九州自然歩道トークイベント<br/>1月22日オンライン配信

九州自然歩道はいまから42年前、1980年に全線開通しました。九州7県3,000kmという長大なトレイルである九州自然歩道。そのなかの宮崎パート320kmについて現状報告などのトークイベントが1月22日(土)に開催されます。場所は宮崎県庁ですが当日はオンライン配信もおこなわれます。九州自然歩道フォーラムが長年啓発活動に取り組んできましたが、これからは再整備などの新たな動きが活発化しそうです。

九州自然歩道(九州自然歩道フォーラムHPより)

「九州自然歩道」は1969年に厚生省が提唱した「長距離自然歩道構想」に端を発して全国に整備されてきた長距離自然歩道のひとつです。1970年に計画案が策定、1975年から整備がはじまりました。5年の整備期間を経て九州自然歩道が全線開通したのは1980年。いまから42年前です。最初の長距離自然歩道である東海自然歩道が開通したのは1973年ですが、当時の厚生省国立公園部課長の大井道夫氏がアパラチアントレイルを訪れたことがその誕生に大きく影響しています。実は日本におけるロングハイキング、長距離ハイキングの舞台はその誕生から北米のトレイルと関係があり、その歴史は半世紀近い年月を有しているのです。
なかでも九州自然歩道は3,000kmというスケールと九州7県を循環するルート設定により、海外の長距離トレイルにもひけをとらないものだと言えます。しかし日本の長距離自然歩道は長年大きな弱点に悩まされてきました。行政上の問題からその後の運営に関しての見通しや計画が曖昧なままに開通を迎えることが多く、継続的な整備や一貫した広報活動がおこなわれてこなかったという弱点です。九州自然歩道もその例にもれません。しかしそうした状況に変化の兆しがあらわれたのは2012年。九州地方環境事務所によりウェブマップサービスがはじまり、地元有志による九州自然歩歩道フォーラムが生まれたのです。全体地図や詳細地図が入手困難な長距離自然歩道が多いなかでデジタルマップのプラットフォームができたのはハイカーにとって何よりも喜ばしく、また地元の民間有志が集まることで再整備やプロモーションのための新たな動きが生まれたことはトレイルの未来にとって大きな一歩だといえます。

2019年に開通したみちのく潮風トレイル(東北太平洋沿岸自然歩道)では、トレイルを地元に定着させ、次世代へ受け継ぐための運営組織がうまれました。東海自然歩道から半世紀、ようやく日本でも長距離自然歩道をめぐる環境が変化しつつあります。全国で27,000km存在する長距離自然歩道。このトレイル資産を活かしていくための鍵になるのが九州自然歩道かもしれません。そのスケール感と九州を循環するルート設定、トレイル沿線の温泉や歴史遺産には海外のハイカーにも訴求するグローバルな魅力が詰まっています。そんな九州自然歩道がこれから歩む新たな一歩として宮崎区間にフォーカスしたトークイベントが開催されます。

 

九州自然歩道 宮崎県ルートの今と未来を語るトークイベント

九州自然歩道の宮崎県区間は祖母山を北の起点として、神話の里でもある高千穂や日之影を通り、矢研の滝を代表とする尾鈴山瀑布群や日本最大級の照葉樹林地帯である綾町等を歩いていきます。南の起点となるのは九州を代表する活火山でもある霧島連山。高千穂峰を下り御鉢に至る全長320kmが宮崎県区間です。この宮崎県区間の現状報告をはじめとしたトークイベントが宮崎県庁にて開催されます。
九州自然歩道の魅力を長年発信、情報のプラットフォームづくりに尽力してきた九州自然歩道フォーラムの事務局長 福島氏の話しや宮崎県区間の実踏調査をおこなった現地ハイカー 高代氏の報告など、九州在住ハイカーから発信される情報に触れられる機会です。Youtubeでの同時配信もあります。

日時)2022年1月22日(土) 13:30〜16:00

会場)宮崎県庁 5号館

配信)Youtubeにて同時配信

 

プログラムほか)

 

参加費)無料

イベント参加申込)以下問い合わせ先までお名前、ご連絡先を添えてご連絡ください。
メール info@kntf.jp
電話 092-600-4399

主催:一般社団法人トレイルブレイズハイキング研究所 運営:九州自然歩道フォーラム

 

九州自然歩道 宮崎パート トレイルの風景

昨年2021年9月に宮崎県区間の実踏調査をおこなった宮崎県在住の高代勇人さんから各地のトレイル風景の写真をいただきました。トークイベントの前に、高代さんの言葉と共にご覧ください。


昨秋に宮崎県区間を実際にハイキングしてみましたが、開通から40年。継続的に整備されてきたわけではないと思います。そのため再整備が必要であったり、既にトレイルが消失してしまっている箇所も見受けられました。しかし宮崎県区間だけでなく、九州自然歩道はその再興に向けて今、少しずつ動いています。
わたしが住む宮崎県の区間は世界的にも珍しい活火山の霧島連山や日本最大級の照葉樹林帯、西都原古墳群を代表する史跡、自然歩道ルート上に限らず、たくさんの魅力に触れる機会に恵まれています。ロングハイキング、長距離ハイキングとはまさしく「歩き旅」です。旅とは自由なものでしょう。
自然歩道という線が引かれたからこそ歩くきっかけ、旅するきっかけが生まれましたが、その線は正解ではなく基準だと思っています。開通からの40年で再整備が必要になったり歩くことが困難になってしまった区間が存在する現在、線を丁寧になぞることに執着せず、そこから周りを眺めて自身の興味の向くままに歩くことを続けてほしいと願っています。たくさん寄り道ができる魅力が宮崎県にはたくさんあります。

ぜひ宮崎にいらしてください。歩きにきてください。


霧島連山高千穂峰から神話の里高千穂町までの320kmをノースバウンド

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