Titanium Travel Mug450

450mlサイズのチタンシングルマグをクッカーに転用する手法はULクッキングギアのクラシックにしてスタンダード。ULハイカーのクッカーは、ここから始まり、ここに帰結する。

仕様

重量
58g
容量
450ml
サイズ
底面 φ 79mm(口径 φ 82mm) × 高さ 90mm
素材
チタニウム

一周回ってもどってきました
ULマグポット=450チタンマグ

クッキングウェアの軽量化に迷ったときの決定版

2000年代後半、いかにクッキングギアを軽く小さくできるか思案していたULハイカーがたどり着いたのは「チタンマグ」を「クッカー」に転用することでした。アルコールストーブや固形燃料との併用、食品はフリーズドライ中心、湯戻しはZiplockなどのチャック付プラスティックバッグを使用、このように調理内容や方法は限定されるものの、その手間をかけるだけの意義をULハイカーたちは見いだしていました。

この潮流の中心にあったのが「450ml容量のチタンシングルマグ」。Snowpeak、MSRなどのチタンマグがハイカーに好まれていました。また現在では自社ブランドTOAKSとしてチタンクックウェアを製造販売しているチタン加工工場が様々なUL系メーカーのチタンマグをOEM生産しはじめたのもこの頃です。VARGOチタントラベルマグもそのひとつ。

w/ Esbitチタニウムストーブ
w/ Highland Designs クアトロストーブ

軽さ

450mlサイズのチタンマグなら何を使っても大差はありません。そもそも調理をするわけではないのです。この容量を使うことに意味があります。そうなると気になるのは重量です。主要な450mlチタンマグカップの重量は以下の通り。

  • VARGO チタントラベルマグ(本品) 58g
  • snowpeak チタンシングルマグ450 66g
  • TOAKS カップ450 76g

仕様

チタンマグをクッカー転用することがULハイカーの標準になった時期の製品だけに、ストーブとの併用を念頭においた工夫が凝らされています。

底部は中央が凹んでいるため火にかけて中央が膨らんでも安定します。

ハンドルの取り付け位置が高く、またその形状から、風防と干渉しにくいつくりになっています。

蓋問題

製造工場はTOAKSと同じですので、TOAKS リッド80(¥770)が使えます。

ミニマルマグポット

あらためてソロクッカーの容量を考える

ソロクッカーの容量をどうするか、これはクッキングギアの軽量化&コンパクト化を志向するハイカーにとって悩ましい課題です。基本的にクッカーの容量は「ハイキング中に何をどれだけ食べるか」に帰結する問題です。軽い、安い、どこでも買えるの3拍子で日米問わず長距離ハイカーやULハイカーに愛されるインスタントラーメン(袋麺)の視点から見てみましょう。

900ml Big eater

ex.)Evernew Ti ULクッカー2、MSR チタンケトルなど
ハイキング期間が数ヶ月にわたる長距離ハイカーの中にはこのサイズでたっぷり食べないと満足できないというハイカーも多いのです。インスタントラーメン(袋麺)を2個食べたいという大食漢ハイカーにはこの容量。

700-800ml Standard

ex.) Evernew パスタクッカーS、Snowpeakソロセットチタンなど
アウトドア&登山業界におけるソロクッカーの定番容量。インスタントラーメン(袋麺)を普通に調理できる容量です。レトルト具材のトッピングも余裕があります。

550-600ml Light weight

ex.)Evernew チタンマグポット500、Evernew Ti ULクッカー1、TOAKS ポット550など
2020年現在、軽量志向のハイカーに最も支持されている容量といえるでしょう。インスタントラーメン(袋麺)を調理する際に水を少なくしたり、スープを薄めにしたりと工夫する必要が生じる容量です。

450ml Ultralight

ex.)Snowpeak チタンシングルマグ450、VARGO チタントラベルマグ、TOAKSカップ450など
チタンマグポットの原点。ULハイカーのクッカーは、ここから始まり、ここに帰結します。インスタントラーメン(袋麺)は茹でられないので湯戻しに特化せねばなりません。スクリューボトルやチャック付プラスティックバッグで湯戻ししますが、湯戻しに必要なお湯はギリギリ沸かせます。

350ml Sub-Ultralight

ex.)Evernew チタンカップ400FD、TOAKSカップ375、JMWヒルビリーポット350など
ULハイカーなら一度は試してみたい容量。インスタントラーメン(袋麺)をスクリューボトルやチャック付プラスティックバッグで湯戻しするのは450サイズと同じですが、もはやラーメンを湯戻しする十分な湯量すら沸かせません。どのように切り抜けるかULハイカーの真価が問われます。アルファ米などの湯戻し量200mlの湯沸かしに特化した容量といえます。

いまやULハイキングが試行錯誤されていた2000年代とは違います。2020年代の現在、ハイキング中の食事の考え方にも多様性があり、軽量志向でULをうたうクッカーも様々なものが発売されています。ソロクッカーをどうするか、それはハイカーそれぞれにそれぞれの答えがあります。
そんな今だからこそ、あらためてハイカーズデポではULソロクッカーとして500mlを下回る容量にしてギリギリの450mlシングルマグをあらためて見直しています。まさにクラシックにしてスタンダード、ベーシックなのです。いろいろ使ったからこそ一周回ってもどってきました。