Gossamer Gear20周年を機に、初期フラッグシップモデルであったG4に新素材&新デザインを投入、今を歩くハイカーと共に今を生きる、そんなULバックパックのアーキタイプがG4-20。先行例の模倣ではなく、ゼロベースでロングハイクにおけるULバックパックを突き詰めたULバックパック本家の意欲作。
仕様
- 重量
- 701g(Mサイズ)
本体 576g
ストラップ(3本) 31g
背面パッド 94g - 容量
- 最大容量 42L
*)本体容量約36L - サイズ
- S、M、L
- 素材
- 70Dnl & 100Dnl Robic Nylon DWR coating
- カラー
- エレクトリックブルー
チタニウムグレー
*)Sサイズの展開はグレイのみ
シンプル&フレキシビリティ
ハイカーが思い描くイメージを具現化した
軽量バックパックのアーキタイプ
Gossamer GearにはG4というフラッグシップモデルが存在しました。創業者グレン・ヴァン・ペスキがG1からアップデートさせたナンバーシリーズの最終形がG4です。GoLiteのブリーズとならぶULバックパックの源流のひとつであるだけでなく、型紙のフリーダウンロードというULにおける「自作」という精神を提起したバックパックでもありました。Gossamer Gear20周年(前身のGVP Gear時代は含まず )を機に、ビンテージ&クラシックともいえるG4に新素材&新デザインを投入、今を歩くハイカーと共に今を生きる、そんなバックパックとしてG4は生まれ変わりました。
ロングハイク向けULバックパック
Gossamer Gearにはゴリラというベストセラーモデルがあります。G4-20とほぼ同容量ですので、G4-20の特徴を考えるには適当な比較対象といえそうです。
荷重を背面と腰とで分散して受け止めるため、ゴリラにはしっかりとしたヒップベルトと連動したアルミステーが搭載されています。そしてヒップベルト、アルミステー、背面パッドといった様々なパーツは取り外し可能なのです。アルミステーを取り外し、ヒップベルトの替わりにファストベルトという簡易ベルトを取り付けることでゴリラに思い切った軽量化を施すこともできるのです。アルミステーとしっかりとしたヒップベルトを装備していることに目を奪われがちですが、ゴリラの最大の特徴は様々な状況や仕様目的に対応できる汎用性の高さにこそあるのです。
それに対してG4-20はヒップベルトを固定化、取り外しできない仕様になっています。ゴリラのように取り外せれば最小重量は確かに軽くなります。しかしG4-20の使用を想定している状況ではヒップベルトによる荷重サポートが重要になると判断したのでしょう。そうした状況とは何か、運搬する食料が増える長距離長期間のハイキングなのでしょう。オリジナルモデルであるG4がそうであったようにG4-20は「ロングハイキング向けULバックパッック」という明確なコンセプトのもとデザインされているのです。
G4-20の仕様
ロングハイキング向けULバックパックとはどういうことか。G4の細部を見てみましょう。
【トップクロージャー】
取り外し可能なストラップとバックルによって構成されています。一本締め、ロールトップ、サイド固定と様々な方法が可能です。山中でトレイルを歩いているとき、街中でロードを歩いているとき、状況に応じてメインコンパートメント(荷室)へのアクセス頻度も変わるはずです。自分が使いやすい方法で使い分けてみるのも良いでしょう。
【ヒップベルトポケット】
取り外し不可のヒップベルトにはポケットが付いています。左右ともに収納に安心感があるジッパーポケット。ヒップベルトポケットに収納したいものとは歩きながらサッと用意したいもの。行動食から日焼け止めや虫除けなどハイカーのスタイルにあわせて様々な小物を収納してみてください。
【ポケット】
サイドポケットは左右非対称で高さがそれぞれ異なります。素材はメッシュではありませんが、伸縮性、収納性、出し入れのしやすさに優れたポケットです。背負った時に右手にくるポケットは一般的な深さのポケットなのでボトルの収納などに良いでしょう。左手にくるポケットはより深いポケットになります。メッシュのフロントポケットを濡れものや濡れる可能性が高いもの(テントフライ、タープ、ツェルト、レインギア、タオルなど)の収納に使うのであれば、この深めのサイドポケットには濡れものと分けた上で必要時にすぐ出したいものを入れてみてはいかがでしょう。防寒着、ウインドジャケット、ファーストエイド、ヘッドライトや浄水器などの小物類と十分に収納できる容量がありつつも左右バランスを崩しません。
フロントのメッシュポケットはよく伸びてなんでも入るGossamer Gearの真骨頂を発揮しています。ソロ用テントでしたら余裕で飲み込んでしまいます。パッキングで困った時はとにかくここに突っ込めばなんとかなります。
【リフレクター】
ショルダーベルトとアイスアックスループにはリフレクターテープが装備されています。トレイルランニング用バックパックではよく見かける仕様ですが、交通量がある夜間のロードウォークではこのリフレクターがあるかないかで歩行時の安全性が大きく異なります。バックパックの前後両方に配置してあるのは嬉しい限りです。日本国内の長距離自然歩道や各種トレイルは舗装路区間が頻繁に現れます。交通量の過多はありますが、場合によっては夜間行動をせざるを得ない状況もあるでしょう。実はリフレクターはロングハイクにあると嬉しい仕様なのです。
【容量】
42L表記ではあるものの、アルパイン要素&クライミング要素を考慮しなくてよいハイキングならば一時的に相当な容量の荷物運搬が可能。ポケットの伸縮や深さが十分なのはもちろんのこと、バンジーコードを装備するためのループが多数配置されています。柔軟なバックパックといえるでしょう。
ロングハイキング向けULバックパックとはどういうことか。
荷物の運搬と歩行時の安全に配慮したシンプルで軽いバックパックということなのです。
アーキタイプ
G4-20はGossamer Gearが具現化した「ULバックパックのアーキタイプ(archetype)」ともいえそうです。
ある民族や人種が同様の経験を反復するうちに一定の精神的反応を示すようになり、
特有の集合的無意識をもつにいたる。その具体化がアーキタイプ(元型、原型)。
レイ・ジャーディンがトリプルクラウンにおける試行錯誤で生み出した極度なライトウェイトバックパッキングスタイルがULのはじまりだとするならば、ULには30年間の歴史があります。ULハイカー&ロングディスタンスハイカーという集団が30年間にわたってもつに至った「ULバックパック」という集合的無意識があるはずです。それをGossamer GearがカタチにしたのがG4-20なのではないでしょうか。
Gossamer Gearにおける近年の主要モデルとしてゴリラとクモがあげられます。このふたつはそれぞれ、マリポサとマーマーをベースとして練り上げられたバックパックです。先行モデルの延長線上に位置するモデルといえます。それに対してG4-20は同社のフラッグシップモデルの再生だけに、2020年におけるGossamer Gearのフラッグシップとは何か? ゼロベースで考え直したバックパックということが伺えます。ULブランドのオリジナルのひとつでもあるGoLiteでも似たようなことがありました。レイ・ジャーディンの考えたギア「レイ・ウェイ」を商品化することでスタートした同社ですが、彼との蜜月関係が終了した際に、フラッグシップとなるバックパックをゼロベースでつくりあげたのです。それがJamでした。
先行例のバージョンアップではなく、ゼロベースで何かを生み出す時、その源となるのは時代時代のハイカーコミニティが無意識に持っている「ULバックパック」というイメージでしょう。シンプルなフレームレスバックパックという枠の中で真剣にULバックパックを突き詰め、足し算を美学の中でギリギリにとどめ置いたバックパック。そうしてうまれたバックパックだからこそ、G4-20は2020年におけるULバックパックのアーキタイプなのです。
ULハイカーという集団における
ULバックパックのアーキタイプ
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G4-20 Features
- Extendable roll-top with dual closure options
- Waterproof zippers
- Removable molded cushy sitpad
- Fixed hip belt with unique hip belt pocket designs
- 1.5" hip belt webbing for max comfort