Sub 6

ハンモック・ギークも唸った超軽量なSUB7がアップデート!カラビナを廃して5.8oz(約164g)になり『Sub 6 サブシックス』になりました。どんなアクティビティにも連れ出せるほど軽量なULハンモックです。

仕様

重量
162 g
素材
30デニール・ナイロンタフタ
サイズ
広げた状態:長さ 2.67mx幅 1.19m
カラー
Lichen(グリーン)
Orange
Charcoal(グレー)

軽いだけじゃない。
寝心地も良いからこそ
For Thru-hike Hammock

順に/Lichen、Orange、Charcoal。

収納サイズは握れるくらいの小ささ。袋には余裕があるのでツリーストラップごと入れられます。

本体の末端についたトグルを利用して ENO Helios Suspention System(別売り4,900円税別) と合わせると、シンプルでコンパクトそして最適な組み合わせで使うことが可能。

トグルのついているループにカラビナを通せば従来通りの使い方もできるので、トグルが使えないツリーストラップやスリングシステムにも対応が可能。


Sub 6(サブ6)になって軽くなったのはもちろん良い点です。それ以外にも純正ツリーストラップである「ヘリオスウルトラライトサスペンションシステム(ヘリオスUSS)」との相性が抜群に良くなったことです。旧モデルのサブ7とハミングバードハンモックのウルトラライトストラップとの組み合わせはハイカーズデポで最初にご紹介したハンモックシステムを最軽量にするためのもので、応用編とも言えるものでした。しかし、サブ6になったことで、その組み合わせも変わって来ます。

 

<旧モデル サブ7の組み合わせ例>

同メーカーセット/ENO サブ7(185g)+ENO ヘリオスSS(118g)=303g

カラビナセット/ENO サブ7(185g)+HB ULツリーストラップ(63g)=248g

最軽量セット/ENO サブ7ビナ無し(145g)+ダッチビナー2枚(18g)+HB ULツリーストラップ(63g)=226g

 

<サブ6の組み合わせ例>

同メーカーセット/ENO サブ6(162g)+ENO ヘリオスUSS(118g)=280g

カラビナセット/ENO サブ6(162g)+軽量クライミング用カラビナ2枚(約60g)+HB ULツリーストラップ(63g)=308g

最軽量セット/ENO サブ6(162g)+ダッチビナー2枚(18g)+HB ULツリーストラップ(63g)=243g

 

こう見るとサブ7はカラビナ付きとはいえ他のアイテムを合わせた時に軽量化しやすいものであったのがわかります。むしろ純正のヘリオスUSSとの組み合わせが重いという結果に。

サブ6では反対にヘリオスSSとの相性が良いのが分かります。むしろカラビナを使う場合がサブ7ノーマルよりも重くなってしまいます。

ダッチビナーを使えばどちらも一気に軽量化できるのがわかりますが、ダッチビナーはスリングを傷める可能性があるので長期使用においては注意が必要です。

 

ENOのヘリオスSSは、最軽量とは言えないですがそれでも十分軽いです。HB ULツリーストラップと比べても全体にしっかりとした素材で丈夫なのが分かります。スリングの可動部もナイロンベルトを通るので、スリングの傷みも最小限に抑えることができるのは良い点です。その辺りも軽さだけでなく、スルーハイカーが使うということを考慮した結果の決断なのかもしれません。また、旧モデルで付属だった20g程度のカラビナが2個無くなったのに、重量が40gではなく20gほどしか軽くなっていません。新たなパーツであるアルミトグルはしっかりしていますが一個10gあるとは考えにくいです。もしかしたら軽量になった分、全体の補強などは見直されている可能性はあります。

Eagle Nest Outfitters Inc.(ENO)について

ENO(Eagle Nest Outfitters Inc.)は1999年にスタートした、現代のアメリカハンモックシーンを牽引するハンモックギアメーカーです。彼らのハンモックに対する感情は「Laid-back」であり、ハイキングとはちょっと違うところにあります。しかし、それまで培ってきたハンモックの経験はハイカーに適するものを作り出すのには十分でした。
ハイカーにはもちろんステディな人も多いですが、歩くという時間を過ごせることは実はとても贅沢で、走ったり自転車に乗るよりも、ずっともっと「Laid-back」な行為なのです。それに持ちうる全ての時間と力を注ぎ込むスルーハイカーが、ハンモックと合わないわけがありません。

シェルターでもなく、イスでもなく、マットでもない。従来のものとは異なる寝具「ハンモック」

ハンモックをキャンプでのんびり過ごすのに使う。とっても気持ちよいですね。しかし、ハンモックとは本来「寝具」なのです。湿気と暑さで知られる日本とはいえ、さすがにハンモックで過ごすほどではありません。なぜならそれは四季があるからです。ハンモックは四季のない熱帯の民族が使っていたものでした。もちろん冷房もない時代、少しでも涼しく過ごすための工夫だったのでしょう。
日本の夏も負けてはいませんが、厳しいのはせいぜい3ヶ月くらいなものです。そんな日本でも少しでも夏は涼しく冬は暖かく過ごすために作り出されたのが畳でした。今は電気をたっぷり使う冷房があるから“フローリング”という名の板敷きでも過ごせますが、昔は板敷きで過ごすのは奉公人で、畳は裕福な証だったんです。閑話休題。
そんな寝具としてのハンモック。“ベッド”としての役割はもちろんですが、直接床の上に寝転んだり座ったりするよりも涼しいので、ソファのようにイスだったり寝転んだりするのにも使われるのです。現代のスリーピングシステムは、床または地面に敷布団代わりのマットを敷き、掛け布団を兼ねた寝袋で寝ると僕らが親しんだスタイルに近いのです。ところがハンモックはまず空中に浮いて(厳密にはぶら下がって)いますし、そのどれとも微妙に被りつつ異なる、日本人にとっては馴染みの少ないスタイルなのです。

ハンモックが注目されるきっかけ

アメリカのハイキングシーンでハンモックが注目され始めたのが4〜5年前くらいでしょうか。実際にはその前から少しずつ動きがあったのだと思います。なぜかというと、「Tick ダニ」が影響しています。もちろん“涼しい”、“地面の環境を問わない”などよくあるキャッチーなポイントもありますが、一番はそれでしょう。東海岸を中心としたその問題に対し有効なのは宙に浮いてしまうことだったのです。
日本にもダニはたくさん存在します。その中でも病気を媒介することで知られるのが「マダニ」です。マダニは昔からいましたが、この数年冬が寒くなりきらないせいでマダニの生息数が増え続けているのです。特に中国地方でその存在がニュースにもなるなど注目されましたが、北海道でもマダニの問題は報告されています。
マダニにより媒介される病気についてはここでは割愛しますが、これは山に入るハイカーたちにとってはかなりのストレスになります。その被害を防ぎつつ旅を続けるために選んだのがハンモックという寝具だったのです。

もちろんそこにとどまらず、今ではハンモックにはまってしまったハンモック・ジャンキーたちは季節を問わず、どうしたらもっと快適に一年中ハンモックと一緒に旅ができるのか、ハイキングできるのかを、真剣に、それはそれは一生懸命考え続けているのです。

軽いハンモックがもたらしたもの

これまでのハンモックは正直テントから切り替えるのを躊躇させるほどの重さのものばかりでした。確かに上記したような虫対策が必須であれば仕方がないものの、軽量なスリーピングシステムを受け入れたハイカーたちにとっては、切り替えるほどのメリットを感じさせなかったのです。ところが今ハンモックは軽くなっています。Grand Trank がリリースした軽量ハンモック以降、各メーカーが工夫しその中で出てきたのが、2015年にリリースされたENO(イーノまたはイーエヌオー)のSub 7でした。

ハンモックに切り替えるのも躊躇したくらいですから、少し前までだと「Hammock or Tent? ハンモックかテントか?」と選択をするものでした。しかし、ENO / Sub 7 の登場以来、「軽量なシェルターの代わりにハンモックを」ということはもちろん、「Tent and Hammock! テントとハンモックの両方!」を楽しむことができるようになりました。確かにコンパクトになるチェアを持っていくくらいなら、ハンモックを寝具としてだけでなくイスとして持っていっても十分すぎる軽さです。しかも、2人でも座ることができる。なんと素晴らしいのでしょう。

圧倒的な軽さ、寝心地を実現した生地

市販されているハンモックでは最軽量クラスの162グラム(5.8オンス)と、名前のSub 6(約6オンス以下の意味)をさらに下回る軽量なハンモックです。

軽さを実現できたのはノンコーティング 30デニールのナイロンタフタのおかげでしょう。これは旧モデルSub 7 が登場した当時、アメリカでもその生地の薄さとシルクのようなしなやかさゆえに、小柄なレビューワーですら恐る恐る座ったという記事をみたほどです。

一概に繊維の細さイコール軽さではありませんが、通常 30デニールのナイロン生地はそれほど軽くはありません。それは生地の張り感や強度を出すためにコーティングを用いるからで大抵のナイロン素材がPUまたはアクリルコーティングがされています。その結果通気性を減じてしまいます。けれど、Sub 6の生地は繊維を細くして生地を薄くするのではなく、繊維には十分な太さで丈夫さを付与しつつコーティングを排して通気性が良いのを特徴としました。コーティングがないおかげで肌触りがとても良く、蒸れないどころか冷たい風が吹けば身体で感じるほどです。ハンモックの使用時期は暖かい季節が、もとの性質上、メインですから夏は蒸れずに快適に過ごせ、春先や秋などはマットをあてがうだけで下からの風を遮りながら眠ることができます。

生地をよく見ると、リップストップのグリッド(格子)が斜めについているのに気が付きます。本来であればグリッドに対して斜めに伸縮するので、Sub 6 もグリッドに対してバイアス(斜め)方向に伸びるんじゃないかと思ったら、きちんとハンモックの前後に対して斜めに伸びます。グリッドが斜めにも関わらず、生地の織り目は縦横(垂直・水平方向)になっているので、バイアスによる伸縮が斜めに効きます。またストレッチ生地ではないかと錯覚してしまうほどバイアス方向に良く伸びるのはノンコーティングだからこその特徴です。前後に吊るす方向には伸びないので強度を維持し、眠る方向の斜めに伸びるため快適に横になることができます。

生地方向に対して斜めにつけられたグリッド

意外と知られていないのですが、ハンモックにそのままゴロンすると足と頭はいつも上を向いています。最初は気持ち良いのですが、ずっとだとこの姿勢は疲れてしまうのです。人間やはり横になりたいのです。ですのでハンモックに寝る場合は、吊るしている正対に対して斜めに寝ることで体が水平状態に近くなるので、そのように寝ます。斜めになる分、寝心地にはハンモック本来の大きさも寄与しますが、寝る向き、つまり斜め方向にどれだけ伸縮するかも重要になります。市販のハンモックはおおよそ斜め方向に伸縮するようにできていますが、Sub 6では生地面積の小ささを高い伸縮率で補っています。大柄な人でもハンモックに慣れている人なら十分に寝られます。筆者は175センチですが不自由なく横になって眠ることができます。

これで300ポンド(136kg)まで耐えられるのですから、ブランコをしたり飛び跳ねたりしなければ、長い間使えるでしょう。(UL仕様の場合の「長い間」というのは、もちろんミルスペックなどのヘビーデューティなギアには適いませんが。)

・トグルになった接続部

以前は一個20g程度の「非クライミング用」の軽量なカラビナがついていました。これは「アクセサリーカラビナではあるが強度のあるカラビナ」ということです。ちなみに「ダッチビナー」もあくまでアクセサリーカラビナです。

その接続部が今期よりトグルに変更になっています。いくら強度があるとはいえアクセサリーカラビナの範囲の強度よりは、トグルの方がとてもシンプルで強度が高いのは間違いないでしょう。こういったトグルをハンモックに使ったことで有名なのは「EXPED」です。かなり前からトグルを上手にハンモックと合わせていました。それからハミングバードハンモックのソフトカラビナも今ではトグル方式に変更されています。

この変更によってサブ7の時よりもサブ6は汎用性を失いました。しかし、純正のヘリオスサスペンションシステムと組み合わせた「ノーマルタイプ」ではトグル以外故障の原因になりやすい金属パーツがないため、シンプルで強度のある構造になりました。それは長期間でも安心して使えるということにも繋がっているでしょう。

トグルを本体側に押し込むとできる隙間にカラビナをかけて使うこともできます。ですので、各種クライミング用カラビナやダッチビナーなどを使った上で、他メーカーのツリーストラップやスリングに接続することも可能です。

・スタッフサックのこと

付属のスタッフサック少し大きく作られていて本体とともにツリーストラップやカラビナを一緒に収納しやすく、さらにハンモックに縫い付けているので、サックを無くさないばかりか、横になっているときにはスマホなどを入れておくポケットとして使うこともできます。

設営にはおおよそ1分~2分もあればできます。とりわけ慣れなども必要ありません。ハンモックをいきなり宿泊道具にはというならば、まずは昼寝アイテムにはいかがでしょう。この軽さであればデイハイクに持ち出して休憩用のベンチとし設営してみることをおすすめします。山の中に居るのに、空や森を下からを眺めて過ごすことが少ないことに気が付きます。

もちろんその軽量さを生かして、マルチデイのキャンプにテントと共に持ち出せば、日中はキャンプグランドのソファとして使い、夜に天気が良ければ寝袋とマットを併用して星を見ながら眠ることができます。
タープとの相性も抜群に良いのがハンモック。タープとハンモックを併用してシェルターシステムとして寝てもよし、平たいところがあればタープの下で寝てもよし、リビング(ハンモック)と寝室(タープ)を分けて使用してもよし、タープとは補完し合えるのがウルトラライトなSub 7の特徴の一つでしょう。

空飛ぶ絨毯のような、空飛ぶグラウンド・シートのイメージで使うと、シチュエーションが思い浮かべやすいのではないでしょうか?


空飛ぶグラウンド・シートを思い浮かべられなかった方はこちら! まずは「ハイカーのための軽量ハンモック案内」をご一読!

ツリーストラップと組み合わせて便利なクリップはこちら→Titanium Dutch Clip

ハンモックと組み合わせて便利なカラビナはこちら→Dutch Biner

 

ハンモックの張り方ABC(TRAILS)
TRAILS作成のハンモックの張り方をわかりやすくまとめてくれている動画です。注目ポイントは「微妙に微笑」です。


ハンモックを張るための、基本の3つの数字。これを頭に入れておけば、簡単にハンモックを設営できます。タープの張り方も、Movie内で紹介してます。
①木と木の間隔は4〜5m (目安: 手を広げて、横に2人分くらい)
②ツリーストラップの高さは160cm前後
(目安: 目の高さくらい)
③木とラインの角度は30度 (目安: 親指と人指し指で三角形をつくる)

詳細はTRAILS (トレイルズ)のウェブマガジンで。
http://thetrailsmag.com/archives/8335
「HAMMOCKS for Hiker – After Report #3 / ハンモック名鑑&周辺ギア」

 

HAMMOCKS for Hiker / ハンモック・キャンピングムービー(TRAILS)
2016年春にTRAILS & Highland Designs の共同で行われたハンモックイベント『HAMMOCKS for Hiker』。その時に撮影されたイベントムービーの一つです。ハンモックがあるだけで不思議と穏やかな空気が漂うのは不思議です。(イベントの内容について→2016年 HAMMOCKS for Hiker

http://thetrailsmag.com/archives/7440
「HAMMOCKS for Hiker」のイベントに先がけ、仲間のハイカーとハンモックキャンプを楽しんできました!