Bummer

Trail Bum のフラッグシップモデルSteady をさらにUltralight Hiking向けにシンプルにしたバックパック。ULバックパックの源流を強く意識したスタンダードにしてトラディショナルなスタイルは決して色褪せません。

仕様

重量
ソリッド:389 g
本体:320g
背面パッド:約44g
スターナムストラップ:25g
スペクトラ:410 g
本体:341g
背面パッド:約44g
スターナムストラップ:25g
容量
35L
本体 :30L
ポケット:5L
寸法
高さ54cm x 幅26cm x 奥行13.5cm
素材
ソリッド:100d リップストップナイロン
*PU(ポリウレタン)コーティング
*テフロン®撥水加工
スペクトラ:200d スペクトラグリッドストップナイロン
*TPU(熱可塑性ポリウレタン)コーティング
*テフロン®撥水加工
カラー
ソリッド:Khaki、Black、Olive
スペクトラ:Grey、Night Cloud
価格
ソリッド:¥18,700(税込)
スペクトラ:¥19,800(税込)

ULバックパック
その源流への敬意
シンプルの意味

シンプルであることの美しさ。2000年代、ULバックパックにハイカーが視線を奪われたのはその潔いまでのシンプルさに今までと違う何かを感じたからではないでしょうか。
フロントとサイドのメッシュポケットはULバックパックを代表するモチーフ。フロントポケットはシェルターやレインウェアなど濡れものを収納できるゆとりある容量。
生地補強と必要最小限のコンプレッションのためのストラップ。そしてたっぷりとしたマチと底部の補強を施したサイドポケット。
しっかりとハイカーをホールドする安心感あるショルダー。そしてウエストベルトが省略されたデザインこそULバックパックのオリジナルスタイル

Trail Bum® ファーストモデルのひとつ。トレイルバムがトレイルライフからタウンライフまで、ロングハイクからULハイキングまで、最終的にはこれひとつあればことが足りる。トレイルバムたちが行き着くバックパックであるという思いが込められた 「Bummer(バムなやつ)」。
アメリカ3大トレイルを日本人ではじめて踏破したトリプルクラウナーである舟田靖章の自作バックパックをベースにしたTrail Bum® のフラッグシップモデルSteadyをさらにシンプルに小型化。ULバックパックの源流を強く意識したウエストベルトさえも省略されたモデルです。

ULバックパックの源流

1990年代後半アメリカのULハイキング黎明期、レイ・ジャーディンが提唱するRay Wayに触発され、バックパックの自作をはじめたホームメイドハイカーたちが選べるのは流通している入手容易な素材でした。その構造は家庭用ミシンで縫い上げられるシンプルなもの。そこから生まれるデザインがULバックパックの源流です。それから四半世紀が経ったいま、当時の雰囲気を強く受け継ぐのがTrail Bum ®バマーです。
素材は2種類。リペアも容易な自作バックパックへの敬意を込めた100d リップストップナイロンと、2000年代のULバックパックを彷彿させる200d スペクトラグリッドストップナイロンです。

ソリッド:Khaki
ソリッド:Black
ソリッド:Olive
スペクトラ:Grey
スペクトラ:Night Cloud
スペクトラ:Ocean

ULハイキングとは何か、ULバックパックとは何か、この問いは「UL(ウルトラライト)」が広まる中で常に問われてきました。もとより厳格な定義があるものではなく、時代時代のなかでハイカーそれぞれが考えるULがあります。しかしその発祥から時が流れた今だからこそ、あらためてその源流を眺めることで気づきも得られるはずです。ULハイキング、ULバックパックの源流にあるのは「シンプル」であること。バマーはそれを考える契機ともなるバックパックです。

シンプルな中のこだわり

シンプルであることを強く意識しつつも、マスプロダクションとして施すべき必要最低限の工夫。付け足すものを極力抑えることと、不要ならば切り取れることが意図されたバマーの細部仕様を見てみましょう。

硬さと柔らかさのバランスにこだわったショルダー

Trail Bum創業当時のパッドは耐久性重視で今より硬いものでした。「痛い」というハイカーの声により、バランスの良いものへ。
しっかりと縫い込まれたショルダー取付部の安心感。

ウエストベルトの省略により、ショルダーベルトのみでバックパックを支える必要から、肩への食い込みが少なく、ヘタりにくい比較的硬質なパッドが採用されています。そのパッドは数回のアップデートを経て、ヘタリにくい硬さと肩にフィットしやすい柔らかさの程よいバランスに落ち着いています。また荷重が大きくなった際にショルダーが食い込むことを防ぐため50mmという太いNBテープが合わせられています。

たっぷりの収納と取り出しやすさを意識したメッシュポケット

サイドポケットの形状は創業時のモデルから大きくアップデートされています。収納力と取り出しやすさにこだわりが伺えます。
メッシュの穴に通されたバンジーコード。片側はコードロック、もう片側は結んであるだけなので交換も簡単で楽におこなえます。

メッシュポケットの素材は目が大きく、非伸縮素材が使われています。伸縮素材の使い勝手よりも、水切の良さや渇きの速さ、そして耐久性の高さを重視した結果でしょう。そしてフロント、サイドともにメッシュポケットは広がりやすいよう大きめのマチがついています。フロントポケットはシェルターやレインウェアなど濡れる可能性の高いものを収納してもよいですし、行動中に頻繁に取り出したい行動食、ウインドシェル、タオル、ヘッドライト、ファーストエイドなどを収納しても良いでしょう。サイドポケットはボトル2本が余裕を持って収納できる大きさ。背負っていても手が届きやすい設計になっています。
そしてフロントポケットもサイドポケットもメッシュの穴を出入り口にして、細いバンジーコードを通しています。片側はコードロック付き、片側は結んであるだけです。ポケットからの不意な荷物の落下を防ぐために口を強く締めることができるだけでなく、バンジーコードの交換も容易です。バンジーコードが伸びきった時だけでなく、より強い伸縮が欲しいときは太いバンジーコードへ交換できます。

調整できるサイドストラップ

サイド上部のストラップはもともと薄手生地の強度を補うためのストラップ。Ray WayバックパックやGOLITEブリーズに見られる調整ができないナイロンストラップがその原型です。
そのストラップを生地補強以外にも応用するためスライダーバックルで調整可能にしています。これによりトレッキングポールやタープポール、ハイキングアンブレラなど長物の固定がしやすくなりました。

取り外しが容易な背面パッド

四隅のテープによる簡易固定がTrail Bumの大きな特徴。

背面パッドはショルダーと同素材を標準装備しています。固定は四隅のテープによる簡易なものなので厚みなどへの対応にも余裕があります。100cm前後のスリーピングマットを背面パッドとして挟み込むことも可能です。なお、不要なハイカーは固定用テープを切り取るなどしてよりシンプルに使用できます。

Evernew FPマット100へ背面パッドを換装
Therm A Rest Zライト(S)へ背面パッドを換装

ULハイカーならば一度は経験してほしいバックパック。ULハイキング、ULバックパック、その源流からの流れの本流に位置するのがTrail Bum® バマーです。

補足:生地素材について

ソリッド:100d リップストップナイロン

ソリッドカラーのレギュラーモデルに使用している生地は極薄素材でも高価な特殊素材でもありません。Trail Bum®の多くのモデルで採用されているのは 一般的な100d リップストップナイロン。ナイロン素材の進化により引張強度や摩擦強度も向上。張りやコシも特徴のようです。パシフィック・クレスト・トレイル( PCT)、アパラチアン・トレイル(AT)、テアラロア(TeAraroa)といった数ヶ月にわたるロングハイキングでの使用実績もあり耐久性も問題ありません。
この暑さの生地であれば修理が容易なのも利点です。家庭用ミシンだけでなく、手縫いでも縫えます。修理や改造といったカスタマイズができます。長く使うために重要なのはこの容易に直せるということ。

スペクトラ:200d スペクトラグリッドストップナイロン

ULバックパックの素材といえば、色に染まりにくい性質の超高分子量ポリエチレン繊維が格子模様のように入っている「dyneema ナイロン」がその定番でした。GOLITE、ULA、Six Moon Designs、Mountain Laurel Designsなど2000年代は多くのULバックパックにこの素材が採用されてきました。シルナイロンやキューベンファイバー(DCF)などの極薄素材は使う人を選ぶこともあり、丈夫さと軽さのバランスに優れたdyneema ナイロンが選ばれていたのです。こうしたULバックパックの歴史への敬意もこめてダイニーマと同じ超高分子量ポリエチレン繊維の「スペクトラ」を使ったグリッドストップナイロンがTrail Bumでは採用されています。
この素材のポイントになるのが裏面の仕上げの「TPU加工」です。TPUとは Thermoplastic Polyurethan のことで、熱可塑性(熱で柔らかくなる性質)を持ったポリウレタンです。特徴としては、柔らかいのにコシがある、引張りや摩耗の耐久性が高く、劣化も少ない。そして従来のポリウレタンやアクリルの加工よりも耐水性が高くなるのです。

超高分子量ポリエチレン繊維で引裂強度を補強し、TPU加工により生地全体の強度と耐水性を向上させた生地になっています。