みちのく潮風トレイルの全線開通から4年。当時から懸案とされていた福島県沿岸のトレイル。新地、相馬の先 - いわきまでをむすぶ「ふくしま浜街道トレイル」沿岸ルート約220kmが2023年9月30日に開通しました。
ふくしまの、今を歩いてつなぐ浜通り220キロ
「ふくしま浜街道トレイル(FCT / Fukushima Coastal Trail)」は福島県浜通りを新地町からいわき市へと結ぶ約220kmのトレイル。阿武隈山系に育まれた豊かな自然や「浜通り」と呼ばれる独特の地域文化の魅力を感じられることが特徴です。しかしそれだけではなく、みちのく潮風トレイルの新地町相馬市とはルートの一部を共用しており、がっちりと結び合っています。そしてみちのく潮風トレイルの南ターミナス松川浦環境公園からさらに南へと伸びる関係性にも注目です。こうしたトレイルの連続性は信越トレイルとあまとみトレイルのような兄弟トレイル、姉妹トレイルを思わせます。みちのく潮風トレイルとふくしま浜街道トレイルとを接続することで東北太平洋沿岸で約1,200kmのロングディスタンスハイキングが楽しめるのです。
そんな「ふくしま浜街道トレイル」が2023年9月30日のシンポジウムをもって全線開通の運びとなりました。
ふくしま浜街道トレイル(FCT / Fukushima Coastal Trail)
ふくしま浜街道トレイル公式HPにて各種情報を確認できます。まずは公式HPをご覧ください。
地図情報
紙媒体でのマップブック、データブックの販売は現在おこなわれておりませんが、公式HPからマップのみダウンロードが可能です。ただしみちのく潮風トレイルやあまとみトレイルのマップブックのような距離や地点情報などのデータ公表はまだおこなわれておりません。とはいえ公式HPから同じくダウンロードできるモデルコース情報が距離や地点情報のデータの代わりに利用できます。
なお、デジタルマップとしてGoogle MAPが利用可能です。また各種GPSアプリで使用可能なGPXデータについても公式HPからダウンロードできます。
トレイル情報
通行止めや迂回路などの注意情報はふくしま浜街道トレイルのFacebookページにて発信がおこなわれるようです。公式HPにもリンクがはられているので、計画の際やハイキング中の最新情報の確認はこちらからおこなってください。
情報発信と問い合わせ
トレイルの長期的な維持管理には運営組織が欠かせません。トレイルの立ち上げは「うつくしま浜街道観光推進会議」がおこないましたが、今後の運営に関しては地元福島県に新たな運営団体が立ち上がるようです。それまでは開通をサポートしてきたみちのくトレイルクラブが情報発信や問い合わせ窓口としてサポートをします。そのため現時点での問い合わせ先は「みちのくトレイルクラブ(名取トレイルセンター)」となります。
トレイル沿線の景色「ふくしまの、今を歩く」
ふくしま浜街道トレイルはそのほとんどがロードハイク、舗装路を歩く旅になります。以前ならばわたしもこの「舗装路」という面だけをネガティブに、過剰に捉えていました。2008年からアメリカの様々なトレイルを歩くなかで、そのほとんどが自然路だけでなく、ロード(舗装路)もダート(未舗装林道)もふくめあらゆる道を繋いでトレイルとしていることを体験しながらも、どこか納得できなかったのです。しかし2022年にみちのく潮風トレイル全線を歩いたことで自分自身の目線が変わりました。生活路から変化していった舗装路は自然でその地域の素顔を見せてくれる素晴らしい道だと気づけたのです。また人の生活圏と山との距離が離れている北米と生活圏と山とがモザイクのように入り混じっている日本とでは当然のように道のあり方も変わります。もちろん自然体験としては自然路が増えることが望まれます。しかし自然体験は路体だけで決まるものではありませんし、旅の奥行きは路体だけに左右されるものでもありません。それに気づけたことでロングハイクの面白さを再発見できました。福島の太平洋沿岸部「浜通り」は変化せざるをえなくなった土地です。当然のこととしてその地にある「道」も同様です。ふくしま浜街道トレイルのコピーは「ふくしまの、今を歩く」です。
みちのく潮風トレイルの全線開通からもうすぐ4年。全線を歩いたハイカーも増え、セクションハイクやデイハイクを楽しむ方を見かけることもめずらしくなくなってきました。信越トレイルを歩いたハイカーがあまとみトレイルに関心を抱いたように、みちのく潮風トレイルを歩いたハイカーがふくしま浜街道トレイルにも関心をもっていただければ何よりです。