EZ Zip Off Pants

アウトドア用品の中には、定番だけど万人受けしない物が幾つかあります。ポケットがないシンプルなアルパインザック、被って羽織るプルオーバータイプの雨具やダウンジャケット。そして、この記事の主役であるコンバーチブルパンツとも呼ばれるジップオフパンツ。

ロングパンツ
ショートパンツ

ジップオフパンツのシルエット

発汗量や寒暖に応じて使い分けが可能なジップオフパンツ。その三面六臂な機能は少しでも荷を減らしたいハイカーに最適です。そんな便利なパンツが登場して久しいですが、敬遠する人もチラホラ。その理由を尋ねると「ジッパー部の干渉」がよく挙げられます。これは時代と共に変化したパンツの「素材・シルエット」に起因すると思います。

 90年代のUSアウトドアウェアを知る人なら、当時のパンツの多くが伸縮性のないナイロン生地で作られ、運動を妨げない「リラックスフィット」だったのを覚えている筈です。そのお陰か、その頃のジップオフパンツにジッパー部干渉を感じたことはありませんでした。

DANA DESIGNS 2002カタログより

そこから時代が進みストレッチ素材を用いたパンツが登場すると、生地の突っ張り感を考慮する必要がなくなりスマートな「スリムフィット」が主流となります。2010年頃は山ガールを追い風に登山人口が増えた時代ですが、需要と共にスリムなジップオフパンツが多く作られました。しかし、ゆったりしたパンツなら当たらないジッパーも細身になると干渉します。結果的に、この頃のスリムジップオフパンツが敬遠組を生んだ原因かもしれません。

スリムジップオプパンツイメージ画像

 

EZ Zip Off Pantsの仕様

前置きが長くなりましたが以上を考慮して、EZジップオフパンツはジッパー干渉しにくいゆったりとした「リラックスフィット」にしました。やや太めのワタリから裾へ緩やかなテーパーがかかるシルエットは、ハイキング中の足捌きを邪魔をしません。またポリウレタンを含むストレッチ生地は重くなりますが、当パンツはナイロン100%なので速乾性にも優れます。

パンツの作りは前立てを省略したシンプルなイージーパンツ形状。ショーツ丈は太腿位置と短めに設定しています。既存のジップオフパンツの大半は膝ないし膝下ショーツ丈ですが、「暑いからショートパンツとして履く」ならどちらが涼しいかは言うまでもありません。また歩行中に屈曲する膝からジッパー位置が遠くなるので、前述の干渉回避にも一役買います。
涼しく、ジッパーが干渉しないショーツ丈

ウエストベルトの垂れ具合が気になる場合は、ベルトループへ通して下さい。このループはポケットから落としたくない物を紐で繋ぐのにも使えます。裾にはドローコード穴を設けたので、紐を後付けして絞れば丈の長さ調整も可能です。

前立のないパンツ本体のシンプルなつくりはもちろん、ベルトまわりも応用可能なシンプルなものにしています
ジッパーは左右で色を変えることで着脱時の混乱を回避。patagoniaのG2ジップオフパンツはじめ、多くのモデルで採用されているジップオフパンツの知恵
ショーツにして山に登り海へ潜る。パンツにして寝袋に潜り込み砂浜に寝転がる。夏冬問わず一年中使える、衣服というよりも道具としての側面が強いパンツ。これを読んで興味を覚えたなら、試してみることをおすすめします。