にアッパーの耐久性は登山靴には及ぶべくもありません。数回の使用で穴が空いたという経験をしたハイカーも少なくないでしょう。森林限界以下の山ならばまだしも、岩場を通過するような森林限界以上の高山帯ではローカットシューズ特有の自由で軽快な足捌きだけでなく、岩場でも足を保護してくれる耐久性あるアッパーに、様々な路面で十分なグリップを与えてくれるソール、そんなトレイルランニングシューズを求める声が絶えないのも当然と言えば当然です。
サロモンがスキーやトレイルランニングなどのコンペ用にパフォーマンス優先のアスリートモデルとして開発しているS/ラボシリーズ。現在はコンペだけでなく山岳地でのアドベンチャー用に開発される製品も多くなっています。そんなS/ラボシリーズにおいて本国サイトでは「ハイキングカテゴリー」にラインナップされているのがこのアルパインウェイです。森林限界上の高山帯を自由に動き回るためのトレイルランニングシューズ。軽快な足捌き、十分なグリップ、安心の耐久性、こうした要素の詳細を見てみましょう。


アルパインウェイの仕様


保護能力と耐久性に優れたアッパー

爪先をしっかりとガードするシンセティックレザーとラバーランド
知床半島、日高山脈、黒部源流域のオフトレイルで3週間以上使用してもほとんどダメージを受けていないアッパー


実際の使用テストを経て、市場にあるトレイルランニングシューズの中でも高い評価を与えたいのがアッパーの耐久性と保護性能です。多くのトレイルランニングシューズのアッパーは軽量化のためアッパーはもちろん爪先部の補強も簡略化されることがほとんどです。それにより軽さだけでなく、乾きの早さも実現しているのですが、一方で高山帯の岩場では不安を感じるハイカーも少なくありません。アルパインウェイではこの爪先部をシンセティックレザーとラバーランドでしっかりと補強。岩場での高い保護機能はトレッキングシューズ並といえます。オフトレイルでの斜面への蹴り込みなどにも有効です。三週間にわたり知床半島や日高山脈のオフトレイルハイキングで使用しましたが、アッパーに大きなダメージは見当たりません。これはアッパーに縫い目を設けない構造も大きく働いているからでしょう。
丈夫なアッパーのローカットシューズといえばレザーアッパーを採用しているアプローチシューズが思い浮かぶ方も多いはずです。簡単なクライミングならこなせることを重視しているアプローチシューズでは細かなスタンスをひろうためにもアッパーとソールの剛性が重要になります。そのためのレザーアッパーなのです。しかし濡れると重く乾きにくいのも事実。岩場の通貨も含め長距離長期間歩きたい、そして軽さや速乾性もほしいとさまざまな地形を歩き続けるハイカーは欲張りです。アルパインウェイのナイロンアッパーの剛性、耐久性、軽量性、速乾性のバランスはそんなハイカーのリクエストに近いものかもしれません。

バランス重視のソール

安定のContagripと独自デザインのクライミングゾーン
アウトソールはサロモンのトレイルランニングシューズで長く定評を得ている Contagrip®。トレイルランニングシューズをベースとしているラグパターンにより、一般登山道では間違いないグリップを提供してくれます。爪先には独自デザインのクライミングゾーンを配置。こちらも乾いた岩場では安心した行動が可能です。しかし「バランス重視」と表現したようにあくまでベースはトレイルランニングシューズ。岩場での使用に特化し、簡単なクライミングまでをこなすことを目的としたアプローチシューズと比べると、そこまでのグリップを期待するのは難しいと感じたのも事実。アプローチシューズではなく、あくまでハイキングカテゴリーのトレイルランニングシューズだと理解ください。何かに特化したソールというよりも岩場での使用も念頭においたオールラウンドなバランス重視のソールといえるでしょう。

高いフィット感とねじれ剛性

高山帯でのオールラウンドな使用に有効なのはソールだけではありません。全体に均一な締め込みができるQuicklace®と足全体を包みこむsensiFIT™。これにより足との一体化を生み出す高いフィット感が得られます。不安定な斜面でもシューズ内で足がズレることをおさえてくれます。またアウトソールとミッドソールとの間にはPUシャンクが配置されているためねじれ剛性が高く、岩場でもトレイルでもしっかりと踏み込んだ時に高い安定感を得ることができます。


現在のトレイルランニングシーン、ハイキングシーンではゼロドロップ、ゆとりある前足部というシューズデザインにより自然な姿勢、自然な骨格で足本来の機能を引き出す、鍛えるという考え方がハイカー、ランナーの間で一定の市民権を得ています。まず怪我をしない足や身体をつくることは、もちろん基本であることに違いありません。このアルパインウェイはそうしてできあがった足や身体のパフォーマンスを高山帯で十分に発揮させるためのシューズだと理解すると良いでしょう。役割が異なるため、ゼロドロップやベアフット系のシューズとの併用にも意味があるのです。高山帯でさらに安定感をもって自由に行動したい、安心して行動するためにも足をしっかりと保護したい、そんな願いをもつハイカーをサポートしてくれるシューズ、それがS/ラボ アルパインウェイです。