Silnetが名称を変更し、SeamGrip+SILへ。ウレタンベースの目止め剤が効かないシリコン加工された生地や素材用の目止め・補修剤。粘性が高く接着剤としても使用できます。メーカー名もMcNETTから「Gear Aid」になりました。
仕様
- 重量
- 43 g
- 付属
- ハケ付き
- 成分
- シリコン(80%)
シリカ(15%)
シラン(5%)
基本的なPUコーティングやアクリルコーティングが主流のナイロン製品の目止めにはウレタンベースのSeam Grip +WP(旧Seam Grip® )が使用されています。しかし近年増えてるシリコンコーティングされたナイロンやポリエステルの生地や素材にはこのシームグリップWPが使用できません。そこで必要なのが シリコンベースの目止め剤、Sil Net™ 改め『Seam Grip +SIL』。
- 硬化後も柔軟性が保たれる
- 粘着性が高い
- 強度が強い
これらの理由からいわゆるシリコンコーティング製品用としてだけでなく、接着剤としても使用できるので補修全般に利用できる優れものです。シリコンコーティング製品以外にも利用できるのですが、接着性などを考えるとSeam Grip +WPを汎用性タイプ。Seam Grip +SILはシリコン製品専用品として考えるのが良いでしょう。
綺麗に塗るコツ
難点は粘性が高いのでキレイに塗りにくいこと。また硬化後もテカリが強く処理後が目立ってしまいます。これに対してはシンナー等で薄めてからハケで塗ったり、注射器で細く塗るなどで対策できますが、基本は薄めずに使用したほうが良いでしょう。しばらく時間をおけば、ある程度は馴染んできれいになります。
どうやったら綺麗にシームシーリングできるのか。ポイントは簡単なことです。少しずつ丁寧に根気よく、です。一気にまとめてやろうとするとどうしても仕上がりはそれなりになってしまいます。一番やってはいけないのはこの方法。
GearAidの自社サイトで紹介されている写真ですが、これでうまく綺麗に塗れるわけがありません。せめて付属でついているハケを使いましょう。もし理想を言うならば、ある程度硬さがあるヘラ状のものが今までの経験上最適に思います。
例えば、ホームセンターや100円ショップなどに行くとこのような「ヘラ」が売っています。これでも良いのですが、もっと良いのが次。
下の画像のような接着剤に付属している「ギザギザ付きヘラ」。これがダントツに使いやすいです。ギザがあることで、なぞった時に適当な目止め剤が残ってくれるのです。ギザなしヘラの場合はそぎ取り過ぎてしまうので、力加減を調整しなければなりません。
ギザ付きヘラが用意できたら、目止め(シームシーリング)したい箇所を広げます。広範囲の場合は一気にやろうとはせずに、2分割または3分割して数日かけて行いましょう。もし広げられる環境があれば一気に行うことも可能です。目止めしたい縫い目に、少量の目止め材を置いてヘラで伸ばしていきます。出す量は最初は少なめから量を増やしていって、少しずつ自分のやりやすい量を見つけていきましょう。
糸が見えている場合は糸の色が変わるのが染み込んでいる目安です。しかしそれだけではダメで、薄くでも良いのでシームシーリング箇所全体にコーティングされているように、目視で確認していきましょう。
乾燥時間はメーカーでは3〜6時間と言っていますが、実際には12時間〜24時間くらい必要な感覚です。おそらく大気の湿度も関係していると思います。また乾燥が終わっても油断できません。すぐにコーティングの面どうしをくっつけて保管すると癒着してしまいます。ベビーパウダーやチョーク粉、片栗粉や小麦粉でも構わないので、コーティング面に粉をはたいておきましょう。粉がなければ細かい砂でも構いません。埃でもよいです。僕はアメリカのPCTスルーハイキング中に目止めをしなければならなかった際は、砂を手にこすってからコーティング面にはたきました。癒着は時間が経過するほどに起きにくくなっていきます。ですが、使用頻度が少ない人は気をつけたほうが良いでしょう。
シリコンコーティングの生地を使用している道具を使っているハイカーは、
① 破れたところに他の生地を当てるとき
② ほつれた縫い目の補強
③ あらかじめ不安な箇所の補強
等に使用すると効果的です。シリコン製品が増えた現在、リペア用に必ず持っていたい目止め剤です。
シリコン系以外のものには、Seam Grip +WP(旧Seam Grip® )がおすすめです。適度な粘性で塗りやすく、様々な用途に使用できます。
1200円(+消費税)