三陸沿岸約1,000kmの長距離トレイル(ロングトレイル)「みちのく潮風トレイル(MCT)」。その全線にわたる距離、ランドマーク、施設、その他歩くために役立つトレイル上のデータを掲載。プランニングに欠かせない基礎資料。
仕様
- 重量
- 123g
- 判型
- A5版
- 内容
- ランドマーク
施設・設備
区間距離
累積距離
標高
対応地図情報
みちのく潮風トレイルの基礎データを網羅
MCTハイキングのプランニング必須資料
日本初のハイキングデータブック
みちのく潮風トレイル Data Book
2019年6月に青森県八戸市から福島県相馬市まで三陸沿岸約1,000kmの長距離トレイル(ロングトレイル)として全線開通した「みちのく潮風トレイル(MCT)」。2020年にはNPO法人みちのくトレイルクラブがハイキングマップブックを刊行したことで、ハイカーにとって今まで以上に歩きやすくなりました。このマップブックは欄外に「トレイル中の目標物までの距離」が表記されています。北上するノースバウンダーにも、南下するサウスバウンダーにもこの先に何があるのか、またそこまでの距離がどれくらいなのかが地図情報とともに提供されています。この情報はセクションハイク、スルーハイクを問わずハイキングの計画をたてる際に重要です。今回刊行された「みちのく潮風トレイルデータブック」はこの情報をより詳細に網羅的に掲載した冊子となります。
このデータブックには、みちのく潮風トレイルを歩く際に参考にしたい、
- トレイル起点・終点からの累積距離
- 地点間距離
- 標高
- 水場
- トイレ
- キャンプ場
- 宿泊施設
- 商店
- 駅
- その他施設
これらの「トレイル上(*註)」の情報がみちのく潮風トレイル全線にわたり掲載されています。既刊のマップブックとも連動していますので、より具体的なハイキング計画をたてる基礎データとなるでしょう。(*註:トレイルを歩く上でランドマーク/目印となりうるものに限る)
例えば本書p.16、階上から洋野にかけてのページですが、北の起点蕪島からの距離が50.97km地点、種市高校の近くにある広場にはトイレと水場のマークがあります。飲料水かは不明ですが浄水器があればここで水を確保できます。そこから3kmあるけばマリンサイドスパ種市につきます。こにでは入浴、食事、宿泊ができるならこの日はここで宿泊ということにしてもよいでしょう。もしくはここでは温泉だけはいってさっぱり。すぐ近くの種市商店街で翌日からの分もふくめて食料を補給、1kmほど歩けば種市海浜公園キャンプ場があります。そこでキャンプするのも気持ち良さそうですね。こうした情報を地図とあわせながら組み立て、ハイキングの計画をたてるのです。
ハイキングのプランニングに欠かせないデータブック
長距離トレイル、長距離ハイキングの本場アメリカではハイキングを計画する基礎資料として地図のほかにデータブックが重宝されています。
トレイル(道)を歩く旅においては周辺地形の情報も大事ですが、それと同じかそれ以上に、トレイルのどこに何があるのかという情報が重要になります。具体的には「水場」「キャンプ適地」「補給可能な街へのアクセスポイント」「公共交通機関へのアクセスポイント」などです。こうしたハイキングに必要なものがトレイルのどこにあるのか、それをトレイル起点からの距離で表したものがデータブックです。
ハイカーは地図とこのデータブックの情報とを突き合わせながら計画をたて、歩きながら修正します。それを繰り返しながら旅を続けるのです。日本人の身近なもので例えると、山と高原地図などの登山地図に書き込まれた各種情報、それを抜粋し、さらに情報密度を濃くした一覧表と考えれば良いでしょう。もちろんトレイルや沿線の街の状況は年々変化していきます。データブックの情報も数年に一度もしくは毎年更新されていきます。文字情報だけを抜き取ったデータブックならば、その更新が地図に比べて比較的容易なことは大きなメリットです。
日本初のハイキングデータブック
日本では長い年月をかけて登山という文化がしっかりと根付いています。国土地理院の地図だけでなく、登山に必要な情報が地域的に網羅されたさまざまな登山地図が刊行されています。これはある意味登山のデータブックといえるものです。一方、1973年に東海自然歩道が完成して約50年、日本には約27,000kmの長距離自然歩道という名のトレイルができたものの、その地図や沿線データの集積と活用はうまくできているとはいえません。東海自然歩道は北米のアパラチアン・トレイルを模して作られましたが、どうすればハイカーが集まるのか、歩きやすくなるのかといった側面にはなかなか手をつけられなかったのでしょう。
長距離自然歩道のひとつとしてできたみちのく潮風トレイルですが、このトレイルは運営や活用において日本における新しいスタンダードを目指しています。そのひとつが2020年のマップブック、2021年のデータブックの刊行です。歩くための地図と情報が入手しやすいことは何よりも大事です。日本初のハイキングデータブックである本書を契機にデータブックというものへの認知が広がりを見せるはずです。それによってトレイルやハイキングをとりまく環境がまた少しずつ変化していくのでしょう。