山岳エリアでのハイキングならば一年を通じてバックパックにいれておきたい安心感。温度調整幅と重量とのバランスに最も優れているフーディーのひとつ。春夏秋冬で異なる役割をはたしてくれます。
仕様
- 重量
- 208g(Mサイズ)
- 素材
- Merino Wool(150-155g/㎡) 100%
YKK #3 Coil Zipper - サイズ
- ユニセックス / 日本サイズ
XS、S、M、L、XL - カラー
- Mustard、Blue Gray
単体でも、重ね着でも、
春夏秋冬で異なる役割をはたす
フィールドで機能する一着
冬のグリッドフリースにはじまり、夏のUPF素材、もちろんウールフーディーもさまざまに着用してきましたが、2022年現在、山と道の100% メリノライトフーディーは温度調整幅と重量とのバランスに最も優れているフーディーのひとつだと言えるでしょう。山岳エリアでのハイキングならば一年を通じてバックパックにいれておきたい。そんなウールフーディーです。
- 低体温症を防ぐ濡れても高い保温力
- 長期山行でも気にならない防臭効果
- フードよる幅広い調温機構
- 通年使用を可能にした絶妙の薄さ
アウトドアウェアとしてのフーディー
わたしがはじめてウールフーディーを意識したのはライトウェイトハイキングのポータルサイト「Backpacking Light」のオリジナルブランド「Bozeman Mountain Works」で2000年代中頃に販売されたウールフーディーがきっかけです。温度調整の幅が広いフーディーは動いていれば暑い、停滞時には寒いという寒冷期においては主力行動着として重宝します。当時のわたしはグリッドフリースの元祖ともいえるpatagoniaのレギュレーターシリーズ、R1フーディーを冬季は着用していました。またわたし自身は着用していませんでしたが、夏季には直射日光による体力消耗を防ぐためのUPFフーディーがフィッシングウェアとして存在していました。このようにフーディーは一年を通じてフィールドにおける機能衣料品として評価されていました。そんななか提案されたウールフーディーは秋冬の行動着としてグリッドフリースとは異なるもうひとつの選択肢です。当時はウール衣料品のマスメーカーからはフーディーが販売されていなかったこともあり、ライトウェイトハイキングの文脈の中から提案されたBMWウールフーディーは当時のULハイカーから高い注目を集めることになりました。
ウールフーディーの素材目付(生地の厚み)
マスメーカーではIbexがウールフーディーを最初に扱ったメーカーでしょう。どこかウールフーディーをだしてくれないか、展示会で常に探していただけに嬉しかったのを覚えています。それがIndie Hoodyでした。
フードとサムホールを装備した秋冬の行動着として意図されたこのモデルで採用された生地の目付(平米あたりの重量)は195g/㎡です。ベースレイヤーとして、カットソーとして最も厚手のものが250g/㎡程度ですので、いわゆる中厚手といえる生地厚です。秋冬の行動着として幅広く支持されたといえるでしょう。実際にわたしもそうですが、多くのハイカーにとって秋冬の定番行動着のひとつになっていました。廃盤後も問い合わせが多い製品のひとつでした。
低体温症を防ぐ濡れても高い保温力、長期山行でも気にならない防臭効果、フードよる幅広い調温機構と特色あふれたIbexのウールフーディーでしたが、やはり秋冬用は秋冬用。機能的な衣類だけにもっと活用したいということで、ちょっとした防寒用として、着替として、春夏季に持参しようとバックパックに入れようとするのですが、重量、保温力ともに過剰に感じることが多く、結局クローゼットに戻すことになるのです。
山と道の100%メリノライトフーディーは同社昨年比で10%、Ibexのインディーフーディーからは20%の軽量化が図られています。150-155g/㎡という目付はまさに春夏用の薄手に相当します。フーディーとしては薄すぎるのではないかという意見もあるでしょう。わたしもそう考えていましたが、実際に着用するとその対応幅の広さを実感できます。
着用ケーススタディ
単体での行動着
春夏の適度な気候のときは、カットソーとして単体で行動着として着用いただけます。早朝行動開始時にはジッパーをあげて、フードをかぶるだけで重ね着しなくとも体温保持ができます。動けばすぐに暖かくなりますので、フードをはずし、ジッパーの開閉調整をすれば、普通のロングスリーブよりも単体で幅広く活用できます。150g/㎡という薄手の目付を採用したからにはこの単体使用での温度対応の幅広さを体感していただきたく思います。この薄さだからこそ、暑いときは涼しく、肌寒いときは気持ち暖かいというウールの調音機能が活かされます。森林限界上の高山帯ではそれこそ夏季の行動着としてもおかしくないでしょう。
重ね着しての行動着
晩秋や早春の肌寒い季節や初冬の時期は他のベースレイヤーとの重ね着が有効です。特にメッシュアンダーとのレイヤリングは保温しつつもオーバーヒートを防いでくれます。同じウール製のメッシュアンダーであるACLIMAのウールネットシリーズは相性がよいと感じています。
もちろん通常のアンダーウェアやカットソーと合わせていただいてもかまいません。この重ね着の場合、保温力を担うのは下に着用するアンダーウェア、メリノフーディーが担うのはフードとフロントジッパーによる温度調整と考えればわかりやすいかと思います。
予備衣類として
いわゆる着替えですね。無雪期はショートスリーブのカットソーで行動する。状況によってウインドジャケットやシャツなどをレイヤリングして温度調整というハイカーが最も多いのではないでしょうか。基本的に着っぱなしですませられるよう、化繊やウールなどの機能素材の衣類を着用しているわけですが、やはり着替えは最低1着は持参することが多いでしょう。その着替えには念のための防寒衣料という性格を持たせることがあります。わたし自身、持参するトップスの着替えは一着だけですが、それは薄手のロングスリーブにしています。従来のウールフーディーでは着替えにするには重たすぎる。念のためとはいえ夏季に持つには特に重すぎるし、暖かすぎる。しかし山と道のメリノライトフーディーならば夏季の着替えとして持参するのに抵抗はありません。薄手とはいえロングスリーブの保温応力の安心感は違います。またフードとフロントジッパーによる温度対応は安全対策としても安心感につながります。
アウトドアにおける機能衣料として評価され続けてきたフーディー。それぞれに特化した機能を誇る製品は多々ありますが、100%メリノライトフーディーは誰もが一年中使うことができる、どんな時もとりあえず持っていくと安心できる、そんな汎用性の高さにこそ意味がある製品です。ハイカーワードローブの定番たりうるウールフーディー